UAは2000を突破!
そして何と拙作評価を10と9という高評価を2つも頂きました。
これもひとえに読者様方のお力添えのお陰です。
これからも頑張らせて頂きますのでどうか皆様よろしくお願いいたします!
「と、いうわけでやって参りました俺のハーレムもとい生徒会!」
「そんな戯言一つも了承してないのだけれど。というか誰に言ってるのよ」
「それはメディアの皆様にですよ。ってあれ? 絵里さん敬語やめたんですか?」
「知ってる? 敬語って敬って語るって書くの」
「うわぁ! 絵里さんの初満面の笑みをここで見たくなかったぁ!」
「仲良しさんやねぇ」
「えぇ! もう昨日は絵里さんが寝かせてくれなくて」
「ふざけないで!」
「ぶべらっ」
な、殴られた。思ってたんとちゃう!
「全く。こんな戯言信じないでよね希」
「あたりまえやよ」
「えぇ! そうですよね! 何せ一昨日は希さんが寝かせてくれませんでしたから!」
「その時まだあってないやろ?」
「いえ、夢の中で」
「希、110番よ」
「何故だっ!」
『当然よっ!』
俺のハーレムはツンツンし過ぎだと思う。
ぜぇぜぇ息を荒らげてるのを見ながら肩をすくめ書類の貯まった机へと向かう。
「全く。女の子がそんな息荒げてはしたないですよ。荒げるのはベッドの上だけにしてくださいよもう」
「当然のようにセクハラ発言をするのをやめなさい! あなた頭のおかしい発言しかできないの!?」
「いえ、絵里さんのツッコミが思いの外ノッてて楽しんでるだけです」
「…………」
「いたっ! いたっ! 無言の叩くのやめてください!」
殴られるのを何とかファイルで死守しながらも落ち着いた頃にファイルをおろし仕事を始める。
「それにしてもまさか真面目に仕事しに来るなんてね」
「意外でした?」
そう聞くと何言ってんだこいつ? みたいな目でじとりとこちらをひと睨みにしてから手元を動かし始める。
「……会って早々告白してきたりハーレムだとか頭の悪そうなことを言っていた奴の何を信用すればいいのかしら」
「うーん……しいて言えば甲斐性と知力と財力ですかね?」
「何をしいればそうなるのよ!」
絵里さんは我儘だなぁ。
「あかん、この空気に混ざれない……」
「あぁ希さんすいません。二人の空気作っちゃって。ね? 絵里さん」
「あたかもそういうふうに言うのやめてくれるかしら、控えめに言わせてもらえば大変気持ち悪い」
「控えなかったら?」
「あなた女の口からなんてことを言わせるつもりなの?」
アンタなんて言うつもりなんだよ。
その切り返しには流石に驚愕したもんだがなんとか立て直して平常心を取り戻す。
「はぁーあ。わかりましたよ真面目にやりますよっと」
「とても気に食わない態度だけどまぁいいわ」
「えりちが今までにないほどペンからすごい音を立ててるわ……」
平常心……平常心……。
ギリ、ギ、ギ、ギ、ギ……という何かがきしむような音が若干心臓に悪いがそれを無視して目の前の書類にペンを走らせる。
ただ碧陽の時はこういう作業も一人でやってたから並行して考え事とか良くしてたんだよなぁ。
懐かしい。
でもいつもいつの間にかぼやぁと考えてた事がすごい壮大な話になってたりして驚くんだよなぁ。
いやいや、今こういう時こそだな。
こういう時こそ平常心を心がけ、
水面の様にしすがな心境で仕事に励めばいい。
…………。
……平常心、か。
思ったんだが平常とは言うけど平常っつーのはどの位置の気持ちを表せばいいんだろうな?
