里を捨てた少年   作:落ち葉崩し

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トーナメントの相手が決まる。
サイVSリー
陽光VSネジ
我愛羅VSサスケ
カンクロウVSシノ
シカマルVSテンテン

そしてその日から1ヶ月後、本選が開始するまでの日常


第17話 予選終了の日の夜

その日の夜、カカシ、紅、アスマ、ガイの4人は焼肉Qに集まっていた。

 

 

「ま、いろいろあったけど誰一人欠けることなく予選を終えることができた、サクラも勝てはしなかったがよく頑張った」

 

カカシが焼肉を食べ終え、くつろぐ3人に対して呟いた。

 

「本当にね、うちはヒナタが重症ではあったけどなんとか意識を取り戻したわ。キバは軽傷だけど落ち込んでた」

 

紅が酒を喉に通してから俯き加減につぶやいた。

 

「ま、うちも同じようなもんだ、チョウジもいのも幸い軽症で済んだ。ま、シカマルに置いて行かれたのが少し悔しいみたいだかな」

 

タバコをふかしながらアスマが話す。

 

「俺のところは全員が勝ちはしたが、ネジの動揺は大きいかもしれないな…」

 

ガイもいつものように天然な空気は出さず、口を開く。

 

「なぁ、お前ら、今の木の葉の下忍達であの砂の2人、ないしは3人に勝てると思うか?」

 

カカシは珍しく3人に意見を求める。

 

「正直なところ、この1ヶ月マンツーマンで指導したとしても勝てる見込みはほとんどないわ」

 

紅は俯いたまま目線があげられない。

 

「ま、シカマルは頭だけはいい、なんとかするかもしれねぇが勝つことは出来ないだろう」

 

アスマはタバコの火を消しながら諦めの言葉を吐く。

 

「ネジは今日の件で家に帰ってからも修行に明け暮れているようだ。諦めなければいけると、俺は信じてる」

 

そう言いつつもガイも本当はわかっていた。

 

2人が自分たち、もしくは自分以上かもしれないということを。

 

カカシ「ま、俺も勝ちの見込みは少ないと思う。だがこのままじっと見てるわけにもいかない。だから俺はサスケとサイをこの1ヶ月で鍛え直す。あいつらのためにもだ」

 

カカシは真剣な表情を見せ言うと他の3人も決意をしたような表情になった。

 

そして対策会議は夜中まで続いたという。

 

 

ところかわって一楽

 

我愛羅、ナルト、カンクロウ、テマリは一楽にやってきていた。

 

ナルトが以前イルカや、ヒルゼンと一緒にきたことがあるというラーメン屋だ。

 

「チャーシューメン3つ、野菜ラーメン1つ頼むじゃん」

 

カンクロウが注文をし、外の4人掛けテーブルに座る。

 

「陽光、我愛羅、お疲れ様、カンクロウは運が良かったね」

 

テマリが言うとナルトは頭をぽりぽりかきながら頷き、があらも静かに頷く。

 

カンクロウはテマリの言葉に反応を示す。

 

「別に戦ってたとしても残ってたじゃん?俺はこいつらの兄貴だぜ?」

 

腕組みしながら言うカンクロウに対し陽光がぼそっとつぶやく。

 

「俺のが強いけどな」

 

我愛羅にも聞こえたようでがあらもそれに頷く。

 

「テメェ陽光、今なんていったー!?」

 

怒ったふりをしてカンクロウがナルトの頭をはたく。

 

ナルトはこれ見よがしに泣き真似をし始めた。

 

「テマねぇ、カンにぃが殴ったー!」

 

隣のテマリに泣きつく振りをするとテマリもそれに付き合う。

 

「あんた、大切な弟をいじめるなんて兄貴の風上にも置けないねー、ここの支払いは陽光の分出してあげなさいよ?」

 

そう言うと陽光の頭を撫でる。カンクロウが嫌そうな目で見ているのも全く気にしてもらえない。

 

「我愛羅もなんかいうじゃん、今回俺は悪くねーだろ」

 

我愛羅に助け舟をもとめるがこれが間違いだった。

 

「カンクロウが悪い、俺もカンクロウの弟だからここの支払いは年長者のカンクロウに任せる。テマリは女だから頼めない。カンクロウ兄さん、ごちそうさま」

 

ほぼ棒読みではあったがこう告げられたカンクロウは真っ白になりまた財布の中からお札が消えていった。

 

「うまい、うまいじゃんこのラーメン!」

 

お金を払わされてご機嫌斜めだったカンクロウだが、ラーメンを食べたら、一気に機嫌が直ったようだ。

 

「確かにうまいな、このダシに麺がちょうど合ってる。そしてこの野菜にかかったタレもまた絶品だ!」

 

テマリが嬉しそうにつぶやく。

 

我愛羅はラーメンをただただ無言ですすり続ける。

 

