なんと、今作にも登場しているちむどらごんくんが成長した姿で登場!? ロロナかわいいヤッター!
……本編以外にも書きたいことがたくさんであります。
大変長らくお待たせしました。
正直に言います。「シリアスかけない……」と気付いた時点で何となくそんな風になる気がしてましたが、書き上がったはずなのに、納得というかスッキリしない感じです。不完全燃焼?
各ルートそれぞれ別々の展開を考えた結果のお話です。
そのため、『ロロナ【*12*】』は別にイチャイチャとかそんなのはないです。あくまで「各ルートごとのヒロインを主軸においた『終わりのもの』編ラスト」といった扱いになっております。……そもそも、マイス君がいませんので、イチャイチャさせたくでもできないという……。
というわけで、ロロナ視点でのお話です。
シリアスなんて無かった。
【*12*】
***街道のはずれ***
「「
りおちゃんとフィリーちゃんが言った言葉に、私は固まって……ううん、私以外も固まってしまって……
「……こんな時に、何の冗談よ?」
くーちゃんだけが、そうツッコミを入れてた。まぁ、くーちゃんの言う通りなんだけど……
「
「ええっ……」
疑うような目で見るくーちゃんにフィリーちゃんはタジタジで、そこにりおちゃん
「そ、その、さっきフィリーちゃんが言った6属性以外にも、実は「愛」と何の属性でもない「無」があって……。属性を付与してない武器の攻撃は「無」だと思うけど、それが特別『
「だから、さっきの
「一応、リオネラたちが
……???
りおちゃんの言葉を補足するように付け加えたほろくんとらにゃちゃんだけど、なんだからにゃちゃんの歯切れが悪い気が……? どうかしたんだろう?
放心しかけてたトトリちゃんたちも
「その「愛」属性とやらが『
「じ、実はぁ~……愛属性魔法はもう使ってて
「ミミちゃん、落ち着いてっ。……でも、フィリーさん。使ってたのに使えないって、どうい……う…………ああっ!? も、もしかして……!」
トトリちゃんが途中で
……そんな姿を見たフィリーちゃんが申し訳なさそうに――りおちゃんが苦笑いをして頷いたのを見て私も確信してしまい、必要無いかもしれないけど万が一外れてる可能性を考えて、一応聞いてみる。
「
「はいぃ」
「実は攻撃用の魔法は無くって……」
二人の言葉を聞いて、私はひとり心の中で「やっぱりかぁ」と呟く。
隣にいたほむちゃんは「愛情は傷を癒すと聞いたことがありましたが、事実でしたか」って納得したように頷いてるけど、それ、違うと思うよ?
「むしろ、何で
「そうねぇ、『エンゼルフルハート』って名前だけはそれっぽいけど、何か心当たりは?」
「ううっ……それを聞かれても、よくわかんないとしか……」
『エンゼルフルハート』にそんな力があったなんて初めて知ったし、「愛」属性なんてのも全然知らなかったわけで、そんな聞かれても何にもわかんないから教えようが無いんだよね……。
そもそも、マイス君から属性のことなんて聞いたことはまるでなかった。『魔法』についても『学校』の話をしてた時にポロッと聞いて、それから大々的にマイス君がお祭りで公開したあの時にようやくちゃんと見たわけで……うーん、むしろりおちゃんのチカラのほうが私の中じゃぁ魔法って感じだもんなぁ。
でも、何か忘れてるような……? ぞくせーまほー……ううん、なんか違う。もっとこう、『錬金術』関係……でもなくて…………愛……それはもっと違う。
……なんとういか、こう、もっと最近も耳にしてて……属性…………
―――――――――言えば「属性」という方向性を持った――――――――――――――――――
あれ? マイス君が『農業』のこと以外でそんな真面目な感じで喋ってる時なんてあったっけ?
