ということで、恒例の今回のお話。
みなさん、今までの戦いを振り返ってみてください。もしも、知らない人がいれば何戦か見て下さると嬉しいです。
まあ、それはいいのですが……思うことは無いですか? あ、作者に文才が無いとか、内容が薄いとか、そういうことは置いてほしいのです。
僕は、思うところがありました。それは…………
“使心獣”に武器が無いじゃないかあああああああ!!!!!
ということです。きっとこれについて考えていた読者さんはいたはずです。……読者の方、いますよね?
い、居るという方向で行きましょう。それで、今回はそれについて。
それともう一つ。それはサブタイトルにあるように“驚愕”の“
……不憫ですよね? なので、今回、活躍の場を設けました。これで、安心してストーリーを進められますね。
ということで、お楽しみいただければ幸いです。
??? ???研究所
「ドクター?」
「なんだい?」
「仮面ライダーなんですけど……」
何処かの研究所。そこで、一人の青年が白衣の科学者に話しかけていた。
「あいつ、武器を使いますよね?」
「そうだな」
「俺たちは、いつも素手なんですよ」
「それで?」
科学者は分かっているが、相手すっとぼけた。青年はジト目で、科学者をにらみながら続きを言った。
「だからですね……武器が欲しいです」
科学者は何の返事も返さずに、にやりと笑った。そして、いきなり立ち上がって歩き出す。青年もそれを目で追った。
「何してるんですか?」
「まあ、見ていなさい」
青年の質問を流して、科学者は、とある場所で立ち止り、扉を開いた。
鈴原町 三坂貴大宅
「轟け驚愕を!! ……絶対、変だな」
「何をしてるの?」
休日の三坂家。貴大は、いきなり叫んでダメ出しをする、という良く分からないことをしていた。そして、それを見ていた翔逸は、さすがに気なったのか貴大の訊いていた。
「いやさ、ハーツになって必殺技を使うだろ? その時に、いつも決め台詞を叫んでるのを覚えてるか?」
「覚えてるよ。それで?」
「それでさ、まだ決まってないフォームの決め台詞を決めたいんだ」
「そうなんだ。大変だね……」
実際、大したことではないが、今の貴大や意味が分かっていない翔逸にはおおごとになってしまったらしい。
「何がいいかな……。落とせ驚愕を!! ……うーん、これかな?」
「いいんじゃないかな。轟くの方がかっこいいけど」
「だよなあ」
「でも、仕方ないよ。……さあ、他のも考えようよ」
「そうだな!!」
ひとまず、一つは決まったので、二つ目以降も決めていく二人。こうして、時間は過ぎていく。
鈴本町 鈴音中央商店街
「
「知らぬ。……
鈴音中央商店街の真ん中。そこで、二人の青年が歩きながら話していた。その二人とは、陸と呼ばれた神々しさがある青年と、空と呼ばれた軽そうな青年だ。そして、もう一人、海と呼ばれる人物がいるようだ。
「俺は陸と一緒にいたいの。……あ!! ちょ、ちょっと待ってよ!! へ、変な意味は無いからな!!」
「変な意味? 何だそれは……」
「わ、分からないなら、それでいいよ!!」
空は必死になって取り繕う。陸は空の方を向いて、軽く殺気を混ぜながら言った。
「教えるのだ!! “陸の王者”たる我が、“空の覇者”たる汝に遅れてはならない!!」
「“陸の王者”とか、“空の覇者”なんて気にしなくていいんだって!! 強いならそれでよし!!」
「……そうだな。王者に必要なのは、カリスマと実力。この二つのみだからな」
空の懸命の説得の結果、なんとか陸を抑えこむことができたようだ。空はほっと息をついた。そして、その時、近くにいた人物に声をかけられた。そこには、一人の占い師がいた。
「あなた達」
「ん? ……俺たちのこと?」
「そうよ。“使心獣”」
「っ!? ……そうか。そういうことねえ」
空は占い師の発言に驚くが、すぐに落ち着いて殺気を向けた。陸も同じように殺気を向けた。占い師は両手をあげて言った。
「あなた達と戦うつもりは無いわ。今回は話すだけ」
「……信じられないね」
「ああ、空の言うとおりだ」
「確かにね。それなら、“怪人体”にでもなればいいじゃない」
空や陸達の殺気をもろともせず、占い師は平静を装っている。しばらく沈黙が走ると、占い師から話しだした。
「私ね、仮面ライダーよ」
「……三人目……!!」
「そうね。おそらく私が最後の仮面ライダー。そして、最強のライダーよ」
