リリカルに立ったカメの話   作:朽葉周

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Epilogue "To The NextGeneration"

さて、それからどうなったかを少しだけ話しておこうと思う。

 

先ず最初に、オム艦隊を殲滅したその後のことだ。

地球連邦政府は軍に対して、更なる管理局との戦いを考えて、防備を調えるように命令。これに対して軍は、火星の衛星フォボスを改造、軍事要塞とし、コレを用いた月―フォボス間のワープゲートを開設。戦力的には変化が無い物の、戦力の移動速度を格段に向上させることに成功した。

 

そうして対管理局戦を想定した軍備拡張が行なわれる中、地球連邦政府に対して管理局からの交渉官が派遣され、停戦交渉が行なわれる事になった。

……のだが、これがまた大失敗。交渉官は休戦でも停戦でもなく、政府の交渉官を相手に、地球連邦政府に対する『降伏』を求めてきたのだ。

 

相手の交渉官曰く、『無限の管理世界をすべる管理局に対して戦争を挑むなど狂気の沙汰』『今降伏すれば私の権限で悪い扱いにはしない』だとか。

 

ティアナの伝手――管理局に対する反抗的な勢力の運営する裏の、次元世界規模のネットワーク――で調べてみたところ、どうやらその交渉官、元々最高評議会と繋がりがあり、今の政変で窓際に追いやられた高官が無理矢理割り込ませた人間だとか。

 

とはいえそんな裏事情地球連邦政府としては関係の無い話で、その交渉官のあまりの無礼な態度に激怒。これを即座に小型艇に詰め込んでミッドチルダへ強制転移させてしまった。

 

で、当然のように地球へ対して艦隊を進めてきた管理局。コレは寧ろ管理局がと言うよりは、ミッドチルダの民意が『魔法文明の無い世界の癖に』と、意識の其処に根付く他世界に対する蔑視を一部幹部にあおられた結果、その民意を管理局が受け入れざるを得ないような事態に発展してしまったのだとか。

 

 

 

 

 

そうして始まった次元戦争。管理局と地球連邦の戦いは、まさに一方的な戦いとなってしまった。

 

次元空間でも平然と戦闘可能な地球連邦軍に対し、次元空間での戦闘手段といえば次元跳躍攻撃程度しか持たない管理局艦隊。しかも次元跳躍攻撃を可能とするのはSランクの飛びぬけて稀少な魔導師、そのうちの実に何割か存在すれば良いほうなのだ。

 

ならばと管理局は連邦を何処かの次元世界に誘い込み、その土地での地上戦を敢行。結果は当然ながらTSFやSR機に蹂躙されて管理局の敗北。

当初から勝ち目など物量程度しか存在していなかった管理局だが、一部の『魔導師至上主義者』『ミッドチルダ至上主義者』などが、魔法文明の未熟な、卑劣な質量兵器を使う未開拓世界の蛮族に負ける筈が無い! なんて憤り、管理局は無駄に被害を増やしていく。

 

そうして増えた被害の中には、管理局に抑圧された、被支配世界の国土なども存在した。

 

地球連邦に圧倒される管理局は、その損失を補填する為に被支配地域からの搾取を敢行。まるで滅びる前の帝国主義のような有様を示しだした管理局だが、そうなれば当然搾取された国土の民意は管理局から離れていく。

そうして管理局の民意が管理局が離れ、更にその次元世界から管理局が撤退した後。偶々その世界を訪れた地球連邦の御人好しな高官が、現地の復興を強烈にバックアップしてしまったのだ。

 

素質に左右され、しかもその素質がある人間を中央に吸収してしまう管理局。対して素質に左右される事なく、人の生活を豊かにしてしまった地球連邦。片方は直前まで悪意をばら撒いていたのだから、どちらが現地に好まれるかなど比較するまでも無い。

 

当然の如く『反管理局、親地球連邦』に傾いたその次元世界は、管理局に対して宣戦布告、地球連邦に同調し、管理局に対する攻勢を開始した。

そうして一つの世界が地球連邦に付くと、次から次へと地球連邦に対して味方する次元世界が現れ始め、あっという間に管理局の規模は当初のソレを圧倒的に下回り、管理局が『管理世界』と呼んで支配下に置いた幾多の世界は、その大半が地球連邦側に味方してしまった。

 

火星の浄化作戦との両面作戦として管理局と戦っていた地球連邦の進行速度は遅かったのだが、けれどもその進行速度に対して異常な速度で反管理局勢力が拡大していったのだ。

 

この時点で既に管理局の勝利は絶望的、というか寧ろ勝っても負けても酷い事になるのは明らか。良識派や先の見える人間はその顔色を真っ青に染めていたのだが、そんな事は知らず、また実際の被害を受けたわけでもないミッドチルダの民意は戦争継続を望んでしまったわけだ。

 

そうして行なわれてしまったのが、ミッドチルダに対する本土決戦。

周囲の次元世界を、次元断層フィールドによって封鎖され、本局・ミッドチルダ両面の脱出経路をふさいだ上で、徹底的な殲滅戦が開始されたのだ。

 

JS事件など生ぬるい、本物の大破壊。ゆりかごが空を覆う? それどころではない。小さな島国ほどはあろうかと言う巨大な宇宙船が何隻もミッドチルダの上空に浮かび、その空を鋼色に染めてしまったのだ。

 

この時点で漸くミッドチルダの住民は敗北を自覚し、管理局本局の制圧を目途に、時空管理局は地球連邦率いる『反管理局連合』に対する敗北を認めたのだった。

因みに管理局が敗北を認めたその原因の一つに、俺の放ったウルティメイト・プラズマが本局に大穴を明けた事を脅威とした、なんて噂が存在しているが、俺の一撃なんて一要因に過ぎないと思う。というかそうであって欲しい。

 

 

 

 

そうして管理局が滅びた次元世界。然し、管理局と言う組織によって、次元世界と言う異世界複合体の治安維持が行なわれていたというのも事実。

此方の調査の結果、『管理局の暗部による襲撃→管理局の立ち入り強制査察→聖王教会が孤児を回収(人身売買)』なんてとんでもないコンボをやらかしていた腐った部分が存在するのも事実だが、真実真摯に世界平和を願って真面目に仕事をしていた人間が居た、という事実を無視して良いわけでもない。

 

