るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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今回は三年C組メンバーでまだ出番の無かったポニテさんのお話です。なおこの話からゾンビ発生よりちょっと日数の経過した後の話になります。学校組しか(すら)出番がないのでるーちゃん至上主義者は飛ばしてOKです。


休み時間2 ポニテの一日

私の名前は・・・なんだったか、どうにも思い出せない。個体名が出てこないなんて、どれだけ自己を希釈しているんだろう。

そもそも名前とは何だっただろうか。クラスメイトにはカチューシャとか、チョーカーとか、ネコ帽子とか、そんなのがいた気がするが・・・・・・そうだ、ポニテだ。確かそんな呼ばれ方をされたような気がする。言われてみれば私の髪型は所謂ポニーテールというやつだ。きっと名は体を表すというやつだろう。

まあ、とにかく私はポニテだ。

 

私は私立巡ヶ丘学院高校の三年生だ。じりじりと迫ってくる受験に備えて、今日も今日とて学校で勉強をしなければならない。

・・・受験とは何だったか。思い出せない。ただ、私にストレスを与えていたことはわかる。たぶん嫌なものだ。

もし形のあるものなら、見つけ次第噛みついてやろう。いや、迫ってくるのだから逃げるべきだろうか。わからない。

まあ、とにかく学校で勉強をするのだ。

 

ふらふらと歩いて学校へ向かう。道行くものも、私も、どうしてこんなにふらふらと歩くのだろう。もっとしゃんとしろ、と声に出して言いたい。

まあ、私達はそんなにしゃっきりぴっしりした優等生だった憶えはないのだけれど。・・・いや、チョーカーとかネコ帽子よりはマシだった自覚はあるのだが。髪とか、帽子とか、独特なセンスの持ち主だった二人は、よく怒られていたような気がする。そんな二人もここまでふらふらしてはいなかったと思うけど。

みんな疲れているのだろうか。学校中があの二人以上の謎スチューデンツで構成されているとは思いたくない。そんなの学校じゃないわ、ただの異次元よ。

少なくとも、私のふらふらは疲労によるものだ・・・たぶん。頭は靄がかかっているようにはっきりしないし、私は常時こんなに呻き声ばかり上げる変な子であるわけじゃない。寝不足だろうか・・・ううむ。

まあ、とにかくみんな疲れているのだ。

 

ふらふらしつつも学校に到着。下駄箱あたりは今日もぐちゃぐちゃ。しばらく荒れ放題の様相が続いているけど、掃除当番は一体何をしているんだろうか。

いや、私もしばらく校舎の掃除なんてした記憶がない。・・・・・・掃除、してないんだろうか。わからない。先生方は何も思わないのだろうか、まったくもう。

とりあえず、怒られても嫌だから、今日はしっかり掃除もしていこう。なんで今日までやらなかったのかわからないけれど、理由を挙げるならやはり私は疲れていたのだろう。これで一応説明はつく。

まあ、とにかく校舎は荒れているのだ。

 

教室に友人達の姿は無い。まあ、今に始まったことではない。チョーカーもカチューシャもネコ帽子も、揃いも揃って朝が弱い。遅刻寸前に大慌てで駆け込んでくることだって珍しいことではない。正直、少しは私を見習うべきだと常々思っている。

常々・・・いつからだったろうか。思い出せない。なんだか今日は駄目だ、脳が腐りでもしてるんじゃないだろうか。こんな状態で授業は大丈夫だろうか、不安だ・・・。

少し休んでいるべきだろう、疲れているのだ。始業まではまだ時間があるし、ちょっと仮眠を取らせてもらおう。ちょうど騒がしいネコ帽子とカチューシャもいないわけだし。

まあ、とにかく友人達は遅刻のようだ。

 

休み時間、廊下を歩いていたら階段の踊り場に身を潜めるチョーカーを見つけた。授業にも出ないで何をしているんだろう、あの馬鹿者は。隠れながらこちらの様子を窺っているようだが、正直見えている。

まあ、どうせまた何かくだらないことをやらかすつもりなのだろう。教室に来ていないから多分ネコ帽子とカチューシャも共犯だろうし、一々ツッコまずにスルーしておくのが一番良いだろう。私まで厄介ごとの片棒を担がされてはたまったものじゃない。ただでさえまだふらふらなんだから。

あの様子じゃたぶん購買で何かしたいんだろう、と判断をつけた私はその場を離れることにした。巻き添えは御免だ。先に教室に戻って、何も知らない風を装っていよう。

まあ、とにかくチョーカーは何かやっているようだ。

 

学食の食材が腐っていたらしい。廊下を通るときに中でネコ帽子が知らないツインテールと話しているのを聞いた。

この学校を覆うような腐臭は学食が原因か。気付きなさいよ、誰か。そう思わずにはいられない。

実際臭い。最近色々と管理が杜撰だけど、大丈夫かなこの学校。こんな腐臭を漂わせた掃除もしない学校なんて、誰も入学したがらないだろうに。

・・・はぁ、学食は駄目なようだし、食事の気分でもなくなってしまった。

まあ、とにかく学校は腐臭で溢れていた。

 

結局、チョーカーたちは誰も授業に出なかった。あいつら、学校に来ているのは間違いないのに。三年生のサボりとはいいご身分である。もう試験前にノートを貸してと言われても知らない。たまには痛い目を見せないと駄目だ。甘やかしていたらみんなのためにならないし。ネコ帽子はめぐねえの補修送りだろう。・・・駄目だ、ご褒美だった。

まったく、不真面目軍団め。

まあ、とにかく私は一人だった。

 

どうせみんなもいないし、疲れているからさっさと下校する。

ふらふら、ふらふら。登校したときと何も変わらない、疲れたふらふらウォーク。・・・いや、登校時はふらふらしていたんだっけ?思い出せない。

ふらふら、ふらふら。下校中。

今日は何してたんだっけか、掃除だっけ。思い出せない。

学校は臭いんだっけ? 何で、突飛な話。

・・・みんなには会ったっけ?みんなって誰。

私今日どこ行ったの?どこに帰ってるの?

ふらふら、ふらふら。私は、ああ、私の名前は何だっただろうか。

・・・まあ、とにかく思い出せない。

 

ふらふら、ふらふら。




少しずつ学校の探索が進んでいる模様。次回あたりから高校組の出番もちらほらと。

そのころのるーちゃんご一行、民家を借りて

「なあ、さっきからゾン子さんがひたすらリーダーって書きなぐってるやつ、あれ何なんだ?」
あれは、いつか喰ってやるリスト。
「え、俺食われるの?」
「ヴァァァァァァァァァァア」
喧嘩してると食べちゃうぞ、にへ。

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