クロスオーバー! REBORN!×名探偵コナン   作:cibetkato

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 ツナ様はなんでも知っている!

 被害者?は霧の術師達(笑)


APTX4869

 そして、ツナ達が佐藤や高木に連れられて捜査本部にやってくると、中は異様な雰囲気に包まれていた。

 

「・・・ど、どうしたの?」

 

 佐藤が近くにいた刑事を捉まえて問うと、刑事は微妙な表情をうかべた。

 

「あ、いえ・・・その、マル暴の鉄側警視が・・・あの“風紀財団”の雲雀恭弥を連れて来て、例の遺体を引き渡せって・・・」

 

「なんですって?!」

 

 “雲雀恭弥”の名は、警察内でもイレギュラーな存在として扱われていた。その彼がわざわざ警視庁に乗り込んできて、あの遺体を引き取るという。それは・・・。

 

「沢田、さん?」

 

「あ~、珍しく、行動が早いなァ・・・相当、堪えてるみたいだね、自分が任されている日本で事を起こされたこと」

 

 高木が問うような視線を向ければ、ツナは苦笑して呟くように言った。

 

「ま、まさか・・・“彼”も関係者、ですか?」

 

 佐藤が訊ねれば、獄寺と山本が同時に頷く。

 

「ああ」

 

「そうだぜ」

 

「ま・・・まさか、“彼”がイタリアンマフィアの一員だなんて・・・」

 

「まぁ、一員って言えば、一員なんですけど、ちょっと微妙なんですよねー・・・」

 

 愕然とする高木にそう答え、ツナはスタスタと人垣の中心へと歩いて行く。

 

 その間、ツナの前を阻んでいたハズの人垣が何故か自然と割れていき、まるでモーゼの奇跡のようだった。

 

「きょーぉやっ!」

 

 突如背中を押され、雲雀は不機嫌そうに背後を振り返り、背中を押した相手を見て、ポカンとした表情をうかべた。

 

「・・・さ、わだ?」

 

「ふふっ、お疲れ様~」

 

 にこりと笑った相手に、雲雀はハッとして掴みかかった。

 

「何やってるのッ!!?・・・君が来たら、意味がないじゃないか!!」

 

 声を荒げ、早くここから出て行けと言う雲雀に、ツナはクツクツと笑った。

 

「何笑ってるの!!・・・こんなトコにいちゃダメでしょ!!」

 

「いやいや、そういうわけにはいかなくなったんだよ~」

 

「まさか、ワザと捕まったんじゃないだろうね!?」

 

「それこそ、まさかだってば・・・というか、恭弥がそこまで心配してくれるなんて、俺、感激だよ」

 

「・・・~~ッ!」

 

 完全に自分の調子を狂わされ、雲雀は言葉を詰まらせる。

 

 傍でその様子を見ていた鉄側は、驚きを隠せなかった。いつも泰然とした態度を崩さない雲雀が、完全に相手に呑まれてしまっているのだ。

 

「ふふっ、鉄側警視もお久しぶりですね」

 

「・・・あ、ああ・・・ボンゴレ10代目、ですか・・・しばらく会わないうちに、随分と雰囲気が変わったから、わからなかった・・・」

 

 やっとのことで反応を返して、鉄側はツナの顔をマジマジと見つめた。

 

「そうですか?・・・まぁ、でも、確かに髪の毛とか目の色の色素は薄くなりましたねぇ」

 

 ちょいちょいと髪を弄るツナは、まだティーンエイジャーのようで思わず錯覚してしまいそうになるが、あの大ボンゴレのボスなのだ。

 

「て、鉄側警視・・・先程、“10代目”と・・・」

 

 事態の急変についてこられなかった様子だった目暮が、遅れてキーワードに反応した。

 

「ああ、今回のターゲットとされているだろう“10代目”は、彼で間違いない」

 

 頷きながら断言した鉄側に、目暮は、息を呑んだ。

 

「まぁ、信じられないのも無理はない・・・私だって、最初は信じられなかった・・・あの“力”を直に見るまでは」

 

 鉄側はそう言って、雲雀の方を揺すった。

 

「雲雀さん、しっかり・・・」

 

「ッ・・・沢田、どういうことか、説明して貰うよ?」

 

 ようやく落ち着きを取り戻した雲雀は、スゥ、と目を細めた。

 

「もちろん、そのつもり」

 

 そんな雲雀に臆することなく、ツナはニッコリと笑って答えた。

 

