IS~自称策士は自重しない~   作:reizen

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#24 封印したい黒歴史

 あれは今から…確か5年前のことだな。

 今すぐにでも忘れたいそれは、今も俺の心の奥に残っている。

 

 

―――6年前

 

「よし、これで完成だ」

 

 時間は午後3時ジャスト。おやつの時間を迎えた俺は完成させたプラモデルを見て、どこからどう見ても完璧な完成度を誇っていることを確認する。

 

(良かった。なんとか間に合った)

 

 あと一週間で楽しみにしているゲームの発売日であり、新たなブームの予感がしつつその発売を楽しみにしていた。特殊なものでもあるため、残念ながら1万もするゲームソフトなので貯金がない。なにせ脳波を読み取るらしいヘッドセットに、本格的な装置もあるのでかなり金がかかる。むしろ1万でも安いぐらいだ。特に初回限定特典として自作したプラモ読み取り装置と設定を読み込めるUSBもついてくるらしい。ここ最近父親が出かけているからという理由で買ってくれるということだ。

 それを聞いた俺はすぐに作り始めたのだ。

 

 ―――コンコン

 

 ドアがノックされたので「どうぞ」と言うと、ドアが開いた。そこには2歳下の義理の妹がいて、浮かない顔をしている。

 ちなみに俺の家族は両親が再婚していて、お互い連れ子同士だったらしい。

 

「どうしたんだ?」

「……あのね」

 

 何故かもじもじとする義妹の幸那。何やら反応がおかしい気がしなくもないが、実際もじもじしているのだから仕方がない。

 

「どうして私にはお姉ちゃんがいないの?」

「……………」

 

 どう説明したものだろうか。

 たまたま、そういう家庭に生まれてしまったんだよ、なんて言えたらどれだけ良いだろうか。

 

(いや、そういうのははっきりと告げるべきか)

 

 小3に現実を突きつけるのもどうかと思うので少し言葉を濁すが、はっきり言った方が良いだろうし。

 

「それはね」

 

 何故か緊張しつつも、はっきりと告げる。

 

「俺が女じゃなかったからだ」

「………うん。男だもんね」

 

 そう言って部屋を出る幸那。後悔も反省もしているが、5年生の俺には荷が重かったことだ。そういうのは今度義母に聞いてほしい。

 

(しかし、お姉ちゃんか)

 

 あの年頃だったらそろそろ兄妹離れもし始めることだし、後2年は必要かもしれないが第二次成長期を迎えるから必要かもしれない。

 

(最近、郁江さんも忙しそうだしな)

 

 だからと言って家事をすべて押し付けるのは困るが、家族なんだしそれなりにサポートしようと思う。

 

(……あ)

 

 あることを思い出した俺はタンスからある服を引っ張り出してすぐに着替え、幸那を探す。

 普段からの行動パターンは読んでいるし、この時間なら自分の部屋かリビングだろう。なので最初にリビングに向かう。案の定、そこで宿題をしていたのでそっと近づいて幸那の肩を叩いた。

 

「なに、おにいちゃ―――」

「どう? 驚いた?」

 

 声を裏返して話すと、幸那の驚いた顔が目に入る。

 

(まさか去年の学芸会の罰ゲームで女装させられたものがこんなところで役立つとは思わなかった)

 

 確か父さんの部屋に変声機があるはずだから、後でそっちに変えようと思った。

 すると幸那は何を思ってしまったのか、俺の胸に手を当てる。

 

「って、お兄ちゃん?!」

「ううん。お姉ちゃんよ」

 

 5年生でおっぱいが出ているのって、確かあの留学生ぐらいだろう。将来もするならば偽乳の用意は必須だな。いや、する気はないけどさ。

 

「お兄ちゃんじゃん! どうして、嘘つくの?」

「そ、それはさぁ……だってお姉ちゃんだったら色々便利でしょ?」

 

