どうしてこうなった日記~ぐだぐだ人生録~   作:花極四季

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投稿できなかった間に合った中の人の出来事まとめ(FGO編)

スカサハ様編

・スカサハ様ゲイボルク投げスギィ!!青タイツ涙目やんけ!

・叔父貴は那岐にワンチャンあるキャラ(性的な意味で)

・空気な黒子

・このストーリーが、ぐだ日記でかなり重要な役目を持たせられそうだったので、僕歓喜

・40連ガチャでカレスコ三枚目当たった。なお


サンタオルタ編

・モードレッドが死ぬ(サンタオルタ的な意味で)

・鼻歌サンタオルタ可愛い

・ライダーとして最強候補じゃね?いいのかこれ

・40連でナーサリィライム当たった。そろそろ死ぬかもしれない

・アストルフォ!アストルフォ!アストルフォ!アストルフォぉぉぉぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!アストルフォアストルフォアストルフォぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!アストルフォきゅんのローズピンクの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
サンタオルタイベントのアストルフォきゅんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
イベントに出られて良かったねアストルフォきゅん!あぁあああああ!かわいい!アストルフォきゅん!かわいい!あっああぁああ!
セイバーアストルフォきゅんも出るから嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!100連回して出ないなんて現実じゃない!!!!あ…仮にガチャで本当に追加されたとしても…
ア ス ト ル フ ォ き ゅ ん が当 た る な ん て 保証 は な い ?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!シャルルマーニュぅううう!!
この!ちきしょー!やめてやる!!こんなクソゲーなんかやめ…て…え!?見…てる?Apocrypha3巻表紙絵のアストルフォきゅんが僕を見てる?
Apocrypha3巻表紙絵のアストルフォきゅんが僕を見てるぞ!アストルフォきゅんが僕を見てるぞ!挿絵のアストルフォきゅんが僕を見てるぞ!!
アニメ(妄想)のアストルフォきゅんがが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはアストルフォきゅんがいる!!やったよデオンくんちゃん!!ひとりでできるもん(意味深)!!!
ち、ちびちゅきのアストルフォきゅううううううううううん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ女体化我様ぁあ!!ジ、ジャンヌー!!ブーディカママぁああああああ!!!リリィぃぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよアストルフォへ届け!!英霊の座のアストルフォへ届け!



03~モードレッドの変貌~

彼女にとって、アーサー・ペンドラゴンは何よりも特別だった。

アーサー王の因子によって生み出されたクローンである彼女にとって、目指すべき目標であり、理想であり、親同然の存在。

それをモルガンから知らされる以前よりも、アーサー王はモードレッドにとって特別であることに変わりはなく、寧ろ同じ血を分けた存在だと知ったことで、誇りと僅かばかりの優越感が彼女を満たした。

努力を重ねれば重ねるほどに、アーサー王が如何に優れた存在かを思い知らされ、尊敬の念が止むことはなかった。

憧れは理想となり、そして自らもまたブリテンの次世代を担う存在となれると言う事実は、筆舌に尽くしがたい喜びであった。――あの日までは。

彼女は、愛情に飢えていた。

モルガンから語られる以前より、モードレッドは明確に親と呼べるものが存在していなかった。

それは当然。彼女はホムンクルス――人間の在るべきサイクルから逸脱した生命として生み出された、ヒトガタでありながら人間とは呼べない、クローン体だった。

例に漏れず、モードレッドもその男勝りな性格故に、それをおくびにも出さず平然を装い続けた。

ある意味ではモルガンが親なのだが、モルガンにとってモードレッドは叛逆への一石でしかなく、親心なんてものは初めから存在してはいなかった。

それ故に、モードレッドもまた、彼女を親とは認識してはいなかった。

当時としては親無しなんていうのは決して珍しいものではなかったから、普段気にするようなことはなかった。

しかし、寂しくないかと言えば別問題。一見寂しさとは無縁な性格をしていても、腹の内までは吐露するまで誰も理解できない。

それに比例して、飢えも増していく。

飢えは我欲を生み、貪欲さを増し、依存性を高めていく。

それが、肯定的な感情によって発露するならば良かった。――しかし、現実は甘くなかった。

 

