るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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そろそろ本格的に生存戦略を立てていく学園生活部ですが、どうも真面目に生きる人員が不足しているような・・・。
今のこいつらにみーくんや大学武闘派あたりが接触したら胃に穴が空くかもしれません。


第21話 かいぎ

地下に潜んでいた二人と合流して数日、学園生活部は今後の方針を決定するため会議を行うことになっていました。いまいち状況を把握していない(これは自分のせいなのだ、とめぐみが言っていた。悲しげな表情が印象に残っている)ゆきをめぐみと3-Cメンバーが授業に連れ出し、残ったメンバーは職員室に集合です。

職員室は使い道がないだろうとほとんど手付かずの状態で放置されていたそうなのですが、昨日清掃255のるーちゃんがゾン子さんを扱き使って部室同然のぴかぴか仕様に仕上げておきました。机や椅子の配置もすっかり会議仕様です。

 

軽く見回りに行っていたくるみさんが職員室に到着し、着席したところで会議が始まります。「・・・全員、揃ったようだな」と02のナンバーが書かれたモノリスが発言します。サウンドオンリーのようです。

「では、会議を始めましょう」と続くのも同じような03のナンバーが書かれたモノリス。こちらにも丁寧にSOUND ONLYと書かれています。

「何やってんの、お前ら・・・・・・」

呆れかえるくるみさんを除く参加者は全てモノリスでした。正直そのサイズと声でだいたいどれが誰だかわかるので何の意味もありません。誰だこんなの作ったやつはとくるみさんがぼやくのも無理はありません。

くるみさんのぼやきを聞いたのか、ナンバー01のモノリスが唐突にその存在感を大きくします。その無言の威圧感と、無駄に達筆で描かれた『さうんどおんりゐ』の文字からくるみさんは首謀者であると思われるモノリス01の正体に気付きました。こいつの奇行はツッコむだけ無駄だと学習しているくるみさんは、モノリス03(声からしてこれがりーさんだ、とくるみは考えているし、それは当たっている)に会議を進めるよう促すのでした。

「とりあえず、チームるーちゃんの合流と、めぐねえ、たかえの生存と立て続けに生存者と合流できたのはとても喜ばしいことだったわ。でも、それによって問題が出てきているの」

「物資の不足、というわけだね」

ごく短期間(3日と持たなかった)とはいえ集団を率いていたモノリス02は流石に話がはやいです。男性は一人なのでどうせ正体は最初にばれています。特に隠しません。

「最初5人で暮らしていたのがいつの間にやら9人と一匹まで増えてるから、単純に考えて食料の減りは倍近いわ。購買にもまだたくさんあるけど、どこかで補充できないとすぐに枯渇してしまうと思うの」

戦力も増えてるしどうせるーちゃんがいるしで軽い見回りのとき以外は余裕ぶっこいて立て篭もっていた学園生活部+αですが、思ったより減りの早い物資の数々に危機感を持ったようです。まだ余裕のあるうちから対策を練っていきます。

「補充先・・・どこか安全そうなところあったかなぁ?リーダーとか外にいたんだろ、何かいい場所知ってたりとかしないのか?」

「るーちゃんが暴れた地域なら大体安全な気もするけど、時間がたってるから断言はできないなぁ。食料自体はスーパーとかショッピングモールとか、あちこち場所は案内できるけどね」

「なるほどね、・・・みくちゃんは、ずっと私の家にいたんだっけ?」

「るーちゃんちに着く直前くらいまではカミヤマって人と一緒だったけど、食料は道中のコンビニ頼みだったかなぁ。後はラ・ネージュが持ってきてたし。あと私はモノリス04であってみくちゃんではない」

「今更ごまかすな、無駄にややこしいだろ」

途中に微妙に重要そうな情報が混ざってたりしますが、すっかり茶番パートのノリに染まったくるみさんでは情報を拾いきるのは無理がありました。

 

色々と補充先の候補が出てきて収拾がつかなくなってきたあたりで、再びモノリス01がその存在感を増大させました。何か言い出すのかとみんな一斉にるーちゃn・・・ではなく01へ向き直ります。

