るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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Q.そもそもゾン子さんて人類の味方なんですか?
A.未だに主食が人間のやつが人類サイドなわけないでしょうが


第18話 たいけつ

るーちゃんと帽子さんは宙吊りのゾン子さんを挟んで向かい合っていました。

「かっちゃんはかっちゃんだよ!」

ゾン子さんです。

「かっちゃん!」

ゾン子さん。

どうやら二人はゾン子さん(かっちゃん?)の呼び方でもめているようです。両者一歩も譲りません。

ゾン子さんがそんなのいいからさっさと降ろせと言わんばかりにばたばた暴れていますが誰も降ろしてあげません。扱いの雑さは大所帯になっても変わらないようです。

ぐぬぬぬぬとかむむむむむとか言いながら額を突き合せている二人を見て、くるみさんは「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない」なんて呟いてました。子供レベルが二人といいたかったのでしょうが、リーダーさんはるーちゃんレベルの怪物が二人もいる状況を想像して顔色を青くしていました。どうしてもるーちゃんが微笑ましいものには見えないようです。

しばらくむむむと睨み合っていた帽子さんでしたが、突然何かを思いついたようで、目を輝かせてびしっとポーズを決め、大声で叫びだしました。

「第一回、かっちゃん命名権争奪戦ー!」

 

「さあ、いよいよ開幕となります第一回かっちゃん命名権争奪戦。司会はわたくし、小沢みくと、リーダーさんでお送りします。」

いつの間にやら諸々の準備は整っています。るーちゃんの設営技能は255。一人学園祭とかできちゃうレベルです。ものすごい勢いで色々設置していく光景を見てくるみさんがドン引きしてた気もしますがあの人がドン引きしてるのは割といつものことなのでるーちゃん気にしません。無頓着255が発揮されています。

「えーと・・・まずは選手の紹介です。チームかっちゃん、丈槍由紀選手と恵飛須沢胡桃選手。」

「くるみちゃん、がんばろー!絶対勝つんだからね!」

「お、おぅ・・・、そうだなー」

やる気満々な帽子さん(ゆきというらしい)とくるみさんのチームです。くるみさんの「もうどうにでもなーれ」的な死んだ目が印象的なチームです。何が悲しくて部室まで乗り込んできたあれの命名権賭けて幼女と争わにゃならんのか、寂しげな背中がそう物語っていました。

「続いて、チームゾン子さん。るーちゃんと、・・・るーちゃん。あと、応援団にるーちゃんとるーちゃんとるーちゃんと・・・・・・」

チームメイトを確保できなかったるーちゃんは分身していました。るーちゃんがたくさんいればそれがドリームチームです。何も問題ありません。もはやツッコミすら入らないのでルール的にも問題ないはずです。

「まずは最初の競技、リレーです。皆さん廊下へどうぞ」

最初はリレーを行います。廊下の半分まで走った第一走者が第2走者にバトンを渡し、そのまま端までいった第2走者が戻ってきて第一走者へ再びバトンを渡します。最後に第一走者が帰ってきたチームが勝者です。

「第一走者、恵飛須沢胡桃選手と、るーちゃん。第2走者、丈槍由紀選手と、これまたるーちゃんです。みなさん位置についてください」

みくちゃんの指示で選手達はスタート位置につきます。

「よーい・・・どん!」

合図と同時にるーちゃんの姿は掻き消え、一瞬にして第2るーちゃんへとバトンがわたります。あまりの衝撃でゆきがバトンも受け取らないうちにぶっ飛んでいってしまったため第2るーちゃんは廊下の端からバトンとゆきを抱えて走ってきます。流石にある程度自重した速度で戻ってきたるーちゃんは、第一るーちゃんにバトンを、くるみさんにゆきを渡していきます。くるみさんがゆきを叩き起こしているのを尻目にるーちゃんゴールです。最早競技として成立していませんが勝ちは勝ちです。るーちゃんにスピードで挑むこと自体が根本的に間違っているのでこれはきっと司会のミスです。

 

「続いての競技は、腕相撲です!」

「待った、あたしは棄権するぞ。どう考えても危険だろるーちゃん相手じゃ」

「洒落ですか?」

「うるさい!」

第2競技の腕相撲は異議申し立てにより中止になったようです。応援席のるーちゃんズからブーイングが飛んでますがある意味自業自得です。

「じゃあ、ババ抜きやりましょう。これなら人死には出ませんよ」

みくちゃんがトランプを取り出しながら言いました。くるみさんやリーダーさんも、まあ流石にこれなら安全だろうと言ったため次の競技はババ抜きです。

しかしるーちゃんが人類には視認できないような速度でシャッフルを始めたあたりでみんなの間に「早まったか・・・」という空気が漂い始めました。すごいすごいと目を輝かせるゆきは気楽なものです。よほどの大物なのか、一人だけお花畑に生きているのか、いずれにせよ他人とは違う視点を持っているのでしょう。

リーダーさんの咄嗟の提案により、今回はるーちゃんは分身せず、二対一のハンデ戦とすることになりました。るーちゃんは余計な提案をしたリーダーさんの脛に手段その①を叩き込むと、ババ抜きを開始しました。

しかし幸運255のるーちゃん、開始と同時にほとんどの手札が捨てられてしまい一瞬にして決着してしまいました。これではゲームになりません。

 

「むむむむむむむ~」

どうにか勝てる競技は無いだろうかとゆきは必死に考えていました。尋常な勝負では勝機はありません。めぐねえがゴールデンな冷凍庫さんに正面決戦を挑むようなものです。

「そうだ!高校レベルの勉強なら私達が有利だよくるみちゃん!」

「・・・お前、それでいいのか?」

「だって、このままじゃなんにもできずに負けちゃうよ~。あ、それなら料理対決!ちょうどお腹が空いてきたし」

多分最後のが本音なのでしょう。いわれてみればそろそろご飯の時間です。だったらちょうどいいから食事にしようとみんなで料理を作ることにしました。あからさまにほっとしている選手がいますが、彼女も苦労しているのでしょう。そのうち労ってやったほうがいいかもしれないなんて考えるるーちゃんでした。

 

そうしてわいわい料理を楽しんでいるうちに、いつの間にかるーちゃんとゆきの頭からは勝負事はすっかり抜け落ちてしまいました。あんなにいがみ合っていたのに、いつのまにやら

にこにこ笑いながら一緒にうどんを食べているのでした。

仲良くなれてよかったね、めでたしめでたし。

 

「・・・・・・ギギギギギギギギ(せめて降ろしてくれませんかね)」




人間相手、しかもお遊びでも容赦なくワンサイドゲームをするるーちゃん。負けず嫌いも255なので手に負えませんね。


そのころのりーねー
「なんだかみんなの楽しそうな声が聞こえるわ・・・うぅ、脛痛い・・・・・・」

そのころの地下組
「なんでさあ今から上に行くぞってタイミングで風邪引くかねセンセー」
「ごめんなさい・・・けほけほ・・・・・・ぐすん」

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