ありがとうございます。
まだまだ至らない所が多いでしょうが何卒おねがいします!
そんなこんなでやってきました生徒会室。
いやー、なんというかまた来るとは思わなかったね。
うーん早くも懐かしい。
つー訳で、入りますか!
「ちわー、三河屋でーす」
「ほしい物はないから帰って頂戴。それに一般生徒立入禁止よ」
にべもねぇ。
まぁふざけたこと言いながら入った俺も悪いんだけどさ。
ガクッと肩を落としながらチラリとそちらを見る。
「!!!」
言葉にならなかった。
そこにいたのはまるで金糸のような金髪を持つ青い瞳の女の子。ハーフなんだろうか。いやそんなことはどうでもいい!
「幸せにするから結婚して下さい!」
「ええ!?」
「ふふ、えりちに春がきたみたいやなぁ~」
「ば、バカっ! 何いってんのよ希!」
あ、そういえばもう一人―――い!?
黒髪の落ち着きのある女子生徒だ。ば、バカな!? 俺のスカウターですら測りかねない
「そこのお姉さん系の美少女の君も! 幸せにするから結婚して下さいっ!」
『えぇぇぇぇっ!?』
流石に黒髪の女の子も声を上げて驚いていた。
閑話休題。
「閑話休題って便利ですよね。たとえその前で魔王と戦ってても話ぶった切って日常パートに持っていけるんですから」
「よく分からないけど触れたらいけない気がするからやめておくわ」
コトリ、と目の前に紅茶の入ったカップが置かれる。おいたのは先程の黒髪の美少女だ。
「どうも」
「いいえぇ」
そう言って一口つける。……うん、美味しい。
入れ慣れてる美味しさだ。
「それで、説明してもらえるんでしょうね? 転入生の杉崎君?」
きりっとした顔で目の前に腰掛ける生徒会長……綾瀬絵里という名前らしい。あぁなんて美しいんだ! 正直日守と出会ってなかったら何をしているかわからない。
「いや、説明するも何も言えることは大体言ったんですけど……」
「納得行かないわよ!」
ばんっ。
机を大きく鳴らし立ち上がる。
「理事長と会って話をしてこの学院の状況聞いたら生徒会に入ることになったってどういうこと!?」
「あ、理事長にも告白したっていうの抜けてますよ」
「どうでもいいですそんなの! というか不真面目すぎです! 恋愛するならしっかりと一途にしなさい!」
「失礼ですね! してますよ! 俺はいつだって美少女に一途です!」
「美少ッ!? ―――ここまで不純な言い分は初めて聞いたわ!!」
ハーッ、ハーッと息を切らして怒鳴る生徒会長に「落ち着いてー? えりちー」と宥める希さん。
「あぁもう希さんもほんと可愛いですね! 付き合ってください!」
「ほんと不純やねぇ。煩悩にまみれすぎてるからいややわぁ」
「そうですよね! 愛はこれから育めばいいですよね!」
「えりち助けて~。この子全然理解してくれへん~」
希さんの熱い気持ちは受け取った! そう、全てはここからだ! またもう一度始めよう!
「決めました! この生徒会が俺の新しいハーレムです!」
『何勝手に決めてんの!?』
「えっ、ダメなんですか!?」
『ここに来ての逆ギレ!?』
おおっ、なかなか良いツッコミだ。というか希さんの関西弁ってなんちゃってだったのか思いっきり剥がれてるな。可愛い。
「ふざけるなら帰って頂戴! 仕事なんて今の私達でもどうにでもなるレベルだしこれ以上人手も必要としてないわ! しかも今日の仕事ももう終わる寸前なの! 少なくとも今日は必要ないわ!」
ありゃ。そうだったのか。
真面目に仕事してて偉いなー。
あの会長とは大違いすぎて涙が出そうだ。
「分かりました。取り敢えず今日はもう帰らせてもらいます! ……でも絵里さん、希さん。なにか困ったことがあったらぜひ言って下さい。俺はいつだって美少女の味方ですから!」
最後にそう言って部屋を出ていく。
あー、というかここどこだっけ。どうやったら外に出れるんだ?