って、だから、まずマイス君から『魔法』とか『属性』のことを聞いた憶え自体無いんだって! ……ん? それじゃあ、
「つまり、必死こいて探った『
くーちゃん……じゃないなぁ。さっきの感じからして『属性』のことも知らないっぽかったから違うはず。
「それは……あっ! ええっと一か八かで回復魔法、『
フィリーちゃん……も違う気がする。『魔法』や『属性』のことはきっとわたしよりももっと知ってるだろうけど、そんな話、今の今までしたことなかったし……。
「それで『
もっともなことを言ってるミミちゃん……は、『
「でも、他の属性も効果が無いわけじゃないですし、みんなでやればなんとかなりますよ!」
胸の前で手をぎゅっとしてるトトリちゃん……も、私とあんまりかわんないくらい知らないっぽかったから、違うよね。『錬金術』のことならそれなりに真面目に話したりはしてるんだけど……
「マァ、最初のころとは違って大体対応はできるようになってきてっからな」
「そうねぇ。瞬間移動に気を付けさえすれば人数と手数の優位で何とか押し込めるんじゃないかしら?」
「う、うん、絶対大丈夫っ! がんばろう!」
気合を入れてるりおちゃんたち……が一番『魔法』について知ってるはずだけど、もし何かわかることがあるなら既に言ってそうだけど……愛属性みたいに何かうっかり忘れてたり? ないかな?
「マスター、先程からうんうん唸っていますが、どうかしたんですか? どこか怪我でも……?」
そう言い心配そうな
「…………あっ」
――――簡単に言えば「属性」という方向性を持った「凝縮され結晶化した『ルーン』」――
「? ホムの顔に何か付いて――」
「ああー! それだーーーーっ!!」
『――――――!』
私が
「ちょっ、なによ
「くーちゃん!? ち、違うよ! これは
私たちの間を『
んんっ? 通り過ぎた
ああ、そうそう、あれはホント最初のころ、結局はりおちゃんたちが防いでくれたあの大爆発、それをおこしたやつだー……ちょっと小さくなってる気がするけど。
はれ?
「ひやぁあっ~!」
跳ぶようにその場から離れたそのすぐ後に、爆発が三つ立て続けに起こった。その規模はあの時の大爆発ほどじゃなくて、一つ一つは人一人分くらいの大きさだった。
けど、すごく痛そうなのは相変わらずで、危うくあれに巻き込まれそうだったって考えるとちょっと冷や汗が……って、それより今はっ!
「ああ、いたっ!! トトリちゃん! ミミちゃんの!」
「「えっ」」
『
って、今のは急いでた私の口から出た言葉が悪かったよね。一旦、落ち着いて……
「ええっと違うくて、トトリちゃんアレッ! ミミちゃんから預かったあの袋貸して!」
「え、あ、はいっ。それはいいですけど……?」
「どうしたんだろう?」って顔をしながらもポーチからガサゴソ取り出して、
「先生、いきなりどうしたんですか!?
「うん、そうなんだけどね。もしかしたら……『
「ええっ!? それはまあ、ある意味ではエネルギーの塊ですし、それを上手く攻撃に転用できればダメージを与えられるかもしれませんけど……! でも、それでも今からっていうのは難しくないですか? 『ゲート』発生装置を
言ってることはその
そして、じれったくなって、袋を逆さまにしてバサーッと中身をぶちまけた私は今、それらを見つけた。5,6個目に付く、
「あった!
「ロロナ先生っ! も、もしかして、コレが『愛属性』の『結晶』なんですか!? そうなんですね!」
そう。トトリちゃんが言うように、『
「思い出してみれば、『属性結晶』ってほむちゃんが『ルーン』の集め方を教えてくれた時に言ってた
「『属性結晶』が持ってる属性は、『
目をキラキラさせるトトリちゃんに、私は大きく頷いて見せる。
辺りに散らばった『属性結晶』は形も色も様々で、私の記憶にあるだけで8種類くらいだったはず。今の今まで気にしたことは無かったけど、よくよく考えてみたら、今日聞いた「無」「愛」を含めた『
もちろん偶然かもしれない。けど、今目の前に見える『属性結晶』を見てみれば、話に聞いた『属性』とは無関係には見えない。
燃え揺らめく火のような形をした赤い結晶。滴る雫のような形をした水色の結晶。逆巻く竜巻のような形をした白い結晶。ゴツゴツとした岩のような形をした薄茶色の結晶。まるで深い穴に吸い込まれ落ちていくかのように渦巻く暗い紫色の結晶。ぴかっと輝く閃光のような形の黄色い結晶。そこら辺の小石のように小さい緑色の結晶。……そして、いわゆるハート型と呼ばれる形をした真っ赤な結晶。
よくわからないのが若干1種類あるけど、それ以外はすんなりと『属性』に当てはめることはできる。ハート型の結晶も、その見た目的にも、消去法でいっても『愛属性』であることはほぼ間違い無い…………はずっ!
