るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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生きてる人がいたぞ、やったねるーちゃん。なおりーねーは前書きからも消えた模様。


第4話 こんびに

るーちゃんはバックヤードにいるであろう何者かを救うため、朝ごはんの前に扉に群がっている奴らと戦うことにしました。

るーちゃんの優しさは数値換算するなら255。まさに女神の如しです。

決して誰もレジにいないと買い物ができないからという理由ではないのです。・・・多分。

さあるーちゃんメイスの出番です。当然のようにメイス技能255(中世騎士平均30)のるーちゃんにとっては、周辺に被害を及ぼさずに奴らを殲滅するなど造作もありません。

きちんと立てこもりーズの潜んでいる扉や店内を壊さずに敵を叩き潰します。

たったの7体かそこら、しかもるーちゃんに背を向け扉に集中していた状態では勝負は一瞬でした。

あっという間に全ての敵を葬り去ったるーちゃんは満足そうに微笑むと、メイスをきれいに拭き始めました。

 

 

しばらくそうしていると、外が静かになったことに気付いたのか、バックヤードの扉が開き、中の人が出てきました。ちょっと様子を見てみると、どうやら中には三人の人がいたようです。

そのうちのちょっと柄の悪そうな男性一人は怪我をして寝ており、時折苦しそうに呻き声をあげています。もう一人、カチューシャが特徴的な若い女性が怪我人さんに付き添っているようでした。この二人にレジの操作を頼むのは無理そうです。なのでるーちゃんは三人目、一番最初に外に出てきて「た、助かったのか・・・?」なんてフラグ満点な発言をかましてくれやがった若い男性にレジの操作を頼むことにしました。

これでようやく朝ごはんにありつくことができます。

るーちゃんが幸せそうにおにぎりを味わっていると、レジに立たせていた男性が自己紹介や立てこもり仲間の紹介、早朝に一度脱出を試みたもう一人の男性があいつらに噛まれて怪我をしてしまい、戦えずに立てこもり続けていたことなどを聞いてもいないのにべらべらと教えてくれました。

るーちゃん的には食事中なんとなく流しているテレビ程度の感覚だったので、最後の以外はちゃんと聞いていません。適当に相槌です。

しかしるーちゃんの相槌のタイミング、間の取り方などは神業の域に達しており、ほとんどを聞き流しているとは全く気付かれません。るーちゃんの相槌技能は園児時代から255という高ステータスを維持し続けています。社会的評価を高める秘訣です。

そうこうしていると、なんといきなり怪我人さんが起き上がり、付き添っていた女性におもいきり噛み付きました。

驚いたことに、彼はいつの間にやらあいつらの仲間入りをしていたのです。噛まれた女性の悲鳴が上がります。中々の音量です。

るーちゃんは咄嗟に今の悲鳴でこの辺の敵が集まってきてしまうと判断してコンビニを離脱しようとしました。

しかし隣にいたテレビ君(るーちゃん命名。本名は聞き流した)が仲間が仲間を喰らう惨劇を目の当たりにしてSAN値が尽きたのか、わけのわからない奇声を上げて先に店から飛び出していってしまいました。

ちなみにるーちゃんはその可愛らしさと奇行でSAN値を下げる側の生き物なので狂気に陥ることはありません。255から変動なしです。

テレビ君は外に飛び出してもまだ騒いでいるようなので、これでは外の方が危険です。

既に外ではあいつらの呻き声が聞こえ始め、テレビ君の錯乱した悲鳴との不愉快なハーモニーはさすがのるーちゃんも外に出る気が失せてきてしまいます。

仕方が無いのでほとぼりが冷めるまでコンビニの中に残っていることにしたるーちゃんは、せめて店内だけでも静かにしようと手早く女性さんに噛み付き続ける怪我人さん(元)に近づき、その無防備な後頭部目掛けてメイスを振り下ろしました。

 

怪我人さんを天国に送り出して店内を確保し、外のテレビ君錯乱ボイス祭りも先ほど断末魔を最後に沈静化したためコンビニにはひと時の平和が訪れましたが、るーちゃんはまだ店内で待機していました。

怪我人さんがあいつらの仲間入りしたことがヒントとなったことで、るーちゃんの洞察力255の頭脳がある仮説を立てていたからです。

それは怪我人さんがあいつらになってしまった原因は朝に脱出しようとしたときにあいつらに噛まれたことなのではないか、というものです。

その検証をするための噛まれた人間である女性もおあつらえ向きに店内に転がっていました。あとはれっつ待機です、待っていればこの説が正しいのかがわかります。

まつことしばし、るーちゃんは女性さんの観察を続けました。

するとどうでしょう。さっきまで確かに人間だった女性さんは、見事あいつらとなってるーちゃんに向かってきました。るーちゃんの仮説は正しかったのです。

るーちゃんはついさっきまでは行動に支障がない範疇であれば多少のダメージは気にしない方針でいたので(実際には能力差がありすぎて全てノーダメージで突破してきていたが)、噛まれただけでアウトというこの恐るべき事実に内心冷や汗でした。

これはもう、あいつらについてもっとよく知るしかないとるーちゃんは決めました。

こと用心深さという点では石橋を叩きすぎて壊しちゃうらしい某黒ずくめのあの方さんの188すら上回る255を叩き出すことすらある(本人曰く真面目にやっていればの話であるそうですが)るーちゃんは危険を取り除くために当面の敵であるあいつらに関する知識をとにかく増やそうという思考に至ったのです。

というわけで元女性さんであるゾン子さん(るーちゃん命名)を教材として、コンビニを舞台にるーちゃんの出張授業が始まるのでした。




NGその一
るーちゃんはバックヤードに群がるやつらに手頃な棚を投げつけた。圧倒的パワーで投擲された棚がやつらもろとも生存者達を葬り去っていく・・・・・・!
NGその二
るーちゃんはバックヤードに群がるやつらにえくすかりばーを放った。強烈な閃光とともに放たれた一撃がやつらもろとも生存者達を薙ぎ払っていく・・・・・・!
NGその三
るーちゃんはバックヤードに群がるやつらにタンクローリーで突進した。パワフルでストロングな車体がやつらもろとも生存者達を轢き潰していく・・・・・・!
NGその四
るーちゃんはバックヤードに群がるやつらに召集した通行人と共に突撃した。雲霞の如き数の暴力がやつらもろとも生存者達を喰い尽くしていく・・・・・・!

どう転んでも彼らに未来はないのです。

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