るーちゃん無双   作:るーちゃんLv255

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モールでは質や量で頑張ってるーちゃんを追い込もうキャンペーンを実施中・・・でした。もはや質でも量でも駄目なのでお手上げ編。

そろそろ高校組にも出番が欲しいのでこの次くらいからパンデミックから少し経過した時期の話になるかもしれません


第10話 かいめつ

夜になり、モールの一室で泊まることにしたるーちゃん。先ほど入手した漫画を読んで暇を潰しながら夜をすごしていました。るーちゃんは北斗な拳を読み、汚物を消毒する素敵なテンションに感銘を覚えたり、闘気は武器になるなどととんでもないことを考えたりしていました。るーちゃんはまだまだ子供なのですぐ漫画に影響されます。

ちなみにゾン子さんも漫画を読んでいますが、上下を逆にして持っているので多分内容は理解してません。るーちゃんの真似してるだけのようでした。

そんなこんなでるーちゃんが夜のくつろぎタイムを謳歌しているところにリーダーさんが訪ねてきました。流石に自分で招いておいて即座に締め出す羽目になったのはばつが悪かったようで、ちゃんと生きてるのか様子を見に来たとのことです。

ただ正直扱い酷くても全く気にしていなかったるーちゃんからすればただの読書の邪魔でしかありません。よって極めて適当にあしらいながら読書を続けます。

子供に好かれたいリーダーさんが飴玉でるーちゃんを釣ろうとしますが、るーちゃんの鋼の自制心(自制255)はそんな飴玉には釣られません。なんかぴくぴく動いているのは気のせいです。飴玉をすごい精度と速度で目で追っているのも気のせいです。るーちゃんは飴玉なんかには負けないのです。

 

そんなこんなでリーダーさんと遊んであげて(遊ばれて)いると、生存者組のいる方からものすごい悲鳴が聞こえてきました。

これは何かたいへんなことが起きたと判断したるーちゃんはリーダーさんを伴い急いで現場に急行します。決してリーダーさんに飴玉で釣られて付いて行くのではありません。あくまでるーちゃんの自発的行動です。るーちゃんは飴玉なんかには負けないのです。大事なことなので二回言いました。

現地に到着してみると、生存者達はあるものはあいつらと化し、あるものは貪り食われと地獄絵図が広がっていました。どうやら彼らの中には噛まれた人が混ざっていたようです。るーちゃんがいれば発症直後に処理して一件落着だったのですが、あいにく自分達で追放してしまっており、そんな選択をしてしまったのが彼らの運のつきでした。

リーダーさんの仲間たちは最早壊滅状態でした。呆然と地獄絵図を眺めるリーダーさんを見つけたようで、あいつらと化した元仲間達がゆっくりと迫ってきます。自らのグループの壊滅を目の当たりにしたリーダーさんにはもはや立ち向かう気力など残っていませんでした。絶望的状況です。

そのとき、絶望するリーダーさんの前にるーちゃんが飛び出しました。生き残った自分を助けようというるーちゃんの勇気に、リーダーさんは深い感動と感謝を覚えました。

しかし、よく見るとるーちゃんは何故か手に松明を持ち、『燃料』と無駄に達筆で書かれたラベル(書道255)の貼られた瓶を取り出しています。そしてそのまま燃料を口に含むと、松明を火種に盛大に炎を吹き出しました。

火吹きという芸そのものはそう難しいものではありませんが、大道芸スキル255のるーちゃんが行うそれは最早芸で済む領域ではありません。圧倒的な規模と迫力の火炎の濁流が元生存者達を纏めて飲み込んでいく様はまさに竜の息吹。これほど強力なブレスはファンタジーな世界でもそうお目にかかれるものではありません。

無慈悲極まる高威力のるーちゃんブレスは瞬時に汚物たちを消し炭に変え、彼らのいた痕跡すら根こそぎ消毒してしまいました。汚物は消毒、るーちゃんは学んだことはすぐに活かせる子なのです。

最早完全に立場も拠点も何もかもを焼き払われたリーダーさんにできることは、このふざけた威力のドラゴンブレスにより生じた火災の消火活動くらいのものでした。

こうして、モールの生存者たちは壊滅してしまい、るーちゃんたちは悲しみに包まれた拠点を後にするのでした。

 

