いまだにマイページでできることがよくわかってないです。
機能をいかせない、それは昔からよくあることなんですが、慣れていきたいと思います。
※2019年工事内容※
誤字脱字修正、細かい描写の追加、特殊タグ追加、句読点、行間……
***ロロナのアトリエ***
爆発音を聞いた後、エスティさんについて行ってたどり着いたのは、なんと爆発音の発信源だった。……んだけど、なりゆきで爆発の後片付けを手伝うこととなった。
そして今は後片付けを終え、僕とエスティさんはイスに腰かけていた。エスティさんが「ロロナちゃん」と呼んでいるピンクの少女は香茶の用意をしている。
「ごめんなさい。アトリエの掃除手伝わせちゃって……はい、香茶です」
「いいのいいの。たまたま用があって、いつ終わるかわからない掃除をただ待つより手伝ったほうがいいかなって思っただけだから。まあ来るたび手伝わさせられるのはさすがに嫌だけどねぇ」
「あははは……。それで、今日はどうしたんですか?」
「うん。この子を、自分を助けてくれた人に合わせようと思って」
そう言ってエスティさんは僕の肩を叩いた。
持っていたティーカップが揺れ香茶がこぼれそうになったので少し焦ったけど、なんとか落ち着きエスティさんの言葉に続くかたちで自己紹介をすることに。
「マイスっていいます。倒れていた僕を助けてくれて、ありがとうございます!」
「えへへっ、どういたいまして! ……とは言っても、街まで運べたのはステルクさんのおかげなんでけどね」
「ステルクさん」という人は確かエスティさんの後輩だっただろうか。
まだ会っていないが、その人にも早いうちにお礼を言いに行きたいものだ。
「あっ、私はロロライナ・フリクセル。みんなからはロロナって呼ばれてるの、よろしくね!」
「こちらこそ!」
ふたりして自然と笑みがこぼれてきて和やかな雰囲気になったのだけど、そこに僕の頭の上に手が置かれた。正確に言うならなでられてる。
今の状況でなでててきた人は当然……。
「あの、エスティさん? 何を……」
「んー? マイス君がしっかり挨拶できたなぁって思って」
「えぇ……?」
食堂でも同じようなことを言われたような、でもどうしてそこで頭をなでるんだろう……?
というか、なぜだかエスティさんに凄く子ども扱いされている気がする。
「そういえば、アストリッドさんは?」
「師匠は朝からどこかに行ちゃってて……」
「まあ、いつも通りといえばいつも通りかしら……」
知らない人の話になったので、さすがに少し入りづらく、とりあえずおとなしく待っておく。
と、先程片づけをした室内に意識がいく。
フラスコや何かの液体が入ったビン、本棚には大量の本がひしめいている。
そんなものの中で一番目がひかれたのは大きな
実際はもっと大きな釜だったが、それは僕の記憶の中にある『シアレンス』での日常の一部にあるものだ。
*-*-*-*-*
『材料はそろったわ! これで万能薬がつくれる!』
『……で、次にこれを入れてっと』
『あ! これを入れたりしたらどうかしら! きっといい効果があるわ!』
『あとはこうやって混ぜれば……』
*-*-*-*-*
昔、「魔女」なんて呼ばれていたらしいおばあさんを持つ、町の病院の見習い医者の少女。
トラブルメーカーである彼女には、主に僕と彼女の親友がよく振り回されていた。主に薬の実験体にされたり……。
そういえば彼女は窯を爆発させたりはしていなかったな……まあ、親友に渡した薬が爆発したりしたことはあったんだけど。
あれ? それのほうがたちが悪い気が……。
「マイス君、どうしたの? ぼーっとしちゃって」
『シアレンス』の思い出に浸ってしまっていた僕を引き戻したのは、エスティさんの言葉だった。
「何か気になるものでもあった?」
部屋のほうに視線がいっていたことに気づいていたのであろうエスティさんの問いにどう答えたものかと考えるはずが、不意をつかれたからか思っていたことをそのまま言ってしまった。
