クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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素直じゃない

「これで全部説明したかな?」

 

「ええ、これで全てだと思いますが」

 

「・・・ねぇ、もう一つ聞いていい?」

 

 コナンがツナを見上げる。

 

「ん?イイよ」

 

「どうやって、黒の組織のアジトとかを見つけたの?」

 

「霧部隊には骸みたいな術者が揃ってるからね。気づかれることなくリモンチェッロの足取りを追い、そこから一つのアジトを見つけ出して関係者の出入りをくまなくチェックし、それぞれの足取りを追う・・・まぁ、簡単に言えば追跡しまくったってトコかな」

 

「それを絶対に相手に悟られずにすむ霧の術師がやったというのが、他とは違いますが」

 

 ツナの言葉を骸が補足する。

 

「・・・じゃあ、潜入も術師がやれば、殺されずに済んだんじゃ」

 

 光彦が困ったように言う。

 

「それだと話が聞けないでしょ?ただの潜入や追跡なら霧の術師が適しているけど、欲しい情報を引き出すための潜入は霧の術師は向かないんだ。・・・戦闘力も他と比べると劣るし」

 

「僕やクロームのような隊長格なら強力なリングや匣兵器を持っていますからイイですが、隊員は良くてBランクのリングですからね。幻術にも限界があります」

 

「リングにもランクがあるんだね」

 

 歩美が呟くのを見て、ツナはリングを一つ懐から取り出して指に嵌め、歩美に見せる。

 

「これが複製してCランクに威力を下げたリングで、VGはAランクオーバー。二つのリングの放つ炎を比べて見ると・・・」

 

 目の前で灯る二つの炎を見つめ、歩美はその色の違いに気づいた。

 

「ホントだ・・・色が全然違うよ」

 

 歩美の声に他の者達もその炎を凝視する。

 

「・・・こっちの方が、少し濁っているように見えるわ」

 

 哀が指したのはCランクのリングの方。

 

「そう。俺の場合は炎圧(FV:フィアンマボルテージ)を低くしないとリングが壊れちゃうんだ。・・・FVっていうのは、炎の出力・・・あ~、強さを現す単位ね?」

 

 頷く子ども達にツナは微笑んだ。

 

「皆は理解力が早くて助かる。・・・さすが少年探偵団」

 

 褒められたのが嬉しくて子ども達は満面の笑みになった。

 

 そして、今までの情報を光彦が中心となってまとめ、歩美と元太がそれに自分の思ったことを口にし、それに哀とコナンがフォローを入れる。

 

 その様子を見ていた骸が頷く。

 

「ナルホド、立派な探偵ですね。納得です」

 

「うん、間違った方向に行きそうになるとあの2人が軌道修正をしてる」

 

 ツナが囁くように言えば、骸が笑う。

 

「クフフ。君の本命はあの2人ですか」

 

「そ。・・・霧部隊から護衛に人員割いてもらって良い?」

 

「それはクロームに。霧部隊の決定権は彼女に預けてありますから」

 

「りょーかい。・・・骸も勝手に動くのはイイけど、あんまり無茶するなよ?」

 

「わかっています」

 

「・・・で、お前、今どこにいんの?」

 

 ツナの言葉に、全員が骸を見た。

 

「え?骸様、有幻覚?」

 

 クロームさえも気づかなかったソレに、ツナは現れたその時から気づいていた。そのことに気づき、骸は苦笑する。

 

「まったく、本当にやっかいな力ですね、君の超直感は。・・・最近は無機物相手にも働くようになったそうじゃないですか」

 

「無機物っていってもモスカみたいに人が扱うモノ限定だよ。ソレを通して意思を感じ取るってトコ?・・・そこら辺の石ころとかに直感働かせてどうすんのさ」

 

「まぁ、どうでもいいですが」

 

「どうでもいいなら言うなよ。・・・で、どこにいるのか聞いてんだけど?」

 

「クフフ・・・秘密です。邪魔をされたくないのでね」

 

「・・・骸、オメェ」

 

 笑う骸にリボーンが愛銃を突き付ける。

 

「アルコバレーノ、有幻覚に鉛玉は意味ないですよ?」

 

「・・・どういうつもりだ?」

 

「おやおや。お忘れのようですが、僕は沢田綱吉の守護者であることは認めましたが、味方になることは認めていませんよ?」

 

「骸!いつまでそんなことを言っているのだ!!」

 

 了平が叫ぶと、骸は肩を竦めた。

 

「言ったでしょう?僕はマフィアが大嫌いなんですよ」

 

「骸様・・・」

 

「クローム、お前はそこにいて良いんですよ。その為にお前にVGを預けているんですから」

 

 不安そうにするクロームにそう言って、骸はツナに視線を向けた。

 

「というわけで、僕はここらで退散させて貰いますよ」

 

「ああ、わかった」

 

「ツナ!」

 

 リボーンの叱責するような声に、ツナは溜息を漏らす。

 

「リボーン、骸は俺の守護者であることを認めた。つまり、俺が不利益になるようなことはしないってことだよ。・・・骸、そういうことだろ?」

 

