「待ってください!」
後ろから陽光に抱きつくとマツリは涙をこらえ言葉をつむぐ。
「どんなに汚れていようが、どんな化け物が体にいようが、名前が違ってようが、陽光さんはは陽光さんです。中忍試験のときに助けてくれたとき、私の頭をなでてくれたとき、いっぱいお話したとき、一緒に修行をしたとき。どんなときでも陽光さんの近くにいれることが嬉しかった。それだけで良いんです。陽光さんがいなくなるなんていやです。陽光さんのそばにいたいです。ほかのみんなになんていわれようと陽光さんは私の憧れであり目標です」
マツリは顔を陽光の背中にくっつけ話を続ける。
「私は知ってます。陽光さんがとっても優しいこと、ほめられるのが苦手で照れ屋なこと、実は努力かなこと、仲間思いなこと...陽光さんのいいところもいっぱい知ってます。そんな陽光さんだから好きなんです。そんな陽光さんが好きなんです。だから近づくななんていわないで、言わないでくださいよぅ」
いつの間にか大粒の涙が流れる。一粒、二粒とマツリの思いが爆発した。
「だから明日も私に笑顔を見せてください。明日からもずっと、私も陽光さんに笑いかけます。だからそんな寂しいこといわないでくださいよぅ」
そう告げると陽光の頭を見上げる。月の光に照らされ金色の髪が輝いているように見える。その頭がゆっくりと縦に二回動かされる。マツリの抱きしめている手に大きな手が重なる。そして少し震えている。
地面にぽたぽたと零れ落ちる雫がしみになってすぐ乾く。ナルトの瞳からも涙が流れる。後ろから抱きしめてくれる暖かい温度を感じていた。
鼻をすすり振り向く陽光にマツリは笑顔を見せる。
「陽光さん、笑ってください。私は笑顔の陽光さんが一番好きです」
「ありがとう、ありがとうマツリ」
笑顔を見せ抱きしめありがとうを繰り返す。
ナルトなりの感謝の気持ちをいっぱい伝える。腕の中でマツリも返事を続けたのであった。
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次の日の朝、ビルの屋上で二人が寄り添い眠っているのを探しに出た我愛羅が見つけるが、もう少しそっとしておいてやろうと気を利かせて後にする。ナルトの横にメモを残して。
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「おはようございます」
目を覚ますとマツリのひざの上に頭を乗せていた。いわゆる膝枕だ。
寝ぼけた頭で思い出すとボンと赤くなるナルト。
『そういえばあの後無き疲れて二人とも寝ちまったんだっけ、もしかして俺かなり恥ずかしいとこ見られたのか??』
考えているとマツリが笑う。
「陽光さん、寝ぼけてないでそろそろ帰りますよ?メモが落ちてて、『起きたら家にすぐに帰って来い』だそうです」
それを聞いたナルトは飛び起きてマツリを見つめる。
「よし、じゃぁ行くか、マツリ掴まれ」
そういうと毎度のお姫様抱っこだ。マツリはご満悦な様子で首に手を回す。
そして3分後には家に到着していた。