みなさんのご希望に添えられたかどうかわかりませんが、とりあえずドーン!!
1/12 最後辺りを少し改変しました。
それは突然起こった。
殴っている男の反応が鈍かったこともあり、女の一人がそれを止める。
「どうしたの?」
「一応、生死は確認した方がいいんじゃない?」
そう言って女の一人が悠夜の手首に触れて脈を測る。だが脈は平然としており、反応がないのはいつの間にか気絶しているだけだと知った。
それを報告しようとすると、いつの間にか向こうではちょっとしたお祭り状態になっており、今にも本音が化け物に犯されそうになっている。
「水臭いじゃない。私たちも誘ってくれればいいのに」
そう言った女の一人が向こうを向く。その右隣にいた女はペンチを出し、爪を壊そうとすると―――
「———え?」
———ドゴッ
鈍い音を立ててどこかへと吹っ飛んだ。
「何? 今変な音が聞こえ―――」
———グイッ
さっき悠夜の脈を測った女が引き寄せられ、あごに一撃食らった。
その女性が最後に見たのは、いつの間にか解放されている悠夜の姿であり、その視界は脱がされていたはずの靴で隠され、鼻を潰された。
さらに悠夜は鼻を潰した女を蹴り上げて浮かばせて、化け物がいる方へと蹴り飛ばす。
「え? な―――」
だが化け物にまで届かず、女性にぶつかるだけだった。
「こいつ、いつの間に―――」
女が銃を抜いて撃つが、既にそこには悠夜はいない。
「来い、ダークカリバー」
そう呟くように悠夜が言うと、彼の手にクレイモア級のソードが展開される。
「ガンモード、ストライク」
また呟くように言うとその剣は形を変え、銃形態となった。
悠夜は新たに現れた銃で本音に一番近い6本の手足を持つ化け物に向けて撃つと、瞬時に砲弾が生成されてその化け物が吹き飛んだ。その間、悠夜は一番近い化け物に近づき、そいつに乗ったかと思ったら一番近い化け物に分投げた。その化け物は8本だが防ぐために使った4本はすべて切断され、両目を抉る。
今度は引き寄せるようにすると、呼応したのか悠夜の手に戻ってきた。
「ガンモード、スピア」
そう言ってから撃つと今度は16回撃つ。その化け物は全部で12本の手足を持ち、それらをすべて撃ち抜くと残りは両目を、そして臓物めがけて撃ちまくった。
流石の化け物と言え、そこまで執拗に攻撃されれば動けなく。どこぞの魔蔵を4つ持つ種族で、同時に破壊しなければならない相手ではないのだから、今の悠夜ならば余裕だった。
もちろん、この間女たちが何もしなかったわけではない。全員携帯していた銃を持って悠夜に向かって撃っていたが、当たる前に消えており、かすりもしなかったのだ。
「………良い度胸じゃない。全員、支給したISを展開。裏切り者ごと始末しなさい」
「良いのですか!? そんなことしたら、見せしめが―――」
郁江の言葉に近くにいた女がそう聞くと、
「構わないわ。今、幸那に後二人の裏切り者を生け捕りにするよう伝えている。やるならばそっちで構わないし、あの男共もこの戦闘データを見せれば納得するはずよ」
どうやらこの件は男たちも関わっているらしい。
だが今の悠夜にはそんなことはどうでも良く、ただただ展開されたISを見つめていた。何機かは先程悠夜に殴り飛ばされた女を回収しているが、それでも軽く20はいる。
「……ゆうやん……逃げて……」
後ろにいる本音が小さな声でそう言うが、悠夜は振り向くだけだった。
「ゆうやんだけなら……逃げられるから……」
「………はぁあああああああ」
悠夜は盛大なため息を零した。
「え……」
「何で俺が、高々ISというもはや欠陥しか存在しない史上最低ランクのクソ兵器を崇拝する頭悪いゴミ共相手如きに逃げないといけないんだよ」
自身もIS操縦者だというのにこの罵倒である。
その言葉に当然怒りを見せる女たちは、問答無用で発砲する。
———だが、その銃弾が二人に届くことはなかった
悠夜は本音を抱えるとすかさずそこから離脱。「島」と小さすぎるそこを縦横無尽に駆け巡り、常にISの弾丸を回避した。
だが、そこで悠夜はあることに気付く。
(……本音)
そう。悠夜にとって銃弾を回避することは別になんともないが、本音にとっては話は別だ。何度か震え上がり、そのたびに何か液体が悠夜の手を通る。
「……ゆ……ゆう―――」
———ビクビクっ!