あ、聖王教会に対する黒い噂はこっそりと流しておいた。地球連邦軍は反管理局連合の中でも重要な立ち位置にいたし、さり気無い噂話でもあっというまに尾ひれ背びれ。此方の意図しないレベルで噂話は拡散してしまっていた。まぁ、俺は嘘を話したわけではないし、コレで全世界からディスられても自業自得だろう。

話が逸れた。

 

そうして時空管理局が滅びた後、反管理局連合は本来であればその組織を解体することに成る筈であったのだが、此処で再び地球連邦政府が一つの提案を持ち出した。

 

それが、『次元連合保安局』。対管理局戦用に生産されたTSFなどの余剰戦力を持って組織された、次元世界の『国連』のような組織だ。

どこの世界にも所属せず、何処の世界に対しても中立であり、何処の世界に対しても一定の捜査権限を持つ。

 

管理局のように『陸』や『空』の部隊は持たず、基本治安維持は現地政府に一任。『保安局』の仕事は『ロストロギアの回収』の徒一点のみ。

 

武装なんかは量子演算型コンピューターを中枢としたシン・クライアント方式のTSFを多数配備する事で、かなり武器管理能力の高い組織となっている。

次元世界同士の紛争などには基本的に関与する事は無いが、次元世界の連鎖崩壊を招きかねないような事態に対しては、両陣営を叩き潰す事で対応するという、若干どころではなく恐い組織に仕立てあがってしまったのだが。

 

 

 

 

当初この次元連合保安局の設立に当って、反管理局連合はその中枢に立つ『地球連邦政府』の専横を恐れていたのだとか。然しその時既に地球連邦政府の戦力は他次元世界の戦力を圧倒していた。文句を言うにしても下手に喧嘩を売って損をしたくは無かったのだ。

 

ところが此処で地球連邦政府は次元世界の支配者になることすら可能であるその状況で、突如として『次元連合保安局』に対する占有権を、次元連合保安局の成立を対価に完全に破棄すると明言して見せたのだ。

 

コレを皮切りに反管理局連合に属する政府達は次々と『次元連合保安局』の設立に賛同。そうしてあっという間に組みあがってしまった新たな世界のシステムによって、次元世界は再び平穏を取り戻すに至ったのだった。

 

 

 

 

 

「……と」

 

キーボードに走らせていた指を外して、小さく一息零す。

既にIFSが普及し、キーボードの必要性なんて殆ど存在していないこの地球連邦政府の設備。

 

ある種の懐古主義のようなものだが、こうしてキーボードを叩くというのは、俺にとっての一種の精神安定剤のようなものでもある。

然し俺、この世界に生まれ落ちてから、パソコンのキーボードに触った回数なんてそれこそ知れてるはず何だけど。まぁ、メラになる以前の記憶が多分コレって、『メラ』に成る前の俺の名残なんだろうなぁ、なんて。

 

「御父様」

「ん? イクスか」

 

と、何時の間に傍によっていたのか。アリサに似た色合いの髪の毛を首の辺りで纏めた少女、俺の娘として正式に地球連邦国籍を取得したイクスが、上目遣いに此方を見上げていた。

 

「何をしておられたのですか、お父様」

「んー、まぁ、ちょっと日記みたいな物を、な」

 

相変らず口調の固いイクスだが、これはもう本人の持ち味みたいな物らしく、誰に対してもこんな口調で話しかけるのだ。……まぁ、たまに寝ぼけているときなんかは口調が崩れるのだが、それがまた可愛いのって……げふん。

 

「日記、ですか。お父様も日記をつけておられるのですか?」

「日記というか回顧録というか、まぁ、自分が何をやったかを、後から大雑把な事も確認できるように、な」

 

自分の行動ログというのは案外便利で、後々報告書を作成したり、過去のイベントが先の出来事に何等かの因果関係を持っていたりする場合、その過去の出来事を参照する為の索引代わりになったりする。

 

……とはいえ、この数年であっという間にSF化が進んだこの世界だ。俺の行動履歴なんて、E.F.Fの情報統合リンクを経由して中央演算装置にアクセスすれば、事細かな行動履歴を参照できるのだろうが。

 

「……うん、まぁやっぱり日記かな」

「日記を書くのは良いことだと、学校で習いました。私も日記をつけていますよ」

「毎日?」

「……たまに、その、日記を書くのを忘れてしまいますが……」

 

やっぱりそんなものだよなぁ、なんて笑いながら、イクスの頭を撫でてやる。

寧ろ俺のは日記と言うよりブログみたいなものだし。しかも手抜き。

と、そんな事を考えていると、いつの間にか俺の膝の上へと移動してきたイクスが、俺の腕の隙間からディスプレイへと視線を向けた。……日記モドキでも読まれるのは若干恥ずかしいんだけどなぁ。

 

「これは、管理局戦争の顛末、ですか?」

「そうだよ。向うも漸く一息ついたみたいだし、ここら辺で簡単に、な」

「……良かったんですか? やろうと思えば、地球連邦による次元世界統一も不可能ではなかったでしょうに」

「まぁ、出来なくは無いだろうけどさ」

 

イクスの言葉に苦笑を返す。まぁ、実際アルハザードの遺産を受け継いだ地球連邦政府。現在ではその技術を完全に飲み込み、次の段階――つまり、技術の応用段階に入ろうとしている。

現状の地球連邦の技術を持ってすれば、確かに次元世界の統一は不可能ではないかもしれない。

 

「でも、それは長続きしないし、無用な血も流れるだろう」

「確かに。ですが……」

「第一、俺は正義の味方なんかじゃない。現状ただでさえ広げすぎた身内の輪なんだ。これ以上は俺のキャパシティーでは無理だよ」

 

その言葉に、イクスはうむむと唸りながらうつむいてしまう。

事実、俺は別に『異世界の赤の他人』なんて、別に死のうが生きようが如何でもいいのだ。おれが守りたいのは地球、其処に住む、すずかとアリサ、そして俺の家族達だ。地球を守るのは、俺を生み出した存在に対する義理と、あとはすずかとアリサをまもるついでだ。

 

だというのに、途中からティアナやキャロ、イクスを拾ったりして、何だかんだで守りたいものが増えてしまった。本当、これ以上は俺の許容量を超えてしまう。

 

「それに、今の状況はベストに近いベターだ。これ以上を望むべきではないよ」

 

現在の状況。つまり、次元連合保安局による次元世界の管理、と言う形。

地球から次元世界に対する干渉力は、この組織を設立するに当ってその大半を切り離してしまっている。が、この契約、実は外界からの地球に対する接続を法的根拠に基いて切断するというモノも含まれていたりする。

