クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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ここからは蛇足的な番外編です。

以前のサイトでのリクエストにお応えした形なので、本編で綺麗に終わらせたい方はお読みにならないことをお勧めいたします。


番外編
過去のツナがやって来た 1


「が・ま・ん・・・できないんだもんね~!!!びぇえええっ!!」

 

 泣き叫ぶ声と同時に大きな筒状の物・・・10年バズーカが頭上に飛んできた。

 

「え!ええっ!!?」

 

 なぜ泣かせた当人じゃなく自分を狙う?とツナは文句を言いたかった。

 

 というか、いつも10年バズーカで10年後へ逃げるのはランボのハズなのだが、今回に限っては他人に向けてそれは発射された。

 

 まるでスローモーションのようにゆっくりと降って来るそれをツナは避けようとし、ピタリと止まった。

 

「ツナ?!」

 

「10代目!!」

 

 山本と獄寺が叫ぶ。

 

 チラリとそちらに視線を送り、それからツナはリボーンを見た。

 

「・・・様子、見てくる」

 

 ポツリとツナが呟き、リボーンはハッと目を瞠った。

 

「おい、ツナ・・・!」

 

 ボフン、と音がして煙があがる。

 

「よ、様子って」

 

「・・・多分、あれから10年後がどうなったかってこったろうが」

 

 おそらく、獄寺の言葉はほぼツナの思惑と同じものだ。

 

 3人が緊張の面持ちで見つめ、徐々に晴れてくる煙の中で影がうごめく。

 

 ゴクリ、と誰かが喉を鳴らす。

 

「ゲホッ!・・・何だよも~・・・これ、ランボの仕業?」

 

 思ったよりも低い声が聞こえた。

 

「・・・ツ、ツナ?」

 

「じゅ、10代目・・・」

 

 守護者2人が目を丸くしているのを視界に捉え、立ち上がったツナは満面の笑みをうかべた。

 

「おー、隼人と武が小さい~かっわいい~」

 

「・・・ツナ」

 

 名を呼ばれ、硬直している守護者2人から視線を外し、リボーンに視線を向ける。

 

「オメェ・・・」

 

「ん?」

 

 首を傾げる様子はさほど変わっていないようにも見えるが、明らかにツナの内面は変わっていた。

 

「10代目を継いだか」

 

「もちろん、継いだよ」

 

 確認は、それだけで充分だった。

 

 

***

 

 

 “子ども”ランボの癇癪により、“10年前”へ“タイムトラベル”をする少し前。ツナは米花町にやって来ていた。

 

「ボンゴレ・・・楽しそうだね」

 

 ウキウキとした様子のツナにランボが訊ねる。

 

「ん~、だってさぁ、ウチにはもう“チビちゃん”いないだろ?だからあの子達が可愛くって~」

 

 “チビちゃん”とは自分達の昔のことを指しているのだと理解したランボは、肩を落とす。

 

「だからって・・・わざわざ会いに行く必要が?」

 

「ほら、無事に事件も解決したしさぁ、色々協力もしてもらったし。そのお礼と巻き込んじゃったお詫びも兼ねてプレゼントを渡そうと思って」

 

 喜んでくれるかなぁ~、などと呟きながらスキップでもしそうな勢いのツナに、ランボは溜息をついた。

 

「・・・早く帰って来いって、リボーンに言われてるんだからな」

 

「わかってるって。あんまりマフィアと関わらせるのも良くないしね・・・って言っても、若干2名はこれからもあの組織と関わっていかなきゃいけないんだよね」

 

 とても聡い2人のことを思い出して、ツナは困ったように眉根を寄せた。

 

「・・・雲雀さんと骸にはそれとなく気を配ってもらえるように言っておいたけど、表立っては助けてあげられないからね」

 

「奴らの本拠地がイタリアなら・・・潰せたのに」

 

「確かにねェ。イタリアだったらこっちのものだったんだけど・・・どうやらアメリカと日本に重点的に拠点を置いてるみたいだし。ボンゴレの名前で無茶はできないから」

 

 サラッととんでもないことを言っているのだが、2人にその自覚はない。

 

 もし、黒の組織の関係者が聞いていたら、アメリカと日本に拠点を置いたボスを褒め称えていたことだろう。

 

 ついでに、獄寺か山本が聞いていたら、ランボがツナに染まりつつあることを嘆いたかもしれない。

 

「あーあ、めんどくさい立場になっちゃったな~」

 

 ツナ個人としては手伝いたい気持ちでいっぱいなのだが、ボンゴレの看板を背負っている以上下手な手出しはできない。

 

「それ、今更だと思う」

 

「・・・だよね~、この立場にならないと出来なかったことも多いし。それ以上を望むのは我が儘だよな」

 

 そう言って苦笑したツナは、公園の目の前まで来て足を止めた。

 

「お、いたいた」

 

 2人の目の前では、公園で遊んでいる少年探偵団の姿があった。

 

「おーい」

 

 ブンブンと手を振って子ども達に駆け寄るツナの後ろを呆れた様子のランボが付いて行く。

 

「ツ、ツナさん?」

 

「え?ツナお兄さん」

 

「・・・マジだ」

 

 光彦や歩美が気づき、元太がぽかり、と口を開ける。その後ろでコナンと哀が目を丸くしているのを見て、ツナはニッコリと笑った。

 

「やぁ、少年探偵団諸君」

 

「ツナお兄さん、もしかして、また・・・」

 

「あはは、そうじゃないよ歩美ちゃん」

 

 ツナがまだイタリアに帰っていなかったことで、また何か事件があったのかと身構えた子ども達に、ツナは苦笑をうかべた。

 

「ちょっとした仕事が残っててね、イタリアに帰るのを数日延期したんだ」

 

「あ、そうだったんですか」

 

 光彦が胸を撫で下ろすと、哀がその隣で眉を顰めた。

 

「なら、どうしてここに?」

 

「ああ、うん。・・・皆にはとってもお世話になったから、そのお礼をしに来たんだよ」

 

 ツナが視線を向けてくるので、ランボは持っていた紙袋を差し出す。

 

「イタリアのシチリアの伝統的なお菓子でね・・・カンノーリっていうんだけど・・・毛利さんや蘭さん達と一緒に、皆で食べてね」

 

 ランボから紙袋を受け取り、ツナはそれをコナンに渡す。

 

「あ・・・ありがと・・・」

 

 受け取ったコナンがツナを見上げ、御礼を口にすればツナは嬉しそうに頷く。

 

「うん、口に合うと良いんだけど。・・・さて用事は済んだし、そろそろ帰るね」

 

「えっ、もうですか?」

 

「まだ、来たばっかじゃんか」

 

 光彦と元太が言えば、ツナは苦笑する。

 

「うん、でも・・・あんまり深く関わるのは良くないからね」

 

 ツナの言いたいことを察したコナンと哀は援護に回る。

 

「そうだぞ光彦、元太・・・ツナさんだって忙しいんだ」

 

「それに、万が一ってこともあるわ・・・私達は彼に関わるべきじゃないのよ」

 

 2人の言葉に光彦も元太も、そして歩美も渋々納得したように頷いた。

 

「・・・じゃあ、元気でね」

 

 ニコリとツナは手を振り、その瞬間その身体が煙に包まれた。

 

「っ・・・これは!」

 

 ランボには覚えのあり過ぎるその現象。

 

 子ども達にしてみれば何が何だかわからない状態だが、徐々に煙が晴れていくのと同時にその中の影が揺らいだ。


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