クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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ボンゴレファミリー

「ツナ兄、おかえりなさい!」

 

 そこにいたのは、ヒラヒラと手を振る優しげな風貌の少年。

 

「フゥ太?・・・ただいま!」

 

 ツナは笑みをうかべ、少年に駆け寄った。

 

「わざわざ出迎え?」

 

「うん、監視カメラに映っててこっちの“入り口”に近づいてるってわかったから、出迎えようって思って。えへへ♪」

 

「ありがとう、嬉しいよ」

 

 ツナがニコニコと言えば、フゥ太は嬉しそうに笑う。

 

「ふふ、良かったぁ。・・・あ、ビアンキ姉も迎えに出るって言ってたんだけど・・・隼人兄もいるしマズイかなって思って、リボーンを出迎えるなら身支度に時間かけた方が良いよって言って時間稼ぎしたからね?」

 

「・・・よくやった、フゥ太!」

 

 獄寺が言えば、山本が苦笑する。

 

「なんだよ、まだ苦手意識抜けねェのか?」

 

「言っとくが、昔みてぇには倒れねェぞ?・・・ただ・・・心構えは必要だ」

 

 スッと視線を逸らす獄寺に、山本は肩を竦めた。

 

「そろそろ克服しねェとな~、同じ組織の人間として動いてるんだし、ビアンキとの関係は良くなったんだろ?」

 

 母の死の真相を知り、獄寺は徐々にそれを受け入れてビアンキへの態度を軟化させていった。それを一番喜んだのはツナだ。

 

 だからこそ、獄寺が苦手意識を克服することに前向きなのだと山本は理解していたのだが、未だにこの調子では一体いつになったらツナが目標にした“目を合わせて会話する”を達成できるのか、少し不安になる。

 

「わかってんだよ・・・言われなくてもな」

 

 ジロリ、と山本を恨めしそうに見やり、出来るものならとっくの昔にやっている、と獄寺はぼやく。

 

「・・・何がわかってるの?隼人」

 

「ゲッ・・・姉貴・・・!」

 

 そこにビアンキがやって来くると条件反射で顔を顰め、獄寺は身を引く。

 

「・・・まったく、失礼な子ね。姉に向かってゲッなんて・・・」

 

 ムッとするビアンキはゴーグルも何もつけていないが、獄寺は顔を青くはするものの倒れたりはしない。その点は確かに成長したのだと言えるだろう。

 

「・・・ビアンキ、今帰ったぞ」

 

 そんな獄寺を見兼ねてか、リボーンがビアンキの気を引いた。

 

「っ、リボーン!!ああっ、おかえりなさいっ、愛しい人!!」

 

 一瞬で表情を変え、がばぁっ!とリボーンに抱きつくビアンキ。

 

 リボーンも嫌がるでもなくビアンキを好きなようにさせ、髪の毛を一房掴みその毛先に口づけをする。

 

「ああ、留守番ご苦労だった」

 

 一々気障な所作だがリボーンには良く似合う。コレをツナがやろうとしても絶対に似合わないだろうと溜息をつく。

 

「くそう・・・もうちょっと色気が欲しい・・・」

 

「いえっ!10代目は色気ムンムンです!!」

 

「そうそう、ツナの色気は壮絶なのな」

 

「・・・その件に関しては、同感」

 

 あのハイパー化した時の流し目とか、ホントに色気があり過ぎて困る。

 

「・・・え~、そうかな?」

 

 本人は首を傾げているが、ツナの発する殺気はただ“痛い”だけの殺気ではない。妙に人を引き付けるカリスマ性のある殺気なのだ。

 

 それを一度でも目にした者は、いや目にしても未だ“生きている”者は、ツナに魅了され絶対の忠誠を誓っている。

 

 リィナ大使もそんな1人だったと思い出す。

 

「ツナもおかえりなさい」

 

 ぴっとりとリボーンに抱きつき、満足そうにしながらビアンキが言う。

 

「ただいま、ビアンキ。ああ、こっちの人達は・・・」

 

「知っているわ。警察の人間でしょう?」

 

 ニコリ、と笑うビアンキだが、先程のリボーンへの激しい抱擁を見ていた面子は、やや面食らったような様子で頭を下げる。

 

「ビアンキ、皆は?」

 

「ブリーフィングルームに集まってるわ。あなたの帰りを今か今かと待ってたのよ」

 

「そうそう、ハル姉とか京子姉とかクロームさんもいるし、了平兄も入江さんもスパナさんも、ジャンニーニも・・・」

 

「あー、ストップ。フゥ太、皆の名前を全部あげなくても良いから・・・」

 

 目暮達が目を回し始めているのに気づいたツナが苦笑しながらフゥ太を止めた。

 

「会って紹介した方が早い」

 

