クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン 作:cibetkato
「・・・でもさ」
ツナが平次に苦笑を向ける。
「今の状況で、どんな作戦を練ればいいと思う?」
「・・・うッ」
痛いところを突かれて、平次は呻いた。
「あのね、こちらは1人殺されているし、警察に任せるっていうだけでもかなりの人間を黙らせなければならなかったんだ。いつまでものんびりと構えているわけにはいかないんだよ?」
平次達がハッとツナを見る。その笑みは闇の深淵を知る者のそれだった。
「・・・俺達はマフィアだよ?敵に報復しようする勢力があってもおかしくないだろ?」
「そうか・・・そういった諸々黙らせて、アンタはここにいるんか」
「まぁ、そういうこと。一応、ヴァリアーを使って補給ルートを潰すっていう案で黙ってもらったけどね」
それで、先程の話になるのかと平次達は納得した。
「まぁ、警察が手をこまねいている状況なら裏をかいて近辺の奴らのアジトを全て潰すでも良いと思ってたんだけど・・・あのメッセージに気付いてたから、そうもいかなくなっちゃったんだよね」
ツナの言うメッセージを見つけて訳したのは確かに警察だ。だが、それをイタリアのマフィアのボスに向けてのメッセージだと気付いてしまったのはコナン達だった。
「・・・もしかして、僕達余計な事をしてしまったんでしょうか?」
光彦が不安そうにツナを見上げる。
「・・・ううん、そんなことないよ。どちらに転んでも良いようにはしておいたから。・・・それに俺は一応穏健派でね。過激な行動は控えてるんだ」
((嘘つけ!!))
とは、ランボと正一の心の中のツッコミだった。
「・・・失礼な。穏健派の弱腰ボスの印象はキッチリ守ってるよ」
読心術を使うでもなく直感したらしいツナが、ランボと正一を軽く睨んだ。
「・・・はぁ・・・その分、内輪で暴れるのはやめてほしい・・・」
ランボが呟けば、ツナはムッとする。
「それ、ほとんど俺のせいじゃ無いじゃん。XANXUSや骸がケンカ売ってきたり、他の守護者の訓練に付き合ったり、ボンゴレ内部のストレス解消という名の昇任試験で最終試験官にされたり、俺の意志ってどこにあるの?」
「全部だろ!!嬉々としてケンカ売られたのを買って、守護者の訓練とのたまってトレーニングルームを破壊して、それに昇任試験なんて考えたのもアンタだろうがぁあああ!!」
叫んだランボに、正一は苦笑をうかべた。
段々、ツッコミの役割がツナからランボに移ってる気がする。
最近じゃツナまでもがボケ倒してくるので、雷の守護者であるランボがその役割通りに苦労を背負いこむ結果になっているのだ。
「あははっ、やだなぁランボ。不可抗力だよ不可抗力」
「笑って言ってる時点で、わざとだって認めてんだろアンタ!!」
「ランボ君、どうしたの?」
「はひ、ランボちゃん、何を叫んでるんですか?」
片づけを終えた女性陣が、騒ぎを聞きつけてやって来る。
「また、ボスにからかわれてた・・・違う?」
困ったように笑いながらクロームが問えば、ランボはガックリと肩を落とした。
「うう・・・ツナがいじめる・・・」
ランボが昔のように愛称で呼ぶ時は相当余裕がない時だ。
「ありゃ、やりすぎちゃったか・・・ごめんごめん、反省してるから。ランボ、許して?」
ナデナデと頭を撫でて苦笑をうかべるツナに、ランボは恨めしげな視線を向けた。
「・・・ズルイ」
「ん?」
「そうやって謝られたら、俺が許すしかなくなるのを知ってるクセに」
「ん、ごめんね」
そう謝りながら笑う表情は、昔と何一つ変わっていない。
とんでもないことばかりをしでかしてくれる人だが、ランボにとっては本当の兄のような人で守るべき主だ。