 

つまり、『地球は次元世界に対して干渉しない。その代わり外界からの干渉も認めない』というのを、次元世界に対して認めさせてしまったのだ。

 

コレは他世界との技術格差からくる地球に対する恐怖心、もしくはソレに近い『恐れ』に付け込んだような形になるのだが、別に他世界に実害を及ぼすわけでもない。精々『各次元世界から秘密裏に回収したアルハザードの技術が、次元世界全体に普及する事が無くなる』と言う程度だ。実は大損害かもしれないが、取らぬ狸のなんとやら、未だ利益を得ていないのだから、損失も糞も無いだろう。

 

そしてまた、外界からの干渉を断つ……外界への干渉を断つというのは、技術供与なんかもスッパリカットするという事だ。

 

こうなってしまえば他の次元世界は、不正規に地球に侵入し、技術を不正に持ち出すしか方法がなくなるわけだが……残念ながら地球には次元断層フィールドがある。そのフィールドに阻まれ地球に対する侵入は出来ず、またその事に文句を言おうにも、他でもない次元世界の各世界が認めた法的根拠が盾となる。唯一地球との交易が存在するのは、月の裏側のL2に設置された『出島』と呼ばれる交易宇宙ステーションのみ。

 

こうして次元世界から切り離された『地球』は、ある程度ではあるが、今度こそ安心して対レギオン、ひいては宇宙開発に取り組めるようになったのだ。

 

「宇宙進出と次元世界開拓。二束の草鞋を履けるほど地球に余裕は無い。なら、取り敢えずは手近な火星を優先した、それだけの話だよ」

 

まぁ、そんな政治の話を決めたのは、俺ではなく地球連邦の政府と軍のお偉いさん達の話し合いだ。俺の「次元世界と係わり合いになりたくない」という感情が多分に影響を及ぼしたような気がしないでも無いが、多分きっと気のせいであって欲しいと思う。

 

 

 

 

そんな事を考えながらイクスの頭を撫でて、ふと改めてイクスの姿に目を向ける。

 

「そういえば、折角おめかししてるのに、髪形崩れちゃったかな?」

 

現在のイクスの姿は、その橙がかった金髪を映えさせる子供サイズの青いドレスを身に纏っており、髪型もソレにあわせて綺麗にカットされている。

 

「いえ、その、問題ありません」

 

そういって、上目遣いに此方を見上げてくるイクス。これはもっと頭をなでてくれと言うサインなのだろうか。やっぱり可愛い、イクスちゃんマジ天使。

 

だがコレは同時に地獄っ! 威厳ある父として振舞う為にも、このハッチャケた思考を表に出すわけには……っ!! 頑張れ俺っ! 今だけで良い、勘違い(され)系オリ主っぽい振る舞い(表情に出ない)をッッ!!

 

「…………ハッ!! 違います、そうではありません!!」

 

と、暫く俺が自らの本能と激戦を繰広げながらイクスの頭を撫でていると、ふと猫のように目を細めて和んでいたイクスが突如としてそんな声を上げた。

 

「ん? どうした?」

「違うのですお父様、私はお父様にそろそろ時間だという事を伝えに来たんです!」

 

言われて、チラリと壁に表示された時計を見る。ヨーロッパ某所で計測された時刻……グリニッジ標準時から計算されている時間が指すのは、確かに予定時刻に近い……というか、もう既に結構ギリギリな時間だった。

 

……少し話しこみすぎたか。然しイクスを愛でて時間を失ったのであれば俺は後悔しない。時間は犠牲となったのだ。イクスを愛でる為のな……!!

 

「確かにそろそろ良い時間か。それじゃイクス、一緒に行こうか」

「はい!」

 

元気よくニッコリ笑うイクス。我が娘に手を差し出し、繋いだ手を握り締めて、片手で触っていたディスプレイを閉じて、その部屋を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わー、メラさんがおしゃれな格好してる……」

 

部隊の最前列。タキシードを着こなすメラさんを見たヴィヴィオは、またなんともコメントし辛い、そんな感想を漏らして見せた。

 

「おしゃれな格好してる事に驚くんだ」

「だってメラさんだよ!? あの、普段から軍服を着崩した格好で出歩いてるメラさんなんだよ!?」

「あー……あの、その」

「そのメラさんが、こんな場所だからっておしゃれをしてるんだよ!? 当たり前の事かもしれないけど、ヴィヴィオはちょっと衝撃的だよ……」

 

本人が聞いたら口元を引き攣らせそうな、そんな失礼な事を良いながら感心したように彼を眺めるヴィヴィオ。

そんなヴィヴィオの視線の先、彼と共にこの部屋に入ってきた彼の娘、イクスちゃんが静かにその場を離れ、巡り巡って私達の座るこの席へと近付いてきた。

 

「お疲れ様ですイクス!」

「はい、有難うございますヴィヴィオ。けれどもお父様を先導できたことはとても嬉しい事で、まだまだ余裕がありますよ!」

「あはは、イクスは相変らずファザコンだぁ~」

「そうでしょうか? 普通ですよ、普通」

 

イクスちゃん。メラさんの娘さんである彼女は、現在火星のメインシティー、エリュシオン級コロニー艦アマツ、そのシティー中央に存在する中央校通う学生であり、ヴィヴィオとはガイア式魔術に関する低年齢討論会や技術交流会を切欠に出会った魔法……いや、魔術仲間というものだそうだ。

 

……そう、私、高町なのはは、何の因果か今現在、嘗て時空管理局が第97管理外世界と呼んだ、『地球』世界で、ヴィヴィオと共に日々を謳歌していたりする。

 

事の始まりは、丁度管理局が崩壊したあの頃。

地球連邦は管理局から宣戦布告を受けた事で、『保護』していた私達の扱いを『捕虜』とすることにした。これはまぁ後から考えれば仕方のない、というか当たり前のことであったのだろう。

 

そして始まった地球対管理局の戦争。はじめは地球の技術力を管理局の物量が押さえ込んでいたものの、その管理局の物量というのは、本来次元世界各地で起こる事件に対処する為の物だ。

 

当然戦力を一極集中した結果、管理世界各地は荒れ始め、結果として各次元世界は管理局に対する反抗心を強めていった。

 

で、そんな最中、地球連邦軍は対管理局戦の橋頭堡を各次元世界に設置。此処を守るため、各次元世界の現地政府と協力し、治安維持を進めたのだ。

 