「面白くないですね、もう少し慌てたらどうです?」

 

「何?慌てて欲しかったわけ?」

 

 首を傾げるツナに、骸は深い溜息をついた。

 

「はぁ・・・この10年で随分と神経が図太くなりましたね」

 

「それもこれも、皆のおかげってね」

 

 悔し紛れの厭味まで流された骸はムッとした表情で三叉槍で床を突く。

 

「例の天空部隊の隊員が殺害されたショットバー・・・言いましたからね」

 

 言い終えると、骸の姿はその場から消えた。

 

「っぷ・・・ククク・・・」

 

 笑うのを堪えるのがやっとの様子のツナに、リボーンは呆れたような表情をうかべた。

 

「・・・骸のアレは何とかならねェのか?」

 

「極限、素直じゃないな」

 

 了平も苦笑をうかべて、肩を竦める。

 

「クク・・・骸らしいよね~」

 

「らしい、で済む話じゃねェだろうが」

 

「骸は霧だよ?それに、敵を騙すにはまず味方からっていうし」

 

「アイツの本音がどこにあるのかもわからねェのに、信じろと言うのは無理があるだろうが」

 

 リボーンが不機嫌に言えば、ツナは笑う。

 

「それでいいんだ。アイツが望んでるのはその距離だから。・・・ボンゴレでその一線を越えることが許されているのはクロームと・・・まぁ、俺もかな?文句は言われるけど」

 

「・・・フン、まぁ良い。ボスのオメェが責任もって骸の手綱を握っておくんだな」

 

 リボーンはそう言って、ビアンキの肩を抱く。

 

「行くぞ、ビアンキ」

 

「良いけど、どこへ?」

 

「空港だ。さっき連絡があった・・・迎えを寄越せだと。本来なら獄寺か山本を向かわせるところだが、俺が潰しちまったからな」

 

「・・・ああ、そういうこと。じゃあ、行ってくるわね」

 

 ビアンキがツナを振り返れば、ツナは頷く。

 

「行ってらっしゃい。出入り口はAを使ってくれる?アイツら警察でも何でもケンカ売りそうだし」

 

 どうやら誰が来るのかわかっているらしいツナ。

 

「・・・その言い方からすると、奴らか」

 

「あの人達まで、日本に・・・?」

 

 了平やクロームが心配そうな表情になる。

 

 彼らまで来たら、完全に総本部がガラ空きになるのではないのだろうか、と。

 

「大丈夫でしょ。どうせ門外顧問はアイツらを使いこなせないし、9代目の言うことも半分くらいしか聞かないみたいだし」

 

 おそらく手に負えなくなったから、こちらに送って来るのだろうとツナは肩を竦める。

 

「はひ・・・あの人達はさすがに怖いです」

 

「・・・うん、他の人には会わせない方が良さそうだよね」

 

「と言っても、会う羽目になりそうだけどねぇ」

 

 ハルと京子が困ったように言う脇で、ツナは肩を落とす。

 

「ハルさんや京子さんがそう言うなんて・・・」

 

 蘭が呟き、園子が腕をさする。

 

「・・・どんだけよ」

 

 いよいよ、マフィアらしいマフィアと対面になるのだろうかと不安になる2人に比べ、子ども達は楽観視していた。

 

「どんな奴が来るんだ?」

 

「さぁ・・・でも、間違いなく今まで見て来た人達よりも怖いんでしょうね」

 

「相手はマフィアよ?怖いのは当たり前・・・彼らの方が異常なのよ」

 

「でも、ツナお兄さんの部下なんでしょう?」

 

「だからと言って良い人とは限らないよ、歩美ちゃん」

 

 興味津々の3人と冷静な2人。見ていて大変面白い。

 

 少年探偵団を彼らに見せたらどんな反応を示すのか。ツナは何となくその反応が見たいと思う。

 

「フフ、そんなに気になるなら会ってみる?」

 

「つ、ツナさん!?」

 

「ツッ君!?」

 

 ハルと京子が驚く脇で、ツナは優しげな笑みをうかべた。

 

「大丈夫だよ、この子達には乱暴はさせないし、しようとしたら・・・一気に氷点下の世界にぶち込むだけだ」

 

「・・・ボンゴレ、顔と言ってることが真逆」

 

 ボソ、とスパナが呟くと、ツナがぐるりと振り返る。

 

「あはは!何言ってるんだよ、スパナ。・・・当然の処置だろ?」

 

「・・・なら、良いけど」

 

 こうなったら止められないことをよく知っているスパナは肩を竦める。

 

 その時、イーピンがそっと手をあげた。

 

「あ・・・あの、ツナサン、私も一度沢田家に帰りマス」

 

「ん?ああ、そうだね。・・・ありがとう、イーピン」

 

「いいえ、また何かあったら呼んでくだサイ」

 

 ニコリと笑い、イーピンはコナン達の前にしゃがみこむ。

 

「ツナサンの傍にいれば、絶対安心。必ず守ってくれるから」

 

 ツナを信頼するその言葉に、コナン達は力一杯頷いたのだった。


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