そして……
「結晶から属性のチカラを引き出してそれを使って調合すれば、『
それはもう、これまで『
「話は聞かせてもらいました。ホムのことを指差してから騒ぎ出したかと思えば、そういうことだったのですね、マスター。では、急いでアトリエに戻って調合を……そういえば『トラベルゲート』は……?」
「えっと、冒険じゃなかったし遠くまで行く予定じゃなかったから持って来てなくて……」
「では徒歩になってしまいますが……それだと、むしろ『青の農村』のほうが近いですね。おにいちゃんの家にも錬金釜はありますし、素材も『愛属性の結晶』はここにありますしおにいちゃんの家なら大抵揃うでしょうし、そちらへ行ったほうが早いでしょう」
「そうですねっ。『
トトリちゃんが言うように、今、こうして三人が少し離れて援護が減っている状態。危ない状況は全く無いとは言い切れないけど、それでも『
確かに、その通りなんだけど……
「ううん、
「……ここで?」
「あー、それは知ってますけど……大丈夫ですか、先生?」
眉間にムギュっとシワを寄せて首をコテンッとかわいくかしげるホムちゃんと、「え~」って感じに嫌そうな
そんなに心配しなくていいのに……
「大丈夫だいじょーぶ! だから、二人はみんなを手伝ってあげて」
「マスターがそう言うのなら……。代わりにと言ってはなんですが、
ほむちゃんがそう言うと、どこからかトテトテと駆け寄ってきたちむちゃんたち。竜巻で遠くまで飛ばされてた子も戻ってきてたのか、いつの間にか4人になってて「「「「ちむっ!」」」」って仲良く掛け声をあげてた。
「わかりました。それじゃあお願いしますね先生! …………なんだか、そこはかとなくイヤな予感がしますけど」
最後にポツリと呟いてから駆け出すトトリちゃん。ほむちゃんもその後をついて行った……。
トトリちゃん、なんでそんなに心配しちゃうんだろう?
「なにはともあれ、手早くつくっちゃってあんな奴倒しちゃおー!」
「「「「ちむ~!」」」」
カゴなんかよりも何倍も大きい錬金釜(冒険の時用)をヒョイっと取り出す。
初めてやってみせた時トトリちゃんはすっごく驚いてたけど、今のトトリちゃんならこのくらい簡単にできる……はず。じゃないと冒険に持って行けない
「それじゃ、いっくよ~! 『愛属性の結晶』投・入!!」
『愛属性の結晶』を6個バラバラーっと錬金釜へと頬り込む。
ここからこうしてぐーるぐーるとかき混ぜて……そうしたら凝縮してひとまとめに……そうしたら純粋な『愛属性』の塊になる。そこに
「……ちむ?」クンクン
「ちむむっ!」
「ち~む~……」クゥ~
「…………」ヨダレダラー
「ふえっ? どうかした…………ああ、なんだかいい匂い~♥。まるで『パイ』が焼けてくような甘くて香ばしい…………ん? 『パイ』?」
この匂いがしてるのは、間違い無く今私がかき混ぜてる錬金釜から……。
あれ? 『パイ』の材料なんて入れてないよね? 色々『パイ』にしちゃったことはあるけど、今は別にお腹減ってないし、誰かと一緒にかき混ぜてないし……そもそも今回は「『パイ』にしよう!」だなんて全く思ってなかったよ!?
