魔法少女リリカルなのは〜復讐者の選ぶ道〜   作:びーびー

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第2話 両親に向けて~闇の書事件開始まで~

 管理局へ入局。訓練と任務で日々が過ぎていく。任務はグレアム提督によって古代ベルカに関連するものが多い。日々飛び回っているせいかゲイズ家に顔を出せない日が続きオーリスから文句のメールが届く。週に一度は顔を出せるように努力をしよう。

 

 

 1年後、急にグレアム提督に呼び出される。提督の執務室に向かうとそこには提督の使い魔であるリーゼ姉妹に弄繰り回されている一人の少年がいた。提督によるとクロノ・ハラオウン君という名であり、彼もまた闇の書の被害者とのこと。士官学校を経て今年管理局に入局したらしい。あまりに小さい為年齢を聞くと8歳だという。正直な話もっと年下に見えたのだがどうやら身長が低いのがコンプレックスらしい。まだまだ背は伸びると励ましておいた。・・・伸びるよね?

 

 

 最近というか管理局に入ってからゼストさんのところにいけていない。私の所属する本局とゼストさんの所属する地上の中が悪いのが原因なのだがはっきり言ってとても不便である。入りたての頃に行ってみたのだが周りから浴びせられる敵意の視線にすぐさま退散した。どうにかならないものだろうか。

 

 

 12歳の誕生日の記念に魔導師ランクAAの試験を受けてみた。訓練校にて受けた空戦Aランクは3回目で受かったのであまり気負わずに受けてみたが見事に合格。オーリス主催の合格記念パーティーには忙しいはずなのにレジアスさん、ゼストさんも来てくれた。これで終わればよかったのだが、パーティー翌日偶然会ったクロノ君に自慢したところすでに取得済みだと言われた。悔しかったのでリーゼ姉妹のように頭をぐりぐり撫でてあげた。・・・縮め。

 

 

 その1年後、部隊長からの勧めで指揮官資格を取ることになった。その話を聞いて守護騎士には一対一で戦うより部隊を率いて戦ったほうが勝てる確率が高いだろうと瞬時に考えてしまった私は未だに復讐を望んでいるのかもしれない。それが良いことかはわからないが私の原動力であることは間違いないだろう。

 

 

 試験に向けての勉強中、うんうん唸っているとクロノ君に心配された。息抜きに雑談してみたところ彼は執務官を目指していてすでに勉強を始めているらしい。あの噂に聞く最難関試験を目指すとは末恐ろしい10歳児である。自分も大変なのだが応援してあげたくなってしまった。頑張ってねと頭を撫でてあげた。

 

 

 指揮官資格を取得した。なんと一発合格である。といっても所詮は資格を得ただけなのでまだまだ学ぶことは多い。修行あるのみである。ついでに尉官に昇進した。レジアスさんたちに報告したらゼストさんは苦笑い、レジアスさんは愚痴り始めてしまった。わりと冗談じゃなくゼストさんの背中(もちろん階級である。実力はまだまだはるか遠い)が見えてきてしまった。改めて本局の出世の早さに驚く。

 

 

 尉官になったことで閲覧できる情報が一気に増えた。そのおかげでグレアム提督がまとめた闇の書事件の情報を一部見せてもらえることとなった。その中に守護騎士の情報を見つけた。どうやら騎士という名のとおり近接の攻撃手段が多いらしい。わかっていたことだが接近戦ではまったく歯が立たないことがわかる。だが遠距離は特化した魔導師がいないため希望が見えてきた。

 

 

 クロノ君が執務官試験に落ちた。といっても11歳の子供が受かったら前代未聞だから本人もあまり落ち込んでいないようだった。慰めてあげたら冷静に「どこがだめだったかはわかっているからね。次は受かる」とか生意気なことを言っていたのでやっぱり頭を撫でてあげた。そうしたら頬を赤くして「子ども扱いしないでくれ」と言ってきた。11歳が何を言っているのか・・・

 

 

 半年後の試験でクロノ君は執務官試験に受かってしまった。とんでもない快挙としてわりと騒ぎになった。彼が優秀だとはわかっていたがここまでとは思わなかった。もちろん頭を撫でてあげた。下手をしたらクロノ君に命令されるかもしれないと考えるとその手に力が入ったのも仕方ないだろう。・・・縮め。

 

 

 クロノ君が女性とじゃれていた。珍しいものを見た気持ちでしばらく観察しているとクロノ君はこちらに気づき女性の手から逃れてこちらに来た。どうやら彼女は士官学校からのクロノ君のパートナーらしい。しかしリーゼ姉妹といい彼女といいクロノ君の周りには女性しかいないような・・・

 

 

 15歳の誕生日にオーリスに言葉遣いで怒られた。もう少し女性らしい言葉遣いを勉強する為に努力はしようと思う。結果は・・・私の関知するところではない。あと一等空尉になりました。

 

 

 つい先日クロノ君が金髪少女を連れていた。すぐに浮気かとエイミィに報告したところどうやら違うらしい。そうこうしているうちにクロノ君が少女を引きつれやってきた。詳しいことは聞けなかったが彼女の名前はフェイト・テスタロッサといってクロノ君が先日解決したジュエルシード事件の容疑者として保護してきたらしい。9歳という若さですでに魔力量はAAAとかなんとか。衝撃的な数値に驚いているとあと1人同じような子がいるらしい。しかもその子は管理外世界の子で魔法に触れてたった一月ほどで封印処理やら空戦やらを行なったとか。自分もかなり才能があるほうだったはずだが上には上がいるものだと黄昏ているとクロノ君も「わかるよ」といいながら肩を叩いてきた。フェイトという子はおろおろしていた。癒された。

 

 

 半年ほど経ってグレアム提督に呼び出された。どうやら闇の書の守護騎士たちが動き出したらしい。入局の際の約束どおり事件を管轄するアースラに武装局員として着任できるよう取り計らってくれるとのこと。クロノ君もいるらしい。深く頭を下げその場を辞す。その足でレジアスさんとゼストさんに報告に行く。ゼストさんは厳しい顔で「決して無理はしないように」と、そしてレジアスさんは入局の際の約束を覚えているか聞いてきた。

 

「管理局員として誇りをもって自らの信じた道を進む」

 

 一音一音を刻み付けるように声に出す。レジアスさんは何も言わずただ頷いた。

 

 

 ゲイズ家ではなく自宅に帰る。両親の写真の前で強くティアーズを握り締める。

 

 お父さん、お母さん。私は・・・私は管理局員として、自分のやり方で彼らに復讐することになりそうです。どうか見守っていてください。

 

 

 着任日当日、アースラの前にはクロノ君が待っていた。彼が口を開く前に私から声をかける。ただ一言「私は時空管理局武装隊所属エリ・キタザワ一等空尉です」と。管理局員としてこの場にいるとその言葉にを乗せて。クロノ君は出鼻をくじかれたようだがいつもの生意気そうな笑い方で返事を返してくる。自分も管理局員としてここにいると。いくら執務官とはいえ年上に対しての生意気な態度にとりあえず頭を撫でてあげよう。そしてアースラは出航する。第97管理外世界『地球』へと・・・

 

 

 

 

 さあ復讐を始めよう。


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