クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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※注意※

 VGではない、各属性のリングと匣兵器をツナ様たちが所有しています。
 これはコナンたちに色々と説明するための独自の設定となっていますのでご了承ください。


イタリアンマフィアの扱う兵器

「え!?」

 

「あ、あの人・・・どこから・・・」

 

「突然出て来たぞ!?」

 

 歩美達が騒ぐのを見て、骸は目を細める。

 

「幻術を見せても良いとは・・・君は彼らに多分の期待を寄せているようですね」

 

「ナニ?文句ある?」

 

「なんでケンカ腰なんです」

 

 ツナの反応に骸は右目を眇める。

 

「え?・・・反射?」

 

「何気に酷いですね・・・アルコバレーノ、教育を間違ってませんか?」

 

 骸がリボーンに視線を向けると、リボーンは肩を竦めた。

 

「俺に言うな・・・俺だって、こんな化けるとは思ってなかったぞ」

 

「そうですか。まぁ別に構いませんが・・・それで、情報を彼らに見せるのでしたね?」

 

「そうそう、お前やってくれんの?」

 

「ええ、ちょうど新しい情報も手に入れてきましたのでついでにお見せしますが、イイですか?」

 

「うん、構わないよ」

 

「では」

 

 骸が右手を握るとその手にはいつの間にか三叉槍が握られており、蘭や園子、子ども達はギョッとする。

 

 そんな彼らを流し見つつ、骸がトン、とその三叉槍で床を突く。するとその場がいきなり見知らぬ部屋に変わった。

 

「うそっ!」

 

「ど~なってんのぉ!?」

 

「クフフ、これは幻術です。言葉くらいは知っているでしょう?」

 

 骸が言えば、蘭達は頷く。

 

「そういうものが実在すると理解するのは大変だろうけど、ホログラムみたいなもんだと思って見ててね?」

 

 ツナも骸をフォローするようにそう告げて、クツリと笑う。

 

 そうこうしているうちに、その部屋に黒服で身を包んだ男達が中に入って来る。

 

『・・・やれやれ、イタリアンマフィアにケンカを売るとは、リモンチェッロも余計なことを』

 

『しっ・・・イタリアでの調査を命じたのはボスだぞ、批判だととられる』

 

『しかしだな、調査っていっても・・・イタリアのマフィア達が秘かに使っているという武器を調べろというお達しだったハズだぞ?』

 

『奴らには沈黙の掟【オメルタ】がある。そう簡単には話さないさ・・・ケンカを売れば使うかもしれないだろうが』

 

 男達はしばらく話を続け、それから部屋を出ていく。

 

「へ~・・・リングと匣兵器が目的なワケか」

 

 ツナが納得した様子で頷くと、骸は肩を竦めた。

 

「まったく、命知らずですね・・・匣兵器は普通の武器とは違うというのに」

 

「モノ自体を知らないんだからしょうがないだろ・・・それで火傷するのは奴らだ」

 

「・・・火傷で済めばいいですけどね」

 

 呆れた様子で骸はもう一度三叉槍で床をついた。

 

 そこはどこかの実験施設のようだった。飼育用のカゴに詰められたラットやマウスが泣き声をあげている。

 

「・・・!」

 

 その光景に哀が反応する。

 

 そこが己のいた研究所によく似ていた為だ。

 

「ここは薬の研究施設のようですね。白衣を着た連中がよく出入りしています」

 

「うん、これはクロームから報告が上がってたね」

 

 骸の説明に頷き、ツナはクロームに視線を向ける。

 

「ハイ、ボス」

 

「例の毒薬についてはここで調べましたが、わかったのは毒薬の名前と遺体から検出されないということだけ、他に別の利用を考えての実験もしていたようですが、その目的は不明です。

 ・・・そして、ここからもこの組織のトップについてはわからずじまいでした」

 

 溜息をついた骸はツナに視線を向けた。

 

「この組織、特殊な形態のようですね・・・ボスの顔を知る人間が極端に少ない」

 

「だから追えない、か」

 

「ええ。まったく面倒な相手です・・・組織に関係したアジトをいくつか発見しましたが、いつでも切れるようになってましたよ」

 

 ツナと骸が話す脇で顔を青褪めさせる哀。それに気付いたコナンはその肩を叩く。

 

「おい、大丈夫か、灰原」

 

「・・・え、ええ・・・」

 

「大丈夫ってツラじゃねぇぞ」

 

「大丈夫よ・・・あんまりにも精巧だから、錯覚を起してるだけ」

 

 コソコソと話す2人にクロームが気づき、困ったように眉を顰めた。

 

「・・・骸様、次を」

 

「?・・・ああ、そうですね」

 

 珍しくクロームが自分を促すので骸は一瞬首を傾げるが、その視線をたどってすぐにそれを理解した。

 

「では、今回の件で一番重要な・・・リモンチェッロという男の情報です」

 

 骸が三叉槍で床を突くと元の部屋に戻り、目の前に中肉中背で褪せた金髪にグレーの瞳の男が現れた。

 

「コードネームについてはすぐに判明しました。ウチの敵対ファミリーに潜り込んでいて偵察部隊から怪しいと報告が上がってきていたんです」

 

「まさか、その時は例の組織の仲間とは思わなかったけどねー」

 

「霧部隊は優秀ですからね・・・今回ケンカを売られた時点で、この男がメインとなって動いていることを突き止めました」

 

 骸の話を大人しく聞いていた歩美達だったが、スッと光彦の手が上がった。

 

「はい!質問しても良いですか?」

 

「なんです?」

 

「霧部隊ってなんですか?他にも大空とか晴なんて言っていましたが、それってどういう意味なんでしょう?説明を求めます!」

 