気のせいだって自分に言い聞かせて思いっきりぐーるぐーる混ぜ続ければ、ほらっ――――甘くて香ばしい香りが強くなっていって……
「で、でっきたー! ハート型のパイ、名付けて『愛のパイ』~…………どうしてこうなったの?」
よくよく考えてみれば、基本的に冒険中に調合したことあるのって『パイ』だけで、他の道具は手持ちのやつだけで大抵何とかなってたし……正直に言うと、冒険の最中に、採取したのを見て「あっ、これ『パイ』にしたらいい感じかも!」って思ったらぽーいって入れてぐるぐるして…………あ、うん、今さっきのと大体同じ流れだね。
きっとトトリちゃんもわたしが冒険先で『パイ』しか調合してないことを思い出して、心配してたんだね……今になってようやくわかった気がする。
ていうか、手元にあった『愛属性の結晶』全部がひとまとめになって『パイ』になっちゃった……ど、どうしよう?
「ちむー!!」
「ちっむちっむ!」
「……! ……!」
「ちぃ~むぅっ!」
でも、ちむちゃんたちには大人気。「ちょうだい!ちょうだい!」って跳んでアピールしたり、わたしの脚をよじ登って来たり、もの凄い真っ直ぐな眼をして無言で訴えてきたり、何故か踊り回ったり…………その視線はわたしじゃなくて、わたしの手にある『愛のパイ』にしか向いてないんだけどね。
「かわいい……って、そうじゃなくって、『
「「「「ちむむ?」」」」
――――『パイ』が?
そう言われた気がしたけど……気のせい、だよね?
「でも、確かに『パイ』だもんね。回復魔法じゃないけど、逆に敵が回復しちゃうような……うわぁ!? スカートひっぱって……いや登らないで――って他の子も~!?」
最初に登ってきてた子に続けとばかりに他の3人も……! こ、こそばゆいし、独りならまだしも計4人となるとさすがに重さが……それも、段々と上のほうへくるとなおのことでぇ!
なんとか踏ん張るけど、もう一番最初の子が腰を通過、そして次々に上半身をマントとかを掴んで登って……
「だからーダメだってばー!」
もう時間の問題な気もするけど、なんとか『愛のパイ』をちむちゃんたちに盗られないように、腕を伸ばして頭の上にあげて少しでも届かないように――――
――ピカッ!!
「へっ?」
いきなりのことに、反射的に頭上へと目をやって……やっぱり何も持っていない自分の手が見える――――だけじゃなかった。
「
あれ? ……ああそっか、黒い靄で……その隙間から見える色は茶色っぽくて…………でも、ちょっと真上からはズレてるけど、アレはわたしの頭上のはるか上空にあるから、今見えてる部分は陰ってるはず。となると、あれはもっと黒さは無いはずで、きっとこげ茶色というかそんな色なんじゃ…………まるで、こんがりと焼き上がった――――
――――ん? 形といい色といい、なんだかとっても見覚えがあるような……?
……そんな風に
――ベチョン
原型は全然残ってるんだけど、なんだか
「あ、あははは……も、もしかして、これ、わたしが悪いのかな……?」
わざとじゃないけど……でも……
そう思って、わたしにまとわりついてるちむちゃんたちに聞いてみた。
けど、ちむちゃんたちは落ちてきた巨大な『愛のパイ』に放心してるみたい……ああっ、違う。みんなヨダレたらしてる。おっきなパイに目を奪われてるだけだ、これ! そんなに食べたいのかな? 確かにいい匂いはするし、ちょっと気になるし、やっぱり大きいってだけでなんだか特別感があって…………
「ロ~ロ~ナ~?」
聞き覚えのあり過ぎる、ちょっと怒った感じのくーちゃんの声に、わたしは巨大なパイへと向いていた意識が引き戻された。
くーちゃんは、その巨大なパイから這い出してきて……ちょっとべとべとしたのが顔や身体中についたままこっちに……ああっ! 入れ替わるように、わたしから離れたちむちゃんたちが巨大なパイへと一直線に!! って、くーちゃん以外の皆もゆっくりとだけど出てきて……
「昔、あんたに『パイ』をぶつけられたことがあったんだけど……まさか今になってここまでのことをしてくるなんてねぇ?」
確かに昔、まだ王国からの課題をこなしてたころ、『メテオール』をつかったパイ・『パイメテオール』をつくった時に、その効果でたまたまアトリエの近くを歩いていたくーちゃんに『パイ』が降ってきたことが……! ううっ、みんなのことも気になるけど、目の前まで来たパイまみれのくーちゃんの声から感じる怒気がすごい……!