アーサー王は優秀だ。優秀過ぎた。

故に、一目で看過した。モードレッドに、選定の剣を抜く才は無い。次代の王となる資質は、ないと。

自己完結し、理由も説明されなければ、試す事さえ許されなかった。

――トドメに、親子の縁さえも否定されたことで、モードレッドは歪んでしまった。

愛情と憎悪という、二律背反とも表裏一体とも取れる感情がひとつになり、アーサー王への執着を狂気的なものにまで発展させた。

その末路が、カムランの戦いと呼ばれるアーサー王伝説の幕引きとなった、叛逆と言う名の仲間割れ。

外敵から身を守り続け、僅かばかりの灯火を必死に保ち続けていた国の末路は、内側からの崩壊と言う、ある意味必然ともとれる終焉だった。

 

繁栄と衰退はこの世の理であり、決して逃れられる定め。

形は何であれ、終わりを迎えた事実こそ咎められる謂れも謗られる謂れもない。

そも、こんなものはその時代――否、それ以前よりもありふれた幕でしかない。

人間の営みの根底には、欲望が常に息を潜めている。

富める者への妬み、優れた者への妬みと言った、貧富の差が起こす謀反やクーデターなんてものは、それこそ戦乱の時代の象徴と言っても差支えないもの。

当たり前のことが、当たり前に起きて、当たり前のように終わった。それだけのこと。

 

――だが、それでも。こんな悲劇で終わるのは、誰も望んでいなかったことだけは確かで、それを変えたいと思うのは、ある意味では当然のことだった。

アーサー王は、吹けば飛びそうなブリテンと言う国を一秒でも長く存続させる為に、綻びを作ることを良しとしな

かった。

ひとえに国を愛しているが故に。ブリテンの国民を生かす為に。あらゆる不確定要素を排し、完璧を遂行するマシーンとして妥協を是としなかった。

モードレッドは、ただアーサー王に息子として認められるだけでよかった。

次代の王になることなど、その足掛かりでしかない。

自分と言う個の生命を肯定して欲しかった。存在しないと思っていた他者との明確な繋がりが、彼女が欲しくて止まなかったもので、それ以上を望まなかった。

しかし、時代がそれを許さなかった。

もし、当時のブリテンが当時ほど困窮していなければ。

アーサー王が客観的に人間と言うものを見ることが出来たならば。

モードレッドが感情的に短慮な行動に走らず、冷静にアーサー王の意図を考えることが出来たならば。

二人にいざという時頼れるほどの、信頼に足る存在がいれば。あそこまで悲劇的な終わりを迎えることはなかったかもしれない。

外敵に滅ぼされるにしても、騎士たちと心を一つに最後まで戦い抜くことが出来れば、それは立派な英雄譚として後世に語り継がれたことだろう。

 

しかし、モードレッドにはそんなことは関係ない。

彼女が望むのは、叛逆ではなく忠義の騎士としての名誉を得ることでも、王として次代を担うことでもない。

ただ息子としてアーサー王に認められたかった。それだけの、ちっぽけな祈り。

そんなちっぽけな祈りさえも、戦乱の時代は見逃さずに蹂躙する。

時代が。環境が。彼女達をただの親子であることを許さなかった。

そんなもののせいで、自分のたったひとつの望みさえ叶えられないだなんて、納得できる筈もない。

だから、聖杯に望みを託した。選定の剣を抜く機会が欲しいと。次代のブリテンの王になりたい、ではない。

ただ、納得したいだけ。

選定の剣を抜けるにしても抜けないにしても、一方的な理屈で試すことさえ許されなかった、そんな理不尽の先にある結果が見たいのだ。

モードレッドは決して愚かではない。それが良い結果であれ悪い結果であれ、納得することさえ出来れば、少なくとも叛逆などと言う終わりには至らなかっただろう。

そんな理屈じゃない感情論を、超越者であるアーサー王は理解できなかった。だからこじれてしまった。

だけど、聖杯さえあれば。こんな筈じゃなかった未来を変えられるかもしれない。

そんな蜘蛛の糸を掴むような気持ちで、召喚されることを待ち続けた。

 

そして、待望の召喚された先で、思いもよらぬ出来事が連続した。

若き日のアーサー王との邂逅。アーサー王が女だという事実。

理解の及ばない出来事の連続。しかし、何よりも驚いたのが――似ても似つかない、自分の知るアーサー王とは異なる、あまりにも柔らかな態度。

それだけではない。表情、物腰――そのどれもが、厳格で他者を寄せ付けない父とは真逆で。

そのせいで、余計に二者が同一人物だという認識が出来ず、混乱の極みに達した。

そこで、父に似た別のナニか――セイバーリリィに、優しくされてしまったのがいけなかった。

実質全くの別人だと理解していても、同じ顔で、同じ声で、慈しむように接されてしまえば、親の温もりを求めていたモードレッドが陥落するのは、時間の問題だった。

生まれてこの方流したことの無い涙。幼子がするような慟哭。

仮面の騎士として戦いと叛逆の旗印としての価値しか求められなかった彼女の人生に、初めて明るい色が差した。

 

