クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
「もう・・・正一君ってば、夢中になると周りが見えなくなるからなぁ」
こんな事は日常茶飯事なのだと、ツナは笑いながら告げる。
「ボンゴレっちゅうんは、ほんまにおもろい人達ばっかりやな」
正一の出て行った方を呆然と見やりながら平次がぼやく。
「はは・・・昔はもっとツッコミどころが満載でさ、俺しかツッコミ役いなくて大変だったんだよ?・・・で、他に話しておきたいことはある?」
ツナが笑顔で促せば、コナンが頷く。
「組織のコトでFBIが日本に極秘で入ってきています。それからCIAと公安の諜報員が組織に潜入していて・・・」
「ナルホド、“コナン君”はその人達に協力してるわけだ」
「はい・・・あの、女優のクリス・ヴィンヤードって知ってますか?」
「あ~、お母さんの方は知ってるかな?・・・亡くなったシャロン・ヴィンヤード。その娘さん、だったよね?」
「えと・・・そうなんですけど、そうじゃないっていうか」
視線を彷徨わせるコナンに、ツナはポンと手を打った。
「ん?・・・ああ、同一人物なんだ。君達と一緒ってコト?」
「・・・たぶん。彼女がどうやって若返っているのかハッキリと知っているわけじゃないですが」
「ん~、彼女も組織の人間?それともCIA?」
「CIAの諜報員は別の人です。彼女は組織のボスから直接指令を受けたりしているので黒の組織の幹部だと思います・・・でも、僕に協力してくれたりもしていて、行動が読めないっていうか・・・」
コナンが困惑した表情をうかべて答えるのを見て、ツナは納得した。
「ふーん・・・黒の組織はボスの存在が一部の幹部以外に秘匿されている特殊なパターンだけど、組織としては普通だね」
「普通?」
平次が首を傾げる。
「幹部がいて一般構成員がいて、ボスに隠れて敵側に協力する幹部がいる。組織の中にはCIAや公安の諜報員が入り込める程度の緩さがあって、わずかではあるけれど情報の流出も許してしまっている・・・ほら、普通の組織でしょ?」
「まぁ、そう言われれば・・・そう、かもしれへんけど」
「・・・ボンゴレじゃそうはいかない」
ツナの言葉に納得しがたい様子の平次に、クロームが告げる。
「へ?」
「他組織からの諜報員が潜入したら術者に気づかれてすぐバレるし、反逆を企む幹部はボスにことごとく看破される。情報の流出は意図的なもの以外は全て技術部が管理しているから無い。
結果としてボンゴレを攻撃するなら圧倒的な力で攻めるしかない。それも守護者の匣兵器が有ればほぼ鎮圧できる」
クロームの端的な説明にコナン達は納得せざるを得なかった。ボンゴレと比較したらほとんどの組織が普通なんじゃないかと思ったりもしたが。
「フフ、黒の組織がイタリアに勢力を伸ばそうとしてきたら、一瞬で壊滅だね」
ツナの言葉にコナン達はギョッとする。
「一瞬で!?」
「まず、術者がいないのが痛い。イタリアでは最低でも1人は術者を抱えているものだし、術者を派遣する組織もある・・・それに、復讐者というマフィア界の法の番人がいて、わずかでも彼等のルールに背いたら捕まっちゃうんだよ」
確かに、クロームの術の威力を見た後では説得力のある言葉だ。
しかし復讐者とは一体どのような組織なのか。それを訊ねればツナは困ったように笑いながら話を濁す。
「ん~・・・その辺りはちょっと答えにくいなァ・・・まぁ、悪いことしたマフィアを捉まえてお仕置きする所で、イタリアのマフィアからはすごく怖れられている所、かな?」
「・・・リモンチェッロという人は日本で捕まり、裁きを受けた方が幸せかもしれない」
「確かに~、許可も得ずイタリアンマフィアの情報を外に持ち出したから、復讐者が動いてるんだよね~」
ポツリとクロームが言えば、ツナはカラカラと笑いながら同意した。
「はひ~、復讐者が動いてるとなると、日本にまで追いかけてくるんじゃないですか?」
「そうだよ、だって骸さんの時だって日本まで追いかけて来たんでしょ?」
ハルと京子が笑いごとではないとツナに視線を向ける。
「ん~・・・ボンゴレが手を出すんじゃないなら、俺がとやかく言えることじゃないしなぁ」
さすがのツナでも復讐者をどうこうすることは出来ないのか、とコナン達が納得した時だった。
「嘘つけ~ッ!復讐者の動きも軽く止められる立場にいるくせにぃぃぃ!!」
散々からかわれたお返しとばかりに、今まで撃沈していたランボが叫ぶ。
「あはは、何言ってんだよ~ランボってば」
「復讐者がアンタを友人だと言っていた!それに、ボンゴレには借りがあるからある程度までなら融通をきかせるって話してたのを聞いたんだからな!!」
「・・・おやおや、立ち聞きなんて悪い子だねぇ・・・」
ツナがクスクスと笑いながらも発する怒気に、コナン達はゾクリと肌を粟立てた。
「ツッ君・・・?」
「悪いけど、復讐者を止める気はないよ。・・・融通がきくとはいってもそう何度も言う事を聞いてくれる相手じゃない。いざって時のためにそれはとっておきたいんだ。
それに、敵組織の一構成員のために動いてやるほど、俺はお人好しじゃないよ」
京子の問いかけるような視線に、ツナは肩を竦めて答える。
「はひ・・・ツナさん、やっぱり怒ってたんですね」
ハルが呟くように言う。
「ボスが怒ってないわけない・・・だって、殺されたのはボスが気に入って育ててた幹部候補生・・・」
クロームがそれに答え、ツナは溜息をついた。
「はぁ・・・一応、俺は穏健派ボスで、ボンゴレの名で報復しようとする動きを止めなければならない。・・・でもね、個人的に怒ってはいるよ?俺の大事な部下を殺されたんだからね」
優しい彼が部下を殺されて怒らないワケが無かった。そのコトに今更ながらに気付いたランボと女性陣はリモンチェッロの末路を予見した。