するとモノリス01はくるりと半回転、裏面には『モールの地下は、ほぼ手付かず』と書かれていました。どうやらるーちゃん、最初から意見を書き込んでいたようです。先読みスキル255は伊達ではありません。「言われてみればそうだ、地下に向かった連中は全滅してたんだったな」というリーダーさんの発言もあり、モールを見に行くという意見が優勢になってきました。

「でも、けっこう遠いわよ?道も事故とかであちこち塞がっているし」

「車が欲しいところだな・・・この人数だと2,3台」

どうやら現在の学園生活部、動かせる車は確保できていないようです。るーちゃんが自宅から引き摺ってきた車は最低でも2回の衝突事故(うち一回は本来の持ち主が起こしたもの)を起こしたスクラップ同然の残骸ですし、めぐみがキーを持っているらしい車はずっと放置していたため動く保障はありません。とりあえずめぐみカーの動作確認をしようと思い立ったるーちゃんはさっそく職員室を飛び出し、めぐみに車のキーを借りるべく授業が行われているであろう教室目指して走り去りました。

「・・・・・・で、もうこれは外していいのかい?」

「いいんじゃないか、るーちゃん行ったし」

モノリスの出番も終了のようです。りーねーはやたら気に入ったようですが、とんべりーさんが気に入ってしまうようなセンスの持ち主なので仕方ないでしょう。その残念度は昨年比10%増しです。

 

一方めぐみはゆきたち3-Cメンバー相手に授業を続けていました。ゆきがものすごく眠そうだったりゾン子さんの教科書が逆さまだったりと割と破綻していますが、気合で授業を継続していたようです。

と、唯一まともに授業を聞いていたきーさん。ふと何か物音がした気がして廊下へと目を向けます。

なんとなく見ただけの廊下です、特に注意を惹くものはありません。ただ教室のドアの前あたりでとんでもない存在感のモノリスが二足歩行しているだけでした。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

モノリスに目があるはずはないのですが、何故か目が合ってるような気がするきーさん。リアクションを期待されている。そんな予感めいたものをひしひしと感じるのです。

「・・・・・・・・・つっこまないからな」

威圧感255のモノリス01、何を期待しているのかわかりませんが、廊下で反復横跳びです。

最初は左右に飛び跳ねている程度でしたが、その動きは徐々にエスカレートしていき、だんだんと壁も天井もお構いなしに好き放題跳ね回り始めました。足以外は全く動かさないモノリスが異様なテンションで跳ね回る様は尋常ではありません。時折フィギュアスケートでも意識しているのかとんでもないスピンを加えていたりとどんどん意味のわからないことになってきています。255回転です。

「・・・・・・・・・・・・つっこまないからな」

とうとう廊下では分身したモノリス軍団によるダンスパフォーマンスが始まりました。きーさんのスルースキルが試されます。

「ん~、なんだか廊下騒がしくない?」

「見るなよ、ゆき。SAN値下がるぞ」

「こらこら、授業中の私語はいけませんよ」

「めぐねえ、なんだか廊下が騒がしいよ?」

やめとけ、ゆきー、と言ってるきーさんをスルーしてゆきはめぐみに廊下について伝えてしまいます。哀れにもめぐみはそのまま廊下を見てしまいました。視界いっぱいに広がるモノリスの群れのダンスパフォーマンス。その効果はメダパニなダンスを遥かに上回ります。

「・・・・・・きゅう」

あまりの意味不明さにめぐみの脳は許容限界を超えたようです。モノリス01は見事撃破しためぐみから車のキーを回収すると、駐車場目指して走り去っていくのでした。




モノリスはダンボール製、01以外はりーねーのお手製です。るーちゃんの気を惹くべく頑張って作りました。


その後の授業組
「めぐねえ、めぐねえ!返事してよ、めぐねえーっ!!」
「・・・・・・・・・・・・ぶくぶく」
「うわー、漫画みたいに口から泡吹いてる。そんなにショックかあの段ボール」
「・・・・・・グオオオオ(慣れないうちは奴の奇行は精神を抉るのだ)」

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