「・・・・・・・・・・・・・・・」
安全なはずの部室に突如現れたゾン子さんを見てフリーズしてしまったりーねーは放っておいて、るーちゃんは部屋の隅でみくちゃんといっしょに乾パンつまんでるリーダーさんに状況の説明を要求します。
「え?どうしてこうなったって?そうだなぁ、あれは俺達がバリケードを越えたあたりまで遡るんだが・・・」
昔話が始まるようです。
「・・・さて、結局バリケードを越えずに一晩過ごしてしまったわけだが」
リーダーさんとゾン子さんは図書館でぐだぐだと一晩を過ごし、ようやくバリケードまで戻ってきました。その手には図書室にあった脚立が抱えられています。これならゾン子さんでもバリケード突破できるだろうというリーダーさんの配慮でした。こうしてよっこらせっとバリケードを突破した二人の前に、ちょうど見回りに来たらしいツインテシャベルが階段から降りてきたというわけでした。
「・・・あ!ゴメン、お前らを忘れて・・・た・・・・・・!!?」
最初はすっかり荷物持ち共を忘れ去っていたことを謝っていたくるみさんですが、ゾン子さんを見ると驚愕の表情を浮かべて硬直してしまいました。何かやらかしたかと思ってゾン子さんを見たリーダーさんは、ゾン子さんが漫画読む邪魔だか何だかでホッケーマスクを外してそのまんまだったことに気がつきました。
「・・・あ、やべ」
「おい、そいつはもう手遅れなんじゃないのか・・・」
くるみさんがキッと二人を睨み付けました。学園生活部にとって危険になるなら容赦はしてくれません。慌ててホッケーマスク被っても無駄です。
「ま、待て!落ち着け!話し合おう―」
「問答無用じゃぁ!!」
シャベルを振り回して襲い掛かるくるみさん。必死で逃げ回る荷物持ち二人。いつしか戦場は部室へと移り(帽子の人は授業に行ったらしい)、そこにるーちゃん達が帰ってきたのだとか。
「戦場が部室に移りって、普通に突破されてんじゃん」
みくちゃんのなにげなく放った一言がくるみさんに突き刺さりました。ぐさって音がしそうな勢いです。見る間に萎びるくるみさん、さっきまで元気に暴れていたのにあっという間に真っ白に燃え尽きています。なんてひどいことを言うのでしょう。るーちゃんは同じことを思っていても口には出しません。寡黙255は伊達じゃないのです。
崩れ落ちたくるみさんの肩を元気出せよとでも言いたげに叩くゾン子さんですが、「そもそもお前が原因だろうがっ!」と言われると流石に言い返せません。
「まあ、そんなことはこのさいどうでもいい!」
開き直ったくるみさん。周囲のどうでもいいのかよ的な視線はスルーすることにしたようです。るーちゃんのとこまでずかずか歩いてくると、ずいと顔を近づけ「で、結局あいつはなんなんだ」と聞いてきます。
るーちゃんはだから荷物持ちだと紹介したじゃないかと軽い対応です。自分自身には被害が及ばないため適当な対応です。
そうこうくるみさんがぎゃーぎゃー騒いでいるのを聞き流していると、呆けていたりーねーが復活したようで、ゾン子さんを指差して何やら言いたげです。
「これはゾンビですk「言わせねえよ!」
言わせないそうです。くるみさんは今日もツッコミのようです。「・・・やばい、りーさんまでボケだしたら収拾がつかなくなる」とか呟いてますが最早ゾン子さん以外誰も聞いてないあたり苦労人なポジションが定着していることがよくわかって物悲しさを誘います。
「たっだいまー!」
そうこうしていると元気よく帰ってきた怪しげな帽子が一人。なんとなくネコ感漂う元気な人でした。制服を見るに高校生なのでしょうが、なんとなく雰囲気はもっと幼い感じがしています。やばい人には見えませんが、くるみさんが慌てだしたのでるーちゃんも警戒しておくことにしました。
「や、やばい。るーちゃん、そいつを隠せ!」
ゾン子さんを隠せと言われてもそんな都合よく人が一人入れる場所などありません。仕方が無いのでるーちゃんはゾン子さんを掴んだまま天井にへばりついてその場を凌ぐことにしました。忍術255のるーちゃんには容易いことですが、ゾン子さんがめっちゃもがいていることだけが心配です。
「くるみちゃん、何騒いでるの?」
「あー、いや・・・なんでもない。随分人が増えてにぎやかになったなって話してただけだ。あぁそうだ、りーさん帰ってきたぞ、りーさん」
どうにか天井の二人に注意が向かないようにとくるみさん頑張って帽子さんの気を引きます。しかし肝心のりーねーがるーちゃんのいる天井を見てます。それじゃ気付かれるだろうがと判断したるーちゃんはとっさにみくちゃんにアイコンタクト。それを受けたみくちゃんが椅子を持ち上げるとりーねーの脛めがけて思い切り叩き込みました。りーねーは一撃で轟沈してしまいましたが、とりあえず注意を逸らすことには成功したようです。帽子さんは「りーさん、大丈夫?」とそっちに向かっていったのでおっけーです。くるみさんが「何してんだお前らは」って呆れてますが気にしません。ちゃんと気は逸らせたので問題ないのです。
「くるみちゃん、りーさんが動かなくなっちゃった」
「脛に直撃したからなぁ・・・」
尊い犠牲となったりーねーを片付けたくるみさんとリーダーさん。もう気を逸らす手段残ってないぞと二人でぼそぼそ相談中です。手段その①と背もたれに書かれた椅子を振り回している幼女二人は気にしません。・・・・・・二人?
「おい待てるーちゃん、なんで降りてきてんだ」
ゾン子さんは吊るしてあるから大丈夫です。りーねー吊るしたときの設備がそのまま使えました。上でバタバタ暴れてますがしばらく我慢してもらいましょう。
「いや、待て、流石にそんなにバタバタしてたらバレるって」
「・・・・・・あれ?くるみちゃん、なんで人が吊るされてるの?」
背後から帽子。くるみさんはもう真っ青です。るーちゃんはいつでも物理的に帽子さんを黙らせられるように椅子装備みくちゃんの投擲準備に入ります。るーちゃんは使えるものは友達でも使える子なのです。当のみくちゃんも飛ぶ気満々ですが。
「いや、えーと・・・これはだな・・・」
「ん~、あれ、かっちゃん?」
ゑ?と言い訳しようとしていたくるみさんが停止します。
「あ、やっぱりかっちゃんだー!なんで吊るされてるの?」
「おいおい待て待て、かっちゃんて何だ?」
「えーとね・・・カチューシャだから、かっちゃんなんだよ」
どうやら帽子さんはゾン子さんと知り合いだったようです。
ゾン子さんは在校生でした。ゆきちゃんは変わり果てた(?)友人をどうするのでしょうか。
くるみちゃんが苦労人気質で書いてて楽しい今日この頃。
世間ではモンハンが発売したりしてますね。師走は不定期更新になるかもかもです。
そのころの3-C
「日直・・・」
「ソコニカイテアルダロ。コクバンヲミロー」
クラスメイトがでかい鳥と喋っているように見えるのだが、やはり私は疲れているのだろうか。