クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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ツナお兄さんは、恭弥お兄さんが嫌いなのかな?

 一方、雲雀との戦いでスッキリしたツナは、ご機嫌で獄寺達が“ねっちょり”しごかれているだろう、修練場へと向かっていた。

 

 修練場はトレーニングルームと違い、和風な作りになっている。ツナはストレッチをして歩きながら、その独特の匂いを嗅ぐ。

 

「ん~、畳の良い匂いがする。やっぱ日本って感じがするなぁ。ここ和室にして良かった~」

 

 ナイス、自分の選択!と自画自賛しながら、ツナは獄寺達の気配を探った。

 

「あ・・・」

 

 ツナはその場で足を止めた。

 

 その瞬間、目の前の襖が突き破られて、廊下の壁に黒い塊がぶつかる。

 

「・・・えーと・・・大丈夫?隼人・・・」

 

「っててて・・・あ、10代目・・・はい、大丈夫・・・じゃ、ないです・・・」

 

 ツナの顔を見て気が抜けたのか、獄寺はガックリと肩を落とした。

 

「容赦ないもんな~、アイツ・・・」

 

 とにかく死ぬ気でやれの一言で、仕事だろうが修行だろうが、容赦なくやらせる元家庭教師現御意見番のリボーン。

 

 ずっとそばにいるからこそ、よくわかる。

 

「リボーン?・・・リボーンってば~」

 

 獄寺をその場に残し、ツナは襖が突き破られた場所から部屋を覗き込んだ。

 

 と、その時、ぞくりと悪寒が走る。

 

「・・・ツナっ!危ねぇ!!」

 

 次に山本の叫びが聞こえて、ツナは前転するようにしてその場から逃れる。

 

 一瞬の後、ツナがいた場所に大穴が開く。

 

「・・・リボーンの『カオスショット』か。修行でこんな技使うなよ」

 

 呆れたようにその穴を見つめ、それからちょうどその穴の直線上にいたリボーンに視線を向けた。

 

「フン、この程度避けられねェでどうする」

 

 リボーンはニヤリと笑い、肩を竦める。

 

「オメェも随分と派手にやってたみてぇじゃねぇか。」

 

「別に~、そんなことないって・・・恭弥相手なんだし、アレくらいがちょうどいいんだよ~」

 

 ツナもニコニコと笑いながら答える。

 

「・・・なんか、ツナとリボーンって、似てるのなー」

 

 リボーンから逃げ回っていた山本が、獄寺の元までやって来て呟く。

 

「・・・山本、言うな、それは・・・」

 

 獄寺は呻くように応じ、ぶんぶんと首を振った。

 

「さてと、いつまでも遊んでるわけにはいかないし・・・」

 

「「・・・遊び(汗)」」

 

 獄寺と山本の声がハモる。

 

「ん?」

 

「なんでもないのな~・・・な、獄寺?」

 

「お、おう」

 

「そ?・・・まぁ、良いけど・・・じゃ、上に戻ろうか。隼人も山本も、ちゃんと医務室行けよ?打撲とかすごそうだし」

 

 見た目はそう派手に怪我をしているようにも見えないが、壁に叩きつけられていた様子から見ると、相当なダメージを負っていそうだった。

 

「10代目・・・雲雀は?」

 

「ん~、多分、医務室行ってるかな?・・・あ、でも、まだ動けなくてトレーニングルームだったりしてね~」

 

 ツナは軽い調子でそう言うが、聞いていた獄寺と山本はサァ~と青褪めた。

 

「ま、まさか、全治何カ月とか・・・」

 

「まっさか~、そんな酷くはしてないよ?」

 

 一歩間違えれば大怪我どころではすまない位の攻撃をしていた者の言うことではない。

 

 雲雀がいたら猛抗議を受けそうな答えを獄寺に返し、ツナは3人を引き連れ、上階へ行くエレベーターに向かって歩き出した。

 

 

***

 

 

 そして、コナン達は、というと。

 

