クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
「げほっごほっ!・・・う~、2度目とはいえ慣れないな~正一君も良く何度も行く気になったよな~」
まだ声変わりを終えていない高い声。
「・・・若きボンゴレ・・・」
「・・・大人ランボ?」
キョトン、として目を丸くするツナは、10年前の姿だ。
「・・・アンタが、こっちに来るなんてな」
「だって、ランボが・・・」
言いかけて、目の前の彼も“ランボ”だと思い至り口を閉ざす。
「アンタに向けて撃つなんて、よっぽど酷い癇癪だったらしい・・・すまないな」
「あ、いや・・・良いんだけど・・・って、ここどこ?」
敢えて10年バズーカに当たったということは言い出せず、ツナはキョロキョロと辺りを見回し、歩美と目が合う。
「ツ、ツナお兄さん?」
「へ?」
見知らぬ子どもに名を呼ばれて、ツナは目を丸くした。
「えーと・・・ごめん、確かに俺はツナだけど・・・その、多分君達の知ってるツナじゃなくて」
なんと説明をしたらいいのかわからず、ツナはワタワタとしだす。
その余裕の無さが懐かしく、ランボは思わずクツリと笑った。
「・・・若きボンゴレは余裕がないな」
「う、煩いな!しょうがないだろ!・・・っていうか、ここどこだよ!」
「ここは米花町で彼らは少年探偵団。つい先日大きな事件があって、彼らには協力をしてもらった。・・・そのお礼がしたいからとボンゴレが我が儘を言って基地を離れてここに来た」
「あ・・・そうだったんだ」
すぐに納得したツナは子ども達を振り返り、ふにゃりと笑った。
「ありがとう。怖い思いをしたんじゃないかな?巻き込んじゃってごめんね?」
「あ、えと・・・」
未だに戸惑う子ども達だったが、いち早く冷静さを取り戻したコナンがランボを見上げた。
「若きボンゴレって・・・どういうこと?」
「俺は10年バズーカという武器・・・まぁ、一種の転送型タイムマシンを所持しているんだが、幼い頃はその武器の危険さをわかっていなくてな・・・しょっちゅう癇癪を起してはその武器を使っていたんだ」
「あ、えーと、10年バズーカは撃たれた自分とその10年後の自分が入れ替わっちゃうんだ・・・いつもはランボが自分に向けて撃つんだけど」
ランボとツナの説明に、幻術なんてものがあるのだからそういう武器もあるのだろうと、ようやく子ども達も納得する。
「じゃ、じゃあ・・・僕達の知るツナさんは・・・」
「たぶん、10年前に行ってると思う」
「・・・若きボンゴレ、一応聞くけど・・・未来に来るのは初めてじゃないな?」
「うん、白蘭とも闘ったし・・・シモンとの事件も解決したよ」
「そうか・・・なら、隠しておかなければならない事情はほとんどないな」
ホッと息をついたランボに、ツナは苦笑をうかべた。
「あのチビがこんなに大人になるんだもんな~・・・10年ってスゴイ」
「それはこっちが言いたい。10年でこれがああなるとは・・・」
「え、何ソレ・・・10年後の俺ってどうなってんの!?」
慌てるツナを見て、ランボは嘆息した。
「はぁ・・・完全に別人だ・・・」
「べ、別人って・・・そんなに?」
「・・・そうやって一々オロオロするあたりなんて、完全に別人」
ランボが言うと、ツナは困ったように眉根を寄せて首を傾げた。
「そ、そうなんだ・・・白蘭のいる未来でも思ったけど、俺、そんなに余裕がある感じなの?」
「先の先のそのまた先まで読んでいるというか・・・滅多なことじゃ驚かない」
「へ、へぇ・・・」
ランボの言葉に口元を引き攣らせるツナ。生来のツッコミ体質が無くなるとは思えないのだが、どうやら相当肝が据わったらしい。
「・・・今更な質問なんだけど、やっぱりボンゴレは継いでるんだよね?」
「一応な」
「・・・一応?」
「ボンゴレは、ファミリーを解体する気満々だ」
「・・・そう」
す、と視線を落とし、ツナは呟く。
往生際の悪い自分がボスになり、あの時歴代のボスに宣言したことを成し遂げようとしている。
この10年、きっと色々なことを乗り越えてこの場に立っていたのだろう。そう考えると気分が重くなっていく。
そんなことを考えていたツナに、時計を確認したランボが呟くように言う。
「・・・若きボンゴレ・・・もう、5分たったような気がするんだが・・・」
「・・・え?・・・ええええっ!!!」
ツナはムンクの【叫び】の状態になりながら辺りを見回す。
「ど、どうしよう!故障したのかな!?それとも・・・また、誰かが・・・」
「落ち着け、若きボンゴレ・・・とりあえず、獄寺氏に連絡する」
ランボがそう言って携帯を取り出すのを見て、ツナは不安げに瞳を揺らす。
「・・・5分経つと戻れるはずなの?」
哀が訊ねると、ツナは困ったように頷く。
「うん・・・自動的に5分間経つと元に戻るはずなんだ・・・なのに戻れないなんて、どうしよう!」
今にも泣き出しそうなツナに、子ども達は困惑の表情をうかべる。
自分達の知るツナと全く別人のような10年前のツナ。一体、どうやってこのツナがあのツナになるのか、全く想像ができない。
「・・・とりあえず迎えに行くからここで大人しく待っていろ、だと」
携帯を閉じ、ランボがツナを振り返る。
「う、うん・・・」
そわそわとしながらも、ツナは大人しくその場にしゃがみこむ。
「どうしよう・・・獄寺君達心配してるかな」
「・・・むしろ、ボンゴレに振り回されて目を回していそうだが」
この場合のボンゴレとは10年後の自分だと理解して、ツナはガックリと肩を落とす。
「なんだよそれ・・・いつも振り回されてた俺が、振り回すの?」
「安心しろ、若きボンゴレ・・・戻れなくても、みんな喜んでアンタをボスとして迎え入れる」
「縁起でもないこと言うなよ!!」
ランボは冗談のつもりだろうが、切羽詰まっているツナはそれを聞き流すことができず、思わず叫ぶようにツッコミを入れたのだった。