また本音の肢体が震えあがり、悠夜の手が濡れた。
「今よ!」
すると悠夜の元にレーザーが降り注ぐ―――だが悠夜は今は本音を無視し、回避した。
「この、すばしっこい―――」
「総帥。この際、ミサイルを持ち出しては? 流石の回避力とはいえ、爆風に巻き込まれてはISを持たない異端者など容易に消せるかと」
一人が郁江にそう助言すると、郁江は頷く。
「そうね。この際、どう殺そうかなんてどうでもいいわ。艦はミサイルを! そして無人機部隊を出しなさい!」
すると近くにいた戦艦から学年別トーナメントの時とは全く違う無人機が姿を現し、さらにミサイルが飛んできた。
「………本当は生身で潰したかったけど」
そう呟いた悠夜。その異変に誰よりも先に気付いたのは本音だった。
(………どういう……こと……)
思わず息が詰まりそうになる本音。それもそのはず、悠夜から放出される殺気が洒落にならないほど膨れ上がっているのである。おそらくそれは本音が知る強者の中でも上位クラスに入るからである。
彼女が知る上位クラスとは筆頭に彼女を含めた現世代の更識・布仏の少女たちの師匠である桂木陽子、IS学園理事長を務める轡木十蔵、更識楯無・簪の祖父にして15代目更識楯無こと更識
———勝てるわけがない
本音の中で絶対的な敗北感が浮かび上がる。どれだけ頑張っても勝てるわけがないと、敵になってほしくないと、止めてほしいという懇願が彼女の中で生じ始めた。
「………助けて………」
———死にたくない
本音が震え始めた頃、悠夜はさらに本音を抱きしめた。
「………大丈夫」
とても自分を余裕で壊せるほどの殺気を持っている男が出せるはずがない優しい声色が本音の耳に届く。
「絶対に、本音を死なせやしない……例え俺が本性を現して、本音に嫌われたとしても―――だから、今だけは耐えて」
そう言った悠夜は野球で言う投手がセカンドベースに向かって牽制球を放るような形で後ろにぶん投げた。
そのスピードはまず並みの人間が受ければ間違いなく気絶するレベルなのだが、本音はある意味常人ではないためなんとか耐える。やがてジェットコースターのような感覚が消えたかと思うと、本音の視界には陽子と自分の父親である清太郎の姿が映った。
■■■
結果的に、簪の予想は正しかった。
千冬が戻っている道中で既に戦闘状態に入っており、真耶はラファール・リヴァイヴを、そしてラウラが打鉄試式に万を装備した状態で戦闘を行っている。さらにはなんと医者として参加している晴美すらも参戦しており、普通の打鉄を装備しているが手にはメイスのようなものが握られていた。
「織斑先生、大丈夫でしたか!?」
真耶が千冬の存在に気付き、相手を攻撃しながら移動して来る。
「私は大丈夫だ。そちらの状況は?」
「なんとか生徒に被害は出ていません。というより、初めから風花の間を狙ってきたみたいで―――」
「おそらく私とラウラ君だろうな」
無人機の頭部をメイスで壊した晴美がそう答えると、千冬は小さく舌打ちした。
「先程、更識に言われて私も下がってきた。その、言い難いが……黒鋼を奪われたようだ」
「何ですって!?」
「……やはりか」
ラウラと晴美が対照的な答えを述べる。
「やはりとはどういうことですか?」
「あれだけ探してもただ撃墜された悠夜君が見つからないのはおかしいと思ってね。最初は君の友人を疑いはしたが、先程これを見つけた」
そう言って握り潰された銀のリスを千冬に渡す。同時に晴美の後ろからラファール・リヴァイヴが現れた。
「死ねええええええ!!」
だが晴美は素早くその場で回転すると、その遠心力でメイスを回転させて現れた女の顔面の横からぶつけた。
「………す、凄いですね」
「なに、自慢することじゃないさ。例えISを動かせたとしても、所詮は力を借りているようなもの」
すると今度は無人機が現れ、晴美は容赦なくその顔面を叩き潰すや否やすぐさま爆弾を入れた。
「生身で強くて初めて強者を名乗れるのさ。学園の用務員みたいにね」
晴美は知っていることだが、十蔵がIS学園の理事長だという事は教員でも知っているものはほぼいない。知っているのは更識一派と千冬、そして轡木家や朱音の部下ぐらいだ。もっとも千冬は朱音が晴美の子供という事しか知らず、黒鋼と荒鋼、そして世間的にはその原型になった鋼の開発者であることも、十蔵のコネでアメリカの工学分野の大学教授と対談した時にその教授を閉口させたことを知らないが。