 

 

……とまぁ、茶番のような長い前振りが流れたところで、結論に走ろうと思う。

 

要点として、

 

1:モードレッドは今現在に掛けてまで、明確な親の愛を受けたことはない。

2:故に、無意識の内に愛情に飢えている。

3:父親であるアーサーに認められたいが為に国を滅ぼす一助となる程のかまってちゃん。

4:憎さ余って愛しさ百倍。ある意味でヤンデレっぽいその行動の根幹には、純粋なまでの求愛が原動力となっている。

 

という究極のファザコン体質のモードレッドが、

 

1:モードレッドの全てを肯定してくれる存在が現れる。

2:それは若き頃のアーサーであり、未来に起こるであろう悲劇を欠片も知らない無垢な女性であること。

3:父とは真逆の砂糖水のように甘く包み込んでくれる、どちらかと言えば母と呼べるタイプである。

4:実質の別人とは言え、姿形も声も同一のそれで、モードレッドに優しくしてくれる存在であること。

 

等と言う彼女にとっての理想を体現したような存在が現れたら、どうなると思う?

まぁ、言わずとも分かるであろうが、結論を言うと――

 

 

 

「ははうえー、ははうえー!!」

 

「はいはい、どうしたのですかモル」

 

緩んだ表情でまるで子犬のように母上と呼び慕う女性――セイバー・リリィにべたべたする光景。――これが、答えだ。

因みにモル、というのはモードレッドの愛称でリリィ命名である。モードレッドと呼び続けるのは他人行儀が過ぎると言うことで、ぱっと思いついたそれを採用。モードレッドも大喜びの良いことづくめ。

普段の凛々しさはどこへやら、発情期の犬もドン引きする勢いでリリィに甘えている。時と場所を選ばずに、だ。

リリィもそんな彼女を否定しないどころか、それに余すことなく答えているものだから、最早止めようがない。

駄目だこの反逆の騎士……早く何とかしないと……。甘々空間を作っている二人以外は、一回は考えたフレーズだろう。

悲しいかな、それを口にできる度胸のある人は誰もおらず、結局レイシフトが開始するまでの間、殆どの時間を親子の団欒に費やした。

周囲の心労、プライスレス。

 

 

 

 

 

そんな駄目な子と化したモードレッドだが、戦場に立てば凛々しさを取り戻し、円卓の騎士の一員として恥ずかしくない立ち居振る舞いを見せつけていた。

特異点と呼ばれる人類のターニングポイントに突如として出現した異物を取り除くことが、サーヴァントとして召喚された役目だと改めて説明された時、彼女の中にあったのは歓喜であった。

普段の様子はどうあれ、彼女は騎士として申し分ない正義感を持つ彼女にとって、人類の救済は本懐と言って差支えないものである。

加えて、同じく剣を取り戦場を駆ける仲間に、母と呼び慕う女性がいるとなれば、それは不安以上に彼女を奮起させる材料となる。

ぶっちゃけて言うならば――俺の活躍する姿を見てくれははうえー!!そして褒めてくれー!!と言うことだ。

彼女の境遇を思えば、多少マザコンでも問題はない。

寧ろ、歪んだ愛が固着する前に矯正出来たと考えれば、リリィの対応は間違いなくファインプレー。

計算でも何でもなく、純粋な感情から二人が寄り添っていることを思えば、これ以上とない最良の結果と言えよう。

 

――それでも、万事すべてが丸く収まった訳ではない。

先程も述べた通り、セイバー・リリィとモードレッドの知るアーサー王は、実質の別人。

如何にリリィが受け入れたところで、アーサー王への遺恨がなくなる訳ではない。モードレッドも、それを理解していた。

今回の召喚の経緯が特殊と言うこともあり、此度訪れることになったフランスのように、自分の知るブリテンがまだ活きていた時代に飛ばされることも、砂漠で金を見つける程度には可能性はある。

そうなると歴史が狂っている、という意味ではブリテンもまた混沌とした時代を迎えていることになり、素直に喜べないだろう。

だけど、それ以上に――今の自分なら、父上とやり直せるんじゃないか、と言う淡い期待をしてしまう。

そこまで高望みしないにしても、あの時の自分のように暴走せず、きちんと向き合って行くことさえ出来れば、何かが変わるかもしれないと希望を抱くのは、決して傲慢などではない。

ともあれ、確定した訳でもないことに不安を抱えていても仕方ない、と改めて思考を整理する。

 