まぁいいや。探索も兼ねて見て回ろう。
「ふぅ、ようやく行ったわねあの変態。というより理事長は一体何考えるのよ! あんなのを生徒会に呼ぶなんて! あぁもう不まじめも甚だしい! これだから男は嫌いなのよ!」
「でもえりち。私、会って少しだけ思うたんよ……この人なら、なんかやってくれそうやなって」
「……例のスピリチュアルだがなんだか?」
「ううん。この人からはそう言うの一切ない。気配とか、オーラとか、ほんと普通なんよ。でも―――」
「……でも?」
「なんと言うか、ようわからん」
「えぇ!?」
「いや、だってそうなんやもん。この人がいたら、なんかやってくれそうやなぁって思うけど、それがどうつながるのかもわからない。それに、」
「それに?」
「……いや、やめとくわ! ほら、仕事も終わったし一緒にパフェ食べに行かんえりち!」
「もう希! 仕方ないわね!」
―――最近あれだけ沈んでいたえりちの事、こんなに簡単にいつも通りにしてくれた、しな……。
その言葉はけして相手に届くこともなく、風に乗って消えていった。
◆
だいぶ日が落ちて来て、夕日が綺麗に校内を照らす頃。
「はぁ、はぁ……! なんで校内歩きまわるだけなのに上から金タライ落ちてきたりバナナ踏んで転んだりしなきゃいけねぇんだよ! 西園寺か俺はっ!」
何故か俺はボロボロになっていた。
ボロボロになりながらも校内を回っているせいか先程からすれ違う教師の目が痛い。俺悪くないんだけどなぁ!
「ふぅ、これで残すところあと三階のみか」
手元のメモ帳に大まかな場所を把握するためのメモを取りながら、階段を登って行くと。
――♪……♪……――。
「ん?」
音が、聞こえた。
それは多分ピアノの音だ。足を進めるごとにその音色は強くなる。
「――か――で――♪」
今度はしっかりと聞こえる、ピアノの音と、声。
とても綺麗な物だった。
半無意識的にその音の元へとふらふらと足が進み、やがて辿り着く。
音楽室。
ドアの向こう側。
そこで彼女は―――西木野真姫は、夕日を背景にその白魚のような指で鍵盤を叩き、歌っていた。
「…………」
その様子を呆然と見ている俺。いや、見とれていた。
素直に綺麗だと思った。
そんなふうに見惚れていると、いつの間にか演奏は終わってしまったようで、寂しいような勿体無いような気持ちに駆られた。
いや、ともかく。
「すげーよ。西木野さん。演奏上手いんだな」
そう切り出しながら拍手を送る。
「!?」
するといることに気づいてなかったのかガタッと椅子を鳴らして後ずさる西木ノさん。
えぇ、そんなビビられてるの俺……。
「あ、あ、あわ、あ、あなたっ! 聞いてたの!?」
「おう、めっちゃ聞いてた。いやー校内探索してて本当に良かった。こんな美少女のライブを独り占めできるなんて幸せすぎるぜ!」
「美っ!……うぅ、なんでいたなら早く言わないのよ馬鹿! 恥ずかしいじゃない!」
「いやそんだけ上手いなら何も恥ずかしがる事無いだろ。胸はろうぜ西木野さん……いや真姫ちゃん! 君の演奏はすごいよ。見惚れるぐらいうまい! 俺が保証する!」
ドン、と胸を叩いてそう言ってやる。
うん、本当にこんな可愛くていい声してんのにアイドルになってないのが不思議なレベルだ。
「……別にあなたに保証されたって嬉しくないし」
「ここにきてのツンかぁ。そんなんじゃ俺の事落とせないぞ真姫ちゃん。ほらデレなきゃ」
「そんなつもりかけらもないんだけどっ。というか名前で呼ぶな!」
「ええぇ!?」
「国民的アニメの婿養子みたいに驚かないでよ!」
割とツッコミ人口高いなぁここ。
「まぁでも俺は今のすげー良かったと思ったよ。うまいってだけじゃなくて、心に響いた。そういうのってさ、趣味だからとか、興味あるからとか、そんな簡単な理由じゃ出来ないもんだと思う。だから、尚更すげーよ。だから真姫ちゃんまた聞きに来ていい?」
「……好きにしなさい」
「おうっ。ありがと。じゃあ俺行くわ!」
「ま、待ちなさいよ!」
「ん?」
「……あ、あんたの名前! なんて言うんだっけ!」
顔を真っ赤にして俺にそう聞く真姫ちゃん。なにこれ可愛すぎだろやべぇ。
「おっと、自己紹介が遅れたな。俺の名前は杉崎鍵。この音乃木坂に昨日転入してきた一年生だ」
「そんな変な方向見ながら説明調に言わなくても良いわよ!……杉崎、えっと、あの」
「ん?」
「その……今朝……は……ごめん。あと、今褒めてくれて……あ……がと。……ょろしく」
「!!」
顔を赤らめてモジモジする真姫ちゃん!何だこの生物は!
うおおおおもう辛坊たまらん!
「ってきゃぁ! な、何すんのよ変態! 撫で撫ですんなぁ! ほっぺ触るなぁ! 太もも触るなぁーーー!」
このあと思いっきり引っ叩かれました。
ありがとうございました。
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