「え? あの人って強いんですか?」
「織斑先生でも負けるほどね」
そう言って晴美はさらに現れた無人機と戦おうとした。だがそれらは既に壊された後のようで、形を崩して崩壊する。
「誰だ!?」
ラウラが叫ぶように言うと、壊れた無人機の上に何かが降り立った。
その者は四肢の先端と胸部を機械で覆っていて、それ以外には目が金色をしているということ以外はイケメンであり、ただならぬ雰囲気を持っていることだろう。
「………君か。とういうことは彼女も出ているわけか」
「察しの通りです。晴美様」
さらに新たなる無人機が現れ、ビームをその男に撃つが既に男の姿はない。
「消えろ」
そう短く言い終わると同時に空中を蹴ったその男は無人機を貫いていた。
「す……すごい」
「この―――」
打鉄を纏っている女がその男に攻撃を仕掛けるが、それよりも早く動いた男によって顔面を殴られ、そのまま地面に後頭部を叩きつけられた。本来ならばそれで死ぬレベルだが、ISの操縦者保護機能が働いて装甲がなくなるだけとなる。いや、むしろそれは死刑宣告に近いかもしれない。
「何で、ISが負け―――」
「貴様も同じような目に合わせてやろうか?」
その男が睨むと、全員が怯む。さらに失禁するだけではなく泡を噴いて気絶した。
「やりすぎではないか?」
「陽子様から「ISは絶対防御があるから問題ない」と言われております」
「…………いや、あの家のぶっ飛び具合は昔からだな」
ため息を吐いている晴美を他所に、千冬はその男に質問した。
「貴様は何者だ? ここは関係者以外立ち入り禁止だが」
「篠ノ之束の侵入を許して放置している時点で今更だろう?」
二人の殺気のぶつかり合いに真耶は泣きそうになりラウラも体を震え上がらせるが、晴美はため息を吐いて説明する。
「彼はギルベルト・アーベル。私の知り合いの従者だ。安心しろ、君のお友達と違って仲間だ」
「…………」
「ギル、睨むのは止めろ」
「わかりました」
どうやらギルベルトは晴美の言う事は聞くらしい。
するとギルベルトはラウラの方を向くと、
「君が悠夜様の隷従している
「!?」
その言葉は彼女にとってあまり言われたくない言葉であり、さらに元々その言葉自体秘匿されているものである。
「何故それを知っている」
「私もアドヴァンスドだからだ」
ある種の爆弾発言を平然とするギルベルト。だが彼はすぐにその話を中断し、全員に指示をする。
「織斑千冬、山田真耶の両名は今すぐに風花の間に戻り、作戦指揮に戻ってください。先程、専用機持ちたちが独断で出撃したのを止めるにも、彼女らは既に交戦状態へと入りました」
「……何故それを知っている」
「先程、こちらによる時に無謀にも銀の福音に攻撃をしている一団を確認しました。ならば、教師として逃がすために向かうか作戦指揮を執るか、どちらかでしょう? それと布仏本音嬢の回収は先程完了したと別動隊から報告がありました」
「……待て。何故布仏が単独で出ている。聞いていないぞ!」
矢継ぎ早にギルベルトが指示をする中、千冬は耳を疑うことを聞いた。
「それがあなたに対する評価ということでしょう? 悔しいならばキチンと仕事をするか以後は操縦者にでも戻ってはどうですか? まぁ、これから行われるであろう地獄には生き残れないでしょうが」
そう言ったギルベルトはとある部分を見る。
その視線の先には簪と黒鋼を纏う幸那との戦闘、そしてさらにその先には、
———無人機に迫られているというのに余裕を顔に浮かべる悠夜の姿があった
■■■
本音の無事を確認した悠夜は改めて自分の置かれている状況を整理する。
(後ろに崖、そして前方は無機質の機械と飛んでくるミサイルか)
悠夜は笑みを浮かべて跳躍。銃形態となっているダークカリバーで一閃すると、すべてのミサイルが爆発した。
それを合図に無人機たちが一斉に飛んでくる。だが悠夜はそんな状況でも余裕を見せていた。そして―――
———
———今
誰に教えられたわけでもない呪文を詠唱し、人目を気にせず高らかに叫ぶ。
———堕天機神、ルシフェリオン!!
