プロローグなので短く単調とした印象のものとなっています。
※2019年工事内容※
誤字脱字修正、細かい描写の追加、句読点、行間……
プロローグ「少女たちの日常の中の非日常」
アーランドの街からほど近い『近くの森』と呼ばれる場所、そこからアーランドへと帰還中の一行がいた。
ピンクの服が目立つ、杖を持った少女。ブロンドの髪を背中まで伸ばした小柄な少女。剣をたずさえた目つきの鋭い青年。
一行は少しばかり急ぎ足でアーランドを目指していた。
急ぎ足の理由、それは雨だ。今でこそ小降りとなっている雨だが、つい先刻までは雷鳴が轟くほどの大雨であった。
一行は大雨のうちは雨宿りをしていたのだが、小降りになったとき「このまま止めばいいけど、また大雨になられても困る」との結論を出し、小降りの中歩き出していた。
―――――――――
***街道***
「あれ?」
「どうしたのよ、ロロナ」
小柄な少女がピンクの少女に問いかけた。
ロロナと呼ばれたピンクの少女は、道の少し先のわきの草むらにわずかに見える何かを見ながら言葉を返す……。
「あそこに何か……」
が、その言葉はソレが何なのか遠目からギリギリ判断できたことにより中断されることとなった。
「わぁ!?
ロロナにつられて、小柄な少女は事態を把握できていなかったが突然の行動を起こしたロロナを案じて彼女を追いかけ、青年はロロナの言葉からおおよその事態を把握し周囲に注意を向けながら彼もまたロロナを追いかけた。
ロロナがたどり着いたソコには少年が倒れていた。
「あわわわ!? ど、どうしよう!?」
一帯が血だまりになっていたりはしなかったが、もしかしたら雨に洗い流されたのでは?と考えたり、そもそもこういう時どうすればいいのかわからないロロナはワタワタしだす。
そこに追いついた青年が声をかける。
「私が安否を確認しよう。一応モンスターの気配はしなかったが、君は注意をしておいてくれ」
青年の言葉にロロナは頷き、遅れて追いついた小柄な少女と共に周囲に目を向け安全を確認することとなる。
その間に青年は少年をひととおり確認する。そして、確認を終え恐る恐る近づいてきたロロナたちに告げる。
「大丈夫だ。目立った外傷は無く、息はある」
「よ、よかったー……」
少年の無事に安堵するロロナと小柄な少女。そこに「しかし」と青年は言葉を続ける。
「少しばかり雨に体温を奪われているようだ。幸い街まではあと少しだ、早く連れて帰り休ませるべきだろう。すまない、背負うので少し手を貸してくれないか」
意識の無い人を背負うのは何気に難しい、その人を気遣うならなおさらだ。
青年がしっかりと少年を背負った一行は小降りの雨の中を再び歩きだした。
――――――
青年はわずかに少年に気になるところがあった。
これまでに見たことのない――おそらく異国のものであろう――服や装飾。
そして、異国からの旅人であるならば少なからず持っているであろう荷物がひとつの武器しかないこと。
「荷物が無いだけであれば追剥にあったと考えれば納得できなくもないが、なら武器だけ残っているのは不自然だ」と青年は考えたが、「だとしても、助けない理由などにはなりはしない」と自分の中で結論づけた。