元々異世界にまで領地を持つ心算のなかった地球連邦。そんな彼らの思惑は、各次元世界の政府にとっても都合の良いものであった。

 

管理局に対するネガティブな機運が高まっていた事もあり、各次元世界は地球連邦軍を中心に同調。『反管理局連合』が立ち上がってしまったのだ。

 

地球連邦から一部技術を供与された反管理局連合は、破竹の勢いで管理局を駆逐。あっという間に管理局を解体に追い込んでしまったのだ。

 

後から聞いた話なのだが、その当時首都クラナガン、ひいては第一世界ミッドチルダは、他の管理外世界とは違い、厳しい戦況の中でも相変らずの治安維持を保っていたのだとか。

 

で、そんな戦争の厳しい状況を知らない市民。管理局上層の一部は地球連邦に講和を申し込もうとも考えていたらしいのだけれども、民意は「辺境の魔法文明も存在しない異世界に屈してなるものか!」なノリになっちゃっていたのだとか。

 

ある意味魔法文明至上主義の弊害とでも言えようその状況。完全に管理局の自業自得なのだが、結果として彼らは引くに引けない状況に自ら突っ込んでしまっていたのだ。

 

で、至極当然の流れで敗北した管理局は、反管理局連合によって解体されてしまう。

ミッドチルダの治安維持こそ、管理局地上部隊の流れを汲む「ミッドチルダ国際警察」が引き継いだ物の、時限航行艦隊は完全に解体。クロノくん達「海」に所属してた人たちは、一部ミッドチルダ国際警察に迎合した人を除いて、その大半が故郷に帰ったり、ミッドチルダで新たな職を探したりする事と成った。

 

で、私もそんな『海』解体の流れで地球に帰還した一人だったりする。

 

時空管理局が解体された後、次元世界の治安維持は、反管理局連合の戦力の大半を吸収した『次元連合保安局』、通称『保安局』による運営へとシフトした。

 

時空管理局のソレとは違い、魔法と言う資質に拘らず、例えばガイア式を使うもよし、ミッドチルダでは稀少技能と斬り捨てた『超能力』を使うもよし、地球から技術提供されて各次元世界政府が運用を始めたTSFなんかを使ってもよし。精神と言う資質こそを重視するのが保安局という組織なのだとか。

 

で、そんな保安局だけど、ある意味で当然と言うべきか、この組織には「元時空管理局の職員を一切採用していない」のだ。

 

当初ミッドチルダは保安局成立に辺り、過去のノウハウを売りに人材を押し込み、なんとか保安局、ひいては次元世界に対する影響力を残そうとした。

 

けれども保安局の管理体制は緊急時にのみ戦力を派遣するというもの。管理局のように、支配下に置いた次元世界を管理局で植民地化してしまうようなやり方ではなく、基本的な政治は現地に任せてしまうというやり方で行くのだそうだ。

 

そんなわけで旧管理局のノウハウなんていうものは一切必要とされず、また旧管理局の影響力を新たな組織に残すのを嫌がった反管理局連合により、ミッドチルダの影響力を一切持たない次元世界の治安維持組織、『保安局』が誕生したわけなのだ。

 

で、そういう過程で、当時地球連邦の月面基地に捕らえられていた私には、二つの選択肢が与えられた。

 

一つは、アースラクルーと共にミッドチルダへ帰る事。この場合、治安が大混乱しているミッドチルダではどうなるかわからない上に、以降はミッドチルダ人とみなされ、地球の土を踏む事はもう二度とないだろうという点。

 

二つ目が、すずかちゃんとアリサちゃんのコネで、地球の国籍を復活させて帰化するというもの。この場合私は地球人という扱いになるのだが、そうするとクラナガンの隊舎に残してきたヴィヴィオを放置する事になる。

 

すずかちゃんたちには申し訳ないけれども――そう断ろうとしたところで、更に一つの情報と、一つの条件が付け加えられた。

 

先ず情報。それは、現在管理局の告発と同時に、聖王教会の告発が行なわれ、聖王教が弾圧に近い状態にあるというモノ。

 

なんでも聖王教会と管理局がグルになって人身売買のような事をやっていたらしく、その事実が明らかになったことで現在聖王教会では自爆テロまがいの戦闘が勃発しているのだとか。

 

で、彼らは高い可能性として、権威再興の為に聖王クローンであるヴィヴィオを担ぎ出す可能性があるというモノ。

 

そして条件というのが、もし地球に帰化するのであれば、こっそりミッドからヴィヴィオを連れてきてくれるという話だった。

 

このドサクサに紛れて、ミッド側でのヴィヴィオの情報を「行方不明」扱いにして地球で暮らしてしまえば、渡航制限の設けられたミッドに対してヴィヴィオの情報が伝わることは先ず無い。ヴィヴィオに対してある意味で究極的に安全な、生まれの差別の無い、極普通の生活を送る事ができる環境を得られるのだ。

 

……そんな殺し文句を言われてしまっては、私に出来るのは首を縦に振ることだけだった。

 

そうして地球に帰ってきた私。相変らず老けないお父さんとお母さんに出迎えられた私は、その後お母さんの下でパティシエの修行をすることと成った。

 

因みにヴィヴィオはというと、地球に帰化したなら義務教育!ということで、聖祥と風芽丘のどちらに入学するかと言う話に成った。私としては、卒業生である聖祥をプッシュしたのだけれども、ヴィヴィオはお父さんやお兄ちゃん達の使う御神流の技に興味があったり、地球で普及しているガイア式なんかに興味があるらしく、そういうモノを習得するなら時間を取れる風芽丘にしては、というお姉ちゃんの意見を採用して風芽丘学園附属への入学となった。

 

……まぁ、中学生から聖祥に編入という手もあるから、今は諦めておくの。

で、学校で友達を作ったり、家で御神流を習ったり、ガイア式の勉強をしてみたり、私と一緒にお菓子作りを習ってみたりと、相当充実した日々を送るヴィヴィオ。

 

そんなヴィヴィオと一緒に平和な日常を送りながら日々を過ごす中で、私は偶に顔を出してくれるティアナから少しだけミッドチルダ――機動六課時代のみんなの現状とかを聞いたりしている。

 

先ずフェイトちゃん。フェイトちゃんは現在ミッドチルダ国際警察で、今も執務官として活動しているらしい。世界規模で犯罪を追っているのだけれども、とはいえ世界はミッドチルダの中の話。本当の意味で次元世界中を飛び回っていた頃に比べれば余裕が出来たらしく、最近は色々な趣味を始めて輝いているのだとか。

 

で、フェイトちゃんの保護児童であるエリオ。彼は管理局解体に伴ってミッドチルダに持ち込まれた法律――『義務教育制度』によって学校に入学する事になったそうだ。多くの同年代との交流で、ある意味漸く子供らしさを得たのだとか。あと、凄くモテるらしい。

 

はやてちゃんたちはというと、当初私が地球に帰化することを選んだのと反対にミッドチルダに帰り、現地でミッドチルダ国際警察立ち上げに尽力したのだとか。ただ、立ち上がった後は広域殲滅型の魔導師にそれほど必要とされる戦場があるわけでもなく、如何するでもなくくすぶってしまっていたのだとか。

 

そんなときに、聖王教会関係者と言うことで管理局をクビになって、私立探偵をやっていたアコース元査察官と再会。なんやかんやで二人はくっ付いたらしい。

 

……まさか、はやてちゃんに先を越されるなんて――ッッ!!

