前回は大変申し訳ありませんでした!
現在プレイしている『フィリスのアトリエ』ですが、やっとのことで公認試験を終えました。無事、合格でした。
……で、終わりかと思いきや、特に期限なしで旅が再開されました。……ううん、期限が無くなったことで、何をすればいいのやらわからなくなったり、やめ時が見つからなくなったり……
とりあえず、執筆時間と上手く相談したいです。…気づけば予定以上にやってしまっていたりすることもありますけど…
『冒険者』というのは、様々な場所を旅して周るわけだけど……そんな中で、必要となるものがいくつかある
例えば、食料や水。現地調達も出来なくは無いけれど、もし 行き当たりバッタリで入手が出来なかった場合、本当に死活問題になってしまうため 冒険の日数を考慮した最低限の分は出発の時に持っていくべきだろう
そして、もう一つ大切なものがある
それが『武器』だ
おもな街道なんかにはほとんど出現することはないけれど、その他の道や採取地には、人を襲うことのあるモンスターたちが生息していることが大半。場所によって強さの差があったりはするが、モンスターたちは手ごわくて、簡単に勝てるような相手ではない
そこで有用なのが『武器』というわけだ。
武器によって戦闘が問題無く行える上に、戦略だって格段に広がる。それに、冒険者本人の腕もあるけど、基本的には強い武器を用意できれば より強いモンスターを倒せる。それだけ武器は重要なものなのだ
…例外として、わたしやロロナ先生のような『錬金術士』であれば、武器をそんなに気にしなくても『錬金術』で調合したアイテムで戦えたりする人もいたりするけどね。
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***男の武具屋***
わたしは、次の冒険に備えて、そんな大事な武器を手に入れるために、先生のアトリエの隣にある『男の武具屋』に来ていた
『男の武具屋』の店主のハゲルさんには これまでにもお世話になっていて、新しい鉱石から『錬金術』で金属を調合できるようになる度に、冒険を手伝ってくれるみんなの武器を作って貰ったりしてきている
そして今日は、ステルクさんのための大剣を作って貰いに来たんだけど……
「できたぜ。名前通り、ドラゴンさえも引き裂く大剣だ」
そう言ってハゲルさんが見せてくれたのは、『竜裂きの大剣』という名前の猛々しい大剣だった。そのデザインには、その名前にある「竜」…つまりはドラゴンを意識したような部分が所々に見られた
「あの騎士の兄ちゃんが使うなら、これしかねぇよな」
「えっ?凄そうな剣ですけど……ステルクさんとドラゴンって、何か関係があるんですか?」
ハゲルさんが満足気に言った言葉に、わたしは首をかしげる。
「なんだ、聞いてねぇのか?あの兄ちゃん、昔、ドラゴンにやられて大怪我をしたことがあってよ」
「ええっ!?ステルクさんが負けたんですか!?」
ステルクさんは、わたしが知っている人の中でも1位2位を争うくらいの実力者だと思う
「昔」っていうから、もしかするとステルクさんも、今ほどは強くなかったのかもしれないけど……そんなステルクさんが負けるほどの
そんなわたしの不安をよそに、ハゲルさんは当時の事を思い出すように軽く首をひねりながら、そのことについて話してくれた
「いや、勝つには勝ったらしいんだがよ……その時、嬢ちゃんの師匠をかばってやられたらしい」
「ステルクさんが、先生を……素敵なお話ですね」
「だろう?……だが、問題はその後だな」
そう言うハゲルさんは、なんでかもの凄く残念そうな感じに、眉毛をハの字にして押し黙った
「何かあったんですか?」
「あったっていうか、何も無いっていうか…」
「うーん…」とひとしきり唸った後、ハゲルさんが大きく息を吐き……そして、首を振って肩をすくめてみせた
