ただいま過去最大のスランプ中!!
※2019年工事内容※
誤字脱字修正、細かい描写の追加、特殊タグ追加、句読点、行間……
✳︎✳︎✳︎マイスの家✳︎✳︎✳︎
「ん、あさ……」
早朝に畑仕事をすることもあって 僕の朝は早い。いつものように起きて……
「あれ? なんでソファーで寝てたんだ?」
いつもは二階にあるベッドで寝ているんだけど、今日目が覚めたら一階のソファーで 僕は寝ていた。
「なんでだろう?」と考えたが、すぐに思いだす。
「そうだ。昨日ホムちゃんがウチに泊まるって話になって、それでホムちゃんがベッドを使っているから僕はソファーで寝たんだった」
「泊まり」とは言っても、ホムちゃんがこなーと自由気ままに遊んでいただけで特に何があったというわけでもない。
なお、こなーと『ウォルフ」2もホムちゃんと一緒に寝ているので、一階にいるのは僕一人だ。
「それじゃあ、みんなが起きる前に畑仕事を終わらせて……朝ゴハンの準備をしないとね」
―――――――――――
✳︎✳︎✳︎職人通り✳︎✳︎✳︎
農作業を終え、朝ゴハンを作っているとホムちゃんが起きてきて、それからみんなで朝ゴハンを食べた。そして今、僕とホムちゃんは身なりを整えて街の『職人通り』まで来ていた。
「ホムはアトリエに戻ります。このたびはありがとうございました」
ペコリと頭を下げてお礼を言うホムちゃん。
「ううん、むしろ 何も用意できなくてごめんね。また今度は事前に言ってくれるとうれしいな」
「……? こなーと遊べて、おいしいゴハンもあって……これ以上ないくらいだったと思いますが? ですが、「また」というのは楽しみですね。またこなーと遊びたいです」
「それでは」と言ってホムちゃんはアトリエの方へと向かって行った。表情ではわかり辛いホムちゃんだが、その足取りは心なしかスキップしているように見えるq
「それにしても、自分で言ったことだけど「用意」って何があるかな……?」
僕もそんなことを考えながら歩き出した。
ホムちゃんとこなーが一緒に遊べそうなオモチャとか場所とか……?
いっそのこと、今の家のそばに『離れ』でも造ってみるのも手かもしれない。これからも度々来るなら、そこにベッドルームも作ってお客さん用に整備しとけば何かと便利かも?
「そろそろ『モンスター小屋』も欲しいんだよね……『ウォルフ』も段々と大きくなってきたし」
最初は「ケガが治るまで」と保護していた子『ウォルフ』だったけど、僕も『ウォルフ』もお互いに気に入ってしまって、話し合いの結果、このままの生活を続けようということになったのだ。
ただ、子供だった『ウォルフ』も成長してきて、大型モンスターではないとはいえ流石に人基準の家では不都合が出始めていた。そろそろ専用の一軒家を用意しないといけない時期なんだろう。
「でも、『離れ』はともかく『モンスター小屋』は建てられそうな人がいないよね……」
ここでは「モンスターと暮らす」という考え方が無いみたいだから『モンスター小屋』なんてものは存在しないだろう。
……建築の本でも買って、自分で挑戦してみようかな?
ッドーン!!
遠くから爆発音がした。音がした方へ目を向けると……まあ案の定というかアトリエの方から少し煙があがっていた。
帰っていきなり爆発なんて、ホムちゃんもかわいそうに……。
アーランドに来てすぐは爆発音に驚いたりしてたけど、僕も慣れちゃったんだなー。
――――――――――――
さて、今日 僕が街まで来た理由は、いつもの王宮受付での依頼の確認では無く……
「ご、ゴメンねマイス君。お姉ちゃんがまたムチャなお願いして……」
「気にしないで! このくらいの荷物、なんてことないから!」
今現在、フィリーさんのおつかいのお手伝い中です。
家に籠り気味のフィリーさんを無理矢理外に出すために、エスティさんが王宮で必要になる物の仕入れを おつかいで頼んだことが始まりだ。
「王宮で使う物は定期的に仕入れられているけど、ちょっと手違いで少なくなっちゃっててー」
と、エスティさんは言っていたそうだけど、まあ フィリーさんをおつかいに行かせるための口実作りだと思う
「今回は今日中じゃなくていいわよ。期限は5日後まで。もし ちゃんと出来なかったら……わかってるわよね?」
そんなこんなで、フィリーさんはすぐにおつかいの計画をたてはじめたそうだが、問題が生じた。思っていた以上に買う物の量が多そうで、とても1人では持てそうに無かったのである
ここで僕の登場だ……と言っても大したことではない。ただ「今晩のデザートにでも」と思って『プリン』のおすそわけに、フィリーさんたちの家にちょうど訪ねたため、そのまま巻き込まれるような形で協力することに。
そこで、おつかいのお手伝い――もとい荷物持ちをーー頼まれたのだ。
まぁその時はもう夕暮れ時で、次の日はフィリーさんが何だかわからないけど「ちょっと…」と言ったから、頼まれた日から見て「明後日に行こう」ということになった……。
