るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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時系列や陣営が無視されています。本編とは一切、全く、これっぽっちも関係ありません。異世界です。
当然のように誰だかわからないやつとか名前すらないやつとかまだ出番ないやつとか混じってますが異界ゆえ気にしてはいけません。


論外編 クリスマスシーズンのうつけ者ども

「メぇぇぇ~リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁ――――スぅ!!ひゃ――はっはっはっはっはぁ―――っ。…いやあ、一度言ってみたかったんだよね、コレ」

すっかりハイテンションなモヒカン軍団の王さま。サンタ衣装を赤く染めて(元々十分赤いのだが)愛用の銃やら盾やら剣やらに加えて処刑用のドリルまで振り回し、意気揚々とソリの上から破壊を撒き散らしています。下々の者へのプレゼントです。

「TAROUMARRRRRRRRRRRU!!」

おばあちゃんもトナカイ仕様でハイテンション。武器満載のソリを全力で牽引し、聖夜の巡ヶ丘を大爆走していきます。その速度と破壊力は相変わらず、道中の全てを撥ね飛ばして進みます。

「正面からいくぞ、るーちゃん! 素のままのあいつらごとき子細工など不要!」

とんでもない勢いでボウガンを乱射しながらおばあちゃんと共にソリを引っ張っているのはコウガミさんです。何かされているのでしょうか、異様なテンションで走りまわりながらプレゼントと称した射撃を繰り返しています。

当然るーちゃんもソリに同乗していました。真っ白なプレゼント袋からこの日のために作り上げたプレゼントを街のみんなにばら撒きます。ただしるーちゃんの投擲技能は当然ながら255。あらゆるプレゼントが圧倒的威力を持って正確に着弾し、確実に被害を増やしていきます。あまりの残虐サンタっぷりにクラウドさんとご当地ヒーローがあいつらの群れと共に決死の逃走劇を敢行していますが、速度に差がありすぎるため多分逃げ切れないでしょう。…あ、プレゼントで撃ち抜かれました。

 

『遠征用』と達筆で書かれたキャンピングカーの上からハイテンションサンタ軍団を遠巻きに見つめる人影がありました。くるみさんとみっきーのようです。二人はなにやら遠い目をしていますが、ツッコミを放棄したので致し方ないでしょう。

「楽しそうだな、あいつら。最早面影もないのがいるけど…ああはなりたくないな」

「自分は自分でいたーい!ってやつですね。まるであいつらに対する感想みたいですが……」

「似たようなもんだろ……」

そこにふらりと現れたりーねー、るーちゃんを見るなり目を輝かせます。

「サンタるーちゃん!?可愛い可愛い可愛いぃっっ!!でもだめよるーちゃん、ミニスカサンタなんてまだ早いわ!…いやでも可愛いは正義…でもでもまだるーちゃんは子供だし、お腹冷えたら大変だし…でもでもでもるーちゃん可愛い可愛い可w―

後方からぶっ飛んできたDVDとゲーム機とスパナと辞書とアイスピックにバットに角材続けてラジオと便乗して投擲されたと思われるとーこ代表が次々とりーねーの頭を撃ち抜き、見事に鎮静化させることに成功しました。つっこまないからなと決めていたくるみさんもこれにはにっこり。

「大学組、ナイス!」

「いや、いいんですかこれ。鈍い音と共にKOしちゃってますよ?」

みっきーの心配ももっともですが、どうせるーちゃんが戻ってくれば2秒で復活する人のことです。一々気にしていたらきりがありません。

とーこ代表もぴくりともしませんが、望んで飛んできたのでしょうから多分本望でしょう。生きてられても騒がしいのが増えるだけなので放置安定です。

「え、出番終わり?仕事があるのはコウガミだけか?」

文句はキャラが立ってから言う、脇役の常識ですぞ。

そんなりーねー撃退事件現場を眺めながら、教頭先生がお説教を始めるようです。好き勝手やりたい放題暴れた揚句怪我人を出すなど先生として許容できないのでしょう。他の先生方に注意を促します。

