あ、こいつエタったかな? と思った人は手をあげなさい。怒らないから。先生怒らないから。
冗談はさておき大変遅れて申し訳ございません。申開きもございません。理由は一応あるのですが……まぁそれは後書きを参照でお願いします。
クトウテンは無知な状態から進捗を活動報告にのせるという新必殺技を思い付いた(?)のでこれからは積極的に活用したいと思います。
こいつしばらく更新してねーなぁ。と思いましたらぜひクトウテンの活動報告でも見てやって下さい。お願い致します。
それではどうぞ。
俺がアルバイトを始めたその次の日の放課後、俺は海未さんに屋上へと呼び出されていた。
告白の絶好のスポットではないだろうか。まだ青い空を見渡せる見晴らしのいい屋上に、爽やかに吹き抜ける風。
なのに、告白かな? といういつものようにふざけた答えは出すことは出来なかった。
……そりゃそうだ。言葉で彼女の親友をこてんぱんにしたのだから。恨まれていてもおかしくない。
……締めあげられる訳じゃないよな? ワレコラうちのモンに何してくれとんねんあぁ!? と声を荒らげ俺の胸倉を掴むグラサンをつけた海未さんが頭の中に再生され頭を振ってそれを消す。
「待たせましたか?」
「ひぃ! 命だけは助けて下さいっ」
そんな時、思わず後ろから聞こえた声にそんな声を返して土下座してしまう。
「……あなたの中で私がどう思われてるかはよぉく分かりました」
「あ、あはは……イヤですね海未さん……冗談ですよ冗談。分かってますから……海未さんなら指一本で勘弁してくれるって事」
「それ絶対わかってませんよね!?」
まったく。と拗ねるように頬を膨らませ斜を向く海未さん。やべぇ超可愛い。普段は綺麗だと言えるスッとしたイメージなのに、こういうギャップを感じる所が彼女の魅力なのかもしれない。
「それで、あの……なんで俺呼ばれたんでしょうか?」
恐る恐る、と言った具合に聞いてみると、海未さんは何故かバツが悪そうにしゅんとしながら視線をまたずらした。
「……いえ、あの、お詫びを」
お詫び?
あぁ。
「いや、あの時の事はもう謝らなくていいって言ったじゃないですか! ほら、友達ですし?」
友達って言うの恥ずかしいよな。これで否定されたりしたら泣くけど。しかし海未さんはその言葉にも納得してない様にうつむいて……あ、あれ? と、友達ですよね? 否定とかしないよね?
「そうではなくて……あの、昨日の事、です」
「……あぁ」
そこでようやく得心が行く。そしてだいたい理解できた。
今海未さんが何を考えているのかが。
「……本来であればあの言葉は私が穂乃果に言うべきでした。あの子は昔から思い付いたらすぐ行動するような子なので……考えが足りてないんです」
「はは、言いますね海未さん」
「だってそうなんです。―――でも、そんなあの子がいつも私達を助けてくれてて、本当に感謝しているんですよ?」
「そうでしょうね」
あぁ確かにそうだろう。彼女はそういう存在だ。
明るくて、もう敵なしな位心が強くて。
全てを包み込むように、
『―――杉崎。お茶ちょーだい!』
なんて。彼女の姿とあの人の姿がダブつく。
本当に、似ている。
「―――ですから、あの」
「海未ちゃん!」
その時だ。屋上の入り口から声が聞こえた。
そちらに視線をやれば、いたのは肩で息をする高坂さんと南さんだった。
「はぁ、はぁ……ず、ずるいよ、海未ちゃん。そういうこと全部一人でやろうとするんだから」
「ふぅ……はぁ……そうだよ……海未ちゃん。“私達”の問題なんだから……私達で解決しよ?」
「穂乃果、ことり。……すいません、分かりました」
そう言って海未さんは微笑みを作り高坂さんの横に立った。
そこまで見届けて、少し表情を引き締めて口を開く。
「答えは決まったんですか?」
「うん、決まったよ。―――私、やっぱりスクールアイドルになる」
胸に手を当てながら、高坂さんは迷わずそういった。
「失敗するかもしれないですよ? もしかしたらなんの否のない貴方にバッシングが来るような出来事が起きるかもしれない」
「それでもやるよ。だって、私が今やらなかったら誰もしないもん!」
あぁ、全くもう。
海未さんの気持ちがわかる気がする。
抜けてるくせに、頭も良くないくせに、それでも愚直に目標を叶える為にただ突き進む。
その姿はまさにあの人の様で。
「本当にやめるつもりはないんですね?」
「ないよ」
「本当に?」
「うん」
「そうですか。なら―――俺も手伝いましょう」
「……うぇ?」
高坂さんはそんな抜けた声を漏らした。
「でも君は……反対してたんじゃ」
「穂乃果は本当に馬鹿ですね。杉崎君はあなたを心配していたんですよ。そうですよね?」
呆れたような物言いだが、その声は底抜けに優しいものだ。
そして海未さんも訴えかけるような目がいたい。いや確かにその通りなんだけど……。
「えーっと、なんつーかそう言われると恥ずかしいもんがありますけど……まぁ、大体はそうですかね」
「えぇ!? そ、そのごめんなさいっ! 私勘違いして!」
「い、いや! そんな気にしないで下さい! そう思われても仕方ない言い方でしたから」
慌ててこちらに頭を下げる高坂さんを止めてむしろこっちが謝る。ほんといい子だよなぁ高坂さん。
「ふふ、良かったね穂乃果ちゃん」