 

現在はやてちゃんは、ヴォルケンリッターごと旧管理局――現ミッドチルダ国際警察を辞めて、アコース元査察官と一緒に探偵事務所を開いているのだとか。まぁ、あそこって実はシグナムさん以外はバックヤード向きのメンバーが多いから……。ヴィータちゃんも何だかんだで戦闘以外も出来る子だし。

 

けふん、で、スバルとギンガの二人。

先ずギンガなんだけれども、すずかちゃんによって色々魔改造されたギンガの身体、その一部情報の公開許可がすずかちゃんからギンガに届けられたらしい。

 

その情報と言うのが、戦闘機人の金属骨格を超炭素素材に置き換えることで、メンテナンスの頻度を格段に落として、更に素材を炭素にすることで外部からの干渉ではなく、自己治癒能力による治癒能力の向上がどうとか。

 

要するに、戦闘機人の子達は、骨折とかはしにくいけれど、一回骨折しちゃうと治療ポッドに入れて『修理』する必要があった。けれども、この処置で『修理』ではなく、普通の人間と同じように時間を掛けて『治療』することが可能になったのだとか。

 

ギンガはこの技術を保護された戦闘機人の子達に広めたりしながら、今もミッドチルダ国際警察で治安維持に貢献しているそうだ。

 

で、スバル。ギンガから齎された情報で更にパワーアップしたスバルは今、正義のクラッシャーとして防災隊で腕を奮っているらしい。スバルの話をするときだけ、不自然に口数が少なくなったティアナを見るに、多分色々二人でお話をしたんだろうなーと思う。

 

あとは、鳳凰院君と護くんの二人。

 

鳳凰院君のほうは、会社の経営がヤバイ状況にあるとかで、再起の方法を計っていたところ、何故か鳳凰院君個人に、ミッドチルダ人であるにも拘らず、異世界への渡航許可がでたのだそうだ。

 

機動六課メンバーがミッドへ帰る際、地球で更にレストアされ、後に鳳凰院君に返却されたアースラR3。札束が紙屑になったミッドチルダにおける鳳凰院君唯一の資産と成ったそれを使って、現在彼はミッドチルダにおいて数少ない異世界からの物資の買い付けが可能な人間として忙しく飛び回っている。

 

偶に地球……というか、地球連邦が用意した異世界向けの『出島』と呼ばれる、月に設置されたポートステーションにも訪れているらしく、ティアナ曰く相変らず皮肉屋で元気そうだったそうな。

 

対する護くんはというと、現在ミッドチルダ国際警察の特殊部隊で活躍しているのだそうだ。機械化文明が入った事で空戦型魔導師の需要が減った事に対して、陸戦魔導師の需要は相変らず治安維持面において重要視されている。そんな現状だ、陸戦AAの護くんは現在ミッドチルダ中で引っ張りだこなのだとか。

 

そんな護くん。最近キラキラしだしたフェイトちゃんにアプローチを掛けているらしく、けれども相変らずの天然さんであるフェイトちゃんにスルーされる様がミッドチルダ国際警察クラナガン支部では割と有名な光景になっているのだとか。

 

……もしかして、あの世代で春が来てないのって、……私だけ……?

 

で、ティアナから皆のそんな近況を聞いて一喜一憂しつつ、最後にティアナからすずかちゃんとアリサちゃんの二人連名の招待状を受け取った。

その招待状を読んだ時、思わず声を上げてしまった私は悪くない。

 

 

 

 

そして招待状に導かれてたどり着いた今日この日。場所はなんと地球ではなく、転移門を通ってたどり着いたのは地球から遠く離れた火星の大地。

同年代のガイア式の使い手、それも初等部ながらも上位の術者という共通点を持つヴィヴィオとイクスの二人が仲良く話す中、不意に私達の居る会場の空気が変わった。

 

司会者さんの声に導かれて視線を移せば、其処には白いドレスを着た女性が二人。彼女達はその背後に、其々少女を引き連れていて。

 

「二人とも綺麗だね……」

「そうだね……」

「ママも早く相手見つかると良いね」

「そうだn……にゃっ!? にゃにをおっしゃいますヴィヴィオさん!?」

 

思わずドモリつつヴィヴィオに返し、変な事を言うヴィヴィオのほっぺたをモミモミしつつ視線をその二人に戻す。

白いドレスを着た二人はそのまま壇上へと進み、そこで待っていたのだろうメラさんの下へとたどり着く。

 

そうして進むその儀式。儀式といってもソレは怪しい物ではなく、寧ろ聖約と呼べるものだろう。

 

 

――なぜならばっっ!!!!

 

 

「それでは、新郎新婦、互いに誓の口付けを」

「……順番、な」

「先はすずかに譲るわよ。その代わり、情熱的なヴェーゼを頂戴ね」

「メラ君、私だって情熱的なのがいいよ?」

「…………」

「んむっ」

「あら、珍しく強引にって、ちょ、まっんむっ!!」

 

なんだろう、この纏まらない感は。壇上で醸し出される何処か間の抜けた、けれども三人の仲の良さがありありとわかるピンク色を含んだ空気に、会場全体の空気がなんだか苦笑気味なものになっている。

 

……いいなー、私もあんな相手見つけたいなー。

 

「お父様クラスの男性となると、早々見つからないかと思いますが……」

「いいもーん、メラさん級じゃなくても、私の事ちゃんと受け止めてくれる人さがしますよーだ」

「ママ(の砲撃)を受け止めてくれる人……」

 

なんでだろう、ヴィヴィオが慄いてる。

 

 

 

「――今日結婚の誓いをかわした二人の上に、満ちあふれる祝福があらんことを――」

 

 

 

そうして、壇上に立つもう一人の男性――神父様の言葉で、会場中から拍手が沸きあがる。

 

そう、なぜならばっ!!

