里を捨てた少年   作:落ち葉崩し

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第30話 ナルトの真実

「失礼する」

 

部屋に入ってきた風影ご一行。

 

「みんな!」

 

ナルトは嬉しそうに笑顔を浮かべて声を上げるが、入ってきたテマリは拳骨をプレゼントした。

 

「陽光、あんたはまた心配かけて!怪我が無かったからよかったもののあんたに何かあったらどうするつもりなの!?」

 

そこまで言うとナルトを抱きしめる。

 

「ホントによかった」

 

ナルトを抱きしめ涙を流すテマリ。

 

「ごめんな、テマねぇ」

 

抱きしめられたままナルトは暖かい涙を流す。

 

木の葉の里でいままでたくさん流した涙の中で一番暖かい涙だった。

 

この光景を見たヒルゼンも笑顔を浮かべながらも涙ぐんでいた。

 

落ち着きを取り戻したテマリとナルトを含め、ヒルゼンはナルトの処遇、被害者側への対応について再度話をした。

 

「陽光の起こした問題についてはご迷惑をおかけしまして申し訳ありません。そしてありがとうございます」

 

風影が頭を下げると我愛羅、カンクロウ、テマリも頭を下げる。

 

「いや、こちらにある非があまりにも大きいと感じたまでじゃ。そこについては明日里の者達に放送でわしが伝えよう」

 

その言葉にまた先ほどと同じように礼を言いみなが頭を下げる。

 

「砂隠れの里では、明日上層部のものだけに陽光、ナルトのことを伝えようと思う。そして受け入れられようが受け入れられまいがこいつはもう私の家族だ。これからも変わりは無い」

 

そう告げるとヒルゼンも賛成の意を示した。

 

不安そうにするナルトに我愛羅が告げる。

 

「安心しろ。もし木の葉の連中と同じようなことをしたら俺がそいつらを砂の藻屑にしてやる」

 

「じゃぁ俺はそいつらを全員傀儡にしてやるじゃん」

 

「私は切り刻んでやるよ」

 

 

3人の兄と姉がそろって笑う。恐ろしいことをいいながら。

 

だがしかし家族とはそういうものだ。お互い支えあい、守るものである。

 

「大丈夫、俺は里のみんなを信じてる」

 

ナルトの言葉に風影も笑顔になる。

 

「それでは、本日はこれにて失礼させていただきます」

 

「うむ、合同任務の編成についても話したいところじゃが今は一度帰られてナルトのことをどうかよろしくお願いします」

 

火影が頭を下げる。

 

「任せてください。もう二度と、里のものに私の子供を傷つけさせたりはしない」

 

その言葉に我愛羅は微笑む。本当に嬉しそうに。

 

・・・・・・・・

 

その日の夜中、砂の里の門の前

 

 

 

マツリは待っていた。

 

家に帰っても落ち着かず、陽光の帰りをずっと待っていた。

 

 

向こうから誰かが帰ってくる影が見える。

 

それは5人の人間の影。

 

その最後尾に陽光の姿を見つけて走り出す。そして飛びついた。

 

それを受け止めるナルト。マツリはナルトの腕の中で泣きじゃくる。帰ってきたらいろいろ聞きたいこともあったし言いたいことも会ったのに言葉が出てこない。

 

そんなマツリを抱きしめたままつぶやくナルト。

 

「ただいま、マツリ。ごめん、それと、ありがとう」

 

 

自分を心配してくれて。自分のために怒ってくれて。自分のためにしかってくれて。自分のために喜んでくれて。自分のために泣いてくれて。そして仮初の自分でも認めてくれて。

 

そんなたくさんの気持ちをこめての言葉であった。

 

マツリが泣きじゃくる姿を見て、風影たち4人は先に帰るということをナルトに伝えてその場を離れる。

 

 

ナルトは右腕で抱きしめたまま、左手でマスクをはずし、右目を隠す額あてをずらし左目のカラコンをはずす。

 

 

そしてマツリの肩を両手で抱えマツリの目を見つめる。

 

まだ涙が流れているが、その瞳で陽光を不思議そうに見つめる。

 

「俺が我風影の養子だってことはみんな知ってると思うんだけどそうなった経緯は誰にも話してないんだ、でもマツリには俺の口から伝えたいんだ。マツリにだけは自分で話したいんだ。聞いてもらってもいいか」

 

真剣な表情で、真剣なまなざしで見つめられたマツリは涙をすすりながらうなずく。

 

「ありがとう、じゃぁ少しつかまって」

 

今日の朝同様抱き上げると飛び上がり、高い建物の屋上に降り立つ2人。

 

マツリの涙はようやく止まる。

 

マツリは何も話さない。陽光が話し始めるのを待つ。

 

「俺ってばさ、木の葉隠れの里で生まれたんだ。13年前の今日、木の葉の里で生まれたんだ。そしてその日は九尾の妖狐が木の葉の里を襲った日なんだ。そして俺の父ちゃん母ちゃんはその日に死んだ。里のみんなを守るために。そして俺を守るために。」