「ロロナさんは魔女なんですか?」
「「ぷふぅッ!」」
僕の言葉に二人が吹き出した。とはいっても意味あいは違うようで、ロロナさんは「えっなんで!?」といった驚き顔。一方、エスティさんは笑いをこらえている。
「いや、あんな大きい釜があるから魔法使いとかそういったのなのかなーって思って……」
何かおかしいことを言ってしまったのかはわからないけど、この空気を何とかしようと思ったが、言い訳ともフォローとも言えない中途半端な事しか言えなかった。
「なんでまじょ…? それはまあ、魔法があって、それが使えるんなら使ってみたいけど……」
魔女というものに良いイメージが無かったのだろうか。
あれ? というか「魔法があって」って、まるで魔法が無いような言い方……。
どういうことだろう? キカイが発達した『ゼークス帝国』は魔法はあまり発達していないと聞いたことがあるけど、「魔法が無い」なんて話は聞いたことがない。
僕がひとり考えを巡らせていると、いつのまにかロロナさんが釜のそばまで行っており、釜のふちをポンポン叩きながらこう言った。
「マイス君、これはね『錬金術』を使うための『錬金釜』なんだよ」
「錬金術?」
「そう! この中に素材を入れて、ぐーるぐーるっと混ぜて、いろんなものが作れるんだよ」
入れて、混ぜて、それで別のものができるって、それは魔法よりもとんでもないような気がするんだけど……?
「いろんなものって、例えばどんなものが?」
「薬とか日用品とか……あとは、爆弾とかも!」
「ああ! 爆弾を作ってたから間違えて爆発しちゃったんですね」
「え!? ……ソ、ソウダヨ」
……今、変に間があった気がするけど、気のせいだよね?
ロロナさんの目が泳いでいて、エスティさんがまた笑いをこらえている様にみえるのも気のせい……?
「そうだ!実際に見たらきっと錬金術のことがわかるよ!」
そう言ってロロナさんは、コンテナに駆け寄り勢い良く開けた。
「……あれ?」
が、中を覗きこんだロロナさんの動きが止まった。
「あっ! さっきの調合で素材全部使い切っちゃったんだ……ってそしたら、お城の依頼品が足りてないのが作れない!? アトリエが潰れちゃう!? は、早く採りに行かなきゃ!?」
事情がよくわからないが、ロロナさんがドタバタ何やら準備を始めたようだ。
どうしたものかとエスティさんの方を向いてみると、エスティさんはちょうど「そうだ……!」と何か閃いたように呟いた。
「ロロナちゃーん? ちょっといいかしら?」
「あっとえっと! ごごごめんなさい! 納品するアイテムが足りなくて、今から素材を採りにいかないと期限がチョット厳しくなちゃいそうで! だから、その……!」
「事情はわかってるから。それで…………その探索にマイス君を連れて行ってみない?」
「え?」
僕も少し驚いたが、町の外に採取に行くのであれば、おそらくモンスターがいるのだろう。なるほど、助けてくれた恩返しには護衛というのはちょうどいい。
不安要素が無いわけではないが、僕としても同行したいと思う。
だが、不安そうに僕とエスティさんを交互に見ている。
「いきなりの出発だから一緒に来てくれる人がいるのはありがたいけど……」
「大丈夫よ。マイス君は腕が立つから! ……ね?」
「はい、ロロナさんのちからになれると思います!」
「モンスターがいっぱいいるんだよ? ギャーッって
身振り手振り、外のモンスターの恐ろしさを伝えようとしてくれているんだろう。まあ、ロロナの演技には怖さを
「うー、マイス君みたいな子には危ないよ……」
「それを言ったらロロナちゃんもそう変わらないと思うけど……」
「うーんうーん」とうなって悩んでいたロロナさんは「よし!」と一言ついた後、こちらにピシッと向いた。
「それじゃあ思い切って頼んじゃおうと思います! でも、無理しちゃだめだよ?」
「ありがとう。しっかり仕事をこなします!」
それから、エスティさんに聞きながら探索に必要なものを揃え、出発の準備をした。