 

今日は地球連邦における一夫多妻制制定後最初の、そして始めての火星での結婚式。

 

そう、今日、この場で、メラさんとすずかちゃんとアリサちゃんの三人は、純白のウェディングドレスとタキシードに身を包み、皆に祝福されて結婚するのだから!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・時空管理局使節団

戦争状態に陥った地球連邦と時空管理局。管理局は地球連邦との講和の為に使節団を派遣した。

然しこの使節団にしっかりと紛れ込んでいたミッドチルダ―魔法文明至上主義者により交渉は交渉と呼べない有様へ。

『たかが質量兵器を使って管理局を脅すとは良い度胸だ。なんでもいいから即座に全ての武装を放棄して管理局に誤れば許してやらない事も無い』

上記のような内容を割りとストレートに交渉の場で発言し、交渉は決裂。使節団はランチに鮨詰めにしてミッドチルダに射出された。

さらにコレが決定的な契機となり、反時空管理局連合の発足、その切欠となったともされる。

 

・反時空管理局連合

地球連邦の奮起を発端とした、次元世界の革命軍。

極限られた末端的な技術ではあったが、コレを各次元世界が供与を受けた事により、『管理局の魔導師』数を非魔導師含む『次元世界の兵士』数が圧倒。

コレにより数的不利を補った地球連邦を中心とし、管理局による一点集中型の支配体制を崩壊させた。

 

・次元連合保安局

反時空管理局連合による次元管理局解体の後、新たに次元世界の治安維持のために設立された組織。

反時空管理局連合の戦力を一部吸収し、どの世界にも所属しない独立組織として成立した。

思想的には、「基本自分の世界の事は自分達で」、「判別付かない、もしくは手に負えない場合のみ呼んでね!」という組織。

構成員は各世界からの士官によるが、各世界が一定の影響力を持ちたがったためそこそこの人材を保有している。

ぶっちゃけ立ち位置的にはアロウズとかティターンズなんて言葉が連想される組織。然し無限図書とか面倒な仕事も引き継いでいる為、武力よりも“脳”力が要求されるハードな職場。

主戦力は激震。但し一部には地球連邦からAI制御型の魔装機やちょっとヤバイ代物なども提供されており、『世界の危機』には対応できるレベルの装備は存在している。

 

・時空管理局

主に海の一部が地球連邦に喧嘩を売り惨敗。そのまま連邦の侵攻を受ける。

コレに一部は和解の方向で動いたのだが、下っ端交渉官が先走りご破算。更に民意までも魔法未開地に頭を垂れる事に反対。結果後には引けなくなり、ズルズルと地球と戦闘継続。

そうしている内に各ナンバリング(管理)世界が地球連邦に同調、反抗作戦を開始。無人世界以外のほぼ全ての世界から敵対され、あえなくミッドチルダ陥落。

後の次元連合保安局には食い込めなかった。また、治安維持は『管理局地上部隊』、『陸』が『ミッドチルダ国際警察』として活動を引き継ぐ。

解体された『次元航行艦隊』『海』は『ミッドチルダ国際警察』に吸収されるか、それぞれの出身世界へと戻っていった。

時空管理局の保有していた司法立法行政の三権は、其々の組織に分立された。

 

・聖王教会

「いやったッ! 管理局が崩壊したぞッッ!! この隙を利用し、蓄えた力を以って再びミッドの大地に聖王の権威をッッ!!」

とか考えていたが、管理局の暗部を暴露する『ついで』に聖王教会の暗部も大々的に暴露されてしまい、聖王教会は盛大に壊滅。

教会関係の犯罪者は全員逮捕。無罪の人間も居たものの、聖王教会自体への目が厳しい物となったため、再興の余地は皆無。

更に数少ない聖王教会再興の希望の灯火であった『聖王のクローン』は管理局崩壊のゴタゴタに紛れて行方不明になり、結果最後の抵抗勢力も空中分解してしまった。

 

・地球連邦政府/太陽系連邦政府(?)

時空管理局崩壊後、次元連合保安局の利権からは半ば手を引き、地球世界における宇宙開発を推進している。

要するに他世界を一々気にかける心算は無く、とりあえず自分達の世界を寄りよくしていこうと言う、極々当たり前の思考によるもの。

地球上のギーオスを完全に駆逐。また次元断層フィールドの性能向上により、ギーオスが地球に侵入してくる可能性はほぼ皆無となった。

更に火星におけるレギオン掃討作戦が完了。外宇宙からの脅威を警戒し、この火星を第三次防衛線へと引き上げる。

現在は火星を領土とし、更に人口数が問題となったため、これを解消する為に『一夫多妻制が連邦議会で可決された』りした。法案成立に至るまでに、どこぞからの凄まじい圧力が有ったとか無かったとか。

火星を領地とした事で、名称を地球連邦から太陽系連邦に変更するべきかというのが最近あった議題。

 

 

 

・高町なのは

時空管理局解体後、すずかの誘いに乗り地球へ帰化。ヴィヴィオと共に翠屋の後継者として修行中。

ついでに娘と共にガイア式を習ったりしている。

 

・高町ヴィヴィオ

時空管理局崩壊後のゴタゴタに紛れて、ミッドチルダのデータ上からその存在を抹消。なのはと共に地球へと移り住んだ。

母なのはからは聖祥を望まれたが、色々な事に興味のあるヴィヴィオは風芽丘附属を選んだ。

現在は母なのはと共に祖母桃子から料理を習ったり、風芽丘附属学園に通ったりと充実した日々を送っている。

 

・フェイト・T・ハラオウン

管理局崩壊後、元地上部隊から成立した『ミッドチルダ国際警察』にて引き続き執務官を継続。

但し範囲が『次元世界』から『ミッドチルダ』に絞られた所為でかなり時間に余裕が出来たらしく、最近人生を楽しむようになってきた。

 

・エリオ・モンディアル

時空管理局が解体された後に制定された『義務教育制度』に則り、現在は学業中。結構モテるらしい。

学校ではキャロとの絡みが無かった分を晴らすかのようにラッキースケベを連発中。正にエロオである。

 

