喫茶店経営している場合じゃねえ   作:気宇

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イベント告知来ましたね。ふむふむ礼装。まあた特攻か。
玉藻の前?何故玉藻の前が(ry
しかし交換用アイテムが4種類もあると。お月見よりキツそう。

そう言えば今iTunesカードのキャンペーンやってましたね(財布を見ながら)


二章: 第二特異点・永続狂気帝国
黒の小さな受難


ジリリリリリ……

 

目覚まし時計がけたたましく鳴る。その音で深い睡眠の中から引き摺り出された鏡夜はボタンに手を伸ばした。目を擦り、頬を軽く叩く。時刻は午前6時、日付は火曜日。……火曜日?

 

しまった。勢い良く飛び起き、慌ててキッチンへ走る。火曜日は喫茶店の営業日。普段ならば30分前には起きているものの前日は疲労から目覚ましが鳴る時間の変更を忘れていたらしい。急いで増えた分も含めて人数分のパンを焼き、卵を茹で、簡単な朝食を作る。並行して使い魔に喫茶店の仕込みを指示した。9時開店には間に合うだろう。

 

 

「おーい起きろー!朝だぞー!」

 

「むぁ……。おいキョーヤ、まだ6時じゃねえか。オレは寝る」

 

「ふわぁ……。おはようございます店長さん…」

 

「う〜〜ん!良い目覚めです、おはようございます鏡夜君」

 

「くぅ……、くぅ……」

 

 

約二名が未だ眠りから覚め無いらしい。サーヴァントは睡眠を必要としないとか言うが、この有様を見る限りそれが真実か疑わしくなってしまう。

それでも、そんな障害でへこたれる鏡夜では無い。特に彼女らに対して有効な切り札を鏡夜は隠し持っている。

 

ーーーそれは対腹ぺこサーヴァント宝具。腹ぺこ属性を持つサーヴァント全てに対し有効。彼らを傷付ける事無く、鏡夜が欲する結果をもらたす。

 

 

「朝飯抜くぞー」

 

「おいっす!おはようキョーヤ!」

 

「おはよう鏡夜、手伝いましょうか?」

 

 

ほら、有効だ。

都合の良い単語だけしっかりと聞き取る彼女らの耳はどうなっているのかと小一時間程問い詰めたいが、とにかく起きただけでも満足するべきだろう。

 

黒の好意はありがたいが、生憎全ての準備が整ってしまっている。お礼を言い、その旨を伝えると目に見えてしょんぼりしてしまった。余程手伝いたかったのか。それならば明日からは声をかけてみよう。

 

 

「ほら、座れ座れ」

 

「待ってました!いやあ、今日も良い匂いだこと」

 

「鏡夜の作った朝ごはん……」

 

「ほらクロ、涎が垂れてますよ」

 

「うん、美味しそう…」

 

 

そう言えばこの家は男女比率がおかしい。男は自分だけ、女性は約四名。このままでは自分の発言権が弱まってしまう。次に召喚するであろうサーヴァントは男性であれ、と鏡夜は願った。早く来てくれアーチャーよ。

 

現在時刻は午前7時半。開店時間まで後1時間半。これならば少しの余裕を持って開店に臨めるだろう。口にクロワッサンを放り込むスピードを緩める。

あ、そうだ。本日は昼から見逃したドラマの再放送があった。恐らくはリアルタイムで視聴する事は無理だと考えられる。果たして誰に予約を頼もうか。いや、ここはクロに頼むべきだろう。

 

 

「なあクロ。昼からやる相方season23の予約頼まれてくれるか?」

 

「テレビの予約ですか?ええ、お任せを」

 

 

余談だが、「クロ」とは黒いジャンヌ・ダルクに対する便宜上の名前、あだ名の様な物である。名前の由来は彼女の自称だ。

 

 

ーーーー

 

ーー

 

「ーーーとは言ったものの……」

 

 

勢いで「お任せを」などとは言ったが、正直に告白すれば予約の方法などさっぱり分からない。交通機関の利用方法などは聖杯の配分知識の中に入っているが、どうやら細かい機器類の操作方法までは対応していなかった様だ。基準は一体何なのか。

 

 

「ええ、さっぱり分かりません。リモコンを押せば……あ、電源が付きましたね」

 

 

五人組の男が畑を耕している映像が映し出された。続けて第三者のナレーターが聞こえる。これが俗に言うバラエティ番組と言うヤツなのだろうか。

 

鏡夜は確か13時放送開始と言っていた。ならこの番組では無いはず。彼が言うには番組表にカーソルを合わせて予約ボタンを押しば良い、との話だが、そもそも番組表がいかなる物かすら知らぬ。

それよりもこのバラエティ番組は中々に面白い。畑を耕す姿は昔を想起させる。

 

いや、と気を戻した。さてどうして予約しようか。取り扱い説明でも置きっ放しにしてくれているのならばありがたいが……。

 

 

「テレビ台の下にいかにもな分厚い本がありますね。手に取ってみましょうか」

 

 

ガラス戸を開ける。ざっと300ページはあろう白と黒のモノクロの本。間違い無い、これは説明書だ。

 

 

「何々……「取り扱い説明」…。ビンゴです。聖杯からの知識に読み書きが入っていて助かりました。発音ぎこちないのは否めませんが。仕方ありません、漢字は難しい」

 

 

責任転嫁をしつつ、目次を読む。あった、番組予約の方法。このページで間違い無いだろう。

 

 

「ええと、リモコンのボタン……。あっ、そもそもリモコンに番組表って書いてますね。これを押して……うわぁ!何か画面が細くなりましたよ⁉︎」

 

 

おそらく、特にテレビに慣れていない子供ならよくある現象、突然細部化するテレビ画面。今まさに彼女は無数のマス目とそこに詰められた文字に困惑している。

彼女はその事を知らないが、実は後カーソルを右に三マスぐらいずらせば目的に辿り着ける。尤も、果たして彼女がそれに気がつく瞬間は来るのだろうか。

 

テレビに近づく。画面に指を当て、慣れない漢字を発音しながら答えを探す。

 

 

「ううん……、これじゃなくてあれじゃなくて……。ああもう!ええ、そうです。私は悪くありません。失敗しても私は悪くありません。私に優しくないテレビが悪いのです」

 

 

ーーーその時、彼女は見逃さなかった。画面の端に現れた「相方」の二文字を。

 

 

「こ、これは!ええ、間違いありません。後はここにカーソルを合わせて……。ええと、そのまま予約ボタンを押せばハードディスクに予約されます……。ハードディスクドライブって何物ですか?まさか鏡夜、入れ忘れているとか……ありませんよね?」

 

 

ハードディスクドライブに入れるも何も無いのだが。外付けの物はともかく、今彼女が操作している機器はハードディスクドライブ内蔵型と言う事実を彼女は知らない。

 

 

「確認しましょう……って場所が分からない!うぅむ……このままポチッと押しちゃいましょうか。神様仏様聖母様…!」

 

 

こうして、彼女のテレビとの格闘には一時の終止符が打たれた。その後きちんと予約出来ていたり、頭を撫でられて褒められたり、色々あって同位体の白とテーブルの下で足を踏み合う戦争をしたのは日常茶飯事だろう。




そう言えばちびちゅき予告編でぐだ子がほんの少しだけ喋ってました。
突如凡夫に襲い掛かる設定改変。

カルデア組はもうしばらく待たれよ……。先輩を99%オリキャラのぐだ子にするか何か別の皮を被ったはくのんにするか迷っとるんじゃ……。

ごちうさ時空に関しても待たれよ。一羽執筆中でござる。進行率で言えば53%ぐらいです。

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