「自分でそう言うなんて面白いねえ。仮面ライダーで最強でも、真の意味で最強なのは、うちのドクターだけどね」
「ドクター?」
空はぺらぺらと話していく。周りが何を言っても聞かないのは、おしゃべり好きな証拠かもしれない。
「そうさ!! なにしろドクターはあの、%”#%$#&”!! ……プハッ!! な、何するんだ!!」
「勝手に話してはならん。海が耐えることを覚えねばならぬように、汝は黙るということを覚えねばならん」
「……ちぇっ、仕方ないな」
何かを言おうとしたところで、空は陸に口をふさがれてしまった。空はすぐに怒るが、陸の話が正論だったので、おとなしく引きさがった。
「それで? 我らに何の用だ?」
「あなた達が、話のわかる奴らか見ておきたかったのよ。……あなた達、これ以上人を
「汝は、我等の存在意義を否定するのか?」
「それが、あなた達の存在意義であるというのなら」
一発触発。何かあれば、すぐに戦闘になりそうな雰囲気である。しばらく無言の状況が続いたが、陸がその沈黙を破った。
「我は王だ。王は上に立つ者。我の上とはいえぬ者の指示を受ける気は無い。行くぞ」
「お、おう……」
「…………」
陸はそれだけ言って、その場を去っていく。空の方も、占い師の方を一瞥しただけで、すぐに陸を追いかけた。占い師は無言でその場から動かなかったが、しばらくして、荷物をまとめて何処かへ去って行った。
鈴田町 某所
「フンフンフン♪フフン♪フン♪」
鼻歌を歌いながら帰る少年。今着ている服が剣道の道着であることから、試合で試合に勝ったのかと推測できる。そんな彼の後ろには、フードつきのコートを着た人物。
「メーン!! だってさ。うわあ、僕じゃなかったみたいだったな……」
「……では、もう一度してみればいいのではないか?」
「え?」
少年はいきなり声をかけられたことに驚いた。少年がすぐに振り向くと、そこには大きな二本の刀を持った人物が、ニヤニヤ笑いながら立っていた。
「さあ、竹刀を抜きな。これの実力の確認、させて貰うぜ」
「……あの、いやなんですけど」
少年は、拒否権を主張した。しかし、刀を持った人物は、少年の意見を聞かずに刀を振り上げる。
「拒否権何ざ、お前にはねえよ。それでもいやって言うなら……」
そして、ニヤッと笑うとこう言った。
「……勝手に切り刻むだけだ」
「あ、ああ……ああああ!!!!!」
少年はすぐに竹刀を出して、刀を持った人物に走って行った。
鈴谷町 鈴音東高等学校
「ねえ、三坂君はあの噂聞いた?」
「あの噂?」
鈴音東高校の都市伝説研究部、略して“都市研”は部員が貴大と優希の二名だけ、という廃部ギリギリの部活である。
「あれだよ、あれ。“
「……相変わらず、中二なネーミングだな」
「……それは、言わないのが暗黙の了解だよ」
相も変わらず、中二なネーミングの鈴音市の噂話。そんな噂話の名前の数々は、これよりも以前の話を読んでもらいたい。
「まあ、それにしても……この現代日本で辻斬りか。そいつは、時代錯誤も甚だしいな」
「そうだね。最初は剣道少年。次は街の不良。その次はレスラー、空手家、柔道家などなど」
「だんだんと強い奴を襲っているのか?」
「そうみたいだよ。その辻斬りはさ、辻斬りというだけあってか、刀を持ち歩いてるそうだよ。でも、必ず峰で倒すようにしてるんだって」
優希の話を聞いた貴大は少し驚いた。それは、顔に出ていたようで優希が先を話してくれる。
「峰で倒すんだけど……倒した後がさ、気になるんだ」
「どうしたんだ?」
「驚かないでね。それが、倒された人達全員が放心状態で、未だに治らないそうだよ」
「それって……」
「うん……」
二人は言葉を途切れさせたまま見つめ合う。しばらくの間、沈黙が部室を支配する。そして、二人が同時に口を開こうとして……
「三坂っち~、遊びに来た…………すいません。お取り込み中でしたか。自分はすぐに帰りますので、後はお二人でお楽しみください」
いきなり部室に入ってきた人物、片山響は無言で見つめ合う貴大と優希がキスをしようとしているのだと勘違いした。そのため、二人が反応もできないような速度で先ほどの言葉を言いきって帰ってしまった。残された二人には気まずい雰囲気が残る。
「えっと……とりあえず、俺は辻斬りを探す。優希が襲われることは無いと思うが、用心はしとけよ?」
「うん。三坂君こそ、気をつけてね」
「ああ。必ず倒してくるさ」
微妙に糖度のある会話をして、二人は部活を終えた。優希はまっすぐ家に帰っていき、貴大は辻斬りを探す。