そして今日がその「明後日」というわけです。
おつかいは大きな問題も無く、フィリーさんもしっかりと……までは行かないけど、女性店員相手なら時折言葉に詰まりながらもちゃんと話せている。男性相手だと上手く話せないようで、僕がフォローに回ってなんとかこなしている。
「あとはもう一軒だけだけど……マイス君、大丈夫?」
「うん、まだまだ大丈夫だよ!」
「それならいいんだけど……疲れたら何時でも言ってね?」
僕のことを心配してくれているフィリーさん
ちゃんと気遣いもできる人だし、人見知りさえなおれば、それなり以上に街の人たちと上手くやっていけそうなんだよね。
「それじゃあ、最後は『職人通り』の……『男の武具屋』……で、す」
まだついてすらないのに涙目でプルプル震えだしてしまったフィリーさん。……まあ、名前からして苦手意識のある男性がいそうで 怖いんだろう。
「大丈夫ですよ、フィリーさん。僕がしっかりフォローしますから」
「で、でもっ! 鍛冶屋さんだよ!? きっと岩みたいな身体で、怖い顔してるよ……」
「そうかな? そんなイメージはあんまり無いけど?」
「鍛冶仕事してたらゴツゴツになるに決まってるよぅ……」
「鍛冶仕事なら僕もしてるんだけど……」
「えっ」
ああ、そういえばフィリーさんは僕の家の作業場の炉を見たことが無いから知らないのか。
そこまで頻繁にしているわけではないけど、畑仕事に使う『クワ』や『ジョウロ』などを中心に自作していたりはするから、十分に「鍛冶仕事をしてる」っていう範疇には入ってるだろう。
まだ少し「怖い」とごねるフィリーさんの手を引きながら『男の武具屋』へと向かう。
行ったことは無いが場所は知っている。『アトリエ』と『サンライズ食堂』のちょうど間の建物だったはずだ
「っと、ここだ」
「ううっ……そ、それじゃあ、開けるよ」
なんだかんだ言って自分から入ろうとするあたり、フィリーさんの頑張りがうかがえる。自信もついてきたのかもしれない
一度深呼吸をしたかと思うと、フィリーさんは扉を開いて 一歩を踏み出し――――固まってしまった。
どうしたのかと思い、僕も中に入ってみると……
「あっ」
炉から漏れ出す赤い光に照らされて浮かび上がる屈強な筋肉、頭にかぶっているハンチング帽が顔にーー悪い意味でーー適度な影を落とした強面のおじさんがそこにいた。
「おっ? 見ねぇ顔だが……何の用だ?」
こちらに気づいた 店主であろう筋肉の人は 僕たちを見てきた……。
あれ? 先程のような険しい目つきではなくなっていて、話し方もけっこうフランクな感じだ。そんなに見た目ほど怖い人じゃないのかもしれない
とりあえず扉を開けっぱなしておくのも悪いので閉めておき、用件を伝えることとする。
「えっと、武器を買いに来ました……ほら、フィリーさん」
「…………(がくぶるがくぶる)」
あぁ……完全に怖がってしまってる。でも、何を買えばいいのかはフィリーさんしか知らない(正確にはフィリーさんの持っているメモには書いてある)何とかしないと……!
と、考えていると店主さんが なんだか勝手に解釈しだしてしまった。
「んーウチには色々置いちゃいるが、嬢ちゃんたちが使えそうなもんになると、インゴットを自分で用意してもらうオーダーメイドになっちまうが……いいか?」
「ああっ、そうじゃなくて……」
固まったままのフィリーさんの近くに寄り、小さな声で言葉をかける。
「ここは僕で買うから、ちょっとメモを貸してくれないかな?」
「おおおねがいいぅう……」
そう言ってメモを渡してくれたフィリーさんは、結局僕の後ろに隠れてしまった。
でも、僕の方が少し背が低いから当然隠れきれない。フィリーさん自身もそれに気づいたようで、後ずさりで扉そばの部屋角まで退いていった……まあお店の外に逃げ出さなかっただけ 良かったのかもしれないね。
メモの内容を確認し、それを店主さんに伝える。。
「それなら在庫にあるから問題無いけどよ、一体何に使う気なんだ?」
「実は、僕らが使うものじゃなくて 王宮の人からのおつかいなんです。少し補充が必要になったらしくて……」
それを聞いた店主さんは「なるほどな」と納得したように呟いたかと思えば、何故か僕のほうに顔を寄せてきた。
「ついでというか何というか……おれぁ、あの嬢ちゃんに なんか悪い事しちまったかぁ?」
小声の問いかけの内容に少し驚き、店主さんの顔を見てみると、なんともバツの悪そうな顔をしていることに気がつく。
「そんなことは無いんですけど……ただ 少し人見知りで男の人が特に苦手でして。それで店主さんの鍛えられて強そうな格好を見て、怯えちゃったみたいなんです」
「それはアレか? 遠まわしにおれが怖ぇってことか」
「あははは……」
「そうか……」
ハイとは言えずになんとか誤魔化そうと思ったけれど ダメなようだった。
しかし、予想していた反応とは違って、店主さんはすごくションボリとしている。
この人、絶対いい人だよねー……