 手伝いって意味で。

 でもさすがに声をごまかすのは難しい。だから俺はすぐに父さんの部屋に入り、勝手にチョーカー仕様の変声機を借りて首に巻く。

 そしてリビングに戻り、変わった声を披露した。

 

「……お、お兄ちゃん?」

「『こんな感じでいいかしら?』」

 

 本気で驚く幸那が可愛くて撫でると、自動的に幸那は目を細めた。相変わらず可愛い義妹である。

 

「でも驚いた。お兄ちゃんって、お姉ちゃんにもなれるんだね」

「『普通はなれないけど、私たちの場合は環境かしら。それに、父親の異様な開発技術?』」

「アハハハハ……」

 

 俺も、そして幸那も幼いながら自分の父親(幸那の場合は義父)の異常さはわかっているつもりだ。俺もそうだが、幸那自身も家族自慢をした時に引かれたらしい。

 そう。ここまでは俺たちは普通の家族だった。

 

 

 

 

 

 ある日のことだった。

 お姉ちゃんごっこを続けていた俺と幸那は夕食の買い出しに出かけていた。金はある程度たまっていることもあり、不自由することはない。それに後から払ってくれるから実際に減るのは家計ぐらいだ。

 そう思って俺は女装の状態で、そして幸那は男の子と変わりない格好をさせて外を歩いていると、何やら不穏な気配を察知した。

 

(……追けられてる?)

 

 そんな気がした俺は幸那の手を引っ張って耳元でこれからのことを指示する。

 

「『嫌な予感がするわ。だから私が合図したら先に帰りなさい』」

「ど、どういう―――」

「『いいわね?』」

 

 幸那は小さく頷き、俺たちは混みつつあるスーパーの中に入ってから俺は精肉コーナー、幸那はお菓子コーナーの方へと移動する。

 そして俺は幸那に気付かれないように通り過ぎると、俺の方へと集中してきた。

 俺はスーパーの中を一周すると、幸那を放置した状態で外に出て近くの壁に隠れる。

 

「みぃ~つけた~」

 

 すると2,3人現れ、全員が俺の方へと歩み始めた。

 掴もうと伸ばしてきた腕を避け、そこから逃げようとしたところで後ろから捕まえられた。

 

(………せめて、サインだけでも)

 

 油が乗っていると言っても過言ではないであろう太い腕を噛み付き、車が来たのでわざと前へと躍り出た。

 

 ———これは鬼ごっこだ

 

 自分に言い聞かせ、横から襲ってくる(走ってくる)()やり過ごす(利用する)ため、あえてそう動いて飛んで避ける。急に来たことで焦りを感じたのか、車はハンドルを切って事故を回避。俺に対して「バッキャロー!!」と叫ぶが、気にせずそこから移動した。

 そしてスーパーの後ろに回り込んだ俺は携帯電話で素早くメールを打ち、店を出るように合図を出し、ばれないように配慮しつつわざと足を緩めて捕まった。

 次に気が付いた時には俺は固定されていて、既に男が俺を見て唖然とした。服はボロボロに破られているので、これから犯そうとしたのだろう。所々に液体が付いているが、それはおそらくこいつらの唾液。

 

「お前、男なのか?」

「『あら、今頃気付いたの? だったらダイエットしたら? 多少目は良くなるかもしれないわよ』」

 

 チョーカー型変声機のスイッチがONになっていたのだろう。俺の言葉を翻訳した女性の声が出てくる。

 瞬間、俺の服を破ったと思われる男が俺を蹴り飛ばした。

 

「テメェ!! 俺たちを謀ったな!!」

「『別にあなたたちを騙す予定はなかったわよ? ただ可愛い義妹()のために演技をしていただけ』」

 

 そう言いながら自分が何に縛られているかを確認する。どうやら俺はベッドに括り付けられているみたいだ。

 

(手首だけを外せればいいな)

 

 だとしたらヌルゲーだろうと思ったが、どうやらそう簡単にはいかないらしい。

 試しに落下防止ように設置されている枕付近の柵の上を持って上にあげると―――

 

 ―――スポッ

 

