だから私は絶対に「次回予定」と書くんです。
フリーダムとビルストフルパッケージ、ガンダムバルバトスを作り終わらせるたびに、キュベレイさんが後回しにされてしまう。そんなreizen室内での日常。
現在はガンダムジエンド作成中!
あと、今回は題名通り色々とCHAOSとなっております。しかし、推奨BGMにCHAOSはありません。
いきなりだった。
少女は今まで培ってきた技術を使って島から島へある目的を遂行するために移動をしていると、いきなり彼女の倍の身長はある機械人形が彼女に襲い掛かってきた。
『大人しくしなさい! 裏切り者!!』
だが少女はそれに答えず視界の悪さを利用して陰から陰へと移動してやり過ごそうとした。
(やっぱり、今回の件は一筋縄じゃ行かなさそう)
少女は直ちに仲間に対して「緊急事態信号」を送る。それは周囲にいる者に知らせるものではなく、ネットを通じてすぐに駆けつけられない―――少なくとも、この事態に関わっていないであろう人物に知らせるものだ。
それを発信し終えた少女は装置を壊す形で木に向けて放り投げる。目論見通り破壊されたそれを見届けた少女はそこから離れようとした。が―――
『捕まえた!!』
よほどその機械を動かすのが得意なのか、少女の速さに付いてきたらしいそれは少女を捕まえ、その場を後にした。
「……はぁ、暇だなぁ」
そう言って相川清香は盛大にため息を吐く。
「ほんとにねぇ。でも特殊任務行動ってなんだろ」
「じゃあ、調べてみる?」
谷本癒子の言葉に岸原理子がそう提案すると、理子の隣に座る鷹月静寐が止めにかかる。
「そんなことしたら、織斑先生に怒られるでしょうが」
「じゃあ、本音が帰ってきたら聞こうよ!」
そう。現在、1年1組の半数に割り当てられたこの部屋には本音の姿はない。今から二時間くらい前に呼び出されて以降、戻っていないのだ。
そのことで周りは静まり返ってしまった。
その頃、風花の間では二人の教師がモニターに映る
「上層部はまだ、私たちに作戦の継続を?」
「解除命令が出ていない以上、継続だ」
「ですが、これからどのような手を? それにまだ桂木君の行方もつかめていないですし………」
悠夜が撃墜された後、千冬は教員たちを呼び戻し悠夜の捜索に当たらせた。だが撃墜された場所では破片が残っているだけであり、悠夜の姿を見つけることができていない現状にある。
「そちらも継続して作業をしろということだ。時期にこっちに援軍を送ると言っていたが、まだ着かないようだな」
準備があるとはいえ、悠夜が撃墜されてから既に2時間以上経過している。そろそろ見つけ出さないと死ぬだろう。
風花の間に続く仕切りがノックされる。
「誰だ?」
「ジアンです」
「待機と言ったはずだ! 入室は許可できない」
だが、襖は開かれる。
「やれやれ。彼女らの気持ちも考えてやったらどうだい? ってのはさすがに不味いんだっけ?」
そう言いながら晴美はシャルロットたちの安全の確認をしてから襖を閉める。
「何の用ですか?」
「君の弟君の経過報告さ。依然、目を覚ます気配はなくてね」
「………用はそれだけですか?」
素っ気なく、そしてとげとげしく返す千冬。だが晴美は怒る様子もなく言った。
「不器用な君にアドバイスを一つ。あんまり気張るのはどうかと思うがね。それと、君の弟の部屋に女の子はもうそろそろ休ませてやった方がいいんじゃないかい?」
「………休んでいないのですか?」
千冬の言葉に今度は噴きだした晴美。
「……何か?」
「いや、やっぱり君は休むことをお勧めするよ。今の君ではまともな指揮はできそうにないだろうし」
笑うのを止めない晴美に苛立つ千冬だが、それでも怒りを見せないようにした。
「まぁいい。君が言ったところで彼女には毒だ。私が行ってくるとしよう」
そう言って晴美は風花の間を出て自室の隣にある医務室へと移動する。
「あ、あの………」
シャルロットが声をかけると晴美は一瞥して足を止めた。
「ああ、別に作戦を聞きに行ったわけじゃないから期待しないでくれ」
「……そうですか」
落胆したような声を漏らすシャルロット。晴美はそれを気に掛ける様子もなく足早に歩いて医務室に戻る。
そこには昏睡状態にある一夏とそれに付き添う形でいる箒がいる。もっとも箒は先程の作戦のことで自分を責めているため、普段のような覇気はないが。
「篠ノ之箒、君はもう休みたまえ。あまり自分を責めたところで事態が解決するわけじゃないんだ。ましてや根を詰めて倒れたら元も子もないだろう?」
「…………ここにいたいんです」