 

「そして俺の父ちゃんは4代目火影だって聞いた。そして父ちゃんは俺を信じて俺の体の中に九尾の狐を封印したんだ。でもそれが俺の人生を変えたんだ。それから10年間、俺は3代目火影に育てられ、常に援助を受けて生活してきた。それに父ちゃんと母ちゃんが残してくれたたくさんのたくわえもあったから生活ができた。そして俺はその日から火影に守られながら生活していた。でも俺は生まれたときから化け物として見られていて、里では迫害を受けていた。でも俺は里が大好きだったからどんなことをされても耐えてきたんだだ。どんなに暴力を振るわれても、どんなに馬事雑言を言われても。食事に毒を混ぜられても、友達ができなくてもな」

 

「そんな俺でも大切にしてくれる人が2人に増えた。アカデミーに入学してからはイルカ先生って言う人が俺を守ってくれてたんだけど、悪意って言うのは伝染していく。その頃には里のほとんどの人が俺のことを嫌っていた。そしてこのころになると俺には何も物を売ってくれなくなっていた。そして俺は町を歩くこともできなくなってしまっていた。そんなときに俺がこの里に逃げてくる原因になった事件が起こったんだ」

 

マツリは陽光の話を真剣な表情で聞いている。自分の知らなかったつらい現実に驚愕しながら。

 

「あの日俺はいつものように家で寝転んでいた。すると窓ガラスが割れて中にクナイが飛び込んできた。それには起爆札がついていたんだ。そして俺は逃げる暇も無く爆発に巻き込まれた。そして俺は命からがら燃え盛る家から逃げ出した。そして逃げ出した先にはたくさんの忍びがいた。あいつらは俺を囲み笑いながらこういった。『何逃げてきてんだよ、お前は化け物なんだからあれぐらいじゃ死なねぇだろ』そういうと俺をつかんで炎が燃え盛る家の中に放り込まれた。そのとき俺は棚に激突したんだ。そして父何度逃げても同じように放り込まれてさ、本当に危なかった。何度も逃げたけどさすがに煙をすいこんでてさ、意識も朦朧として外に倒れたときに俺はネックレスを握り締めてさ、死んだはずの父ちゃんにお願いしたんだ。『助けて、助けて』ってさ。それは父ちゃんが火影のじっちゃんが俺に残してくれたたった一つの思い出でさ、俺の命と同じくらい大切なものだった。でもそれをあいつらは踏みにじっていったんだ。『お前に父親なんていねぇだろうが、お前が殺したんだよ』『お前みたいな化け物を守るために死んだんだよ』『お前の父親はな、俺達を守ったつもりだろうが勝てないから問題を先送りにしたんだよ』『またお前の中の化け物が暴走する前に俺等が殺してやるよ』『そうすればお前の親父も報われるってもんだ』口々に父ちゃんのことも馬鹿にしてさ」

 

「俺さ、自分が馬鹿にされるのは許せたけどさ、父ちゃんの悪口は許せなくてさ、でも立ち上がれなかったからさ、そいつらに言ってやったんだ。お前らなんて1人では何もできないビビり野郎だってさ。そしたら怒ってみんな俺に暴行を加えてきた。でもいつもはみんな疲れたらどっかいっちゃうんだけどさ、それでもその日はなかなかやまなくて。ネックレス握り締めたままひたすら耐えてた。そしたらさ、一人が気づいて俺のネックレス引きちぎったんだよ。その瞬間つかみかかったんだ。『返せよ、それは俺の父ちゃんが俺に残してくれたたった一つの形見なんだよ!』ってさ。それを聞いたやつらはそれを上空高く投げてそれにいろんな術をぶつけてさ、そのまま灰になって消えちゃってさ」

 

「俺の父ちゃんと母ちゃんとのたった一つのつながりをぶっ壊したんだ。そのとき俺のなかで何かが切れてさ。そこにいたやつらを殺したくて仕方なかった。生まれてはじめて殺意を抱いた。さっきまで痛くて仕方なかった傷から痛みが引いてさ、俺の周りが爆発したんだ。それは俺の怒りに九尾のチャクラが反応して勝手に動き出したんだと思う。そして俺は里を抜けて走り続けた。九尾のチャクラのおかげで砂隠れの里までいけたんだと思う。3日間走り続けたんだ。そして砂隠れの門の前で拾われて救われた。そしていまにいてるんだ。そして俺は名前を捨て今の名前になった。」

 

 

その後どういった経緯で忍になったかも話した。

 

「俺は人柱力で、名前も違う。多分近いうちに砂隠れの里のみんなも俺のことを避け始めるかもしれない。マツリはもう俺にかかわっちゃだめだ。マツリにまでつらい思いを味わってほしくないんだ。だからこれでさよならだ。マツリ、ありがとう」

 

ナルトは振り返りゆっくりと歩き出す。




なんかナルトの過去が思ったより残酷にならない


文章力が無いことを痛感しました。

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