「先生方、生徒が暴力沙汰を起こしているようですぞ。クリスマスとはいえ、教育者として今何をするべきかよく考えて……

「くるっぽー」

「グォォォォ」

教頭先生の話を聞いているのはアルノーとあいつらくらいのものでした。神山先生はどこに行きやがったと周囲を見渡すと、リーダーさんたちモール組に道中退場組を加えて酒盛りの真っ最中でした。このあと酔いつぶれて全滅するのでしょう。

ならば佐倉先生はと探し始める教頭ですが、どうにも見当たりません。どこで何やってんでしょうか。目に付くのは『カモン サンタクロース!』と書かれた旗を掲げるみくちゃんと、それを必死に止めるゆーたくんとなおきくんくらいのものでした。今サンタを呼んだってやってくるのはフルパワー至上主義のるーちゃんドリームチームです。呼んだが最後まず助かりません。

 

一方ゆき率いる3-Cの愉快な仲間達はというと、これまたサンタに扮してソリに乗り込んでいました。しかしソリを引くのが太郎丸一匹では全くの動力不足です。ソリが進む様子は見られません。

「太郎丸、頑張れー!」

「どう考えてもこいつじゃ無理だろっ!」

ゆきもきーさんもサンタです。トナカイやるつもりは毛頭なさそうです。

「トナカイ役に回ったら、カチューシャ?」

何の脈絡もなく復活を遂げているポニテもまたサンタでした。カチューシャをトナカイに回して太郎丸の負担を軽減しようとしているようです。

「グオオオオオオオッ!?ガアアアアアア!!(何で私だけそのままなんだよおかしいだろ!?お前も行けよポニテェェ!!)」

「嫌よ、私今生を謳歌してる最中だもの」

なぜかカチューシャだけそのままでした。ゾン子さん故致し方無しです。

そのままトナカイと書いてある紙を張り付けただけというすこぶる雑なトナカイに仕立て上げられたゾン子さん。太郎丸と共にどうにかこうにかソリを動かそうとします。

「というかサンタは三人もいらんだろう、降りろ」

「アンタが降りろチョーカー。日頃無駄遣いしてるパワーをクラスメイトの為に使いなさいよ」

ソリの上のサンタ達はすこぶる険悪ムードです。仲良くクリスマスを楽しむ気があるとは思えません。

「じゃあ、私がトナカイになるっ」

つの付けたゆきがびしっとポーズを決めます。らちがあかないと判断したようです。相変わらず空気はよく読む子でした。

「あ、だったら私が降りるわ。ソリ牽くとか余裕だからね」

ポニテもトナカイです。先程まで嫌がっていた割に切り替えが早いようです。何を考えているのやら。

「待て待てだったら私が―」

「「どうぞどうぞ」」

「やっぱりかっ!」

罠でした。

 

めぐみはゆきに言われて絶賛待機中でした。サンタに加わるでもなく学園生活部に混ざるでもなく酒盛りに加わるでもなく寒い中一人待機です。みんな各々楽しんでいる様を見ているだけですが、別に寂しくありません、ぐすん。

そうしていると、何やら騒々しい足音や罵り合いでもしているかのような生徒達の声が聞こえ始め、思わずめぐみもそちらへ振り返りました。

よくよく音のする方を見てみると、なんということでしょう。教え子たちがサンタに扮してソリでやってくるではありませんか。トナカイ役の二人がやたらサンタを攻撃しているように見えますが気のせいです。にこにこしているのはゆきだけに見えますが気のせいです。

「めぐねえーっ、メリークリスマス!」

ソリの上でサンタに扮してぴょんぴょん跳ねるゆきは、そのままめぐねえに跳びついていきました。慌てて抱きとめるめぐねえ、ダメかもと自分でも思っていたようですがどうにかキャッチ成功です。ふと感じた腰痛は気にしないのが佐倉流です。