 簡単に抜けてしまった。

 それを見て俺を含めて全員が呆然としたが、いち早く復帰した俺は右側にいた男の顎を遠慮なく殴った。そのことでほかの二人は復帰し、報復か俺に対して攻撃してくる。

 それを「ゾンビ鬼」という遊びで鍛え上げた回避能力で避け、自分の靴を取ってそこから逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――現代

 

 それを聞いた彼女はガタガタと震え出す。

 

「……あなたも、そんな体験してたんだ」

「…あ、やっぱり?」

 

 実のところ、彼女は男を軽蔑しているというよりも怖がっている気がしたので、仲間と思わせるためにこの話を聞かせた。まぁ、考えてみればあんな常識外の戦闘力を持つ男を祖父なんだから、男を軽蔑するわけがないんだが。

 

「……私も、男の人に……襲われたこと、あるから」

「まぁ、俺も同じ男だし、気持ちはわからなくはないんだがな」

 

 すると顔を青くした彼女は自分の体を抱きつつ俺から距離を取ろうとする。

 

「いや、俺も自分の命が大切だから手は出さないっての」

 

 そもそも俺は彼女のことをそんな目で見ていない。確かに容姿は可愛いと思うし、手を出そうとした男の気持ちもわかる。

 一応ある程度の警戒は解けたのか、彼女は再び後ろを向いて髪を俺に預けた。

 シャンプーで泡だらけになった髪をシャワーで洗い落としていると、メガネについた水滴が気になってしまい、持ってきておいたカチューシャを前髪が落ちてこないようにして、席を外して水滴をぬぐい、マシにしてからメガネをかけて戻った。

 

「まぁ、あれだ。最近、女尊男卑とかで男の立場が悪くなってるだろ? そのせいで本当に恋愛できる奴って織斑みたいなイケメンぐらいだが、小学生となれば大人だったら力で抑えることなんて容易だ。だから実力行使に出る。ま、当然の心理だ。確かに犯罪だが、元を辿れば女たちが悪いとも言えるだろ」

 

 大元を辿れば政府が悪いんだがな。それは言わなくてもいいか。

 

「………怖く、なかったの?」

 

 か細い声が俺の耳に届く。俺はその問いに笑って答えた。

 

「怖くなかった、なんて言わないさ。実際、3階と4階の踊り場から飛び降りた時は怖かったし、後ろから迫ってきた奴らは得物を持ってたし。それでも俺の逃げの経験が高かったから捕まることがなかったけど」

 

 笑いながらそう答えると、彼女はそれを羨ましそうに見ていた。

 

「ともかくだ。そういう過去に執着するのは止めて、明るくなれってことだ。それに俺みたいに男だって悪い奴らばかりってわけじゃないし」

「でも、敵はそれだけじゃない」

 

 どこか遠い目をする女の子の髪をリンスで固め、しばらく放置するため一度彼女から離れた。

 

(少しは心を開いてくれたか?)

 

 濡れた服を洗濯籠(俺用)に入れ、濡れた体を拭いて着替える。

 

(大体10分ぐらいかな)

 

 そう思って部屋の奥に取り掛かろうとすると、床に錯乱しているのは紙……設計図ばかりだった。

 

(……あれ? これって……)

 

 どこかで見たことがある。というよりも、俺が作ったものだ。

 ほかには俺の手書き設計図を再現したものだったり、ガン○ムタイプの再現用設計図だったり。

 設計図をまとめて、整理必須アイテムの挿入式バインダーを出し、ファイルに一枚一枚設計図を入れてから、風呂場に戻った。

 そしてリンスを流して髪を拭くと顔が赤くなったのでバスタオルを中の引手用手すりにかけて外に出る。

 

(……聞けない)

 

 どこで俺の作品を取った? なんて、そんなことを聞けるわけがない。俺はこういう時に何故かヘタレてしまう。もしこれでアイディアが被っただけだったらどうするつもりだ。

 ベッドの下を掃除していると、出るわ出るわ。また害虫が出たのでつぶそうとすると、レーザーが通過して害虫を焦がした。

 射線を辿ってみると、そこにはバスタオルを巻いた状態のさっきの女の子が立っていた。

 

