砂隠れの里の門の下、忍装束ながらもかなりおしゃれな姿のマツリが約束の30分前に到着する。
「は、早く来すぎちゃったかな…いや、でも、うん、今日こそ陽光さんのハートをがっちり…」
独りごちているところに後ろから影。
「なにぶつくさ言ってんだってばよ」
「はひゃわぁぅ!!?」
後ろから声をかけられた陽光の声に驚き、飛び上がるマツリ。
「お、脅かさないでくださいよー!びっくりしちゃいましたよ!」
マツリが赤い顔をして詰め寄る。
「す、すまねえってばよ、でもこんな早く来てるんだったら俺ももう少し早く来なきゃいけなかったな」
マツリの頭をいつものように撫でながら話す陽光。
「い、いえ、まだ約束まで30分くらいあるのに、私が先に来ちゃったから!!」
両手と首を振り陽光に話すが言葉を返される。
「テマねぇから『あんたがデートに誘ったんだから先に待ち合わせ場所にいないとダメだよ』って言われて家から追い出されたんだけどよ、マツリのが早かったなんて思わなかったぜ」
ケラケラと笑いながら話す陽光にマツリも笑みを浮かべた。
「じゃぁ早速行くってばよ!」
ヒョイっとマツリを抱えると、マツリは慌てたように声を上げる。
「ちょ、なな何でこんな格好に!?」
陽光はキョトンとした表情を見せながらいう。
「だってこっから国境ってかなりあるからな、俺の力で走った方が速いってばよ!しっかり掴まってろ!」
マツリは言われた通りにしっかりちゃっかり首に手を回した瞬間、抱えられたことを後悔する。
「しゅっぱーつ!」
その瞬間今までに感じたことのないスピードを感じる。
恐怖に目を閉じているとなにやら落下するような感覚、それもものすごいスピードで。
「¥☆°€○€々」
声にならない悲鳴をあげるも陽光さんには全く聞こえていませんでした。
それが5回ほど続き、陽光が止まる。
「ほい、到着!」
時間にしてわずか15分、女の子が憧れるお姫様抱っこなのにもかかわらず、マツリはそんな甘い感覚を全く感じられなかったそうだ。
「マツリ、着いたってばよ!」
陽光の腕に揺すられやっと気がついたマツリ。
慌てて降りるも立ちくらみでふらっとよろけたところ陽光の腕の中におさまる。
「だ、だいじょうぶか?」
心配そうに見つめる陽光にマツリは最大限の作り笑顔で
「大丈夫なわけないじゃないですか!速すぎます怖すぎます全く温もり感じてる暇ありませんでした!」
最後は欲望までだだ漏れの批判をブーブーと口にする。
「話、悪かったってばよー、でも予定より1時間は早くついたからさっさと入ろうぜ!」
そう言うとマツリの手を掴み歩き出す陽光。
引っ張られるマツリは赤い顔をさらに赤くしながらにやけていた。
「チケットを拝見します」
入場口で陽光は1枚のチケットを渡す。
「あ、こちらはプレミアムペアチケットですね!
それではこちらの園内で使える無料パスポートになりますので腕に装着しておいてください。こちらのパスポートを本日持っておられるお客様はお二人だけですので、いろいろなところでサービスが受けられます。ご利用ください!」
そう言われ2人はパスポートを装着する。
そして更衣室の前で別れる時にマツリは名残惜しそうに手を離した。
はい、いちゃ甘パートですが、別に2人は付き合ってないし、ナルトの方は全く意識もしていません。
この2人はどうなってしまうのか。