クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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我等、9代目直属独立暗殺部隊ヴァリアー!

 とある空港では、ある1地点だけ異様な空気が辺りを支配していた。

 

 揃いのコートを羽織り、いかにも堅気じゃありません的な空気を醸し出す集団が検疫を済ませてターミナルビルの待合所に突っ立っていたのだ。

 

「・・・オセェ」

 

 ボソリと呟いたXANXUSの声に、スクアーロはギクリと身体を強張らせる。

 

(クソっ・・・迎えはまだか!?)

 

 何度も行き来しているのだから自分達で並盛に行くことは可能だ。だが今回に限っては相手や警察を刺激しかねないために迎えを要求したのだ。

 

 しかし、このままでは隣の男がキレるのは時間の問題。

 

「シシシ・・・このままじゃボスがキレるし」

 

 ベルが愉快そうに言うとスクアーロがギロリと睨んだ。

 

「ベル・・・楽しそうに言うことじゃねぇぞぉ」

 

「別にどーでも良いじゃん」

 

「う゛お゛ぉ゛いッ!どーでも良くねぇぞお!!」

 

 日本の玄関口を壊したなんて言った日には、自分達全員が氷点下に突入してしまう。

 

「・・・相変わらず物騒な連中だな」

 

 溜息交じりの声がそんなスクアーロ達の耳に届く。

 

「ようやく来やがったか、アルコバレーノ」

 

 不機嫌なXANXUSの言葉に、ピクリ、とリボーンの眉が動く。

 

「・・・迎えに来させておいて、その態度はいただけねェな」

 

「フン、勝手に並盛に入られて困るのはどっちだ?」

 

「言葉に気をつけろよ?」

 

 まさに水と油。ボンゴレ内部では雲雀と骸の仲の悪さが際立っていて目立たないが、この2人の仲の悪さもかなりのものだ。

 

 ツナがいなければ途端にガルガルやり始めるのだから、周りの者達にしてみれば堪ったものではない。

 

 特にその被害を受けるのは、ボスの右腕コンビの獄寺とスクアーロだということは言うまでも無い。

 

「う゛お゛ぉ゛い・・・ボスぅ」

 

「リボーン、そろそろ行かないと・・・」

 

 スクアーロとビアンキがそんな2人の間に入る。

 

「「チッ」」

 

 揃って舌打ちした2人。実はかなり気が合うんじゃないかと思うスクアーロだったりする。

 

「シシシ、で?今どーなってんの?」

 

 ベルが訊ねれば、リボーンは一瞬苦々しい表情をうかべた。

 

「警察と合同で捜査をしているぞ」

 

「「「「「「・・・は!?」」」」」」

 

 ヴァリアー全員がギョッとして目を見開いた。

 

 そうだろう驚いただろう俺も最初は驚いた、とリボーンは頷く。

 

「何やってやがる、あのどカスが!」

 

「そっくりそのまま、ツナに言ってやれ・・・」

 

 懇願にも似たリボーンの言葉に、XANXUSはまたツナの反抗期が始まったのかと眉間にしわを寄せた。

 

 

***

 

 

 ピーンポーン・・・

 

 翌日の朝、毛利探偵事務所のインターホンが鳴る。

 

「なんだァ?こんな朝早くから・・・」

 

「まぁまぁ、依頼人かもしれないよ、お父さん」

 

 不機嫌そうにドアを見やる小五郎をなだめ、蘭がそのドアを開ける。

 

「はーい、どちら様ですか?・・・って、服部君!?」

 

「よう!毛利のねーちゃん!・・・くど・・・こ、コナン君はおるか?」

 

「コナン君なら・・・」

 

 蘭は首を傾げながら平次を事務所の中に迎え入れる。

 

「・・・平次兄ちゃん?早かったんだね」

 

 蘭達の手前子ども仕様でニッコリと笑えば、平次はニヤリと笑った。

 

「おう!あの後夜行バスに乗て、こっちに直行したからな!」

 

「あの後?」

 

 蘭が訊ねれば、平次はコナンから昨日の出来事を聞いたのだと説明する。

 

「ちゅうわけで、なんやおもろそうやったさかい、こっちに来たんや」

 

「おもしろいだァ?・・・あのなぁ!大阪の坊主!!遊びじゃねェんだぞ!!マフィア同士の抗争みてーなもんなんだ!ガキの出る幕じゃねェっての!!」

 