そんな3人を見てナルトは嬉しく思いながらラーメンを食べる。

 

『みんなで食べるラーメンは、やっぱり前と同じでうまいってばよ』

 

この日ナルトから笑顔が絶えることはなく、3人は微笑み嬉しそうにナルトを見守るのだった。

 

所変わって甘栗甘

 

テンテン、サクラ、いのが甘味どころに集まった。

 

示し合わせたわけではなく偶然にだ。

 

同じタイミングで店に入り、4人掛けのテーブルしか開いておらず、3人で座ることに。

 

「今日はお疲れ様、いのは今日戦ったけどね」

 

テンテンはメニューから目を離さずに話し始める。

 

さくらはここではいつもあんみつなのでメニューは見ずに話に応じる。

 

「お疲れ様です。テンテンさんは本選進出おめでとうございます!」

 

いのは悔しさもあり、若干表情が硬い。

 

「はい、お疲れ様でした。テンテンさんとの戦い、あんなに力の差が出るとは思いませんでした。

 

その言葉を聞いたテンテンは首を横に振る。

 

「私はね、いのとの相性が良かっただけ、サクラが戦ったマツリちゃん?だっけ?あの子となら多分負けてたな」

 

マツリはサクラと戦った風遁の使い手。

 

確かに武器攻撃に対しては相性が悪かった。

 

「だからさ、いのは落ち込む必要ないよ?もっと自信持って!」

 

テンテンがいのに優しく微笑むといのもぎこちないながらも笑顔を見せた。

 

「で、注文は決まりました?」

 

テンテンといのが頷くと店員を呼び注文をする。

 

「クリームあんみつ1つと」

 

「抹茶パフェ1つ」

 

「ぜんざい1つ」

 

上からサクラ、テンテン、いのである。

 

いのの注文が終わるとまた話が始まる。

 

「2人はさ、今日の予選の時の誰の戦いが一番興奮した?」

 

テンテンがたずねるとサクラは即答した。

 

「私はやっぱりサスケくん!女の子相手で少しやりづらそうだったけど、最後の蹴りの瞬間はホントに息が止まるかと思っちゃった」

 

サクラは興奮冷めやらぬといった感じにほおを抑えて悶える。

 

「あんたやっぱりサスケくんをまだ狙ってたのね、このデコリーン」

 

いのがつっかかると、サクラも返す。

 

「あらなに、いのぶたちゃん、まだサスケくんに未練があるのー??班が離れちゃってもう接点ないじゃなーい」

 

「何よ、やるっていうのこのピンク頭が!」

 

売り言葉に買い言葉とはこのこと、店の中で喧嘩を始める2人をテンテンがなんとか宥める。

 

「はぁ、疲れた、まぁいいわ、私は誰かっていうとやっぱりあの人ね、陽光って人かな、あの人の戦い方すごくスマートだったわ!マスクで顔を隠してるあたりもなんかクールよね!」

 

いのもテンションは高い方であり、その光景を思い出しうっとりしている。

 

「で、テンテンさんは?」

 

いのの話を若干無視して、テンテンに話をふるサクラ。

 

「私も陽光さんではあるんだけどあのネジを止めた瞬間かな。一瞬だけどヒナタに対してすごく優しい目をしていた。ネジに対してはあんなに冷たい目を向けていたのに」

 

テンテンは落ち着いた雰囲気のまま言葉を連ねる。

 

テンテンの言葉にサクラは頷き応じる。

 

「確かにあの時の身のこなしはすごかったですね、しかも倒れるヒナタを抱きかかえて寝かせてあげたり、本当は優しいのかもしれませんね、とんでもなく強かったですけど」

 

テンテンは頷く。

 

いのがトリップから帰ってきたようでこちらに話を振ってくる。

 

「商品きましたよ!」

 

配られた物を食べながらいのは話を続ける。

 

「そういえば、本選は1ヶ月後だっけ?誰が優勝するかかけましょうよ、パフェ1杯!」

 

そう言うとテンテンは乗り気で言う。

 

「おもしろそう!じゃぁ誰にする?」

 

サクラは勢いよく手をあげる。

 

「はいはいはい、私サスケくん!」

 

いのはため息をつきながら頷いた。

 

「わかったから静かにして、怒られちゃうよ?」

 

さっきまで喧嘩をしていたとは思えないいのに、テンテンは少し笑ってしまう。

 

「テンテンさんはどうします?」

 

「私は試合にでるんだけどね(笑)まぁ私は我愛羅って人かな、最後に戦ってた」

 

「あの人の強さってまだ底が見えなかったから」

 

テンテンがつぶやく。

 

じゃぁといのが続ける。

 

「私は陽光さんにするわ。やっぱりキバにあの勝ち方はすごいと思うわ」

 

こうしてパフェをかけた熾烈な戦いが始まっていた。

 

 


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