るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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雨が降ったらあいつらは学校に入り込んでくる。るーちゃんは傘を買いに行って不在、どうする学園生活部。

おまけ しょうがつ
お正月だよるーちゃん。というわけでるーちゃんは杵と臼を用意して餅つきをしようとしていました。合いの手担当のりーねーと二人で餅を散々についたりこねたりしようというわけです。
「さてと・・・始めましょうか、るーちゃん。私の手まで搗かないでね?」
さあ、るーちゃん餅つきスタートです。餅つき255のるーちゃんはぺたぺたと餅つきを楽しんでいましたが、徐々にテンションが上がってきたようでそのスピードがちょっとずつ上昇していきます。
ぺったん、ぺったん、ぺったん、ぺったんぺったん、ぺったんぺったん、ぺったんこぺったん、ぺたぺたんぺたぺたぺたん、ぺたぺたぺたぺたんぺたぺたぺたぺたぺたん。
「ちょ、ちょっと、るーちゃん、速い、はやいって――」
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたこねぺたぺたぺたぺたぺたぺたこえぺたぺたぺたぺた。
調子に乗ってきたらしいるーちゃん。徐々に速度が255に近づいていきます。
「るーちゃん、るーちゃん!手!おねえちゃんの手がっ!!」
どかどかどかどかどかどかどかどかどかっ。
「うわあ、凄いことになってるよ・・・・・・」
「りーさんのやつ、こうなることくらいわかってたろうに・・・・・・」


第23話 あめのひ+α

「くるみちゃん、雨だよ」

窓にへばりついている由紀が言った。さっきまでダウンした慈に付き添っていたというのに、もうその興味は外へと移ったらしい。「ほんとか?」と聞く胡桃に対して「うん、運動部が雨宿りしてるもん」と報告を続けていた。しかし、胡桃の方ははさして外の状況に興味があったわけではないようで、しばし手元の漫画から目を離したが、「また雨かよ……」と舌打ちを一つ、すぐに読書へと戻っていった。しばし、沈黙。由紀は外を見たまま動こうとせず、胡桃が読み進める漫画のページが捲れる音だけが部室に響いていた。

他の部員も各々出歩いているし、騒乱の根源とでも言うべきるーちゃんは出払っている(少なくとも、二人は彼女の単独行動を心配などしていない)こともあって、少しずつその存在を誇示しようとしている雨音以外は静かなものだった。二人とも、何か思考に引っかかっている気はしているのだが、何の事であったかは思い付かないようである。ときおりぺらりとページが捲れ、なんとなく時間の経過を感じながらも、部室の空気はいたってのんびりしたものだった。

「・・・・・・あ、洗濯物」

「雨宿り実況する前に思い出せよっ」

「む~、くるみちゃんだって忘れてたじゃん」

 

夜になっても雨は降り続いているようだった。胡桃は相変わらず読書中のようで、どうにも寝る気分になれないのか、漫画が読みたかったのか、るーちゃんを待つという大義名分で夜更かしの真っ最中。当のるーちゃんは全く戻ってくる気配もないようだが、どうせその辺であいつら投げ飛ばして遊んでいるか、もしくはモヒカンでも集めて缶詰祭りでもしているのだろうよ、と特に心配はしないようだ。

と、そこに見るからに寝惚けてますといった動きでふらふらと由紀がやってきた。「どした?」と聞くとトイレとのこと。学園生活部の心得には夜間は単独行動するな、というものがあるので胡桃も手早く出歩く支度を整えると、愛用のシャベルを手に取った。過保護というわけではなくルールで決まってるのだ、と誰にあてたものでもなく言い訳。普段だったらここで悠里も色々言いだすところなのだが、どうやら今はるーちゃんで頭がいっぱいらしい。二人で静かに廊下を歩いていった。

軽く警戒しながら廊下を歩く。耳に入ってくるのは雨音ばかり、昼間から降っていた雨は未だにその存在を主張し続けていた。

「……!」

トイレの前までやってきたところで、人影が目に入った。あきらかにるーちゃんではない。ということは……。

 

 

一方のるーちゃんはタクシーを傘代わりにかついで街を走り回っていました。すっかり夜中になってしまったので、さすがに少しでも早く帰らないとりーねーに怒られてしまいます。急ぐるーちゃんはいつもよりちょっぴりスピードアップ、障害物も一々飛び越えずにぶち破って進みます。突進255のるーちゃんにぶち破れないものなどありません。どんな建造物でも貫通して最短ルートで進むことができます。あっという間に学校まで帰還です。

傘と缶詰を回収してから駐車場にタクシーを投げ込み、大急ぎで校舎の中へと突入です。廊下にやたらたくさんあいつらがいますが、るーちゃんの邪魔をするなど不可能です。一瞬にしてみんな吹き飛ばされ、いつの間にかるーちゃんが設置していたらしい傘に運悪く突き刺さって命を落としていきます。あなざーでなくともしんでます。

るーちゃんが3階までたどりつくと、くるみさんがあいつらに囲まれていました。それなりに激戦を繰り広げていたようで、周囲には何体ものあいつらの死体やゾン子さん(多勢に無勢のくるみさんを憐れんで援護しようとしたはいいが、敵と見間違えたくるみさんの一撃を受けて轟沈したようである)が転がっています。

丁度様子を見るべくドアを開けたりーねーに、くるみさんが「りーさん、無理だ!」なんて叫んでいます。確かにこんな状況でりーねーが出てきたらあっという間に死んでしまいます。いくら包丁が即死効果持ちとはいえ、攻撃速度もトンベリレベルのりーねーでは動く暇すらありません。しかしるーちゃんとしては問題はそこではありません。りーねーが起きてます。寝ているようならいくらでも誤魔化しようもありましたが、これではお説教は免れません。どうにか機嫌をとってうまいことごまかすべく、るーちゃんはドアを閉めようとしていたりーねーめがけて飛び付きました。