「だってよ、普通そんなことがありゃ、色々と火が点いちまうもんじゃねえか。男と女の仲ってのはよ!」
「は、はあ…?」
「なのに あの二人ときたら、いつまでたっても煮え切らねぇ…! 嬢ちゃんはあの通りドがつくほどの天然だし、兄ちゃんのほうは とんでもねぇ
そう、ドンドン話しだすハゲルさん。まるで これまで何処かで溜まっていたかのように言葉が次から次へと出てきている
けど……その、なんというか……
「あ、あのー……そういう話、わたしにはまだ早いっていうか…、あんまり聞きたくないっていうか……」
「何言ってんだよ!嬢ちゃんくらいの歳ごろなら こういう話……えっと、なんていうんだっけか?……そう!コイバナだ。みんなコイバナが大好物なんだろ?遠慮しねぇで最後まで聞いてけよ」
「みんな大好き、って……一体、どこの情報なんですか…?」
確かに、恋愛のお話に興味が全く無いとは言えない
だけど、先生やステルクさんのような身近過ぎる人の そういう話を聞くのは……なんだか嫌、というか……
「まあ、あの二人がくっつかなかったのには、本人たちの問題が大きいんだろうが……一時期は「三角関係」なんて噂もあってだな」
三角関係って……うわぁ…なんだかドンドン生々しい感じになってきているような……って
「三角関係!?…先生とステルクさんに、もうひとり!?」
驚きのあまり 声に出してしまった後に、わたしは「しまった!?」と感じた
というのも、わたしの反応を見たハゲルさんが「おっ、食いついたか!」と言って「やっぱりこういう話に興味があるんだろう!」と軽快に笑った。……ハゲルさん自身に悪気が無いのが、凄く面倒だ…
「三角関係だから、次の一歩に踏み出せない状況になってしまっていて進展が無かった……ていう噂なんだけどな…」
お話を再開したハゲルさん
わたしはというと、これ以上 生々しい話になって欲しくないから、心の中でずっと「3人目は知らない人でありますように…!」と祈り続けていた
「その三角関係の一人が、あのボウズ……じゃなくて、今はもう立派な村長だったな!」
「村長…?」
「ほら、この村のすぐそばの農村の村長さんだよ」
「うぅー……マイスさんだなんて…。思いっきり知り合いだ…」
もうこれ以上ないくらい、話を聞きたくない三角関係になってしまって……
…あれ?
でも、そんな雰囲気に見えたことは無いんだけど
「まあ、三角関係って言っても、男二人が女を取り合う…って形じゃなくてな。嬢ちゃんが昔っから村長さんのことを 弟のように可愛がってて、その二人の距離感が無駄に近いのが理由で、兄ちゃんが嬢ちゃんとの距離を縮められねぇんじゃないかって話でよ」
ハゲルさんの話に、わたしは少しだけ安心した。…確かに、マイスさんが先生のアトリエに来た時に何度も思ったことだけど、先生とマイスさんはとても仲が良い。なので、ハゲルさんの話も理解できた
だけど……
「マイスさんが…弟……? お世話されるのは、先生のほうですよね? 逆なんじゃあ……」
「……嬢ちゃんの言いたいこともわかる。確かに逆だな」
マイスさんは、ちょっとズレてたり 天然なところもあるけれど、わたしも色々お世話になったりしているように、基本的にはお世話をする側だと思う
「まぁ、その村長さんも村長さんで変わってて……これが兄ちゃんと嬢ちゃんを足して割った感じに恋愛事に鈍くてな。……良い奴だし、あんまり人に嫌われるタイプじゃないんだが、むしろその人の良さと鈍感さのせいで 後ろから刺されたりしそうでよ…」
「あはは……たしかに」
苦笑いを浮かべてしまいながら わたしが思い出したのは、前に『サンライズ食堂』であった騒ぎの事。…あれは恋愛の話じゃなかったけど、大体マイスさんの「そういうところ」のせいだった
「でも、大丈夫だと思いますよ?…きっとマイスさんを男の人って見ている人は ほとんどいないでしょうし」
「…嬢ちゃんって、たまにえげつないこと言うよな……」