るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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るーちゃんに一通りの装備と知識が揃うまでは割とぐだぐだ進行。


第2話 みちくさ

元学友たちを場外送りにしたるーちゃんは、現在そのまま外へ向かって移動中のようです。

後先を考えないのであれば衝撃波と共に一瞬で走り去ることも可能なスピードを誇るるーちゃんですが、まだ生きている人や資材も多く残っていることから自動車レベルのお手軽速度(数値換算して40程度。るーちゃんの全力である255には程遠い)で学校を脱出していきます。

道中もあちこちで人が人を喰う惨劇が展開されていましたが、いちいちリアクションしていたら日が暮れることはるーちゃんじゃなくてもわかります。

邪魔なものだけ撥ね飛ばして進むるーちゃんの行動が最も理にかなっているといえるでしょう。

途中であいつらや遺体などに混ざってみくちゃんとなおきくんを撥ね飛ばしたような気がしますが、動きを見るに手遅れだったような気もするので謝りも省みもしません。時に無情な選択も必要なのです。

あれが他人の空似でなくて本人たちだったら結局るーちゃんの親しい友人は全滅してしまったということになるわけで、るーちゃんは用意した水は役に立たなかったなぁ、などと思っていました。

素でこんな思考なのか、親友達を失っての現実逃避なのか、知るのは本人ばかりなりです。

一瞬水を回収しようかとも思いましたが、なんとなく今校舎に戻ると他の生存者と立てこもる羽目になった挙句死ぬ気がしたので諦めて離脱です。るーちゃんの直感は今回も冴え渡っています。

校門近辺でもみ合っている生存者とあいつらをまとめて蹴散らし、るーちゃんは学校を離脱です。そんなところにいるのが悪いのです。

 

いざ街に出てみると案の定ふらふらと動き回る奴らが大暴れの真っ最中です。

四方八方から悲鳴と怒号が聞こえてきますし、交通事故や爆発なんかも起きているようです。

右を見ても左を見てもスプラッター、ただの映像作品であるなら中々の仕上がりです。

これではそう容易く進んでいくことはできないな、とるーちゃんは考えていました。

勿論思考しながらも四方から迫る元主婦の皆様をモップでホームランし、某大乱闘のごとく残機を削っていくことは怠りません。

認識すら困難な速度で放たれる連撃がるーちゃんを中心にまるで打撃の結界のように展開され、とても思慮の低下したあいつらに突破できるものではありません。次々命中して吹き飛んでいきます。

るーちゃんによって吹き飛ばされた皆さんが砲弾のようにあちこちの建物やら車やらに直撃し、爆撃でもされたかのような被害が広まりつつありますが自衛のためには仕方ないと割り切ってモップを振るい続けます。

あいつらよりはるかに酷いレベルで周辺住民に被害を出してしまっている気もしないでもないのですが、どうせ既にどこもかしもも惨劇だらけなので、今更一つや二つ増えたところでるーちゃんとしてはだからどうしたです。

るーちゃんは神経の図太さも255を誇ります。最高ステータスです。

 

近づいてくる連中を排除しながら移動し、時に突っこんでくる暴走車両すら跳ね除けてるーちゃんは先へ進んで行きます。

心眼スキルに255振っているるーちゃんは、どこから何が突っこんでこようがだいたい対処することができるのです。無敵です。

下校途中の学生を吹き飛ばし、滑り込んできた原付を切り払い、身の程知らずな野良犬を叩き伏せ、飛び降りてきた自殺者を打ち返します。やはりるーちゃんは無敵です。

とはいえるーちゃんの得物はあくまで掃除用具にすぎないモップです。既にるーちゃんの圧倒的パワーについていけず悲鳴を上げつつあります。

るーちゃんのモップ技能255という卓越した技量によってここまでの戦闘に耐えていましたが、徐々に限界が近づいてきていることは明らかです。

このままでは武器を失ってしまうのも時間の問題です。

そうなると素手で障害を排除しなければならなくなり、手は痛くなるし肌は荒れるかもしれません。

そもそも手が汚れるのが嫌だなぁ、と思ったるーちゃんは仕方なく、もっと頑丈な武器を調達することにしました。

ライフラインの整った学校は魅力的ですが、こんな状況ではまず必要なのは自衛の手段だと考えたのです。

 

武器を調達するべく行動を起こしたるーちゃんは登校中に目を付けていた町工場にやってきて鉄塊を弄繰り回しています。

元工員の方々は、残念ながら手遅れだったので全員この世から解放してあげました。物理的救済です。

工員さん達を送ったことでとうとうその役目を終えたらしいモップが遺体の山に墓標の代わりに突き立てられています。

彼らを背景にしていなければ、慣れない保護面をつけて一生懸命溶接を行うるーちゃんはたいへん微笑ましいのですが、場合が場合です。背景が多少殺伐としていても仕方ありません。

 

さんざんに鉄塊を弄繰り回し、るーちゃんが作業を終える頃には既に日が暮れていました。

ふぅ、と一息ついて工場で調達したペットボトル飲料を頂きます。

先程までるーちゃんが作業をしていた場所には、それはもう見事な仕上がりのメイスが鎮座しています。

鍛冶スキル255のるーちゃんにかかれば、ただの鉄の塊を宝具にまで昇華させることとて不可能ではありません。その技術は既に神々と肩を並べています。

るーちゃんはこの新たな武器を「るーちゃんメイス」と名付けました。何事においても最強なるーちゃんですが、ネーミングセンスは僅か2しかありません。常人30前後の1割にも満たない状態です。本人曰くここは無くても別に困らないからいいとのことでした。

しかしせっかく武器が完成してももう夜になってしまっています。

ここから迂闊に動き回るのは流石に危険かもしれないとるーちゃんは考えました。るーちゃんはリスクの計算はできる用心深い子なのです。

こうなると今晩はすでに敵を始末しているこの場で過ごすのがよさそうです。学校へ向かうのは夜明け以降ということにして、今日のところはここに留まることにしました。

そうと決まればるーちゃんは次の行動に移るのも早いのです。防具が作りたい、だのミサイルが撃ちたい、だの子供らしい自由な発想を練りながら、予備の武器などの装備を用意するべく再び保護面を装備し、作業に没頭していくのでした。

 




その晩のりーねー達
「・・・・・・あいつら、いなくなったみたいだな」
「そうね、でも校内に戻るのは危険だわ。今夜はここに篭りましょう」
「そうですね・・・ここにいれば、きっとすぐに救助が・・・・・・」
「めぐねえ、怖いよ・・・」
「ゆき、だいじょうぶ。ここは安全だから、な」
「・・・・・・」

その晩のるーちゃん
次は・・・・・・剣とか作ってみる。えくすかりばー、なんて。にへ

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