喫茶店経営している場合じゃねえ   作:気宇

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そろそろ峠も越えて来たので一気に駆け抜けたいと思います。その間クオリティが下がるのはご愛嬌願いたいです。以下言い訳。

だって戦闘多過ぎですもん……。

ーーーついて来れるか(展開速度的な意味で)


情報交換

結論から言うと、逃げた。

 

理由は多々あるが、一番はこちらのジャンヌの精神衛生上だ。あの場にいる人間が持つ本質()の自分を見せ付けられ続けたら、彼女の精神に影響をきたすとの判断だ。別に彼女が頼りないからとか、そんな心配は無い。ただどうしても、どうしてもそんな最悪の未来がチラついていた。

 

自分達を助けてくれたのは他でも無い、はぐれのサーヴァントであった。マスターも無しにどうして召喚されたか不明だが、お互いの知識と思考からある決断を下した。

勝負無しに結末を迎えた聖杯戦争に対する、聖杯の対抗。いわば修正。

おそらくはこれだろう。いや、これ以外に該当する理由が無い。だとすれば後五人、はぐれで召喚されたサーヴァントがいるはずだ。

 

ふと鏡夜がジャンヌに視線を向けた。真面目な顔で話を聞いているが、彼ならすれば無理をしている事がモロにバレている。そんな彼女の嘘は、放ってはおかない。

 

 

「大丈夫か?」

 

「すみませんマスター。ご心配をおかけしました……」

 

 

こちらに向ける笑顔は"作り"だ。無茶をしているのだ。ここでそうか、と見て見ぬフリをする鏡夜では無い。彼女の思いを無下にする様だが、敢えてその嘘を指摘する。

 

 

「……やっぱりマスターにはバレてましたか。鋭過ぎですよぅ」

 

「しんどいだろう。寝れば良い」

 

正座をすると、ジャンヌがそこへ頭を乗せて来た。時折する逆膝枕だ。ジャンヌはこれを中々気に入っている。

 

「お膝、お借りします…」

 

 

さて、と鏡夜は自分達を助けてくれた二人へ向く。まずは格好の失礼を詫び、感謝の意を示した。続け様に軽い自己紹介をする。温和な雰囲気の中、彼女達も自身の真名を明かしてくれた。

 

マリー・アントワネットとヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。互いに鏡夜の時代にまで名を残している著名人。素顔が教科書などに載っている絵とはかけ離れている為多少の衝撃を受けたが、何とか自分を納得させた。

 

マリー・アントワネットは「パンが無いなら菓子を食べれば良い」との発言をしたとされているが、近年それは別人が彼女の発言とでっち上げた物だと判明した。それを機に彼女の諸行が再評価され、現代フランスでは名誉回復が進められている。英雄としての華やかな功績は無くとも、民を想うその姿勢はまさしく英雄だったのだろう。対してアマデウスは英雄と言うよりは有名人だけの様な気もするが、彼の音楽が人々に希望を与えたと無理に解釈すれば、どうとでもなる。

 

 

「人類の未来の焼却…か。確かに一刻を争う問題だね」

 

「この時代の聖杯がその一端を担っている……。私個人としても、見逃せません」

 

「そう言う訳だ。オレ達はその為にあの黒いジャンヌをぶっ飛ばす」

 

「無辜の民に被害が及ぶのはノー…」

 

 

マリーとアマデウスの戦闘能力がどれ程の物かは不明だが、先刻を顧みるにコンビネーションは最高だろう。それもある意味史実通りと言うか。ともかく、これで数の差は埋められる。

 

互いの情報も交換した所で、本格的に今後の展開を相談する。最終目的こそ黒いジャンヌ・ダルクの打倒だが、その道程をどう動くかだ。

やはり戦力は欲しい。最優先事項はジャンヌの…ルーラーの能力でこの時代のサーヴァントを捜索する事だろう。黒いジャンヌがはぐれのサーヴァントを取り込まない確証は無い。その結末を迎え、余計に差を付けられてしまった暁には、どう足掻いても勝利は無い。それは休眠中で発言しないジャンヌを除く全員が一致しており、即時採決された。

 

ともなれば、腹の虫も鳴る。下手人はモードレッド。そこで物怖じせず「キョーヤ、腹減った」と言える彼女はやはり騎士王の子供なのだろう。大師父に連絡を取り、補給物資の転送を依頼した。この技術もカルデア産らしい。近い内に礼を言いたい。

 

 

「しかしこいつ、よく寝るよな」

 

「救国の聖女の寝顔……ふふ、レアです」

 

「店長さん、膝大丈夫…?」

 

 

確かに、少し痺れて来た感覚がある。こんな事ならば正座の訓練を積んでおけば良かったと多少後悔に似た念を抱いた。いやそれでも、この姿勢は継続する。

何だろう。何かを忘れている…いや、何かが違う気がする。先程黒いジャンヌと相対した時から感じていた一種の疑問は、こちらのジャンヌの寝顔を見ている内に、空気を入れる風船の様に膨れ上がって来た。大切な何かを、このままでは果たせない気がする。

 

 

「むにゃ……、ますたーは私が……くぅ」

 

 

寝言だろう。そこまでして自分を守ってくれるのか。何とも照れの様な、情け無い様な気分になる。違うだろう、守るのはこちらの方だ。

 

ーーー守る?

 

待て空白鏡夜。この身の夢はジャンヌ・ダルクの救済。彼女に自分の幸せを見つけてもらう事。では、では…

 

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揺れるママママインド第二段階。次回変態アマデウス仮面との小さなやりとりで今後が決まる。

個人的には早く黒ジャンヌ戦をやりたいん……ん?店長パーティにはモーさん。そう言えば向こうのバーサーカー枠はランスロット……?あ、良い事思いついちゃった。


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