リーダーさんとるーちゃんの二人はモールの生存者は全滅してしまったと結論づけ、この場を去ることにしました。個室で待機していたゾン子さんに再び荷物持ちを押し付けると、三人はモールからの脱出を図ります。

しかし一階はるーちゃんカーによって塞がってしまっています。他の出口に向かわなければなりません。みんなまだ向かっていない辺りにいかなければならないため、あいつらがたくさんいる危険があります。とても夜に行くところではないとリーダーさんは主張します。

ならばとるーちゃんは二人を引き連れ、るーちゃんカーの直撃によって空いた穴へと向かいます。そのまま跳躍255という高い能力を活かして向かいの建物までぽーんと飛び移ります。そのままモールへ向き直ると、残る二人にさっさと来いと言わんばかりに手招きをします。

「・・・・・・いや、無理だろ」

「・・・・・・グォォォォ」

・・・・・・無理だそうです。

 

再びモールへと飛び込んできたるーちゃんは身体能力で劣る二人をどうやって外へ出すかを考えていました。

るーちゃんが外までみんなを投げ飛ばすというプランAはゾン子さんが全力で逃げようとしたためやめた方がよさそうです。おそらく耐久力的に持たないのでしょう。

続けてるーちゃんが青狸の漫画を読みながらプランBと言って竹とんぼを取り出しますが、これもリーダーさんに却下されます。大方首を刎ね飛ばされる未来でも見えたのでしょう。

プランBが無くなって不貞腐れたるーちゃんは、だったら自分達で考えろとゾン子さんとリーダーさんに丸投げすると、一人で竹とんぼで遊び始めました。

最初はくるくると竹とんぼを飛ばしていたるーちゃんですが、何を思ったかモールから飛び降りると、自らくるくると回転を始めます。外にいたあいつらが、何だこいつと徐々に近づいてきますがるーちゃん気にせず回転中です。

するとどうでしょう、徐々に高まる回転速度に竜巻が発生し、るーちゃんに接近していたあいつらを付近のガラクタ共々めちゃくちゃに吹き飛ばし始めました。ぶっ飛んでくるあいつらと猛烈な風に襲われたゾン子さんとリーダーは慌てて穴から離れ、手を取り合って必死にモールの奥へと逃げていきます。どうやら理不尽への恐怖が種族の垣根を越えたようです。

一方のるーちゃんは自ら起こした竜巻を利用してちょっとした空の旅を楽しんでいました。恐怖に固まった表情の女子高生二人組と窓越しに目が合ったような気もしますが、モールは壊滅しているはずなのできっと気のせいでしょう。るーちゃんの視界はめまぐるしく回転中なので一々確認しません。必死に風に耐えていた強個体もちょっとだけいたようですが、吹き飛んできた車に直撃した勢いで投げ出されて竜巻に吸い込まれ、中で高速回転していたるーちゃんに衝突してバラバラにされてしまいました。明らかに接触事故なのですが、るーちゃんにダメージはありません。無駄死にです。

 

しばらくして竜巻ごっこに飽きたるーちゃんがモールに戻ると、リーダーとゾン子さんはモール中を駆け回り、群がる敵は全て蹴散らしてどうにか塞がっていない出口へ到達していました。どれだけ危険なルートであっても、竜巻るーちゃんの相手をするよりマシだと判断して火事場の馬鹿力で突破していったようです。気配察知255で二人の到達した出口へ先回りしたるーちゃんはよくやったーと二人を出迎えます。るーちゃんは笑顔でお出迎えしているのですが、正直二人にとってはかなりホラーな展開でした。固まっている二人をぽこぽこ叩いて正気に戻すと(手加減255)、るーちゃんはとことこ歩き出しました。ショッピングモール、無事脱出です。




るーちゃんに漫画を読ませてはいけない。すぐ真似したがります。りーねーも日頃身を守る為に決して漫画を読ませない方針は徹底していました。

そのころの二年生
「「・・・・・・お、お化け!竜巻お化け!!」」
太郎丸を間に挟んで抱き合いガタガタブルブルと震えている。

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