・八神はやて&ヴォルケンリッター

時空管理局崩壊後、地球からミッドへ渡航。ミッドチルダにおいて国際警察の設立に尽力する。

その中ではやては探偵として活動していたヴェロッサとくっ付き、退職後は八神一家まるごとでディテクティブへと転職。

 

・カリム

グラシアの名前をそのまま名乗るのは現在の情勢上危ないという事で名前を変えた。

現在はどこぞの学校で教鞭をとっているとか。

 

・スバル・ナカジマ

管理局崩壊後、ミッドチルダにて災害救護部隊へ。正義のクラッシャーとして各地の災害現場で活動している。

姉のギンガが何処からか持ち込んだテクノロジーにより内部機構が大幅に改善されたりした。

男っ気がない事を周囲に心配されている。

 

・ギンガ・ナカジマ

いつの間にか地球連邦に誘拐されて魔改造を受けていた人。

魔改造の内容は、戦闘機人の機械骨格部分を有機炭素素体に組み替えることでメンテナンスの必要性を極限まで下げた物。

コレにより管理局ないし組織による拘束性が下がり、割と自由に生きる事ができるようになり、更に他の保護された戦闘機人の子に戦場以外の場所を与える事もできるようになった。

事件後はミッドチルダ国際警察クラナガン支部108部隊において治安維持に貢献している。

 

 

 

・鳳凰院 朱雀

ミッドに帰ってみれば、管理局崩壊の影響で会社の資産やらが壊滅。手持ちの資産もほぼ紙屑になってしまった。

一応権利やら他世界に預けていた資産も有るにはあるが、現在の情勢でソレを回収に行くのはほぼ不可能。

手持ちに残った最大の資産は、機動六課に預けて盛大にぶっ壊された後、何故か地球連邦が更にレストアしてくれたアースラR3のみ。

ミッドチルダの人間ながら、何故か異世界渡航が許可された為、アースラR3を使い、異世界間を貿易商人として旅する事に。

偶に地球(L2の出島)による事もあり、そのときは何故か月に出ているティアナと会ったりしているらしい。

実は大昔から原作介入を行う元テンプレオリ主の改心系オリ主。何とかして世界を良い方向へ持っていこうとし、結果クイントを生存させる、管理局地上部隊の戦力の底上げ、などの成果を残したりしている。

そのため、さり気無い所でメラから評価されており、メラも妹(ティアナ)の婿候補として色々支援をしていたり(アースラR3、次元渡航資格、出資などなど)。

 

・御剣 護

管理局崩壊後、機動六課メンバーと共にミッドチルダへ。

元々陸士であった為、そのままミッド国際警察に編入。その無駄に高度な能力から特殊任務を割り振られる事も。

最近時間に余裕が出来て、キラキラ輝きだしたフェイトに色々アプローチを仕掛けている。

朱雀並に原作を良い方向へ変えたい、という思いはあったものの、具体性が一切無く流れに流されてしまった人。そのためメラからの評価は低い。

実はスタート時点において朱雀とは殆ど差異が存在せず、上手くやれば朱雀程度には上を目指す事も可能であったが、本人が『常識的対応』を取ったため、『常識的』な成果しか得なかった。

 

 

 

 

 

・太陽系第三惑星地球衛星『月』

今回の出来事もあり、要塞化が進行した。地球圏における絶対防衛網の最大拠点。月軌道上に存在する多数の防衛線要塞の中枢。

裏面に存在する電磁望遠鏡は現役で活躍中であり、またL2多次元宇宙港の外部観測所としても機能している。

 

・太陽系第四惑星『火星』

地球連邦軍のレギオン掃討作戦により、火星の大地に蔓延っていたレギオンは掃討された。

然し更なる外宇宙からの脅威に備える必要が有るという声に促され、地球連邦政府は火星への殖民――火星植民地化計画を実行する事となった。

幸いと言うべきか、レギオンによる環境改造によって火星は辛うじて人類が『滞在』できるレベルの環境を得ていたため、衛星軌道上に太陽光収束装置、通称『ビッグミラー』を設置し、更にエリュシオン級一隻をコロニー艦へ改造する事で火星への移民を開始した。

移民とはいうものの、転移門により地球とは直通で結ばれている為、割と気軽に地球と往来が可能であり、それもあって急速に開発が進んでいる。

実はこの『ビッグミラー』こそが火星最大の兵器だったりする。

 

・エリュシオン級コロニー改造艦『アマツ』

死後の楽園の名を持つエリュシオン級の中で、「天」の名を持つアマツ。

本来は従来型と同じ長期航行艦とされるはずであったが、その幅広い多様性を利用し、武装の大半を外しアーコロジー化することで、火星における橋頭堡とされた。

現在は火星の大地に着陸し、メインシティーとして火星植民地化の橋頭堡となっている。

 

 

 

・ティアナ・ランスター

実は地球国籍を持っているミッドチルダ人というかなりレアな(外交的な意味で)存在。地球連邦軍の中尉。レギオン掃討作戦、管理局戦争と経て大尉、その後の活動で少佐まで出世した。

現在は特務部隊ホロウの隊員として、然し本隊とは別行動を取り、デモンベインを駆りつつ、教導を行なったり災害救助に出向いたりしている。

因みに鳳凰院が月の出島に来るときに限って何故か月に居合わせるのは、本人曰く「ぐっ、偶然なのよ、別にアンタに会いに来てるわけじゃないわよっ!」だそうです。ツンデレ乙。

デモンベインの銀鍵守護機関から洩れ出る莫大な異界のエネルギーに影響を受けているのか、何故か年齢が20前後で止まっている(旧神化)。

 

・キャロ・ル・ルシエ・バニングス

メラに拾われ、バニングスに里子として引き取られた後、連邦軍内で名を上げた「地獄の軍曹キャロせんせー」である。因みに当時の階級は中尉。実は本編中にルシエを名乗った事は無い。レギオン掃討作戦、管理局戦争を経て大尉まで出世した。

実は自分を助けだしてくれたメラが大好きなのだが、「姉」であるアリサやすずかも大好きであるためその好意を心の奥底に仕舞っておこうとしていた。

……のだが、我等が姉御アリサにそんな心の欺瞞は隠しとおせないッ!! あっさりとソレを見抜いたアリサはキャロを煽動、これによりキャロはメラの第三婦人の座を虎視眈々と狙うのであったッッ!!