鈴原町 御音通り
「シュッシュッ!! ……はあ、はあ、はあ」
御音通りの某所。一人のボクサーが練習に明け暮れていた。二週間後には試合が控えていて、気を抜くことができない時期だ。
「もうこんな時間か……。日が暮れるのも早くなったな」
「そうですね」
「だ、誰だ!?」
ボクサーはいきなり声をかけられたことに驚く。そして、彼が声のした方を見ると、そこには二本の刀を持った男がいた。ボクサーは最近噂になっている辻斬りを思い出した。
「……あんたか? 最近話題の辻斬りっていうのは」
「そうかもしれないね。俺はこの刀の実力を知りたいだけなのに」
「それをするのが辻斬りだろうが」
ボクサーは冷静にツッコミを入れた。しかし、油断だけはしない。相手は刀を持っている。噂では峰しか使わないそうだが、事実かどうかは分からないし、今回もそうなるとは限らない。
「辻斬り……あんた、倒してもいいんだろ?」
「そうだよ、その反応だ。そういうのを待ってたんだ」
辻斬りはそういうと刀を構えた。しかし、それはいつもと同じ峰ではない。刃の方をボクサーに向けていた。ボクサーの表情が更に険しくなる。
「どうした? まだまだ俺は本気じゃねえよ。本気を出すのはこれからだ」
辻斬りはそういうと、その姿を変化させる。それは、カマキリを彷彿とさせるような姿だった。ボクサーは、いきなりのことに驚いてしまった。
「ば、化物!?」
「……俺からしたら、人間の方が化物だけどなあ」
「ば、化物になんか勝てるか!!」
ボクサーはそれだけ言って走り出した。カマキリはそれを見て、慌てて追いかけ始める。
「お、おい待てよ!!」
「だ、誰が待つか!!」
「ああ!! こうなったら!!」
カマキリは持っていた刀のうち、片方を腰に戻し、もう片方を両手で持って、祈るような体制をとる。
「変われ変われ変われ変われ変われ変われ変われ……変われ!!」
カマキリがそう叫ぶと同時に、刀がブーメランに変化する。カマキリは、それを思いっきり投げた。ブーメランはボクサーの目の前を通過する。いきなり武器が襲ってきたため、ボクサーは走るのをやめてしまった。ブーメランと化した刀はカマキリの手元に戻ってきた。
「……ふう、ようやく止まった。それじゃ、おとなしく……やりあえやあ!!」
先ほどまでブーメランと化していた刀は、もう元に戻っていた。カマキリはしまっていた刀も取り出して、ボクサーに襲いかかってきた。
「ぎゃああああ!!!!」
「くたばれええ!!!!」
まっすぐにボクサーへと振り下ろされた刀は、その刀身を血の赤に染め……
「……切られて、ない?」
……無かった。カマキリの振り下ろした刀は、何者かの持った刀に遮られていた。カマキリはその相手を見た。そして、驚いた。
「か、仮面ライダー!?」
「そうだ。……大丈夫ですか? ここは危険ですから、早く逃げて!!」
「あ、ああ!!」
ボクサーはすぐに走って逃げだした。カマキリは後方にジャンプして、貴大との距離をとった。
「やったぜ!! 探すのに手間取るかと思っていたが、向こうから来てくれるとは」
「お前……あの、中二なネーミングの辻斬りか?」
カマキリは、貴大の問いに疑問符を浮かべたが、すぐに忘れて質問に答える。
「そうだな。辻斬りと言われることはあるな」
「そうか」
「そうだ、そんなことはどうでもいい。俺はお前と切り合いたい!! この、“使心獣”専用に開発されたこれを使いたくて仕方がない!!」
カマキリは興奮した口調で喋り出す。貴大は何も言わない。カマキリは貴大のことなんてお構いなしに喋り倒す。
「これな、俺たちの“想い”で、形や材質が変わったり、能力が増えるんだぜ!! 俺はまだ使いこなせてねえが、他の奴らならきっとやるぜ!!」
カマキリはそう言って、二本の刀を構えた。貴大も、纏っている鎧に負けないくらいに白く輝いている刀を構えた。
「じゃあ、さっさと始めるか。それじゃあ…………先攻は貰った!!」
カマキリは刀を振り下ろしてきた。貴大はそれを刀身でそらすと、反撃に入る。しかし、カマキリはもう片方の刀でそれを防いだ。
「ハハハ!! 二本あるってのは、便利だな!!」
「ホントに、なっ!!」
喋りながら二本いっぺんに振り下ろされた刀を、一本だけで受け止める貴大。そして、グッと力を入れて、それを押し返すと、カマキリの腹部に蹴りを入れた。
「グフッ!! ……さすが仮面ライダー。今までの奴らよりも強いぜ」
