一色いろはと家庭教師 作:煌弥
オリキャラ視点となります!!
投稿する場所が本編の前になり見つけにくくなってしまうと思いますが、番外編はあまり多くならないと思うのでご了承くださいm(__)m
「はぁ....」
僕、神田晴斗は学校帰りの電車のホームで一人ため息をついた。
今年高校に入学したのだが、コミュ障の僕は入学から二ヶ月経った今でもクラスに馴染めないでいた。
くっ、やっぱり休み時間にイヤホンをしながら完全一人用のスマホゲームをやっていたのがだめだったか....
しかも、かなりマイナーなやつで、操作も上下左右のフリックしかない地味なやつだ。
確かに、休み時間に一人で黙々とそんなゲームをやっている人がいたら周りも話しかけづらいよね......
でもさ、しょうがないじゃん!?
入学式が終わって教室に集まったときのあのシーンとした雰囲気!!
そして、勇気をだして近くのやつと話し出したやつらの会話にじっと耳をすませるしかない雰囲気!!
あの重々しい空気に耐えられなくなってスマホを弄りだしたら、こんな作業ゲーにはまってしまい、気がついたら自分を除いて周りはそれぞれグループに分かれて楽しそうに会話をしていた。
そして、そのままズルズルと二ヶ月が経過した今でも、僕は見事にボッチだ。
だが今日、いつものように教室の端の方でイヤホンをしながらゲームをしている僕にクラスの男子が一緒にお昼ご飯を食べようと声をかけてくれたのだ!!
その時の僕はとても舞い上がった。
舞い上がりすぎてつけていたイヤホンがスマホから外れた。
大音量で教室に響くゲームキャラが死んだときの悲しい音楽と、「GAME OVER」の音声。
そして、その音に驚いて静まり返った教室に響く僕の
「あ、新記録が.....」
の声。
二ヶ月間この作業ゲーをやりこんだおかげで、僕のそのゲームの腕前は全国ランキングに載るほどになっていた。
そして、後少しで新記録を叩き出せそうな時に声をかけられてミスをしてしまい、自然と口から声が漏れてしまったのだ。
確かに、新記録を出せなかったのは悔しいけど、今の僕にとってはそんなことよりも友達を作る方が大切だから、気持ちを切りかえて声をかけてくれた男子に返事をしようとした。
しかし、その男子は
「あ、ご、ごめん!! 俺のせいだよな、ミスしたの......。その、本当にごめん!!」
と言って僕から離れていってしまった。
コミュ障の僕はそれを見ていることしかできなかった。
そして、折角のチャンスを逃してショックで動けないでいる僕に追い打ちをかけるかのように聞こえてくる女子の会話。
「うっわぁ、神田くんってやっぱり暗ーい」
「折角声をかけてもらったのにゲームの心配をするとかないわー。」
「ほんとそれ。まじキモーい。」
泣いてもいいですか?
泣かなかったけど、泣かなかったんだけど!?!?
僕、キモいのかぁ.....
と、まあこんなことがあって今の僕の心はポッキリと逝っている。
僕が彼女に出会ったのはそんなときだった。
電車に乗ってドアの横の寄りかかれる場所を僕は確保した。
すると、僕の向かいのポジションに一人の女の子が同じドアから乗ってきた。
うわ、めちゃくちゃ可愛い....
あの制服は総武高校かぁ。
僕の通っている高校の近くにある高校だけど、総武高の方が学力がかなり高い。
肩ほどまで伸ばした亜麻色の髪、ぱっちりとした大きな目、そしてスカートは短くおられていて太ももがまぶしい。
正直、めちゃくちゃタイプです。
直球ど真ん中ストライクです。
でも僕には一生関わりを持つことができないタイプの人なんだろうなぁ....
というか、こんなに可愛いなら彼氏もいるだろうし.....
くそっ、リア充爆発しろ!!
でも眺めるだけなら自由だよね?
僕は彼女に気がつかれない程度に彼女を眺めた。
彼女はスマホを弄っている。
けっ、どうせ彼氏とLINEでもしてるんだろ!?
.....悲しくなってくるからやめよう。
でもよく見ると、彼女はスマホを弄りながらどこか心あらずといった感じだ。
何かを考えているような......どうしたんだろう?
僕がそう思ったときだった。
一輪の花が咲いた
「.......っ!?!?」
か、かわぇぇぇぇえええ!?!?
その日、僕は名前も知らない彼女に恋をした。
※ ※ ※
フラフラとした足取りで駅から家まで歩く。
頭の中は電車で見たかのじょのことで一杯だ。
どんな声をしてるんだろう?
きっと可愛い声なんだろうなぁ.....
そんなことを考えながら歩いていると、あっという間に住んでいるアパートに到着した。
家庭の事情で両親は今外国に行っていて、僕は一人暮らしをしている。
本当はもっと学校に近いアパートに住む予定だったんだけど、父が
「すまん晴斗!! 学校の住所を勘違いしてて少し遠いアパートになっちまった!! がっはっは!!」
と言ってきた。
いや、がっはっはじゃないからね?
なんて大雑把な父親なんだ.....
まあ通えない距離じゃないからいいけど。
「はぁ......」
そんな父に呆れたり、今日の学校の出来事に憂鬱になったり、そして電車で出会った彼女へのもやもやとした感情など色々なものを込めたため息をつきながら階段を上がる。
「.....また会えるといいな」
そう呟いて自分の部屋、205号室の前で立ち止まると鞄の中から鍵を探し出す。
すると、隣の204号室の玄関が開かれ、中から男の人が出てきた。
僕はなけなしのコミュ力を振り絞って挨拶をした。
「こ、こんにちは....」
「え?」
その人は驚いたように一瞬僕を見て、すぐに周りをキョロキョロとしだした。
そして、その後口元をひくつかせたかと思うと、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべて
「.....こんにちは」
挨拶を返してきた。
「ひっ....!?」
こ、怖すぎる!?
何この人!?
腐った魚のような濁った目をしていて、口元にはニヤリとした邪悪な笑み。
これは関わっちゃいけないタイプの人だ......!?
目をつけられる前に逃げようそうしよう。
「で、では僕はこれで!!」
僕は急いで部屋の鍵を開けると、素早く中に逃げ込んだ。
番外編の新主人公の神田晴斗くん、いかがでしたか?
皆さんは本編の10話の最後の意味深な一文を覚えていらっしゃるでしょうか?
あの時の男子は晴斗くんだったんですね(´∀`)
これからこの番外編は本編につまった時にチマチマと投稿しようかと思います!!
pixivの方でも投稿を開始しました!!
ハーメルンの方と今のところは何も変わらないのですがw
次回は二日後か三日後の予定です!!
そろそろいろはと八幡の甘い話を書きたいですね(´∀`)