だから、どうしても本気で怒ることが出来ない。
「もうイイ・・・どうせ、アンタに何を言っても無駄だってわかってるし」
「あらら、よくご存知で」
「・・・ふふっ」
そんな2人を見ていた京子が笑い声を漏らす。
「京子ちゃん?」
ハルが首を傾げると、京子は目元を和ませながら答えた。
「ツッ君って本当にランボ君が可愛いんだなぁって思って」
「・・・ボスが?」
「うん。だって、ランボ君が傍にいるといつもちょっかい出すでしょ?ツッ君、昔からランボ君のコトはすごく可愛がってたし、今でも可愛いくってしょうがないんだろうなぁって」
京子の言葉に、ハルとクロームはああ、と納得の声をあげた。
「・・・そんなんで、いじめられるのは嫌なんだが・・・」
妙に納得してしまった女性陣を眺め、ランボは深い溜息をついた。
「まぁ、いじけちゃったランボは措いといて」
「・・・措いとくな、ボンゴレ」
「うん、措いといて」
「・・・うわぁああん!!京子!ハル!クローム!!ツナが虐めるんだもんね!!!」
女性陣に泣きついてしまったランボを横目で確認し、ツナは苦笑する。
ランボもまた、己が囮になるのを良く思わない守護者の1人であることはよくわかっていたから、そう思わないように仕向ける必要があった。・・・のだが、少々虐めすぎただろうか。
「・・・アンタ、鬼やな」
口元を引き攣らせた平次が言えば、ツナは肩を竦めた。
「さすがにランボに泣いてお願いされちゃったら迷うからねェ・・・今回の件はなるべく穏便に、かつ、素早く収束させたい。それには俺が囮になるのが一番。リングや匣だけじゃなく俺についても調べたいことがあるようだし」
「けど、インターネットで調べたらアンタのコトは写真から大まかな経歴までぜーんぶ載ってたで?今更、奴さん等が躍起になって調べるようなことがあるんか?」
「インターネットで調べられることなんて限られてるだろ?それに、俺の能力ってイタリアンマフィアの間では知らない者は“もぐり”だと言われるくらい有名だけれど、外部から入って来た者には“沈黙の掟”で絶対に知らせないことになってるからね」
「でも、僕達は聞いちゃってますけど・・・」
光彦が言えば、ツナはニコリと笑った。
「うん、まぁ、記憶を消すっていう前提で話してるから“沈黙の掟”には抵触しない」
「結構、融通がきくねんな。その“沈黙の掟”っちゅうのは」
「融通っていうか、抜け道ってヤツだね。いくらでも解釈のしようがあるってこと」
「綱吉君は大体このくらいまでなら許されるだろうっていうギリギリのところまでやっちゃうから、見てるこっちはヒヤヒヤするよ」
正一が言えば、ツナは苦笑した。
「うん、司令部には特に心配かけてるよね、ごめん」
「いや、綱吉君の好きなようにすれば良いよ。僕達はそれをサポートするだけだ」
「ホント、司令部は話をわかってくれて助かるよ」
「君の超直感はそれだけ信頼に値するってことだよ。今のところ、大きく外したのを見たことが無い」
「まぁ、些細なことはちょいちょい外すけど、大きなのは精度がぐんと上がるんだよ・・・やっぱり、人命がかかると違うね」
ツナはそう言って、平次を見つめる。
「と、いうわけだけど、他に意見がある?」
「・・・いや、特にはないな。コナン君はどうや?」
「うん・・・意見ていうか、ちょっと個人的にツナさんに話したいことがある」
平次に話を振られ、コナンは決意を込めた視線をツナに向けた。
「それ、私も関わってることでしょ?なら、私も話に混じりたいわ」
コナンが話すのならばと哀も覚悟を決めた。
「じゃ、俺も」
「ワシも関わってるからのう」
平次と阿笠博士までもがそんなことを言い出し、蘭や園子や他の子ども達は戸惑った様子を見せた。
「コナン君?」
蘭の問いかけるような視線に、コナンは困ったように笑った。