例えばネガティブな人ならそれだけ常に気持ちがある場所って低いわけだろ? 逆もまた然りだ。
まぁそんなのが人によって様々なことなんて今更こう物思いにふけることもなく理解はしているけどそれでも何かと大人はかこつけて平常心とか体の良い言葉で子供を責め立てる。
その子供の平常を理解していないでそういう言葉を使うから今の子供たちは自殺問題を起こしたりするんだ。
そうか、つまり全て心の持ちようなんだ。当たり前のことではあるが、ここにテロリストAさんが二人いたとして片方は気分が悪いAさん、方や気分のいいAさん。経済性も過去も一切変わらないがさてここに一つ気分という不安定な要素を盛り込んだらどうか。
テロ行為というのは酷く世に傷を残す行為だ。それは誰よりもテロリストが理解していると思う。
だからこそ、考えるのだ。俺にはもう、と。
しかしお金がなくても過去が辛くても幸せな人間なんている。沢山いるはずだ。
このAさんもテロを行う当日になにか良いことがあって気分が良かったらきっと、そんなことには走らなかったのだろう。
つまり。
「俺は犯罪者でもあるのか……」
『!?』
ガタンっ! と大きく2つの音が重なった。
目を向けるとそこにいるのは抱きあうようにして身を寄せまるで俺から逃げるような体制を取る会長と希さんだ。
「ちょっと、どうしたんですか二人共」
「ええええ? 杉崎君自分で何言うとるかわかってるん!?」
「そ、そうよ! 犯罪者がどーとか!」
「そんなこと言うわけ無いでしょ! というか俺がそんなことするわけ―――」
『…………』
二人の目を見て悟った。
あ、こいつらマジで犯罪者だと思ってやがる。
「がおー!」
『ビクッ』
……楽しくなってまいりました(ゲス顔)
「うひゃひゃひゃー!」
『ひッ』
ゾクゾク。
「ひひひひひぶべらっ」
『いい加減にしなさいっ!』
思いの外絵里さんだけでなく希さんも良い威力していたことだけはここに記しておこう。
◆
「はい絵里さん。こっちとそれに関連した書類は全部片付きましたよ」
「え? あぁ、はい」
「それと希さん。この生徒要望の案件についてですが取り留めもないものがほとんどなので全部に手を付けるんじゃなくてある程度内容のあるものを抜粋して書き出したほうが早くて効果的ですよ」
「え? あぁ、ありがとう」
「いやぁ流石に三人も居ると能率が良くて助かりますねぇ」
「まって」
突然に横から声が掛かった。
「どうしました絵里さん? 何か不備ありました?」
「い、いえ。そうじゃないのだけれど……貴方中学でも生徒会やってたの? ずいぶんと手慣れてるようだけど」
「あぁそういうことですか。いえ、前の高校で生徒会でしたよ」
『えぇぇぇぇ!?』
「なんで二人してそんな驚くんですかっ」
「いやだって杉崎君が生徒会? ちょっと考えられへんわぁ」
「というかそんなの私だったら抗議を学校に送らせてもらうわ」
「何気に言いますね二人共」
もはやこの俺の扱いに疑問はなくなったようで二人共俺の発言は完璧にスルーしている。
「まぁ生徒会長になろうとしたんですがねー。残念ながら副会長止まりですよ全く」
「えぇ!? だって貴方一年生でしょ!?」
「いえ、本当は今三年ですよ。18歳です」
『ええええええええ!?』
今日一番大きな声だった。
「な、なんですか二人揃って大声あげて!」
『いや、いや! 普通にそれはないでしょ! どう言うこと!? 何が起きてるの!?』
「まぁ色々ありまして」
『色々ありすぎよ!!』
「まぁ、まぁまぁ。もう終わったことですし! こっちじゃただの一年なんですから。……こっち、ではね」
「意味もなく伏線はるのやめーやぁ」
「その時まだ絵里さんと希さんは知らなかった。この音乃木坂で起こる、あの事件の事を……。次回! 音乃木坂崩壊!」
「台無し! 壮大な予告が最後で台なしや!」
「ほら、そろそろ喋ってないで仕事しましょうよ二人共」
「そして正論! アカン手が出そうや!」
「というかそもそもあなた本当は3年生なんでしょう? なんで私達に敬語なんて使ってるのよ」
「……あー、言われてみればそれもそうやね」
そんなやり取りをしていると不思議そうな顔をした会長からそんな言葉がかかる。
「まぁ確かにそうですけど、今の俺は一年生という肩書ですし、仮にも絵里さんや希さんは生徒会の人です。そんなことをすれば下級生にも示しがつきませんしそれを見た周りが“あ、それでいいんだ”と思えば一気にその風潮は広まります。自分勝手な理由でそういう事をすればそうなることは自明の理ですからねー……ってどうしたんですか二人揃って」
なんだかこちらを見て凄いポカーンとしてる。
「あなたって……根は真面目なのね」
「んなっ!?」
絵里さんがつぶやくようにそう漏らす。うわなんか凄い恥ずかしい!
今までとは違った視線に思わずたじろぐ。
「べ、別にそんなことないっすよ! つーかそういうのやめてください! な、なんかあれなんで!」
「へぇー?」
次乗っかってきたのは希さんだった。
「杉崎……いや鍵君ってあーんなこと言っといて根は真面目君やったんやねぇ? 見直しちゃった♡」
「あぅ」
ぐああああ! こ、こそばゆい! 悪い気はしないのに!
むにゅ。
「!?!?!?」
「んー? どうしたんや? 鍵君?」
「ぃや、その……あ、当たって……うぅ」
わざとだな希さん! からかってやってやがる!
「えー? なんや? 聞こえんなぁ」
「う、うぅ、うがーーーー!」
吹っ切れた。なにか頭の中でブツンと言った瞬間俺は声を張り上げ―――逃げた。
「あれ?」
バタンッと扉の閉まる音を最後にそのまま廊下をかけていく。
うああああ! くそぅ! 覚えておけよ!
そんな捨て台詞を胸の中で呟いて俺は落ち着くまで廊下を走り抜けた。
※とは言うがその後すぐに教師に止められて説教されました。
◆
「ふふぅ、えりち。かったで」
「全く希ってば……」
「ええんよ、勝てば官軍や」
「それにしてもまさか、ねぇ?」
「うん、あの子下手な男の子より純情やね」
とはいえ、心の中で希はそうつぶやき。
ドクン、ドクン、ドクン。
(もう、何してんやろウチ。あんな大胆なことして……うぅ)
それと同時に心臓が今までにないくらい早鐘を打ち鳴らしながらも器用にも耳だけを真っ赤にしてそんなことを考えていた。
「…………ふふ」
勿論、そんな様子を見て絵里は静かに微笑んでいた。
ありがとうございました。
※10/1 修正。