晴美の言葉に首を振り、そう言った箒。だが晴美はその言葉を受け入れなかった。
「駄目だ。これは医者としての命令、そして織斑先生からのお願いという奴でもある」
それでも箒は首を振った。
「……そんなことをして……もし一夏が………一夏に異常が起こったらどうするんですか! あなただって、あなただっていつもここにいるわけではないでしょう!?」
その言葉で腕を組んでリズムを刻んでいた人差し指を徐々に遅くして止めた。
「…………言いたいことはそれだけか?」
「…はい」
箒も「言い過ぎたか?」と思ったが、彼女の予想は斜め上のことを晴美は言った。
「君の境遇は私の立場的にも理解しているが、敢えて言わせてもらうが君は何様のつもりだ?」
だがそれは箒にとって聞きなれた言葉でもあったため、すぐに対応できる。
「……黙れ」
もっともそれは一般的には正しい対応とは言えない。
「貴様に何がわかる! 私の境遇など―――」
「どうせISの開発者の妹だってすぐにばれて、次から次へと転校を繰り返してきたから友達ができませんでした。そして依存していた彼が自分のせいでこんな目に合っているので心配しているです……なんて言うつもりかい?」
すぐさま自分が言おうとしていたことを言われ、箒は口を閉ざす。
「今君がするのはそういうことではないよ。少なくとも、そんなことをしていても時間の無駄でしかない」
「何を―――」
「君たちを逃がすために殿になったもう一人の男がどうなったかは聞いているかい?」
そんなことは箒にとってどうでもよかった。
だが目の前の相手がそう思うことを否定し、自分自身も相手に対して恐怖を抱いている。
「今もなお、行方不明だそうだよ」
晴美自身、今すぐにでも「君たちのせいで彼が死んだと思え!」と叫びたかった。だがそれを教員としてのプライドを持って自粛したのである。
しかし箒はそれを裏切るようなことを言った。
「………それは敵前逃亡をしたのでは?」
箒は晴美が指摘した通り、一夏に依存している。おそらくそれは昔、自分を虐めてきたのが男であり、その時に助けたのが一夏ということもあり、それ以降仲良くなったからだろう。それ以後彼女は無自覚に他の男を一夏と比べるようになった。言うまでもなく、彼女は一夏と悠夜を比べている。
容姿、そして箒が悠夜の第一印象は最悪と言えるだろう。箒自身、昔のこともあって容姿で決めることはほとんどないが、それでも悠夜の容姿は見るに堪えないと思えるほどであり、何よりも最初の態度も良いと思えるほどではなかった。
一夏は何事にも前向きだった。へこたれている時もある。弱めを吐く時もある。それでも最後には成し遂げているが悠夜は違った。何事にも悲観的で、キチンとした努力もしようとしない。授業の態度こそ真面目だが、最近もそれすら悪くなっていて、いきなりのこととはいえ襲われただけで何もせず、ISの戦闘スタイルなんて正々堂々と戦わず回避することが多く、卑怯な手を多く使う。さらには相手を陥れる方法を多く用いる。少なくとも箒にとって悠夜という男は嫌いな部類に入る。
箒の言葉で晴美は一瞬呆然としたが、少ししたらやがて笑いを漏らした。
「……何かおかしいですか?」
「いやいや。別におかしくはないと思う。まぁ、彼をよく知る人物や深く関わりを持たない者にしてみれば彼のしていることなんて卑怯同然だろうしね。ああ、でもそれはかん……更識君には言わない方がいい」
その言葉に箒は頭の中に先程自分と共に作戦に参加した少女の顔を彷彿させた。
「……何故ですか?」
「彼女は彼のことを崇拝に近い形の感情を抱いているからさ」
———それならば、いつもいるのも頷ける
晴美は箒の表情からそう読んだ。
「先に言っておくが、彼女だってそう簡単に彼と共にいることを選んだわけじゃない。誰だって会ったばかりの人間に対して良い感情を持つことはそうはないだろう? その点、君も更識君も似ているわけだが―――」
「私と彼女は違います」
「いや、結構似ている部分はあるよ。どちらも世界的に有名になるほど優れた姉を持っていて、何かしらのしがらみを受けることが多い。そうだな。違うとすれば経験と行動力だな。彼女は姉に追いつくために早くISに乗り、君は姉を拒絶するためにISを嫌った。ほかにもあるだろうが、パッと思いつくものとなればこれくらいだろう。そして彼女は今も行方不明になっている想い人を探すために行動している。ほら、違うだろう? 彼女は君と違って行動しているんだ。それだけでも差異は生まれるものだ。だろう? 代表候補生諸君?」
———パンッ!!