剣を展開した無人機が悠夜を斬ろうとした瞬間、異変が起こった。
悠夜の四肢の先端に魔法陣が展開され、それに触れた剣が触れた場所から消滅したのだ。
さらに悠夜の後ろに魔法陣が展開。そこから黒い化け物のようなものが現れ、悠夜に取り付く。それを合図に四肢の魔法陣が悠夜をスキャンするように移動し、背中を含め5つの魔法陣が胸部へと集まった。
———それは、あまりにも異形だった
背中には一対ウイングブースターが伸びており、黒い粒子を放出している。ボディも色を統一しており、より禍々しさを体現していた。そしてこれこそが三年前、多数の強者相手に圧倒的な勝利を修め、さらに簪の機体を地球ごと破壊した悠夜の愛機「ルシフェリオン」である。
「今ここに宣言しよう。我こそが真の最強なり!!」
ルシフェリオンを纏った悠夜は高らかにそう叫ぶと死神の鎌「ディス・サイズ」を展開し、薙ぎ払う。無人機は分断され、爆発した。
「所詮、見掛け倒しの癖に!!」
女の一人がそう言って悠夜に対して攻撃を仕掛ける。だが悠夜は興味ないと言わんばかりにそこから移動。一直線に先程まで女権団が乗っていて、今も数人乗っている戦艦の方へと飛んだ。
「全員、艦を守りなさい!」
その言葉が終わるころには悠夜は既に戦艦の上部に降り立っている。
「消えろ」
郁江たちが戦艦の方に飛んでくるのを見た悠夜は胸部装甲を開き、そこから高出力のビームを放つ。さらにそれで薙ぎ払うかのように体を移動させた。
「回避!!」
郁江の言葉に全員が回避運動を行う。だが、逃げられなかった者がその放流に巻き込まれ、地へと落ちた。
———その時、異変が起きた
地面へと落下した直後、ISが解除された女たちは逃げようとしたが、すぐに倒れる。
「や、やめ―――」
すると彼女らの中から下品な言葉を漏らし、さらに失禁をする者まで現れる。その光景はまるで集団で犯されているかのようなものだった。
「あなた、一体何を―――」
「過去に調べた結果、女と言うものは存外性的行為を嫌うようだな。故にその世界へと誘ったまでよ」
途端に足元からミサイルが発射され、さらに戦艦のカタパルトから無人機、そして残っているであろう女たちが総出で現れた。
「ふざけるな! よくも同胞たちをこんな目に合わせやがって!!」
打鉄を装備した女が悠夜へと向かって飛ぶが、悠夜はそれを止め、戦艦に叩きつけた。
「それがどうした?」
今度はその打鉄を放り、黒い球体を手から放つ。
「女は男に汚され、子を孕むのがそもそもの
《ディス・サイズ》をぶん投げた悠夜。吹き飛んでいる打鉄に直撃したそれは止まることなく何度も回転し、シールドエネルギーがゼロになった瞬間、先程の球体が横から奪う形で襲い、爆発した。
「そ、そんな―――」
「どこを見ている」
いつの間に手に戻したのか、《ディス・サイズ》を振り下ろす悠夜。一瞬でラファール・リヴァイヴのシールドエネルギーゼロになり、黒い触手のようなものがそれを食らった。
「この、化けも―――」
だが、その女は最後まで罵倒を言う事はできなかった。
悠夜に頭を足蹴にされたその女は打鉄ごと戦艦に叩きつけられ、ダメージを負う。
「惜しいな」
装甲を取るように《ディス・サイズ》を操作する悠夜。さらにISスーツすら剥ぎ、その女の恥所を露出させたところで触手を使って先程の島へと移動させる。
