化け物である自分を受け入れれくれる地はあるのだろうか。
ナルトは無我夢中で走り、気づけば3日がたっていた。
へとへとになりながらついた先は見知らぬ国の門の前。
「何者だ!」
門の衛兵が声をかけてきた。
もう目の前がかすみ力がでねぇってばよ。
あぁ、だめだもう立ってらんねぇ…
きづいたときにはもう顔が地面の前にあった。
俺、このまましんじまうのかなぁ。くそっくそぉ…
「お、おい坊主!しっかりしろ!おい誰か、医療班に連絡をしろ」
薄れ行く意識の中誰かが自分を救おうとしてくれているのを感じた。
・・・・・・・・・・
目が覚めると見知らぬ天井が見えた。
まだぼんやりしている頭で考える。
『確か俺ってば走りつかれて倒れたような・・・』
記憶をたどり自分の今の状況が何なのかを思い出そうとするが思い出せない。
ベッドの上で考え込んでいると部屋のドアが開く音がした。
音のしたほうを振り返ると見たことのない女の子がこちらを見ている。
「起きたのかい?あんた三日もねてたんだよ、もう起きないのかと思った」
そう告げてくる女の子に対してナルトはたずねる。
「ここはどこなんだってばよ?それにあんたはいったい誰なんだ?」
内心おびえながらも少女に声をかけた。
彼女は持っていた水筒をテーブルに置くと振り返りナルトを見つめて口を動かした。
「ここは風の国砂隠れの里さ。あんたはそこの門の前で行き倒れていたところを助けられて、この三日間あたしが世話をしていたんだ。で、あたしはテマリだ。あんたの名は?あんたはどこから来たんだい?」
金髪の少女はテマリというらしく、今聞いた情報を頭の中で整理する。
『俺ってば砂隠れまできちゃったのか。できれば忍びの里じゃないほうがよかったんだけど』
考えた後真実を告げることにした。
「えっと、テマリのねぇちゃん、俺はうずまきナルト、わけあって木の葉隠れの里から逃げてきたんだ。でもその理由はいえねぇ。お世話になったことには感謝してる、ありがとうだってばよ、でもこれ以上ここにいると迷惑をかけちまうから出発するよ」
そうつげベッドから降り、部屋を出ようと歩き出したところ彼女に肩をつかまれた。
「まだ無理するな、お前はまだ子供だ。それにその理由とやらを話してくれるまで逃がしてやるつもりもない」
肩から手が離れたと思ったら次は手をつかまれ歩き出すテマリ。
なすがままに連れて行かれるナルト。
二人はまるで姉弟のようにも見えなくもない。
ずいぶん歩いたところひとつの部屋の前に着いた。
「父上、入ります」
ドアをノックしテマリに手を引かれ部屋に入っていく。
連れて行かれた部屋は風影の部屋だった。
「おぉ、テマリか。よくきたな。でそちらの少年は行き倒れていた少年だな」
正面のいすに座りこちらを見ながら話しかける男性はどうやらテマリの父でありこの国の長である風影のようだ。
黙ったままのナルトの変わりにテマリが話し始めた。
「こいつの名前はうずまきナルト、木の葉隠れの里から来たそうだが何かわけがあるらしい。でも悪いやつには思えないんです。」
テマリにつかまれた手に痛みを感じる。彼女は言葉に力が入り無意識にてをにぎりしめているようだった。だがナルトにはそのやさしさがうれしかった。
生まれてから憎しみをぶつけられ続けた彼にとって自分のことを思ってくれる人というのは少ないものなのだ。
「ふむ、確かに優しい目をしている。ナルト君といったかな、どうだろう、私たちに話してみないか?」
優しい目を向け、いすから立ち上がり視線を合わせてくれる風影。
二人の優しさに瞳からあふれる涙。
その涙をテマリが優しくぬぐい、笑顔を向けささやく。
「ナルト、話してくれないか?」
ナルトは意を決して事の顛末を話した。