「ゆきちゃん、あんなところから飛び降りたら危ないでしょ」

「えへへ~、ごめんなさい」

めぐみにじゃれつくゆきですが、甘えているだけではサンタは務まりません。とうとう戦闘をはじめたゾン子さんとポニテは論外ですが、せめてしっかりプレゼントを配れなければサンタとはいえないのです。百発百中のるーちゃんを見習うのです。

「めぐねえ、いつもありがとう。3-Cのみんなでプレゼントを用意しましたっ」

じゃーん、とゆきが取り出したのはグーマくん寝袋と巨大グーマくん。3-Cメンバーに加えて人手が足りなかったのでモヒカン軍団総動員で街中から回収しました。

プレゼントを手渡すゆき、教え子に慕われている事に嬉し涙を流すめぐみ、茶化しながらも優しい笑顔のきーさん。あたりは廃墟ばっかりですが、ここだけは平和だった頃のような、優しい空気が流れていました。

「ギギギギギィーッ!!」

「ふっ、かすりもしないわよ愚鈍ちゃん。その顔面に熱々の鯛焼きを叩きつけてやるわ!」

「わんっ、わんわんっ!(オイ、色々台無しだからやめろっ!)」

元々が3-C屈指の問題児集団です、多少の台無し感は許してくれるでしょう、たぶん。

そうこう騒いでいるうちに、くるみさん達も集まって来たようです。生徒から人気があって大変結構、とか言っていたので今日は距離感が近くても教頭は多めに見てくれるでしょう。優しく元気なみんなの先生でいられて良かったね、めぐみ。

 

と、ここで終わればいい話で済むのですが、それを許してくれるほどチームサンタは甘くありません。みくちゃんが放置していた旗に気付いたおばあちゃんとコウガミがよっしゃ任せろと全力ダッシュです。旗やソリの直線上にいるみんなに助かる術などありません。「だからやめろと言ったんだー!」という小学生組の絶叫と同時にソリがみんなに突っ込み、全員空の彼方へ吹き飛ばします。

とどめとばかりにキグルミと装甲を身に纏ってフルアーマーグーマくんと化したるーちゃんが王さまに投擲指示を出します。「プレゼント発射ーっ!」と盛大に放り出されたるーちゃんが空中のめぐみ目掛けてぶっ飛んでいきます。このままではるーちゃんの理不尽攻撃で撃破される末路は逃れようがありません。

「もうこのオチいやああああああああっ!!」とめぐみの悲鳴が街に響き渡りました。

 

「ああああああああっ!!・・・・・・はっ、夢・・・だったの?」

めぐみが目を覚ますと、いつも寝ている部屋の中でした。理不尽なオチは無かったのか、とめぐみはほっと胸をなで下ろします。

と、誰かが枕元に立っている気配を感じためぐみは、後ろを振り向きました。振り向いて、しまいました。

当然ながら枕元にはるーちゃん。サンタクロースに扮して、巨大なグーマ君を抱えて佇んでいました。

めりーくりすます、とにっこり微笑むるーちゃん。手にしたグーマ君を振りかぶり・・・

「みゃああああああああっ!!」

めぐみは今日も元気です、まる

 

 

「相変わらず日直はサボりかー。というか誰もいないじゃないか……」

「カナシーヤツダナオマエモ。マア、トリデヨケレバイッパイツキアウゼ」

皆さんはクリスマスだからって羽目を外し過ぎては駄目ですよ。るーちゃんとのお約束だぞ。




繰り返しになりますが本編とは一切関係ありません。ちなみに夢オチではなく、るーちゃんは撃破しためぐみを回収して追撃したそうです。鬼畜255の恐ろしさがよくわかる事例です。
あと、そろそろ忙しくなってきたので次は年明けかもです。可能そうなら28日かもですが。


どこかで『誰か忘れてないかなぁ・・・・・・?』とか呟いていたシャベルに憑いた魂魄がいたのは秘密ですよ。先生とのお約束です。 -佐倉慈-

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