「る、るーちゃん!?るーちゃんが自分から私に飛び付いてきてる!?見て見てくるみ!るーちゃんが、るーちゃんがようやく……!」

当たり前ですが、くるみさんは呑気に姉妹のスキンシップ見てる場合ではありません。「そんな場合か!!」と怒鳴ってますが決してくるみさんが短気なわけではありません。他の連中が呑気すぎるのです。

「るーちゃん、雨で身体冷えてない?大丈夫? これは、おみやげなの?缶詰取ってきてくれたのね、えらいわるーちゃん……」

りーねーはるーちゃんを抱きかかえたまま放送室の中へと消えていき、扉はぱたんと音をたてて閉まりました。るーちゃんが絡むと大変なことになるりーねーのことです、うっかりくるみさんが窮地に陥っていることを失念してしまったのでしょう。流石のくるみさんももう笑うしかありません。「ははっ」と空気漏れのような笑い声をあげて立ち尽くすことしかできませんでした。

「いいんだよな…これで……とか言えないじゃないかこれじゃぁ!」

訂正、笑いを通り越してとうとう怒りだしたようです。

 

放送室のるーちゃんは、怒られこそしなかったもののあまりにもるーちゃんるーちゃん煩いりーねーをどうにかする必要を感じたので一応くるみさんを放っておいていいのか確認してみることにしました。呆けていたら黙らせて自分が動かねばというわけで、りーねーを黙らせる用のパイプ椅子もしっかり用意しています。

「……くるみ?あぁ、そういえばさっき廊下に……しまった、くるみっ!?」

慌てて放送室の機材を弄り始めたりーねーを見て、流石のるーちゃんもこいつ本気で忘れてたのかと呆れかえります。大音量の放送を流すと同時に消火器担いで飛びだしていったりーねーを冷ややかに見つめるるーちゃんでした。

 

『下校の時刻になりました。まだ残っている生徒は速やかに下校して下さい』

学校に放送が響き渡ります。同時に消火器構えたりーねーがくるみさんを救うべく突っ込んでいきます。

「りーさん!?」

「くるみ!」

果敢に消火器を噴射してあいつらを追い散らしていくりーねーを見て、「コレとアレは同一人物なのか…?」なんて失礼なことを考えていたくるみさん。なんにせよこれで助かったかと一安心です。

ところが、下校時刻を知らせる放送はすぐにぷつりと途絶え、代わりに聞き覚えのある放送が流れ始めました。

その放送が、るーちゃんですよー、とか言い出した時点でくるみさんはりーねーの手を掴んでゆきを迎えにトイレに戻っていきました。るーちゃんが何かしでかす時点でどうせもうこの騒動は終わりだろうし、さっさとゆきを回収して寝てしまいたいのでしょう。

三人が寝室へと向かう途中、ふと窓の外を見ると雨にも関わらずあいつらがわらわらと校舎を飛びだしていきます。下校時刻だから帰っていくのか、何かやばいやつの放送でも聞いてしまったのか、知っているのはあいつらだけです。

「あー、疲れた…さっさと寝ようぜ」

「くるみちゃん、大丈夫?」

「へーきへーき、ただ何かもう精神的に休みたくて…」

 

みんなそれぞれ帰っていき、あとにはくるみさんに撃破されたあいつらだけが残されていました。

「……ギギギギギギギギ」

一応、あとでゾン子さんの応急手当をするるーちゃんを見た鳥がいるとか、いないとか……。

 




新年ですが年末にきりが悪かったため微妙なとこまででした。
今年はもっとるーちゃんにやりたい放題してもらいたいです。

その頃の駅側の連中
「ヒャッハー、お頭ァ!食料取りにいってた連中が戻ってきたぜぇーっ!」
「御苦労、休ませておけ」
「ゲヘヘ…ボス、あちこち雨漏りしてますぜ」
「バケツでも置いておけ」
「王様ー、雨宿りの連中が北口のほうに群がってるって」
「それについては私が直接鎮圧に向かう。北口周辺の連中に持ち場を離れぬよう指示しておけ」
「キング、踏んでくだせぇ!」
「這い蹲ってろ!」
巡ヶ丘駅。元々ただの駅にすぎなかったここは、数日前からモヒカン達の手で要塞と化していた。その中心部にて無法者達の報告を受けていた者が、ここの首領なのだろう。どこから運び込んだのか座り心地の良さそうな椅子に座るそいつは、黒いレインコートに身を包んでおりその容貌ははっきりと見る事はできない。
と、しばし思案でもするかのように静止していたそいつは唐突に立ち上がり、北口へと歩き出した。言葉通りに北口に群がるあいつらを鎮圧するようだ。北口のバリケードの見張りをしていたらしい肩パッドの集団が、やってきたそいつを見つけると群がり、平伏していきます。
「親分、長、我が君、王!」
群がる配下を手で制すとバリケードを開くよう示し、なだれ込むあいつらを一瞥し、一振りの剣を抜き放ち、あいつらへと突撃し・・・・・・。

死体の山の中で佇む王様は、何やらぼそぼそ呟いていました。しかし勝利に沸いたモヒカン共の歓声でその声はかき消され、誰の耳にも届きませんでした。
「・・・いや、勝てるのは勝てるけどさ・・・・・・一周回って落ち着いたら私だって怖いんだってば。・・・・・・というかいちいち全部指示仰がないで自分達で考えてくれないかなぁ、みんな大人なんだからさ・・・・・・」

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