「……ない?」

「パンツなら取ってないけど?」

「違う」

 

 考えてみれば下着もそうだが、着替え全般出してなかったな。

 

「……そこに、紙があったはず」

「ああ。それならすべてこれに入れた」

 

 そう言ってファイルを渡すと彼女はすぐに中身を確認した。

 そして俺は空気を読んで外に出て、しばらく待機した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ一人残された少女―――轡木朱音(あかね)は念のため外に出た悠夜が覗けないように鍵をかける。

 

(……大丈夫とは思う…けど)

 

 そう思いながら朱音はバスタオルを脱ぎ、タンスの中に入っている私服に着替える。まだ着れることに驚きつつ

、いつでも入れるように鍵を開けておいた。

 

(さっきの…気持ちよかったな)

 

 自分の髪を弄びながら洗ってもらっていた感触を思い出しつつ、ふと彼女は過去のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 朱音の父親は7年前に傷害事件を起こしており、今も刑務所に入っているということだけは聞いている。調べようと思えば可能だが、彼女自身ハッキングの手段はあまり使う気になれないということもあるが、何よりもそれが原因で外に出ることができなくなったと言っても過言ではない。

 彼女は昔から異質だった。

 小さい頃から母親の医学書を持ち出しては、意味がわからない部分を辞書で引くが、それすらも理解できなかったときは一から勉強していた。預けていた保育所からはそのことで再三の注意があったが、共働きだったが故に当時保護者の代わりをしていた十蔵はやりたいことをやらせてみたいという方針だったので朱音はひたすら勉強を繰り返し、いつ日か彼女の目標は母親の医学書をちゃんと理解することになっていた。

 だがそんなある日、父親が傷害事件を起こして警察に捕まったというニュースを小学校に駆け巡った。

 そのことで日頃から一人でいた朱音はこれ幸いとばかりにクラスメイトに虐められ始めた。だが、それを担任の男性教諭が朱音を庇ったのだ。

 そんなある日、その男性教諭の指示で朱音は放課後に残らされたことがあった。どうやら以前に提出した書類に記入漏れがあったらしく、重要な書類なので二人でする、という話だった。

 何も疑わずに残った朱音は勉強しながら待っていると、しばらくしてその男性教諭が現れた。

 

(あれ?)

 

 見たところ、その教諭は書類どころか何も持ってきていなかった。

 そのことを疑問に思った朱音はその教諭に聞くと、彼は「必要ない」と断言した。

 

「実はね。記入漏れというのは嘘なんだ。本当は君と二人きりになりたかったんだよ」

 

 するとその教諭は朱音に近づき、思いっきり彼女の胸を掴んだ。

 そのことで自分が今何をされているかを理解すると同時に、目の前の教師に対して恐怖する。

 

「や、止めてください……」

「どうして? 僕は今まで可哀想な君を何度も助けたじゃないか? だったらこれくらいの礼なんて別に構わないだろう」

 

 「さぁ、力を抜いて」と言った男性教諭は両手で朱音の胸を撫でまわす。5分ぐらいしたくらいだろうか。「そろそろいいだろう」と言った男性教諭は朱音が履いていたスカートに手をかける。

 すると鈍い音が辺りに響き男性教諭が壁に激突した。

 

 ———ビィイイイイイイイッッ!!

 

 ぶつかったことで何らかの出来事が起こったのか、残っていた朱音のランドセルに着いてあった防犯ブザーが鳴り響く。時間も放課後だったこともあり、別の教師が駆けつけて惨状に驚き、彼女はそのことが影響で祖父も含め男性に触れられることができなくなったのだ。

 

 

(………でも、あれは誰だったんだろう?)

