クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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過去のツナがやって来た 5

 妙な空気になってしまったその場に居心地の悪くなったツナだったが、不意に背後に視線を向けた。

 

「10代目!リボーンさん!」

 

 視線を向けた方向から車を回してきた獄寺が駆け寄ってくる。

 

(気づいたのか・・・)

 

 リボーンは獄寺を笑顔で迎えるツナに視線を向ける。超直感を使いこなせてはいないようだが、やはりその精度は戦いを経るごとに上がっていっている。

 

「えっと、獄寺、さん」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「基地って・・・白蘭のいた未来と変わってない、んですか?・・・その、場所とか」

 

「基本的には変わっていません。ただ、規模は大きいかもしれませんね。・・・ほら、奴らの基地がないですから遠慮いらないですし」

 

「あ、そっか・・・って、ええっ!!もしかして、あそこまでぜーんぶボンゴレの基地になっちゃったの!?」

 

「あ、いや・・・まぁ・・・ははは」

 

 苦笑いをうかべる獄寺に、それが自分の指示したことだと直感したツナは口元を引き攣らせた。

 

「百聞は一見に如かずってな!ほら、行こうぜツナ」

 

 未来の自分の所業に目を回しているツナを我に返らせるように山本が笑顔で促す。

 

 あの白蘭のいた未来では、父が殺されたということからかどこか暗かった彼の笑顔も、今はとても明るい。そのことに安心したのか、ツナは満面の笑みをうかべて頷いた。

 

「・・・うん!」

 

 ああ、ツナの笑顔がまぶしい・・・意味深で罠っぽくもなく、冷たくもない笑顔なんて滅多に拝めなくなっただけに、余計そう思うのかもしれない。

 

 なんて、守護者は思わず遠くを見つめてしまう。

 

「あー・・・俺らのせいなのかなぁ」

 

「え?何が?」

 

 山本の呟きに、ツナは首を傾げる。

 

「俺ら、お前に頼りっぱなしだったからな~・・・お前が矢面に立って俺らを守っていてくれたから・・・だからあんなに」

 

 山本はそこまで言って口を噤んだ。守護者全員からそれ以上は言うな!という視線を向けられたからだ。

 

 これ以上余計なことを言って、ツナのアレを早々に誘発したら過去の自分達に申し訳が立たないというわけだろう。

 

「あんなに、ナニ?」

 

 ツナは心底不思議そうに山本を見つめ、それから守護者の顔を見回す。

 

「へぇ・・・ふーん、皆して隠す気満々なんだ」

 

 徐々にツナの目が据わってくる。

 

(やべ・・・今のツナが怒ってる時みてぇ・・・!)

 

 それを間近で見てしまった山本は冷や汗をかく。

 

「あ、えーと、10代目・・・その~、あんまり未来のことはお知りにならない方が・・・」

 

「ふーん・・・良いよ、別に。俺気にしてないし」

 

(気にしてる!!絶対に気にしてる!!)

 

 彼との付き合いも随分と長くなったからこそわかる。アレは機嫌が急降下している時の癖なのだ。

 

 10年前のツナだからこの後酷い目に遭うなんてことはないだろうが、身に沁みついた恐怖はぬけないものだ。

 

 思わずビクビクとしてしまう守護者達を見て、ツナはますます10年後の己に何をしているんだと問いたくなった。

 

「・・・はぁ・・・ねぇ、基地に行くんでしょ?早く行こうよ」

 

 溜息をつきながら山本を見上げ、ツナは行動を促す。

 

「あ、ああ・・・そうだったな。獄寺」

 

「お、おぅ・・・車はあちらです、10代目」

 

 獄寺が示す方を見やり、ツナは歩き出す。

 

 自然と守護者はその後ろに従い、子ども達の傍にいたランボもハッとして歩き出す。

 

「・・・じゃあ、行かないと」

 

「は、はい」

 

「バイバイ、ランボお兄さん」

 

 手を振る子ども達に手を振り返し、ランボは慌ててツナの背を追った。

 

「・・・オメーら、今見たことは忘れろよ」

 

 そんなツナと守護者を眺めながら、リボーンがボソリと呟く。

 

 ハッとして視線を向けた子ども達に、リボーンは言葉を続ける。

 

「・・・忘れられねーなら、口を閉ざせ。・・・幻術と同じく10年バズーカも一般には知らせられねェ話だ」

 

 どうせ子どもの言うことだ。大人達は相手にはしないだろう。だが、この中には“大人に近い存在”もいる。だからこその忠告だった。

 

「一般人がマフィアに関わって良いことなんて有りはしねェ。・・・オメーらがマフィアになりてェなら止めはしねェが、な」

 

 ニヤリと笑うリボーンに、子ども達は揃って首を横に振った。

 

 先日の事件でマフィアの恐ろしさを垣間見てしまったのだ。あんな風になろうなどとは思えない。

 

「フ・・・まぁ、いたって健全な反応だな」

 

 ニヒルな笑みをうかべて、リボーンは子ども達に背を向けた。

 

「リボーン!」

 

 向こうでツナが呼んでいる。

 

 ともかくも元に戻るまではアレの世話をしてやらねばなるまい。

 

 いつまでも手のかかる生徒だとぼやきながらもどこか嬉しそうにリボーンは目を細めた。


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