「だな」

 

 獄寺が呆れたように言い、山本も苦笑する。

 

「じゃ、そろそろ、中に入りましょうか」

 

 ツナは目暮達を振り返り行動を促す。そして、掌紋認証システムに掌をかざすとドアがスライドして開く。

 

 エレベーターを使いブリーフィングルームのある階に着くと、ツナは皆を先導して歩き出す。

 

「・・・スゴイですね・・・地下にこんな施設があるとは・・・」

 

 感嘆の声をあげる高木。そして、

 

「かっけー・・・」

 

「なんか、近未来的な感じですね!」

 

 元太も光彦も目を輝かせている。

 

「高木君・・・子どもと同レベルよ・・・」

 

 佐藤は呆れたように言うが、内心この施設のあちこちに施されているセキュリティには舌を巻いていた。

 

「なんか、本当にすごい・・・」

 

「次郎吉おじ様も呆れるほどスゴイと思ってきたけど・・・これには負けるわー・・・」

 

 蘭と園子も、感心を通り越して、呆れてしまっている。

 

 そして、ブリーフィングルームの前までくると、ドアを開けようとして、ツナはピタリとその手を止めた。

 

「・・・ん~、なんか企んでる?」

 

 くるっと振り返り、フゥ太を見る。

 

「・・・ん?」

 

 ニコリ、と笑うフゥ太が首を傾げる。

 

 悪い予感はしないが、そわそわとした気配を室内から感じる。

 

「ま、危険はないだろうし、いっか」

 

 ツナはあっさりとそう判断して、ドアを開けた。

 

 その瞬間、何かが爆ぜるような音が鳴り、ヒラヒラと紙吹雪が舞う。

 

「はひっ、お帰りなさいっ!ツナさん!!」

 

「ツッ君、お帰りっ!」

 

「お帰りなさいませ~10代目!」

 

「お帰り、ボンゴレ」

 

「お帰りっ、綱吉君!」

 

「お帰りなさい、ボス」

 

「おう!戻ったか!沢田!」

 

 満面の笑みをうかべ、ツナを迎える面々。

 

「うわぁ・・・すっごいね、コレ・・・いつ準備したの?」

 

 横断幕とリンコルーンバルーンで飾られた室内。それを見てツナは目を丸くした。

 

「はひっ!ツナさんが帰ってきたってクロームちゃんに聞いて、京子ちゃんと3人で急いで作ったんです!」

 

「ふふっ、楽しかったよね!クロームちゃん、ハルちゃんっ」

 

「うん」

 

「はひっ!・・・飾り付けは、了平さんとスパナさんと入江さんがやってくれたんですよ!」

 

 にこやかに答えるハル、京子、クロームに、ツナは目元を緩めた。

 

「そっか・・・ありがとう」

 

 ツナは柔らかな笑みをうかべ、女性陣は思わず頬を赤らめる。

 

 呆然とその様子を見ていた目暮達は、本当にここがマフィアのアジトなのかと疑問に思った。

 

「あの・・・沢田さん、彼等は・・・」

 

 目暮が問えば、ツナはああ、と破顔した。

 

「ウチのファミリーですよ。・・・ほら、皆。お客さんにご挨拶」

 

 ツナに促された面々は目暮達の前に並ぶ。

 

「はひっ!三浦ハルです!ツナさんの愛人候補です!!」

 

「こらこら、ハル、愛人じゃないだろ・・・愛人じゃ・・・」

 

「笹川京子です、ツッ君の愛人候補その2ですっ」

 

「・・・京子ちゃんまで!?」

 

 ハルと京子の暴走気味な自己紹介に、ツナがツッコミを入れる。

 

「おっほん、私は、ボンゴレ一の技術者、ジャンニーニと申します」

 

「・・・ウチは酢花゜(スパナ)・・・というか、ウチがボンゴレ一の技術者だし・・・」

 

「そこ!睨みあわない!!・・・っていうか、スパナ!漢字に半濁点とか付けられないから!!そのネタ未だに引きずってんの!?」

 

 胸を張って自己紹介したジャンニーニと、半紙に漢字で書いた自分の名前を見せたスパナが睨みあい、慌ててツナがそれを止める。

 

「あ、えーと、入江正一です・・・この2人と一緒で、ボンゴレの技術者です」

 

「入江!極限、声が小さいぞ!・・・俺が沢田の晴の守護者、笹川了平だ!」

 

「クローム髑髏・・・霧の守護者・・・」

 

 ぺこりと頭を下げる正一の背をバシッと叩き殆ど叫ぶように自己紹介する了平。そして皆の影に隠れるようにして名前と役職だけ告げるクローム。

 

 どうやら、ボンゴレファミリーというのは、一癖も二癖もありそうな面子の集まりのようだった。

 


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