完成字ワード数は3万~4万字程度を想定そておりますが、若干上振れ下振れあるかもしれません。
ジリリリリリリリ。
朝。僕は目覚まし時計のけたたましい音で目を覚ます。
乱暴に目覚まし時計を止める。
そして朝起きて顔を洗う。朝食の仕度をする。そして、弁当を作る。
それから制服に着替え、一人で朝食を食べる。時計代わりにテレビをつける。
数日前からこの生活を続けているが、人間の順応性というものは思っていたよりも高いらしく、大分慣れてきた。
そして遺影を前にする。妹の乙坂歩未の遺影だ。歩未は明るい笑顔でVサインをしている。
「行ってきます、歩未」
僕はそう、歩未の遺影に言い残し、家を出た。
朝の登校中の事だった。それは何気ない日常だった。
ただ、黒い車が校舎の側で止まる。恐らく、リムジンだった。ともかく、大衆車ではないのは確実だった。
外国人が降りる。
そして校舎を見て、何か会話をしている。一人は中国系の小太りの男。もう一人は大男だった。そして、もう一人は小さな女の子。
見るからに奇妙な連中だった。
連中はこちらからはわからない言語で会話をしている。
中国語か、韓国語かもしれない。
勉強もしていない上に、学校で習っていない言語など僕にわかるはずもないが。
ともかく、あまり関わりにならない方が賢明な選択と言えるだろう。
その日。僕と高城、それから柚咲は生徒会室に召集された。
「・・・・・・・・また新たな能力者が見つかったのか?」
そう、僕は友利に聞いた。行儀が悪い事に、彼女は机に足をかけている。
「いえ、そうではありません。ですが、重要な案件なので皆様をお呼びしました。こほん」
友利は咳払いをする。
「校舎の近くをうろつく、怪しげな連中が出没するようです」
「ああ・・・・・・・連中か。僕もみた」
「みましたか。まあ、実際に何か事をしでかしたわけではありません。これはあくまで推測でしかありませんし、あくまでも想定でしかありません。世の中には、実験目的で能力者を利用しようとする科学者もいれば、同じように、犯罪目的で能力者を利用しようとしている連中もいます。能力者の能力は犯罪にとても有効です。例えば、相手の心を読みとったり、透視をしたり、どんな能力でも、悪用すれば犯罪をする上で有用なもの足り得ます。もちろん、我々の能力もです」
「連中がその犯罪者ーーその集団だっていうのか?」
「いえ、証拠はありません。ただ怪しいというだけですし、何か事が起きても対応できるようにしておけばいいだけです。単に注意喚起をしておこうというだけの事です。こほん」
友利は再度咳払いをする。
「辛気くさい話はこれくらいにして、少しばかり息抜きといきませんか?」
「息抜き?」
「レクリエーションです。放課後、どこかに遊びにいきませんか?」
「いいですね! そう、思えば乙坂君が生徒会に戻ってきてから、なにもお祝いらしい事をしてなかったですから」
と高城は言った。
「けど、どこに行くのでしょうか?」
そう疑問符を浮かべる柚咲。
「まあ、普通の高校生だったらカラオケだったり、ファーストフード店に行ってダベったり。今はそんなに行く人いないかもしれませんが、ボーリングにいったり、そんなところでしょうか」
そう、友利は言う。
「カラオケ! いいですねっ。柚咲も皆さんに直接、新曲『発熱デイズ』を聞いていただきたいですし」
と、柚咲。
「柚咲さんの歌声を直接聞けるだなんて、この高城、実に感激であります!」
と、高城。柚咲の歌声を生で聞けるとあれば、乗り気にならないはずがなかった。
「じゃー、カラオケに行くのは決定として、後の事は適当に決めましょうか。それじゃあ、放課後、校門で集合しましょう」
こうしてこの日の集会は終わりを告げた。