襖が自動的に開く。そこには驚いた三人の代表候補生の姿があった。
「あ、あの、いつから……」
代表してかシャルロットが晴美に尋ねると、晴美は「クスッ」と笑って答えた。
「最初からだ。どうせ私がダメだとわかったからそのまま行動に移したんだろう?」
「…………あの―――」
鈴音が声をかけると晴美が制止した。
「悪いがこれ以上は関わる気はなくてね。篠ノ之箒は教員の要請で別室に休みに行った、だろう?」
「は、はい!」
元気良く頷いた鈴音は箒の腕を引っ張る形で部屋を出、シャルロット、セシリアもそれに付いていく。
「しっかし、最近の若いのは手加減を知らないんだな。思わず私も昔に戻るかと思ったよ」
そう言った晴美は近くにいた銀のリスを捕まえ、何度か握って潰すのだった。
■■■
———寒い
そう感じた俺は目を開くと、何故か知らないが今にも殺されそうな雰囲気の中央にいた。
(……おかしいな。俺が通っている高校では試験の点数で強さが決まる召喚獣を召喚できるなんてことはないはずだけど)
ぶっちゃけた話、あの高校であんなことをしていれば間違いなく自白を強要され議事録は改竄され、そして俺は謂れもない事実によって紐なしバンジージャンプをさせられることになるのだろう。そういうことをされるのは織斑だけで十分だ。
「———目を覚ましたわね」
聞き覚えがある声が聞こえたこともあって、顔を上げる。そこには会いたくない女がおり、そいつは容赦なく俺の顔を蹴ってきた。
「顔を上げないでくれるかしら?」
「よく言うぜ。目を向けて相手と会話をしろって俺に教え込んだのはアンタだろうが」
また蹴られた。親父にもぶたれたことないのに。
………まぁでも真面目な話、俺は親父にぶたれた覚えがない。
「顔を下げなさい。それがあなたたち家畜の義務ではなくって?」
そう言ってくる女性権利主張団体―――通称、女権団の総帥「
(こんなことなら、もうちょっとふざけておいた方が良かったかもしれないな)
この女と俺の親父はバツイチ同士だった。
それが何故か再婚して、この女はいつの間にか女権団の総帥にまで上り詰めており、帰りが遅い事なんてしょっちゅうだったため、この女の娘である
「その家畜の評価を下げるためにわざわざあの適当に書いた小説を公表したのかよ。お前ら女は馬鹿しかいないのか?」
「それはあなたでしょう?」
そう言ってまた蹴ってくる石原郁江。だが今度はそれだけではなく、何か硬い物が俺の頭にぶつかる。
(今の、もしかして結構ヤバい奴じゃね?)