次に考えるべきは、マスターのこと。

暮宮那岐。二十歳半ば前後と言ったところで、銀の掛かった白髪――プラチナブロンドの銀の傾向が強い感じ――と整った顔立ちが特徴の男性。

円卓の騎士は眉目秀麗が揃っていた為、それと比較すると見劣りする部分があるが、彼らにはない野性的な雰囲気がモードレッドの性格も相まって好感触だった。

そんな二人の出会いは、コンクリートの砕ける音から始まったと言っても良い。

リリィを前にして冷静さを欠いていたモードレッドに、容赦のない顔面からの地面陥没アタック。

サーヴァントだからその程度ではダメージがないとしても、問題はそれに一切反応できなかったという所にある。

冷静さを欠いていたとは言え、モードレッドは円卓の騎士であり、アーサーの遺伝子を持つ強者となるべくして生まれた存在。

付け加えるならば、彼女の生きた時代では通信手段と言う物が存在せず、それが当たり前の中で何千何万と言った人間が入り混じった戦争をし、尚且つ何度も生還を果たしているのは、ひとえに彼女の気配察知能力や直感が常人離れしているからこそ。

そんな彼女が、油断があったとはいえ地面に叩きつけられるまで反応さえできなかった。しかも、それを為したのは英霊でも何でもない、一人の人間。

最初は何の間違いだ、と思った。

しかし、事実は小説よりも奇なり。その戦闘能力は、別のマスターである菅野理子が召喚したランサー、クー・フーリンと互角以上に渡り合える程だと、ランサー本人の弁で知る。

彼のような戦いに高潔さを見出している戦士にとって、戦いの結果で嘘を吐くことは自らを侮辱するようなもの。

寧ろ、相手を称えるような評価をしている時点で、嘘もへったくれもあったものではない。そんなことをする意味がないからだ。

とは言え、実際に見てもいないものを信じられる程、彼女は素直ではない。

言葉を片隅に置き、そんなことも言っていたなぐらいの漠然さで理解するに留めていた、が――知るのは、そう先の事ではなかった。

 

目の前で繰り広げられる戦いを端に見て、モードレッドは言葉が出なかった。

百を超えるであろうワイバーンに敵対心を向けられ、息を吐く暇もない程の猛攻と物量が那岐に向けて襲い掛かる――そんな地獄の中を、彼は平然と駆け抜け、逆にワイバーンを圧倒している。

可変式の巨大な拳銃を手に、ワイバーンの眉間や口内、場合によっては翼と的確に一匹一匹対処していくかと思えば、数に圧倒されて接近された所を殴る蹴るなどして後ろにいたワイバーン諸共吹き飛ばしたり、挙句の果てにはワイバーンを足場に疑似空中戦を繰り広げていたりと、やりたい放題である。

英霊であれば、あれぐらい出来ても不思議ではない。こちらは街を護りながらと言う制約がある以上、迎撃が最も正しい選択である。

それなのに、マスターはあろうことか自ら先陣を切って囮となった。

救いようのない愚か者だ。英霊である自分と違い、死ねばそれまでであると同時に、世界の救済への可能性を著しく遠ざけてしまうその蛮行は、侮蔑に値する。

――だけど、それ以上に。雄々しく、勇ましく戦場に立つマスターの姿を見て、歓喜に震えた。

マスターの在り方は人それぞれで、それに文句を言うつもりはないが、モードレッドにとっての理想は、那岐のように共に戦場に立つ気概のある人物だ。

騎士としての正道に順ずるならば、マスターとは本来契約者であると同時に護るべき弱者。

つまり、モードレッドの理想とは真逆の在り方こそ、騎士としてあるべき姿であり、マスターとサーヴァントの関係においても正しいのである。

だけど、そんな邪道を理想としてまで共に戦場に立てるマスターを望んだのは――やはり、無意識の内に芽生えていた孤独故か。

リリィのお蔭で和らいだとは言え、それは一過性のものに過ぎない。本来彼女が求めていたのは父性であり、母性は副次的なものに過ぎないのだから。

ならば、那岐に父性を見出しているか?と言われればそうでもない。せいぜい、兄が関の山だろう。

とは言え、今のモードレッドにとって那岐はマスターであり、それ以上でもそれ以下でもないので、そう思うようになるかどうかは、今後次第。

 

「モル、どうしました?」

 

紆余曲折あり、那岐と理子が就寝したところで一息吐く。

そんな折、那岐をジッと見つめていたせいか、リリィがそう尋ねてくる。

 

