クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
こちらの設定としては、クロスオーバー本編より少し未来・・・黒の組織が壊滅(ボンゴレの補給所潰しが効いちゃったのか、FBIとコナン君の実力によるものなのかはご想像にお任せ)して、哀ちゃんやコナン君が元の姿に戻っています!
ないわー、と思った方。早々にページを閉じることをお勧めします!
ばっちこい!と思った方、どうぞお読みください。
あの事件から半年後、とうとうFBIと共に黒の組織を壊滅させたコナンは、晴れて工藤新一に戻った。哀もまた宮野志保に戻り、帝丹高校に通いながら阿笠博士の助手を務めている。
全てが元通りとまではいかないものの、江戸川コナンという少年がいなくなって思い出に変わる頃、大阪より好敵手の服部平次が新一を訊ねて来た。
「よう、工藤」
「・・・服部?どうしたんだよ」
いきなりの来訪に、新一は首を傾げる。
「まぁまぁ、ちょう、あがらせてもらうで」
「あ、ああ」
ズカズカと家に入って来る平次に、尚も首を傾げながら新一はリビングへと向かう。
***
「で?・・・一体何の用なんだよ?」
「なんやぁ?その顔はァ、イイ話を持て来たったねんぞ~」
訝しげな新一に口を尖らせ、平次は鞄の中を漁る。
「これや・・・ほれ、見てみィ」
「なになに・・・!・・・コレって」
「そうや、こないだ大阪で起きた事件をパパッと解決したったらな、そこの社長さんがコレをくれたんや♪」
2人の目の前にある冊子はその会社が出資しているという、シチリアで行われるイベントの案内状だった。
「行ってみぃひんか?・・・“あの人”のおる、あの国に」
もしかしたら、会えるかも―――そんな思いを抱く。
「・・・ランボってヤツもイタリアに来いっちゅうてたしな」
「そう、だな」
新一は目を細め、あの事件のことを思い出しながら頷く。
「よっしゃ、決まりやな!・・・今は夏休みやし、あの時の関係者も誘って行こうや」
「じゃあ、蘭と園子と・・・宮野と・・・ガキ共はさすがに外国じゃな」
「そうやな。こっちは、事件には関わりなかったけど、和葉も行くゆうてるから連れてくつもりや」
「ああ、それで構わないぜ」
「旅費はあっち持ちやさかい、みやげ代とかだけ持てたらええで」
「わかった。・・・で、今日は日帰りか?泊まってくなら客間、空いてるけど」
「あー、じゃあ泊まらせてもらうわ。・・・で、毛利探偵事務所に行って説明して来るってのはどうや?」
「あぁ、そうだな。で、蘭から園子に連絡してもらって・・・宮野も誘って旅程を考えるか」
新一の提案に、平次はノリノリで頷いた。
「おお~、ええやないか!」
思い立ったら吉日。
早速、2人は行動を開始した。
***
「イタリア、ねェ・・・」
毛利探偵事務所で集まり、蘭、園子、志保も加えて平次は新一に説明したように話をする。(ちなみに小五郎は近所の友人とマージャンに行っている、らしい)
蘭と園子は1も2も無く頷いたが、志保は新一と平次を睥睨した。
「・・・な、なんだよ」
「いいえ?気持ちはわからないでもないけど・・・しばらくは犯罪組織とかには関わり合いたくないと思わなかったの?」
志保が言っているのは、黒の組織のことなのだろうと理解する。
「まぁ、宮野の心配もわかるけどな。・・・ヤツ等とあの人達は違うだろ?それに、あの人達に会えるとも限らないし」
「とはいっても、お膝下も同然でしょうに」
新一が食い下がると、志保はバッサリとそれを切り捨てる。
この場の全員が“江戸川コナンと灰原哀の秘密”を知っているだけに、2人の言い合いに口を挿むものはいない。
「・・・宮野が行きたくないなら無理強いはしないぜ」
「あら、行きたくないなんて言ってないわよ。・・・せっかくだもの、イタリア旅行に行きたいわ」
もう、逃げ回る必要がなくなったのだ。どうせなら羽を思いっきり伸ばしたい。
「・・・じゃあ、イイだろ?」
「ええ、どこかの名探偵さん達が、好きこのんで事件に首を突っ込んだりしないならね?」
「「う゛っ・・・」」
決して治安が良いわけではない。
完全なアウェイであるイタリアで、妙な事件に遭遇してそれに首を突っ込まれてはせっかくの旅が台無しである。
容赦なく指摘されたソレに、新一と平次は思わず呻いた。
「まぁ、新一君も服部君も探偵の血がうずうずするんでしょうけどねェ・・・」
そんな2人を見て、園子がニヤリと笑う。
「志保ちゃん、大丈夫だよ。私達で止めれば良いんだから」
そして蘭が仲裁に入れば、志保は肩を竦めた。
「仕方無いわね、蘭さんがそう言うなら。・・・いい、工藤君、服部君?もし、事件に首を突っ込もうなんてしたら、蘭さんの空手と遠山さんの合気道と・・・そうね、私は念の為スリッパでも持って行こうかしら。・・・これで一斉に攻撃されると思いなさい」
志保の忠告に、新一と平次は顔をわずかに青褪めさせながら頷く。
志保のスリッパはともかく、蘭の空手と和葉の合気道は笑いごとではなかったからだ。
「・・・さすがだわ」
2人が頭の上がらない女性の名をあげる辺り、志保は戦略タイプなのだと言えるだろう。思わず園子が称賛すると、志保は苦笑した。
「フフ、だって一番効果がありそうじゃない?」
「確かに」
「ちょ、ちょっと。園子!志保ちゃん!!」
思わず慌てる蘭に、園子と志保はニヤニヤと笑いながら視線を向ける。
「褒めてんのよ、蘭」
「そうよ、それに工藤君は蘭さんに、服部君は遠山さんに頭が上がらないのは事実だしね」
「うう・・・(和葉ちゃん~、この2人がタッグを組むと何だか勝てそうにないよ~~~!)」
からかわれていると自覚している蘭は、今は遠い地にいる和葉に助けを求めたのだった。