口元は笑ってるけど、目は瞑ってるし、こめかみはピクピク動いてるしで……絶対もの凄く怒ってるよ!!
「あ、あの『パイメテオール』の時の……あれもわざとじゃなかったんだけど、今回もちょっとその、わたしにもわけわかんないことになってて……! ご、ごめんね!? 顔だけでもすぐに拭くからっ!」
ハンカチを取り出して、一番影響があると思う目元から拭き取ってそのままほっぺたのほうも――
「んっ……」
「ううっ、洗い流せたらそれが一番良いんだけど……そうだ! 『
くーちゃんも普通に無事なことを考えたら、やっぱり『愛のパイ』に攻撃力なんてものはなくて『
「ちょっと!!」
トトリちゃんやりおちゃんたちが這い出てきた巨大な『愛のパイ』の方が危ないかもしれない! そう思って、そっちへ行こうとしたら、ハンカチを持ってた手をクーちゃんに捕まれて引き戻され……!?
「ま、まだ顔にクリームが付いてるんだけどっ?」
「あぅごめっ…………くーちゃん? もう付いてないみたいだけど……?」
「えっ……そ、そう…………なら、あと髪だけでも……」
「う~……してあげたいけど、『
そう言ったらくーちゃんはシュンとしちゃって……くーちゃんが?
「……もうちょっとかまってくれたっていいじゃない。だって、マイスが戻ってきたらコンナコトできないもの」
「へっ?」
「あたしだってマイスには戻ってきてほしいわよ? でも、少し前から
「どうしたの、くーちゃん!?」
くく、くーちゃんが何か変になってる……!?
まさか、パイで頭を打って変に……「パイで頭を打つ」ってなんか凄く変な気がするけど…………とにかくなんだかおかしいよ!?
「マスター」
「ほむちゃん、いいところに! あと、『パイ』はごめんね! それで、その、なんだかくーちゃんが変になっちゃってて……!」
「それはおそらくあの空から降ってきた『パイ』が原因でしょう。ホム
ううっ!? 薄々そんな気はしてたけど、やっぱり『
というか、ほむちゃんが気付いてるかは微妙だけど、ほむちゃんたちの口に入る前に光って飛んで大きくなってっていう過程が実はあって……あれ? そういえば、ほむちゃんってばさっき「ホムも」って言ってたけど、ほむちゃん自身はそこまで変化が無いような……って、そうじゃなくて! よくよく考えてみたらくーちゃんやほむちゃん以外の人も――――
「――もしかして、『
「ちょっとロロナぁ、なに騒いでんの? ていうか、あたしの話、ちゃんと聞いてる?」
「くーちゃん、今それどころじゃあ……!」
もし『
「心配には及びません。『
「ああ、そうなんだ……よかったー」
言われてみれば、いつの間にやら周囲に散ってた黒い靄は消えてしまってて、空から降り注ぐ太陽の光がちゃんと地表までとどいてる。
まさか『パイ』で倒せるなんて……でも、あの『愛のパイ』は『愛属性の結晶』でつくったんだから、本当に愛属性が弱点だったなら『
「ロロナ先生~……」
む、この声はトトリちゃん!