「そりゃあ、どうも!!」
貴大は、一本のままでは勝てないと悟っていた。武器を増やすか、能力を発動するか。貴大は考える。武器の追加……あまり使いこなせるとは思えない。なら、能力だ。勝手にダメージを与えられるチップ。二つ三つ思いついたチップの中から、貴大は一つを選んだ。
「
バチッ、と音がする。バチバチッ、と音が鳴る。ドライバーから電気が走り、体中に伝わっていく。カマキリはそんな状態の貴大を襲えず、じっと待つことしかできない。その間にも、貴大の体には電気が纏われ、その装甲は色を変える。
「……はあっ!!」
貴大が手を振って電気を消し飛ばす。すると、そこには“驚愕”を力にしたハーツ“
「黄色か!! 面白そうだ!!」
カマキリにとって、今の貴大も自分の実力をあげるための物でしかない。手に持つ二本の刀を構えて楽しそうに笑うと、再び切りかかりに行った。
「喰らえ!!」
カマキリは刀に“想い”を込める。仮面ライダーの“ココロ”を喰らえ、と。カマキリの持つ刀は貴大の“ココロ”を喰わんと襲いかかる。
「ハッ!! せいっ!!」
カマキリから振り下ろされた刀を、自分の刀でそらして、そのまま懐に切りかかる。二本ともそらされてしまったカマキリは、防御できずに貴大の斬撃と電撃を直撃させて後方に飛んだ。
「ハハハ!! さっきよりも強くなってやがるぜ!!」
カマキリは戦闘狂ともとれる発言をしながら起きあがる。そして、是が非でも離さなかった刀を再び構えた。
「必ず、必ずお前の首を刈る!!」
「誰がお前に刈らせるか!!」
両者がそう言いあうと、今度は貴大から切りかかる。電気を纏った刀を素早く振る。カマキリはそれを受け止めようとした。そして、同時に考え事もしていた。仮面ライダーの電気は“ココロ”でできている。ならば、それも喰ってカウンターを決められる、と。
「おりゃあああ!!」
「これで終わりだああ!!」
両者が、叫ぶ。二人の剣は柔と剛という考えで分ければ、貴大が柔の剣。カマキリが剛の剣だった。速度と手数で、攻撃力の低さを補っている貴大の攻撃。対して、カマキリは一撃一撃に重きを置いた攻撃だった。そんな二人の攻防の結果は……
「グハッ!!」
「おらあああ!!」
……貴大が、カマキリの体を
「か、刀が……!! 俺の武器が…………おのれ、仮面ライダー!!」
武器を失ったカマキリは素手で攻撃してくる。しかし、武器を失った今のカマキリの攻撃力は、間違いなく下がっていた。貴大は冷静にカマキリの動きを見きって斬撃を入れる。
「ハッ!!」
「ぐわっ!!」
攻撃を受けたカマキリを見て、貴大は二つのチップを取り出した。そして、それを間髪いれずにドライバーに入れた。
「“
「はあああああ!!!!」
貴大は腰を落として構える。満身創痍で、やっとのことで起きあがったカマキリは攻撃圏内から逃げられない。
「落とせ驚愕を!! “
「ぎゃ、ぎゃああああ!!!!」
貴大は、バチバチと鳴り響く電気を纏った刀を振り下ろす。それは、カマキリの体を真っ二つに切り裂き、爆発させた。
「……ふう、やったか」
貴大は息を吐き出してそう言った。そして、変身を解除してから、家に帰って行った。
「……奴らにも武器ができたのね。私も、そろそろ参加するころかしら?」
誰かが、貴大達の戦いを見ていたようだった。
どうでしたか? たがいに武器を使った戦闘はこれが最初だったと思います。
それで、最初の武器は刀でした。刀、良いですよね? 僕は好きです。
それでは、“使心獣”の武器こと『
それでは、もうひとつ。僕がただ語りたいことです。
ハーツやグラントは“ココロ”を使って戦います。“使心獣”は人の“ココロ”を喰らいます。どちらも“ココロ”を消費していることに違いはありません。
では、なぜハーツ達は回復して、他の人は回復しないのか? ということをご説明します。
まず、水の入った蛇口付くの貯水タンクを想像してください。水が“ココロ”で、タンクが“ココロ”を内包している場所です。
ハーツ達は、蛇口をひねって水を使います。一方、“使心獣”はタンクをぶっ壊して水を喰います。
邪口をひねるだけだから水を補給できる。タンクを壊すから補給できない。
簡単に言えば、こう言うことです。
前書きもあとがきも長くなってしまいましたが、このくらいで終わります。
それでは、次回[愚]の回も見ていただければ幸いです。
See you next time!