戦後はティアナと違い最前線からは身を引きホロウとしての活動、火星開発プロジェクトに参加。仕事しつつ学生したりしている。

メラの濃厚なマナに影響されてか、若干人外(竜魔人)化している。

 

・アギト・秋星

メラに回収され、魔改造された後に超進化した元融合機の炎の魔導精霊。九十九神の一種。本当の意味で『烈火の剣精』。階級は少尉から中尉に上った。

戦後は最前線から退き、特務部隊ホロウとして火星開発計画に参加。……が、何故かメラの勧めで教育制度に参加することとなった。学校では割と人気者なのだとか。

メラ(マナの塊)とユニゾンする影響で、自らも精霊っぽい何かに進化した。

メラの周囲がハーレムと化しつつある状況に苦笑しつつも、特に何かするわけでもなく、常にメラの傍に控えている。

 

・イクス・秋星

元冥王イクスヴェリアであり、メラの養女。メラの魔改造により健全化した。戦闘能力はほぼ皆無だが、一応ガイア式を扱う事は出来る。

現在はメラについて火星に移住し、キャロやアギトと共に学校に通っている。学校では地味にアイドル的扱いを受けていたり。

本人に自覚はないが重度のファザコンであり、既にアリサに目を付けられている。

最近自分の内側にマナとは違う『小さな宇宙』を感じ出したらしい。(冥王)

 

・アリサ・バニングス・秋星

メラを陥落させる為に周囲のハーレム化を目論んだ人。B&Tの代表だったり地球連邦軍名誉中将だったりする。

実験中の魔導器「ガイア・ギア」を事故の際に身体の内に取り込んでしまい、更にそれを安定させる為メラの力を受けた事により人外(エヴォリューダー)化してしまう。

勇気から無限のエネルギーを組み上げたり、接触した機械を支配できたり、運命すら打ち砕いたりと、実はメラの次くらいにヤバい戦闘能力を持っていたりする。

ホロウと共に火星に移住。その後目出度く、すずかと共にメラに嫁ぐ事に。

 

・秋星(月村)すずか

メラの第一婦人にしてB&Tの副代表かつ地球連邦軍の名誉中将。

メラの濃厚なマナに影響され、吸血鬼の血が変異。瞳が金色に染まり、真祖の吸血姫として覚醒した。

空想具現化を使えるとんでもないチートッぷりを誇りながら、同時にシステム寄りのSR機開発に秀でており、自らの搭乗機であるGZを仕上たりしている。

戦後はメラと共に火星へ移住。アリサと共に目出度くメラに嫁ぐ事に。

 

・メラ(メラ・シュメーカー・秋星)

最近は秋星メラと名乗っている主人公。シュメーカー・秋星の名前はその昔適当に擬装した戸籍。べっ、別に忘れてたワケじゃないんだから――ッッ!!

元々はよくある転生オリ主としてどこぞの世界にチートたっぷりで送り込まれるはずが、『愉快型転生神・ゴッドアンバー』の犯行を事前に察知した『代行』グループによりコレを阻止。適当に安全な世界へと転生するはずであった。

……が、愉快型転生神・ゴッドアンバーのトロイの木馬によってガメラっぽい世界観がクロスしたような『とんでもないリリなの世界』に『人造神秘生命体』として生れ落ちる事に。因みに前世の個人情報に関する記憶は綺麗さっぱり消されてしまっている。

自分の事を思い出せないくせに、アニメやらのネタだけは確り覚えている自分の業に苦笑しつつも、色々頑張って地球を、ひいては大切な子達を守ろうとした結果「やり過ぎた」。

 

本来のメラの計画では、管理局崩壊までやる心算は無く、精々力を見せ付けての『地球連邦の独立性の保持』くらいが目標であった。が、政治方面は連邦政府に丸投げしていた為、気付いたときには管理局との戦争に入ってしまい呆然。

被害を減らす為に管理局戦争には参戦した物の同時にB&Tで非殺傷兵器の開発に取り組んだりもしていた。

第一次管理局反抗作戦後、反管理局連合結成中に戦線を離脱。その頃から火星の開発に従事しており、戦後は次元世界から完全に身を引いて、火星開発に専念する事に。

その後、すずかとアリサについに押し切られ、なおかつ地球連邦の婚姻法がいつの間にか一夫多妻制に法改正されていた事もあり、二人を娶る事と成った。

因みに法改正最初の重婚制度利用者であり、また同時に火星での一組(?)目の新婚でもある。

この数年後、更にキャロからまさかのアプローチを掛けられ、更にソレに触発されたイクスの攻めにタジタジする事に成る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……結局、押し切られちゃったな」

 

嘗て、俺はすずかとアリサの二人を同時に受け止める事など出来ないと言った。それは不義理であるし、またおれ自身に其処までの器量があるとも思っていなかった。

 

「後悔してる?」

「いや。二人が俺を選んでくれたんだ。なら、精一杯二人を愛するさ」

 

けれども、いやだからこそ、そんな考えは間違っているのだと思い知らされた。何をうぬぼれているのか、俺の度量など問題ではないのだ。

問題は、あくまでも俺がそれを……アリサとすずかの二人を受け入れるかどうか、と言うだけ。結局受け入れてしまえば、互いに支えあっていけば良いだけなのだから。

 

「……メラ君がクサい愛の言葉……」

「……ちょっと、いえ、かなりレアね」

「………(自分で言って後からクサかったかと照れてる」

「……ふふ」「……あはっ」

 

思わず目をそらした俺を見て、両脇から聞こえてくる彼女達の笑い声。そして少し間をおいた彼女達は、示し合わせたかのように言葉を紡いで。

 

「「不束者ですが、これからどうぞ宜しくお願いします!!」」

「……ああ」

 

感極まって、言葉はソレしかでなくて。

結局、力一杯、両腕に二人を抱きしめるのだった。

 

 

 




これにて「リリカルに立ったカメの話」本編は一応の完結とさせていただきます。

実を言うとまともに完結させた作品って殆ど無くて、公開作品で言うと『リリカメ』だけだったりします。
まさかにじファン末期の駆け込みネタを完結させるまで書き抜くとか、自分でもビックリしてるんですが、なんとかここまでたどり着くことが出来ました。

正直かなり尻切れトンボというか半端な気がするのですが、どうか平にご容赦を。もう最後と言うことで勢いが付きすぎて……またそのうち修正も入れます。あ、誤字脱字の指摘は随時募集中。あ、いつも指摘有難うございます。感想もちゃんと拝見してますよ。

最後に、ここまでこの稚作「リリカルに立ったカメの話」を読んでくださった読者の皆様、ここまでのお付き合い、有難うございました。

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