ソプラノの柔らかい声が後ろから聞こえる。それは灰色の様な髪をした女の子で、
「南さんですよね! ずっとお話したかったんですほら! 理事長とは何か親戚だったりします!?」
「わぁっ。 え、えっと、理事長はお母さんだけど……」
「お母さん!? 俺は人妻に告白したのか!」
『えぇ!?』
三人が俺の言葉を聞いて驚いた声を上げる。
「理事長にって杉崎君何考えてるんですか!」
「えへへ、いや、つい」
「ついで済ませていい事じゃないでしょう!」
「そういえばこの前お母さんが告白されたって言ってたのって」
「えぇ!? す、杉崎君はオトナなんだねっ」
「じゃあ高坂さんも俺と一緒にオトナになりまごあっ!?」
「穂乃果に何するつもりですか!! ただじゃおきませんよ!」
「も、最早ただで済んでないんですが……」
海未さんのパンチが俺の腹部を捉える。
少し海未さんを舐めていた。この人地味に深夏位のダメージがあるぞ。
「全く……貴方って人は真面目だったり不真面目だったり……はっきりして欲しいです」
「ははは。不真面目ですよ。不真面目にだらけて皆でワイワイやるのが俺は好きなんですから」
「それでもしっかりやる事はやってからそうするんでしょう?」
「そりゃそうですよ。真面目にやった後に不真面目なことをするから楽しいんです」
「―――穂乃果、聞いてましたか今の言葉?」
「え、えええっ。海未ちゃんそのキラーパスはやめてよー!」
そんなやり取りに思わず声を上げて笑ってしまう。
「ははははっ。本当に仲いいですねぇ」
「うー! 笑うなんて酷いよ杉崎くん!」
「あぁごめんごめん高坂さん」
「んー……ねぇ杉崎くん。名前で呼んでいいよ?」
「うえっ?」
「だって呼びにくいでしょ? それに、私達の事手伝ってくれる大事な友達だもん! 先輩後輩なんて気にしないで呼び捨てにしよう? ね! 鍵君っ」
天真爛漫に、息を吐くかの如く人を魅了する人間。
全く、どこにでも居るもんじゃないはずなのに、いるもんなんだなぁ。会長みたいな人。
「―――――。ホント敵わないなぁ。分かったよ。穂乃果ちゃん。宜しく」
「え、えへへ。いっといてなんだけどこれ割と照れるね……男の子に名前で呼ばれるのって」
「ふふっ、穂乃果ちゃん珍しいね? あ、杉崎君! ことりの事もことりでいいよ? 後、ありがとう! ああやって言ってくれて」
「お、おう。そんなことないです……ないよ? あぁでもことりちゃんはことりちゃんって感じだから馴染みやすいかも。宜しくっ。というか付き合ってくれ! 母子とも共!」
「す、杉崎君は不潔だよぅ」
「あはははっ」
穂乃果ちゃんの笑い声が響く。それはいいんだけど。
「あの……海未さん? どうかしましたか?」
なんだか約一名、このやり取りでむっつりしてしまったんですが……。
「杉崎君……」
「は、はい。なんでしょうか」
「穂乃果はなんと呼ぶんです?」
「えっと……穂乃果ちゃん」
「……ことりは?」
「んーと……ことりちゃん」
「…………じゃあ私は?」
「海未さん」
「なんでですかっ!」
即答したら怒られた。
「え、えぇ!? だって穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃんっぽいしことりちゃんもことりちゃんって感じだし」
「私はじゃあ何なんですか!」
「海未さん」
「ううううなぁあああーーー!」
「痛い痛いっ! 海未さんバシバシ叩かないでください!」
半分涙目で殴られた。
「うぅ……私はそんな女の子らしくないんでしょうか……」
あぁ。とそこでようやく海未さんの悩みに気づいた。
そんなことで悩むなんて!
「何言ってるんですか! 海未さんは穂乃果ちゃんともことりちゃんともジャンルは違いますがすごい美少女ッスよ! 黒く長い髪とその礼儀正しい口調! そして垣間見せる優しさ! そして何よりもその美しさ! まさに大和撫子を思わせる美しさではないですか! いいですか!? 海未さんは可愛いんじゃなくて綺麗なんです! とっても綺麗で美し―――ぃ………い?」
そこで、ようやく気づいた。
勿論穂乃果ちゃんとことりちゃんがうわぁ、うわぁとあぷあぷしてるのもあるが、それ以上に目の前。
つまり海未さんが。
プルプルと顔を真っ赤にして震えている。
怒りか、羞恥なのかは分からない。
でもこの後の展開はだいたい読めた。
「うううぅ―――バカぁっ!」
「ですよねぶけらァッ!」
晴れ渡る屋上。外では何やらその日屋上で空飛ぶ人影を見たという噂が出ていた。
◆
その日の生徒会室。
「あら、春なのに季節外れの
「うわぁアニメみたいについとる……。で、なにしたん?」
「二人共俺が何かしたっていう前提なんですか?」
『勿論』
「う、ううう、うがー! 言いましたねあんたら! ふふふ。こうなったらヤケだ! 男の恐ろしさをその体に刻み込んで―――」
バチンッ! バチンッ!
……その日は右頬と左頬、そして首筋に大きくもみじを貼り付けた男子生徒がいたとかいないとか。
あぁ、まぁ今回遅れた理由なんですけどね。
エタり掛けました。
えぇ。先生怒りませんよ。殴って頂いて構いませんよ、ほんとこれは酷い(
前書きのとおりなのですがスランプとかに陥ったらまずこれからは割烹に載せますので、お暇がありましたら見てみてくだせぇ。
有難う御座いました。