マイス君に活躍の場をあげたいので、駆け足で進んでいきます。
※2019年工事内容※
誤字脱字修正、細かい描写の追加、句読点、行間……
ロロナさんとの探索から帰ってきたのがほんの一週間前。
エスティさんから貰った依頼で一人で街のすぐ外に採取に行ったとき以外は、紹介してもらった宿泊施設でゆっくりとしていた。
というよりも、やれることがなかったので時間を持て余してしまってるんだよね……。
とはいえ色々と考えることが出来た。
ロロナさんとの探索でわかったことなんだけど、ここでは本当に魔法が無いようだ。……一応、魔法のようなものなら、あるにはあったけどね。
ロロナさんが杖でモンスターと戦っていた時に杖からピンクの光のようなものが飛んでいたんだけど、なんでもそれは武器についている機能のようなものらしい。
また、その杖にはどんな武器にもかかっているはずの『タミタヤ』の魔法がかかっていなかった。
『タミタヤ』は、モンスターをあやめたりせずにモンスターが本来いる場所とされる「はじまりの森」へと送還させる魔法なのだが、それがかかっていないのはありえないことだった。なので、ロロナさんがモンスターを杖で殴り倒したときは正直驚いた。
では、次になんで魔法が無いのだろうか?
そして、以前は使えていた魔法を僕が使えないのは何故だろうか?……そういった疑問だ。
正直、魔法が無い理由はわからない。
けど、僕が使えない理由はある程度予想をたてることができた。
「そもそも僕が使っていた魔法は存在していなかったのではないか」という考えは、今手元にある双剣『ショートダガー』によって否定できる。
『シアレンス』での日々が現実であると僕に確信をもたせてくれたこの使い古した双剣は、『タミタヤ』の魔法がしっかりとかかっていて問題無く発動していた。
ならばなぜ僕自身は使えないのか。
ここであることに気づいた。
『ルーン』。そう、魔法を使う際にも必要となるチカラ『ルーン』だ。『シアレンス』の町では当然のように感じられた『ルーン』がほとんど感じられなかった。
そういえば、自然を司る精霊『ルーニー』たちもアーランドに来てから見かけてない。
しかし、僕自身の中には『ルーン』が満ちている。
当然これまでのように戦闘をした後などには、疲労以外の脱力感が感じられるが寝たら回復している。
ここまでの考えをまとめると、一応ではあるが僕が魔法が使えなくなった理由を推測できた。
これまで僕が使っていた魔法は「『ルーン』のある空間で使用者の中の『ルーン』を消費して使用できる」ものだったのではないだろうか?
これまで『ルーン』が無い空間にいたことなどなかったので確信は持てないけど、今のところはこの答えしか導けなかった。
あともう一つ、「ここら一帯に『ルーン』は無い」ということで、不可解なこともある。
『ルーン』はいまだわからないことが多いらしいが、大自然のエネルギーのようなもの……つまり、その『ルーン』が空間に無い状態というのは「大地・緑が死に、生物が生きることのできない」状態なのだ。
しかし、『アーランド』の街やその周囲にはそういった兆候は無い。
『ルーン』無しに自然が保たれている、それは信じがたいことで、僕の知ってる世界の理から外れている。
「だとすると、ここは『シアレンス』とは国とかそんなレベルじゃない別の場所?」
別の場所……別空間だとすれば、どこなのだろうか。
真っ先に思いつくのは『はじまりの森』だけど、それでも『ルーン』が無いのはまずありえないし、見知ったモンスターも見かけていない。
謎は残ったままである。
だけど、やることは決まった。
「空間に『ルーン』を満たす」それが当面の目標だ。
それで予想どおり魔法が使えるようになるかはわからないが、とにかく今出来そうなことはそれくらいだ。
『ルーン』を生み出す方法はわかっている、あとは実行するのみだ。
「なら、街から出ないといけないかな……」
『ルーン』を生み出す方法は『アーランド』の街中では難しい。
なぜならその方法は「畑を耕し、作物を育てる」ことだからだ。
人から聞いた話や自分の経験則なので、正直なところ原理・理屈はわからないが間違いない方法なのだ。
ただ、わずかづつしか『ルーン』は発生しないので、空間に満たすほどとなるととても長い時間になるかもしれない。
気休めかもしれないが、僕には『アースマイト』というものの才能が有るらしく、作物の育成が普通より良かったりするらしい。
『アースマイト』というものがどういうものなのかは これまた僕はよく知らないのだけど……。
……そういえば一つ、正常に使えるか確かめていないものがあった。
自分の腰、そこに巻いてあるベルト。このベルトはただのベルトではないのだ。
『変身ベルト』
『シアレンス』の町にいたころからの僕の秘密
そう。人間とモンスターの『ハーフ』である僕が、モンスターの姿になるための道具だ。