 

 彼女の脳裏に男性教諭を飛ばした影の形ができる。そう。あの男性教諭は何者かの妨害によって着替えが加えられ、未遂に終わったのだ。

 だが男性教諭は体格が大きい方で、子供の力で吹き飛ばせるなんてことはできないのだ。それを知っていたから朱音はそのことは黙っていた。

 

(………あの人だったらいいな)

 

 すると朱音の顔は自分でもわかるほど赤くなり、思わず首を勢いよく横に振った。

 実は朱音が重度の男性恐怖症を抱えてから、悠夜を除いて一人だけ彼女の中に入りこめた人物が一人だけいた。その男の名は桂木修吾。悠夜の父であり、現状の朱音を確立させる要因の一つとなった電子機器の取り扱いを朱音に教え込んだ彼女の師匠である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あらかた部屋の掃除は終わったが、問題が一つ発生した。

 布団を干す必要があるが、今は夜。なので轡木(祖父)に頼んで余っているベッドのセットを借りて、そのまま往復してきた。

 ちなみに俺はそこで一泊し、7時ぐらいに一度部屋に戻って授業の準備をしていた。本音を言えばこのまま続きをしたかったのだが、轡木さんに言われて仕方なく出ることにした。決してあの人から発せられたプレッシャーが怖かったからではない。

 更識の姿はないから、おそらくもう校舎のほうにでも行ったのだろう。柔軟をしてからシャワーを浴び、制服に着替えて廊下に出る。この時間から登校する人間が多くなるが、周りは「男がいる」ということに慣れたのか、俺が出てきてもあまり何の反応も示さなくなった。まぁ、織斑の場合は逆に湧くが、それはそれで今更って感じだった。

 

「おっはよ~」

 

 そしてこの衝撃も慣れたものだ。今日も今日とて布仏が俺に抱き着いてきたのだろう。いや、正しくは「のしかかってきた」か。

 

「ああ、おはよう。そして降りろ」

「ええ~」

 

 不満そうに言うので俺は布仏の無理やりはがすと、違和感を感じた。

 

(あれ? 軽い?)

 

 通常、教科書を合わせれば60㎏はあるはずなんだが、どういうことか布仏からそんな重さを感じられなかった。いったいどういう原理なんだろうか?

 深くは考えないことをせず、その校舎に入って上靴に履き替え、教室に入る。

 

「そういえば、あかにゃんはどうだった?」

「……ずいぶんと個性的な名前だな」

 

 確かに「にゃん」の部分があっても違和感はないほどの反応だったな。

 

「まぁ、あれも女尊男卑の弊害だろ。気が強い奴はこの世の中で猛威を振るっているだろうし」

 

 そんなことを話していると、何人かが教室が入ってくる。中には見たことがない奴らが―――というかほとんど見たことがない奴らしかいない。

 

「ねぇ、アンタ」

 

 総勢20人は軽く超えていることはすぐにわかった。だとしてもこれは異常というか、何故あれほどに人がいるのか疑問がある。

 

「これだけ押しかけて一体何の用―――」

 

 途端に俺の顔面に拳が届き、殴られる。

 

「ゆうやん!」

「大丈夫だ。……一体何の用だ? 別にお前らのスカートをめくったりパンツをずらしたなんて幼稚なことをした覚えはないんだが?」

 

 しかし今の拳は聞いた。本当に女か、こいつら。

 と関係ないことを思っていると、一人が俺に言った。

 

「黙りなさいこの犯罪者が」

「………はぁ?!」

 

 いや、確かにあれは犯罪チックだったが、あれは女の髪にダメージが来ているから適切なケアをしようという俺の配慮だ。それにちゃんと視線は髪一点に集中しているから問題ない。第一、あの子が俺に対して不満を持っているなら、俺はこの世にはもういないだろう。冗談ではなく、マジで。

 

「許さないわ。私たちの楯無様を汚した罪、その身をもって贖いなさい!!」

 

 わりとでかい石を投げてきたので俺は窓から飛び降りた。




今回のシーンは、ちょっと知識不足なのでこれくらいに留めました。未遂だから、大丈夫……ですよね?

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