「この光景を4年前と同じように撮影し、愚かな女の末路を無修正、無補正で警告と共に発するのが強者の義務だというのに、それができないとは―――」
「じゃあ、やっぱりあなたが……リアル魔王」
郁江の言葉に笑みを浮かべる悠夜。それは邪悪な笑みであり、見る者すべてを戦慄させた。
「———それがどうした?」
それを聞いた一人が悠夜に向かって突貫した。その女はリアル魔王によって酷い目に合った女であり、ラファール・リヴァイヴの双肩に連射式のガトリングガンを装備している。
「殺す! お前のせいで! 私は汚された―――」
「良かったじゃないか。女として正しき道を歩めた証拠」
「死ねぇえええええええ!!」
悠夜に向かって連射するが、肝心の的は音もなく消えた。そして―――
「———遅いわ」
ビームサーベルを両手に展開した悠夜は連続で斬りつける。さらに、
「斬り裂く」
《ディス・サイズ》を展開してぶった切り、
「そして打ち砕く!」
《ブラッド・ショットガン》を展開し、3回撃つ。
「愚かな女よ。馬鹿な思考を持ったがゆえに―――散れ」
螺旋を描いている黒い球体を右手に精製した悠夜はそれを女にぶつけ、爆発を起こす。
さらに悠夜は周囲に槍上のビームを形成し、周囲にいる今すぐにでも逃げようとする者たちに対して攻撃。全員を落とした。
「………最後は貴様だな、石原郁江」
たった一人を残して。
「……何なの、あなた……どうしてそんな力が……」
「さぁな。だがこいつは俺を求め、俺もこいつを求めた―――そして俺たちはすべてを蹂躙せんがために結託したわけだ。理由はそれだけで十分だろう―――ゆえに死ね」
そう言った悠夜は音もなく郁江に接近し、蹴り飛ばす。郁江が寸前で回避運動を行ったため、吹き飛ばす場所が変わったルシフェリオンの機動力は伊達ではないと言わんばかりに追いついた。
《ディス・サイズ》を投げて何度も斬りつける悠夜。そしてルシフェリオンの機体の一部がスライドし、そこから小さく黒い球体が放出される。
「行け、ファントム」
それらは郁江が装備している高機動型IS「ジャッジメント・コメット」を襲い、装甲を吹き飛ばしていく。
「くっ、この―――」
腰部、そして両手に装備されている荷電粒子砲を撃とうとする郁江だが、それよりも先に破壊された。
そして悠夜は郁江を蹴り飛ばし、戦艦にぶつけた。
「その戦艦も飛ばないのだろう? ならば不要だ」
《ディス・サイズ》の刀身が割れ、そこからさらに非実体の銀色の刃が現れる。
それを薙ぎ払う様に振るった悠夜。郁江ごと戦艦をぶった切った。
「………何で……何でこんな目に………」
「簡単なことだ」
唯一残っている部分を除き、各所で爆発が起こる。
「俺たちの存在を高がIS如きで消そうとしたから負けた。それだけだ」
その言葉が言い終わると同時にルシフェリオンの両肩少し上辺りに魔法陣が展開され、そこから半径3mはあろうビームが郁江がいる戦艦めがけて降り注いだ。
「「ビームスコール」のお味はどうだ? ……まぁ、生きていれば答えは聞こえただろうが無理だろうな」
やがて魔法陣は消えると同時にビームは消失する。爆発で生じた煙が晴れた頃に大半が粉々になっており、近くにあった島すらも崩壊していた。
その光景を、一機のISが見ていた。
「…………そういえば、お前が残っていたな。石原幸那」
そこに居たのは悠夜の愛機「黒鋼」を纏う石原幸那―――石原郁江の愛娘だった。