見れば、ベトベトに汚れちゃってるトトリちゃんとミミちゃんが肩を落としてヨタヨタと歩いてきてた。
「トトリちゃん! ミミちゃん! 大丈夫? 変になってない? 『
「いえ、食べてませんよ。先生が「今から調合する」とか言ってた時点で、なんとなくイヤな予感はしてましたから……やっぱり何かあったんですか?」
「ええっと……ロロナさん、アレ、食べちゃったら何かまずかったんですか? 私、出てくる最中に口に入ったの飲み込んじゃったんですけど……」
不安そうに効いてくるミミちゃん。
……だけど、あれ? あんまり変わってないというか、ほむちゃん以上にどうもなってない……もしかして、効果が発揮されてない? なんで? いやっその、そもそも発動してほしいような効果じゃないっぽいんだけどね?
「今現在判明している効力は、ホムが確認できてる範囲では、外傷・疲労の回復、治癒能力の一時的な向上……さらには、原理は不明ですが心拍数の増加、思考能力の極端化、マスターへの意識集中などが挙げられます。どうやら個人差があるようですが――――」
わたしに変わって説明してくれてるホムちゃんが「例えば……」と言って視線を動かし、それにつられるようにして、わたしやトトリちゃん、ミミちゃんもソッチを見た。
「別に、
「
「将来、ロロナちゃんが私のお義母さんになっちゃうんじゃなくて、今から私がロロナちゃんの
「――――と、このように、マスターへの元々の好感度が高い人物ほど効果の影響を強く受けるようです」
「そ、そうなの……? あれ?」
そもそも食べてないトトリちゃんやトトリちゃん繋がりでの関係が主なミミちゃんはともかくとしても、ほむちゃんに効果がそんなになさそうなのはどうして?
え、あれ? ま、まさか……! 実はほむちゃんってわたしのことそんなに好きじゃないの!?
はぅわぁ!? な、なんだかトトリちゃんたちからの視線が……!
「とりあえず、先生の愛の形が『パイ』で、先生の
「幻覚作用があるって言ったほうがマシな気が……マイスさんも大外規格外な人だけど、この人にマイスさんを任せて大丈夫なのかしら? でも、私が口出しするようなことじゃ……」
うぐっ!? トトリちゃん、そんな目で見ないで~! というか、ミミちゃんはそんなとこまで心配してるの!?
そんな時、袖をクイクイッと引っ張る手が……
「マスター」
「ふぇっ……ほむちゃん、なぐさめて――」
「そんなことより、あちらを。甘い匂いに釣られて寄ってきたモンスターたちが、『
「えっ」
そう言われて巨大なパイのほうに目をやると、ほむちゃんが言うように、ちむちゃんたち以外に『ウォルフ』や『ぷに』、『たるリス』などといったモンスターたちがたくさん群がってた。その内の数匹は青い布を身に着けた『青の農村』の子たちだった……逆に言えば、その数匹以外は完全に野良のモンスターたち。
……これ、もしも効力が発揮されたらどうなるんだろう?
※後に、追いかけ回す
皆と協力:トトリ、クーデリア ルート
愛の力(ガチ):ホム、リオネラ、ミミ ルート
ギャグ調:ロロナ(今ここ)、フィリー ルート
……の予定。
『新ロロナのアトリエ』のロロナの必殺技と、『メルルのアトリエ』のちびっこロロナの原理不明の特殊効果パイの片鱗を足して、ルーンファクトリーの愛属性でごちゃ混ぜにした結果、このようなことに……
実際の愛属性に人の精神に作用するような効果は(おそらくきっと)ありませんのであしからず。
★『愛のパイ』
ロロナが『愛の結晶』を素材にいつもの感覚でぐーるぐーるした結果、できてしまったハート型のパイ。
そのまま食べることもできるが、天にかざすことでメテオールのように空から降らせることも可能。敵味方関係無く巻き込んで回復&効果付与……なのだが、一部のモンスターへは大ダメージ。
特殊効果は、実は「対モンスター」と「対人間」で微妙に異なっており、摂取量によって好感度がモンスターでは一律で上がるのに対し、人間では元の好感度が倍増計算で増加される。
なお、愛情は「隠し味」ではなく「原材料」。