「・・・えっと、ツナお兄さんは・・・恭弥お兄さんが嫌いなのかな?」

 

 ツナvs雲雀を見た後の、歩美の第一声だった。

 

 彼等の戦いの光景に衝撃を受けるというよりも、何がどうなったのか理解できていないのはお約束として、唯一わかっている事が雲雀がボッコボコにされた、ということなのだから感想がその一点になるのは当然と言えた。

 

「はひ?そんなことないですよ~、ツナさんは雲雀さんのことを気に入ってると思います!」

 

(気に入ってんのに、あんなにボッコボコにするのか・・・)

 

 ハルの答えに心の中で即座にツッコミを入れたコナンは、ちらりと了平を見上げた。

 

「了平さんも、えっと、あんな修行するの?」

 

「おう!極限、沢田とは拳を交わし合う仲だぞ!!」

 

 ニカっと笑う了平には、ツナに対する怯えは見られない。

 

「・・・怖くないの?」

 

 あの人間離れした戦いを目にして恐怖を覚えた哀が問えば、了平は首を傾げた。

 

「沢田が強いのは事実だからな、別に怖くはないぞ?」

 

 同じ守護者と呼ばれる幹部でもこうまで反応が違うと、ツナの人柄がますますわからなくなってくる。

 

「・・・ボス、晴の人には優しいから・・・」

 

 ぼそり、とクロームが呟く。

 

「む・・・そうか?」

 

 首を捻る了平に、クロームは頷いた。

 

「骸様に対する態度と全然違う・・・」

 

「骸の奴は、いつも沢田を怒らせているからいけないのではないか?」

 

「・・・それも・・・ある、と思う」

 

 了平の言葉に、クロームはスッと視線を逸らした。

 

 雲雀とはち合わせて戦闘を始めてしまったり、任務が気に入らないとダダをこねたりと、骸は来る度に必ずツナを怒らせていることを思い出してしまったのだ。

 

「そんなに、怒らせてるんですか?」

 

 蘭が首を傾げると、クロームは苦笑をうかべた。

 

「うん・・・結構、怒らせてる」

 

「はひ~、意外です」

 

「そうなんだ~」

 

 ハルと京子が初めて知ったかのように反応するので、子ども達がキョトンとする。

 

「ハルお姉さんと、京子お姉さんは知らなかったの?」

 

「はひ、骸さんとは滅多に会わないですから」

 

 歩美の問いに、ハルが答える。

 

「・・・同じ組織の人間なのに、ですか?」

 

「仲が悪かったりしてな!」

 

 その答えに、光彦と元太が声をあげる。

 

「・・・あー・・・」

 

「まぁ・・・仲が良いとは言えないわね」

 

「特に雲雀さんと、だよね」

 

 イーピンとビアンキが微妙な表情で頷き、京子が苦笑する。

 

 ボンゴレの中では、骸と雲雀を一つ所にいさせてはいけないという不文律があるくらい、二人が顔を合わせる度に戦闘を始めるのが知られている。

 

「だが、今回は骸も来るのだろう?」

 

 復讐者の牢獄から出獄した骸は、その直後から黒曜に拠点を置いていた。

 

 だからこそ、日本でケンカを売られたことに対しても他人事ではないと、珍しくもダダをこねることも無く頷いた。

 

 そのことをツナから聞いていた了平がそれを口にすれば、クロームが困ったように頷いた。

 

「来るハズだけど・・・雲の人がいるから、ちょっと心配」

 

「大丈夫よ、クローム・・・ツナが一緒なら、あの2人は大人しいでしょう?」

 

 そのクロームの肩を抱いてビアンキが言えば、了平も頷く。

 

「極限、そうだな!・・・沢田がいれば何の心配もいらん!!」

 

「はひ!そうです!ツナさんがいれば、問題nothingです!!」

 

「そうだよね!」

 

「はい!」

 

 ハルや京子、イーピンまでもが頷き、ツナがファミリーから絶大な信頼を寄せられていることが、コナン達にも伝わってきたのだった。


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