クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
そして、ツナが連れて来られたのは並盛の森。
「あ、やっぱりここが出入口の一つなんだ・・・」
ぐるりと見回すツナに、獄寺が頷く。
「はい。さほど“あの時”と変わっていないハズですよ」
「そうなんだ~」
感心しているツナを連れて、守護者達とリボーンは基地の内部へと入って行く。
「・・・やっぱり、コレって俺が指示したんだよね?」
「まぁなー。あ、でも雲雀の組織の方は一切関与してねーよ?」
山本が答えると、ツナは雲雀をおそるおそる振り返る。
「・・・僕は僕で自由にさせてもらっているしね」
雲雀が群れを噛み殺す様子を見せない時点でおかしいとは思っていたが、“自由にさせてもらっている”などと言うなんて思っていなかったツナは、あんぐりと口を開けた。
「な、なんか、白蘭のいた未来の雲雀さんも随分まるくなったと思いましたけど・・・やけにまるくなり過ぎてません?」
「・・・大概失礼だね君も・・・でも、そうかもしれないね。全部この時代の君のせいだよ」
怯えていたかと思うとこうして強い視線を向けてくる。こういう所は昔から変わらないのだと再確認した雲雀は肩を竦めた。
「え、俺のせい!?」
ギョッとしたツナに、雲雀は呆れたような視線を向けた。
「そう、君のせい。・・・獄寺や山本がどことなくビビってるのも、骸が大人しいのも、僕がまるくなったのも・・・全部、君のせい」
「え?えぇっ!?」
それが悪いことで責められているのか、それとも単純に事実を告げられているだけなのか、どうとも捉えることのできる雲雀の言葉に、ツナは混乱してしまう。
「・・・おい、雲雀!」
ジロッと獄寺に睨まれ、雲雀はフィッと顔を背ける。
少しぐらい意地悪させて欲しい。だって、この時代のツナには散々弄られまくっているのだ。
「気にすんなよ、ツナ。この時代のことはまだ知らなくていいんだからな?」
「でも、山本・・・」
「いいんだって。どうせいつかはわかることなんだし・・・それに、知っちまったら先がつまらねーだろ?」
「う、うん・・・そうだね」
さわやかな笑顔なのにどこか必死な様子で言い聞かせてくる山本に気圧されて、ツナはコクリと頷く。
守護者達のおかしな態度に首をかしげながらも、ツナは促されるままにキッチンの中へと入っていく。
「はひ!!皆さん、お帰りなさいです!」
そう言って振り返り、ニコリと笑うのはこの時代のハルだ。
「皆、お帰りなさい!・・・小さいツッ君はようこそ!」
ハルの隣で微笑んだ京子が、テーブルにカップを置いた。
「お茶、用意できてるよ。皆で飲も!」
「はひ、ハルと京子ちゃんの手作りドーナツです!食べてくださいっ小さいツナさん!」
小さい小さいと連呼されて少しガックリとしていたツナだったが、勧められるままにドーナツを頬張って目を丸くした。
「美味しい!」
「ふふっ、良かったぁ」
「喜んで貰えて嬉しいです!」
「これ、お店開けるよ!!すっごい美味しい!!」
思いつく限り最大の賛辞を送ると、ハルと京子は嬉しそうに頬を染めた。
「この時代のツナさんもいつもそうやってハル達の料理を褒めてくれるんですよ」
「ツッ君にそう言われちゃうと、すっごくやる気が出ちゃうんだよね」
後方支援として傍にいる以上、ツナの生活面は自分達が面倒をみると言わんばかりに努力してきた2人は、プロの料理人も舌を巻くほどの料理の腕前になっていた。
京子とハルがキッチンを押さえているおかげで、ツナは毒殺などを気にせず安心して温かい料理を食べられる。そう言って喜んでいたのを思い出し、守護者達はホッとした笑みをうかべる。
「そうなんだ・・・きっと、俺は2人には頭があがらないんだろうね」
クスクスと笑ってツナは京子達を見やる。
「そんなことないですよ~」
「うんうん」
同じく笑みをうかべていたハルと京子だったが、のそりとキッチンに入ってきた人物を見て表情を引き攣らせた。
「?」
それに首を傾げたツナは、クルリと振り返ってビシリと固まった。
「う゛お゛ぉ゛いッ!沢田綱吉ィ!!本気で縮んでやがるなぁ!!」
「ひっ!?」
「ウルセェぞ!スクアーロ!!10代目がビックリされてんじゃねェか!!」
「あ゛ぁ゛!?んだとぉ!!」
睨みあう人相の悪い2人に挟まれ、ツナは顔を青褪めさせた。
(こ、怖ェ~~!!)
「ははは・・・スクアーロも獄寺も落ち着けって、な?」
今にも掴みかかりそうなスクアーロと獄寺を笑顔で抑えながら、山本が声をかければ渋々2人は離れる。
「大丈夫か?ツナ」
「う・・・うん、ありがとう山本・・・っていうか、なんでスクアーロが?」
「先だって事件があったことはランボから聞いたな?その件でヴァリアーも日本に来ていたんだ」
ツナの問いに了平が答える。
「あ、そうなんですか・・・ヴァリアーが・・・」
ヴァリアーが出動するほどの事件というと白蘭の件やシモンの件を思い出す。それほどに大きな事件だったのかとツナは不安な表情をうかべた。
「テメェが心配するような事態にはなってねェ。気にすんなぁ゛あ゛あ゛!」
そんなツナに気付いてスクアーロがフォローを入れた。
「き、気にするなって言われても・・・」
「・・・どカスが」
またオロオロとし始めたツナの背後から低く呟く声が聞こえた。
その口癖と声は忘れられるわけがない。
そろり、と後ろを振り返ってツナは目を丸くした。