 そして、遅れてツナの元にやって来た獄寺や山本に視線を向けた雲雀は、眉間のしわを深める。

 

「まったく、君達までついてて、何やってるの・・・?」

 

「10代目のご決定だ。・・・それに、メリットはある」

 

「ま、そういうことな」

 

 真面目に言い返す獄寺に、ニッと笑う山本。

 

 そんな2人に溜息をつき、それから、雲雀の視線はツナの後ろでコソコソしているリィナ大使へと向かう。

 

「ジュリオ・リィナ」

 

「は、はい!」

 

「どうせ、獄寺あたりが呼んだんだろうけど・・・余計なことをしたら、いくらイタリア大使でも・・・咬み殺す!」

 

「ひっ・・・!」

 

 顔を引き攣らせ、ツナの背に隠れるリィナ大使。

 

 迷惑そうに大使に視線をやりながらも、ツナは雲雀をたしなめた。

 

「威嚇したらダメだよ、恭弥。ジュリオは腐ってもイタリア大使なんだから・・・ね?」

 

「腐ってもって・・・ツナヨシ様、酷い・・・」

 

「うるさいよジュリオ、庇ってやってるんだから文句言うな」

 

 ブチブチと文句を言うジュリオにピシャリと言うと、ツナは雲雀の腕に触れた。

 

「・・・ね、恭弥」

 

 ニコリと笑顔をうかべるツナに、雲雀は脱力した。

 

「・・・わかったよ・・・君に従う」

 

 その場にいた捜査官達は、あっさりと降参した雲雀に仰天した。

 

 誰にも絶対に屈しない雲雀が従うなんてただ者ではない。しかも、その背にひっついているのは紛れも無く、イタリア大使のジュリオ・リィナだ。

 

 捜査官達の視線が一斉にツナへと向けられる。

 

「・・・ええと・・・」

 

 目暮が何から問おうかと逡巡していると、佐藤と高木、更には小五郎達までやって来て、思わず目を丸くした。

 

「警部、ご報告が遅れました。・・・こちらはイタリアからいらした沢田綱吉さんです・・・今回の事件の解決に協力して頂けることになりまして・・・その、あちらの組織と合同捜査という扱いで進めたいと仰っているんですが」

 

 佐藤が報告すれば、目暮はちらりと鉄側を見る。

 

 鉄側はその目暮の視線を受けて小さく頷く。

 

「・・・彼らに関しては、信頼しても良い。私も保証する・・・決して、悪いようにはならないだろう・・・特に、ボンゴレ10代目とその守護者が揃っているなら、な」

 

 マル暴の鉄側が信頼に値すると明言する、ボンゴレとはどのような組織なのか・・・目暮は首を傾げる。

 

「・・・鉄側警視がそこまで仰るなら私にも異存はありませんが・・・そもそもの事の発端は何なのか・・・沢田さんはご存知で?」

 

 目暮の問いに、ツナは頷く。

 

「ええ。主に米国を拠点として黒い衣服を身にまとい、酒の名前をコードネームにして動いている組織・・・通称“黒の組織”というのがありまして。

 その“黒の組織”が、うちの同盟で米国に拠点を持つ組織と衝突したんです。その時はお互いに引いて、大した騒ぎにはならなかったんですが、次の週になって同盟組織の若手が数人遺体で発見されました」

 

「「「「!」」」」

 

 ハッとする捜査官達だが、ツナは構わず続ける。

 

「その遺体は一切の傷も無く毒物の類も検出されず・・・死因が不明のまま処理されました。・・・ですが、うちの独自の情報ルートから“黒の組織”が妙な毒薬を研究していると報告がありました」

 

「妙な、毒薬ですか?」

 

 佐藤が首を傾げる。

 

「ええ・・・飲めば骨が溶けるような感覚に陥りそのまま死を迎える。しかも、後で身体から一切検出されない毒薬“APTX4869”・・・元は、別の研究で作られた薬で毒薬としての利用は副産物的なもののようです。

 それを念頭に調査した結果、遺体の衣服の胸のあたりがぐしゃぐしゃになっていたこともあって、その毒薬が使われたのではないかという結論になり、“黒の組織”に部下を潜入させていたんです」

 

 外部には一切漏れていないはずの“APTX4869”の存在やその効能まで説明したツナ。そこまで潜り込んで調べているということは“黒の組織”についてかなりの情報を掴んでいると見て良い。

 

 哀とコナンは驚愕であらん限りに目を見開き、その様子を獄寺がじっと観察していたことにも気付かず、ツナを凝視していた。

 


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