 その問いに骸とツナは互いに顔を見合わせる。

 

「そうか、そもそもそこの説明してなかったんだね」

 

「まぁ、この呼称はリングと匣兵器が出回るようになってようやくボンゴレやジッリョネロ以外でも使うようになりましたし、一般には広まっていないものですしね」

 

「そうそう・・・じゃあ、ちょうどここに大空と晴と霧が揃ってるわけだし、見せてあげようか」

 

 ツナがそう言うと心得たもので、クロームと了平が前に出てリング(ボンゴレリングではない)に炎を灯す。

 

「これが属性リングと呼ばれるもの。特殊な石で作られたリング自体に不思議な力が宿っていて、こういう現象を起こすことができる。・・・まぁ、詳しく説明するとスゴイ時間がかかるからそれは省くね?」

 

 ツナ自身も大空属性のリングに炎を灯しながらそう言うと蘭達はおずおずと頷いた。

 

 それでなくても目の前で起きていること自体が信じられないのだから、詳しく説明されても混乱するばかりで、理解などできないだろう。

 

「で、これが匣兵器とVG(ボンゴレギア)ね」

 

 3人が手にした小さな箱と特殊な形態の武器を見て、蘭と園子がハッとする。

 

「それ、色は違いますけど、獄寺さんが持っていたものと同じですよね?」

 

「猫ちゃんが吸い込まれたバックルの意匠と同じだわ!」

 

「そうそう。同じモノだよ~・・・隼人のは嵐猫の瓜が入っていたけど、俺のはコイツだよ」

 

 ツナがVGに炎を込めると、ツナの指にはまったVGからオレンジ色の炎の塊が飛び出した。

 

「がおぉお」

 

「わぁ!可愛い!!・・・猫さんかな?」

 

 歩美が歓声をあげると、光彦が横から覗き込んで首を捻る。

 

「いえ・・・炎のたてがみのようなものがありますし、泣き声が猫じゃありません・・・ライオン、じゃないですか?」

 

「お、光彦君せいか―い♪・・・天空ライオンっていうんだ」

 

「がぉっ!」

 

 ツナに呼応するかのように、天空ライオン・ナッツは吼える。

 

「次は俺だな!!・・・漢我流!!」

 

 了平の叫びと共に腕に装着されたVGから飛び出したのは、大きなカンガルー。

 

「か・・・カンガルー!?・・・その小さな腕輪から、こんな大きなのが・・・」

 

 園子が素っ頓狂な声をあげた。

 

「あはは、まぁ、そこら辺は手品だと思って、ね?」

 

 ツナは苦笑し、クロームに視線を向ける。

 

「・・・次は私・・・ムクロウ」

 

 クロームの耳に飾られたVGから出て来たのは白いフクロウ。

 

「これは本当は雨フクロウだったんだけど、ちょっと骸がいじって霧フクロウにしちゃったんだよねー」

 

「クフフ・・・イイじゃありませんか。第一、それは“僕”の仕業ではありませんよ」

 

「ま、厳密に言えばな。・・・というわけで、これがイタリアで今流通してる“戦うための兵器”だ。最もその名前の通り、VGは俺たちボンゴレ10代目ファミリー専用の武器、なんだけれどね」

 

「・・・それを、犯人・・・黒の組織は狙ってるんだね?」

 

 コナンが口を開けば、ツナはニコリと笑った。

 

「そう、これが奴らの目的だ・・・“素人”がそう簡単に扱えるとは思えないけどね」

 

 肩を竦めツナはナッツを抱きあげ、コナンに渡す。

 

「わっ・・・あれ?」

 

「熱くないだろ?・・・この子達は兵器として作られたけど、俺達にとっては共に戦う仲間みたいなものなんだ」

 

「・・・仲間」

 

 哀がポツリと呟き、ナッツに触れる。

 

「そう・・・とりあえずリングと匣兵器についてはわかってもらえたかな?」

 

「わかったっていうか・・・」

 

「どういう仕組みでこうなってるのかよくわかりませんけど・・・でもこういう兵器があって、それを犯人達が狙ってるってことはわかりました」

 

 園子が首を傾げ、蘭がもう自棄になった様子で答えた。

 

「うん、それでイイ。深く知る必要はないよ・・・これは本来イタリアのマフィア界のみで扱われるべき話だ」

 

「本当ならオメルタを貫いて話すべきじゃねェが、今回に限り情報交換をしねェと始まらねェしな」

 

 リボーンがわずかに困ったように告げると、ツナは肩を竦めた。

 

「まぁ、そこはそれ・・・でも、さすがに日本の警察には話せないからね」

 

「国家機関ですしね・・・ボンゴレポリシーに反するでしょう」

 

「それなんだよねぇ・・・警察のような国家機関に対して幻術は使わないってのが原則だし。でも、君達は一般人だから、さ」

 

「あぁ・・・深く関わり過ぎたら、幻術とやらで誤魔化せるってことね」

 

 哀が言えば、ツナは笑みを深めた。

 

「そういうこと。当然、君達には全部終わったらこの兵器のことだけは忘れてもらう。・・・幻術はそういうこともできる」

 

「・・・だから“警察のような捜査機関に見せてしまったら、今後その人達は自分の目と耳と勘、全てを信じられなくなる”なんだね」

 

 コナンが納得したように言えば、ツナは笑顔のまま頷いた。

 

「そういうこと。・・・だから、大人・・・警察関係者と毛利さんには内緒だよ?」

 

 そう言うツナは笑顔なのに妙な迫力があった。蘭や園子そして子ども達は揃って神妙な顔つきで頷いた。


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