 小五郎が言えば、平次は肩を竦める。

 

「まぁまぁ・・・アンタらの捜査情報をちょう聞かせてもろたらええねん」

 

 まだ何か言いたそうな小五郎だったが、それで子ども達の面倒も見るとまで言われて渋々情報を聞かせることを約束した。

 

 コナン達が勝手に動いて“彼ら”から影響を受けても困ると思ったのだろう。

 

「・・・あの人達は、そんなんじゃねーっつの」

 

 ボソ、と呟くコナンに平次はニヤリと笑う。

 

「さて、早速少年探偵団を呼んでもらおか」

 

「・・・集合場所は公園で良いよね?」

 

 どうせなら、ツナが来る前に色々と心の準備をしておきたかった。

 

「おう、ええで」

 

「・・・私も行く」

 

 頷く平次の脇で、蘭がそんな事を言い出す。

 

「蘭?」

 

「あ、ほら・・・服部君1人じゃコナン君達のお世話大変そうだし・・・園子も呼んで・・・」

 

 慌てて説明する蘭に首を傾げる小五郎だったが、蘭がいればコナン達も危険な真似はしないだろうと判断して頷いた。

 

「わかった。俺は捜査本部に顔出してくるから・・・とにかく、今回の件は深入りするなよ!特に大阪の坊主!コナンもな!!」

 

「「・・・はーい」」

 

 声を揃えて不満げに頷いた2人を呆れた様子て見やり、小五郎は事務所を出ていった。

 

「・・・よっしゃ、おっちゃん行ったな?」

 

「うん、もう大丈夫だと思う」

 

「・・・ねぇ、コナン君・・・本当に行くの?」

 

 蘭が訊ねれば、コナンは頷く。

 

「うん、だって・・・あの人は悪い人じゃないから」

 

「そうそう!呼ばれたら行かなあかんて・・・あー、でも、毛利のねーちゃんは無理に行かなくてもええで?俺がガキ共見とくからな」

 

「・・・ううん、行く。コナン君の言う通りだよね。沢田さんは悪い人じゃない」

 

(だから、怖くない)

 

 蘭が決意したところで、コナンは少年探偵団に連絡を入れた。

 

 今回は阿笠博士も一緒に来るとのことで、いつもの遠足モードに突入するのは目に見えていたのだが・・・。

 

 公園に集まった子ども達を見て、コナンと平次は絶句した。

 

「・・・ど、どーしたんだ?お前ら・・・」

 

「だってよ、あのねーちゃん達が口を揃えて怖いって言うんだぜ!」

 

「そうですよ!コナン君!」

 

「だからね、お土産を渡せば、ちょっとは優しくしてくれるかもしれないって思って!」

 

 そう言う3人が持つのは、お小遣いで買ったであろうそれぞれの気に入っている(らしい)大量のお菓子だった。

 

「・・・いや・・・相手は大人だろ?お菓子なんかで喜ぶのか?」

 

「くど・・・コナン君、それ言うたらおしまいや」

 

「まぁ、お菓子好きな人もいるかもしれないわよ?」

 

 コナンがツッコミ、平次が口元を引き攣らせ、哀が肩を竦めた。そんな3人の心中は同じだった。

 

(((こいつら/この子達、マフィアを餌付けするつもりなの(か)?)))

 

「ガキンチョ共の考えることって、予想をはるかに超えて斜め上を行ってるわよね」

 

 園子が呆れたように子ども達を見つめる。

 

「・・・えーと・・・ごめん否定できない」

 

 蘭が視線を逸らす。さすがにお菓子を渡して仲良くしようというのは無理があると思うのだ。

 

「・・・ま、まぁ・・・何も渡さんよりはマシじゃろ。ワシも発明の役に立つ話が聞けるかと思うと楽しみじゃよ!」

 

 彼らの技術力を耳にした阿笠博士はウキウキとそう告げる。

 

「・・・逆にプライドがズタズタにされそうね」

 

「あー・・・たしかにな」

 

 ボソリと呟いた哀に、コナンが頷く。とその時背後から声をかけられる。

 

「えーと、アンタらが少年探偵団か?」

 

 のんびりとした声に全員が振り向くと、そこには牛柄のシャツを着て気だるげに立つ少年がいた。

 


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