そう思った俺は気になってそっちを見ると、見覚えがある奴らが俺に投石してきた。
「久しぶりね、桂木悠夜」
その声を聴いた俺は4年前のことを思い出させられた。
「お前は……………………誰だっけ?」
「ああ?」
鉄パイプらしきもので俺を殴ってきた。物凄く痛いです。
「アンタに、住所バラされて、転校、させられた、グループ、の、一人、よ!!」
何度も殴ってくる。何度か意識が飛んだが、殴られるたびに戻されるのでたまったものではない。
「次は私よ」
「アタシにもやらせてよ。こいつ、殺さないと気が済まないし」
俺はお前らのサンドバッグに成り下がったわけではない。
振り下ろされる鉄パイプを噛んで掴み、もぎ取った。そしてそのままその女に向かって鉄パイプを飛ばすがかわされた。
「この、舐めた真似を―――」
だがそれを止めたのは他でもない義母だった。
「せっかくだから、彼女にも参加してもらいましょうか?」
「え? それって―――もう出すの……出すってことですか?」
どうやらあの馬鹿共は最近加わったみたいだな。おそらく、女権団のネットワークを使って俺を嬲りたい人間を集い、それを知ったあいつ等はわざわざ参加した……ということだろう。それほどまで、彼女らはあの騒動で苦痛を味わったようだ。中には犯されかけたらしいが、自業自得としか言えない。少なくとも、トイレの水を被らされ、挙句水すら飲まされた俺にとっては。
「ええ。もちろんよ。こういうことは是非彼女にも参加してもらいたいし」
「わかりました」
………何の話だ。
先程から嫌な予感がしてくる。俺はNTになった覚えはないから気のせいだと思いたい。
「それまであなたたちでやっておきなさい」
それが性的な行為でないことはすぐに理解できた。どうやら俺に嵌められたと思っているグループ以外にも俺に対して敵意を持つ者は多いらしく、全員が全員鉄パイプや金属バットなどを持っていた。この大半が男である俺がISを扱えることに対して良い感情を持たない奴らなんだろう。どうせ動かすならばMS適性が高くてXなんちゃら能力がない、所謂スーパーパイロットタイプになりたかった。黒鋼の原型が二重の意味で二代目のMSなんだが、残念ながらそういう能力は俺にはないようだ。
全員が全員俺に対して攻撃を仕掛けるが、お互いが邪魔になっているため、捌くことはそこまで苦労しない。
「連れてきました」
いよいよ意識が飛びそうになっているところでそんな声が響く。
「ようやくね。あなたが絶望するのが楽しみだわ」
……何を言っているんだ。
そんな疑問に囚われたが、それはすぐに解消された。
(………何で?)
そこには、ここにいることすらあり得ない人物がいた。
そいつは現在旅館にいて、今頃何も知らずに友達とカルタやモンハンなどをしているであろう人物で、俺と最初に交流しようとしてきた人物―――布仏本音がそこにいた。
十字架が刺されたかと思うと瞬時に固定され、本音を縛っている鎖がその十字架に固定されていく。
「………テメェら」
俺がようやく感情を顕わにしたことがそんなに喜ばしいのか、石原郁江は笑みを浮かべた。
「あれを忘れているでしょ? 早く付けなさい」
すると配下だろうと思われる女が本音の首に重苦しい何かを取り付けた。
「さて、桂木悠夜。私が何が言いたいかわかるわよね?」
「………そいつを殺されたくなければ、黙って食らってろ………ってところか?」
「ご名答」
石原郁江は指を鳴らすと全員が武器を持って俺を殴り始めた。
■■■
義理の息子でもあるが、それ以上に憎き異端者でもある悠夜が苦しむ姿を見るのは郁江にとって快感だった。
(無様ね。ホントいい気味だわ)
郁江は男と言う存在が嫌いだった。だがそれは10年前のある出来事をきっかけであり、幸那を設けた時も理解があり、同意の上で恋愛結婚をしたからである。
今でこそそれなりの美しさを持っている郁江だが、昔は悠夜と同じで美容なんかには興味がなく、虐められることはなかったが決してモテるようなわけでもない。前の夫との恋愛もよくある大学サークルでの出会いであり、それまではそういうのも興味がなかった。
だが10年前のある日、彼女は夫の上司に求婚されたのである。その上司とは家族参加が可能な会社の会合で何度か会ったぐらいで、言ってしまえばそのくらいの面識仕方なかった。そんなある日、夫から「別かれてほしい」と言われたのである。理由は「この先の人生に支障をきたす」ということで―――つまり彼女は幸那共々売られたのである。