「いや……マスターはいつもあんな感じなのかって思って。マスターなのに当たり前のように前線に出て、俺達と同じくして戦っていたのかって」

 

「いつも、と言う程長い付き合いではありませんが……あの人には何度も窮地を救われています。物理的な意味でも、精神的な意味でも。本来なら、私が率先して矢面に立たなければならないのに、未熟故にマスターに負担を強いてしまっているのが、申し訳なくて……」

 

しょんぼりする母上マジ天使、と引き締めた表情の裏で考える。

リリィの戦闘能力が、アーサー王に比べて遥かに劣ることは事前に聞かされていた為、先の戦闘ではもっぱら彼女のフォローをメインに立ち回っていた。

母上の役に立てている、という事実がモードレッドをより一層輝かせ、リリィは無傷で敵は一人として通すことなく完封という、実力以上の結果を残すことが出来た。

因みに、那岐はともかくマシュとランサーの戦果に関しては考慮に入れていない。ざんねん。こうかんどがたりない!

 

「母上は悪くないですよ。それを言うなら、俺達サーヴァントがマスターを前線に出させる事態を作った時点で、罪を共有すべきだ」

 

先程那岐を愚かと評価したが、根本的な問題として、サーヴァントである自分達が不甲斐ないから彼が矢面に立たなくてはいけなかったのだと考えれば、彼の行動に説教するのは筋違いではないだろうか。

敵方の戦力差なんて言い訳にならない。勝たなければ、負ける。逃げることも出来ない。ならば、何に縋ってでも勝ちの芽を拾わなくてはならない。

そういった意味では、サーヴァントに匹敵する戦闘能力を持つマスターを遊ばせておくのは間違いで、彼の判断は正しかったと言えよう。

 

「……母上、マスターは何者なんだ?英霊である自分達が言えた立場じゃないかもしれないけど、この時代であれだけの強さを持つなんて、普通じゃない」

 

神秘が薄れた現代において、神秘がまだ歴史の表舞台にあった今の時代の生物は、現代兵器で太刀打ちするのは困難を極める。

英霊のようになまじ神秘によって固着されていれば、それだけで核兵器さえ通用しなくなるのだ。理不尽にも程がある。

そんな理不尽が跋扈する場において、当たり前のように前線で生き残れる那岐が何者かと疑問に思うのは、自然なことだ。

 

「何者か、ですか。……それは貴方自身が見極めるべき事柄であって、誰かに尋ねるようなものではありません。違いますか?」

 

「まぁ、そうだけどさ」

 

「少なくとも、あの人が悪人でないことは理解しているでしょう?なら、後は少しずつでいいから彼を理解する所から始めればいいんです。焦る必要なんてありません」

 

リリィに諭され、頷く。

リリィの言葉になら、ほぼ無条件で従う辺り、生粋のマザコン――いや、父親のアーサーも含めるのであれば、ファミリーコンプレックス……ファミコンになるのだろうか。どこの国民的家庭用ゲーム機だ。

 

「母上……別に俺はマスターに悪感情を抱いているつもりはないからな?パンケーキ作ってくれたし」

 

「――フフッ、パンケーキですか。確かにあれは美味でしたね」

 

「ブリテンの食事情がアレだったからなぁ……。あんなに美味い物初めて食べた」

 

「私も、思わず作り方を習いたいと言ってしまいました」

 

「えっ、母上が!?俺、母上の手作り食べたい!!」

 

「いえ、まだ教えてもらってないですから。それに、私自身料理なんて未経験ですし、モルに食べさせてあげられるような仕上がりになるのはいつになるか」

 

「失敗しても全部食べるからへーきへーき」

 

「いえ、お腹壊しますよ……って、サーヴァントだから大丈夫なのでしょうか。いやいや、それでも倫理的に……」

 

「――えっと、もしもし?」

 

二人の会話に割って入ってくるジャンヌ。

 

「ん?なんだ?」

 

「いえ、静かにしないと起こしてしまいますよ」

 

「「……ごめんなさい」」

 

至極真っ当な意見を述べられ、親子二人は委縮したまま朝を迎えることになった。

なお、影でこっそり笑っていたランサーは、後でモードレッドに殴られたとか。

 




Q:前書きどうした
A:知らん、そんなことは俺の管轄外だ(現実逃避)

Q:もう(モードレッドのキャラが元に戻ること)ないじゃん……。
A:ええんやで(にっこり)

Q:シリアスの中からも垣間見えるポンコツ具合
A:アルトリアの血筋だし……(諦め)

Q:ファミコンという略し方に草生える
A:寧ろスーパーファミコンでいいと思う。

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