その上司はただの上司ではなく、将来は社長のイスを約束された人物だった。自分が夫と結婚していなければ良物件なのは間違いないのは確かであり、もし出会う前でなければ彼女もOKするほどの人物だったが、それでも夫と幸せな家庭を育もうと思っていた彼女にとってそれは裏切りとしか思えず、さらにその上司は「娘なんて前の男にでも預ければいい」と言ったのだ。
まだ5歳になったばかりの幸那には一般的な家事能力を持たず、もし預けたとしても夫の仕事がシステム関係で忙しくなって家を空けることが多いため苦労を掛けることになると考えた郁江は当然拒否。家に帰って夫を説得しようとした郁江は―――その夫が女を家に連れ込んでいたことを知った。
その日の内に幸那と共に家を出て、コミュニケーション能力向上のために預けていた保育園も辞めさせて転々としている時、彼女は倒れた。
「やあ、おはよう」
目を覚ました郁江に話しかけたのは一人の男性であり、歳は30手前と思われるくらいだった。
「……あの、ここは……」
「僕の家だよ。石原郁江さん」
「……どうして私の名前を?」
思わず尋ねた郁江にその男性は彼女の免許証を差し出した。
「悪いけどちょっと拝見させてもらったよ。いやぁ、流石に悪いなぁっと思ってあなたの体は仕事の女性の後輩に拭いてもらったから安心して」
自分より2、3は年下と思われるその男性はそう言ってココアを持って来た。
「あの、娘………一緒にいた女の子は………」
「その子なら今頃息子が面倒みていると思うよ。なにせ久々に年下の女の子の世話をすることになったから嫌そうな顔をしていたけど、さっき見て来たら泣き止んでいたからたぶん頑張ったんだね」
「次は何をプレゼントしようか?」と考えている男性。郁江は立ち上がろうとしたが頭痛が走ったことがきっかけでバランスを崩す。
「あまり無理をしない方がいい。今のあなたは無力! ……というのは冗談で、倒れた時も相当顔が悪かったのと、荷物の量で何個か選択されていないものがあったから、諸事情で逃げているんだろうと思ってね。ああ、それとだけど君の前の夫が務めていた会社からは様々な問題が露見したことで倒産」
「!?」
どこか楽しげに言った男性の言葉に驚く郁江。
「まぁ、下はともかく上はどうやら別会社に移ったらしいから、そこから追われているなら大人しく結婚した方がいいと思う」
「ええ。わかっているけど………今なんて言った?」
「ん? 僕と結婚して魔法少女………あ、ごめん。今のはなしね。いやぁ、つい昔の癖でネタに走ることが多くてね。まぁ、簡単に説明すると、最近僕も事情があって奥さんと別れてしまってね。かと言ってモテるのはモテるんだけど、正直前の奥さんの方が色々と良かったし興味がないんだ。その分、君のことは色々調べさせてもらった結果、見事に僕の都合のいい女になりそうだったからこうして求婚しているんだ。要は、お互いパートナーがいることで周りを諦めさせるのが一番だから。先に言っておくけど、前の夫と一緒にしないでね? 僕は基本的に超純愛なタイプで、こういうちょっとヤバめの状況では裏切るつもりはない。それだけは保証しよう。当然、君にちょっかい出して来る男も場合によってはこの世から退場してもらうことも可能だ。その代りと言ってはなんだが、ウチの息子の教育———できれば料理をはじめとする家事の一切を叩き込んでもらいたいんだ? 僕も家を空ける時は多いだろうけど、防犯に関しては一切問題はない。ほら」
そう言って男性は写真を見せる。そこには郁江に求婚し、事実上家庭を崩壊させた男が顔が腫れるまで殴られているからだ。
「………わかったわ。あなたの申し出、受けさせてもらう」
「いやぁ、助かる。じゃあ、契約成立というわけで」
そう言って男性―――桂木修吾は婚姻届けを出した。
「ああ、ただ一つだけ。君の境遇を考えれば女尊男卑思考を持つのは予想できるけど、あまり悠夜を舐めない方がいい。割に合わなくても、手伝ったらちゃんとそれなりの報酬は支払ってあげてほしいんだ。そうじゃないと―――君が酷い目に合うと思うから」
そこまで思い出した郁江は確認するように悠夜を見る。予想通り、彼は動けないまま殴られ続けていた。
(そう。男なんて私たちが管理するべき家畜でしかない。私たちと同じIS操縦者がいるなんて不愉快だわ)
郁江はあるスイッチを押すと同時にそれが合図となり、ある一団が暗い森で動き出した。
ということでわかりにくいでしょうが、色々とぶち込みました。
次回予定
本音が捕まったことで殴られ続ける悠夜。そして意識が飛び、彼はそこで邂逅する。
自称策士は自重しない 第67話
「あまり言いたい言葉ではないが」
絶望が起きた時、少年に異変が起こる……のか?