一色いろはと家庭教師   作:煌弥

16 / 21
お待たせしました(´∀`)

ママはすが、書きたいです.....


12

「ここが先輩が住んでいるアパートですかー。」

 

先輩のアパートは、駅から10分ほど歩いたところにあった。

外観はいたって普通だ。

古すぎるわけでもなく、かといって新しいわけでもない。

どこにでもあるような普通のアパートだ。

 

「そんなとこにつっ立ってないでさっさと二階にあがるぞ。」

 

「はーい。」

 

先輩の後を追って二階にあがった。

先輩は204号室の前で立ち止まると、鞄から鍵を取り出して鍵穴に差し込んだ。

 

い、いよいよ先輩の家に入るときが....

さっきまではわくわくしてたのに、今は緊張で体が震えている。

鍵を回している先輩の手がとてもゆっくりに見える。

そして『カチャリ』という音がなり、鍵が開けられた。

緊張で震える体を押さえながら、私は覚悟を決めた。

 

「あー、少しだけ片付けてくるから、しばらくここで待っててもらえるか?」

 

「ぇ? あ、はい、大丈夫です。」

 

「悪いな」

 

先輩はそう言うと部屋に入っていった。

ホッとしたようなガッカリしたような.....

さっきの私の覚悟は一体.....

でもさっきまでの私は固くなりすぎていたかもしれない。

むしろ落ち着く時間ができてラッキーかな?

 

私は大きく深呼吸をしたあと、手鏡を取り出して髪の毛を整える。

こういう慣れた作業をすると落ち着いてくる。

よし、今の状態なら大丈夫だ!!

 

すると、先輩の隣の部屋の扉が開かれ、中から高校生ぐらいの男の子がでてきた。

 

「こんにちはー。」

 

「あ、こんに....ち.........ぇ?」

 

どうしたんだろう?

男の子は私の顔を見た瞬間驚きの表情を浮かべて固まってしまった。

 

「あのー、どうかしましたか?」

 

「だだだだ、大丈夫です!! で、では僕はこれで!!」

 

男の子はそう言うと、私の横を走ってすり抜けていった。

何だったんだろう....?

あと階段の方から転げ落ちるような音が聞こえたけど大丈夫かな?

 

 

 

それから少しして、目の前の扉が開かれた。

 

「女の子を待たせるなんてポイント低いですよ、先輩?」

 

「悪かったな。というか、さっきすごい音がしたが大丈夫か?」

 

「はい!! 大丈夫です!!」

 

私は敬礼しながらそうこたえた。

小指を少しだけ離して、軽く折り曲げるのが可愛く見せるコツだ。

 

「あざといあざとい。...じゃあ準備もできたし、入っていいぞ。」

 

先輩はそう言って扉を押さえながら体をずらし、私が入れるようにしてくれた。

 

「お、おじゃまします」

 

中にはいると、すぐそこはキッチンになっていた。

あんまり知らないけど、アパートは大体こうなのかな?

玄関やキッチンに置いてある物はどれもシンプルで色が少なく、それが先輩の家に来たのだと余計に意識させる。

 

「....うわぁ」

 

「いや、うわぁじゃなくてそろそろ先に進まない? お前がそこに立ってると玄関が狭いから先に進めないんだが...」

 

「あ、す、すいません!!」

 

先輩に急かされて早歩きで先に進む。

キッチンを抜けると、その奥には大体8畳ぐらいの部屋があった。

真ん中に低いテーブル、端にはベッドがあり、その向かいにはテレビが置いてある。

ベッドがおいてない方の壁にはクローゼットがついてある。

カーテンは無地の薄い青色で、今は閉じられていた。

 

ここで先輩が暮らしてるのかぁ.....

 

「...立ってないで座れよ。家にはイスがなくて座蒲団だけどな。」

 

「あ、はい...」

 

先輩にすすめられたと通り、私はテーブルの前に置かれた座蒲団に座った。

何だろう....先輩が家庭教師に来た最初の日を思い出す。

あのときもこんな感じの雰囲気で、何をすればいいかわからなくなっていた。

 

「...まだ2時まで少し時間あるし飲み物でも準備してくるわ」

 

「あ、ありがとうございます...」

 

先輩はキッチンに歩いていった。

キッチンといってもすぐそこなのだが、私の座っている場所からだと角度的に見えなくなっていた。

先輩がいなくなると私は周りをキョロキョロと見渡しだした。

そして、私の後ろにあるベッドから視線が離せなくなった。

 

.....ここで毎日先輩が寝てるんだよね。

手を伸ばして軽く触ってみると柔らかく、触れたところからフワッと先輩の匂いがした。

す、少しだけなら.....

私はゆっくりと掛け布団に手を伸ばし、軽く引っ張って鼻まで持ってき....

 

 

 

 

 

 

 

 

「MAXコーヒーでいいよな?」

 

「わっひゃぁ!?」

 

「うお!? え、何どうした?」

 

「ななな、何でもありませんよ?」

 

ギ、ギリギリセーフ!!

あ、危なかった....

というか今私は何をやろうとしたの?

先輩のベッドに触ったら先輩の匂いがして、それを嗅いだら頭がボーッと....

 

先輩は私の前にMAXコーヒーを置くと向かい側に座った。

そしてお互い無言。

ひたすら無言。

 

時計を見ると1時50分。

このままでいるのも辛いから、少し早いけど授業を始めよう。

 

「じゅ、授業!! 授業を始めましょう先輩!!」

 

「あ、ああ、そうだな。」

 

あれ?

この会話前にもしたような.....

 

 

※ ※ ※

 

 

「よし、お疲れさん。キリもいいしここでやめにするか。」

 

「はーい!!」

 

今の時間は4時5分。

授業開始から二時間が過ぎて、ちょうど終わったところだ。

 

それにしても、授業を挟むとさっきまでの不思議な雰囲気が消えさるのってすごいと思う。

将来先輩と喧嘩しても何かを教えてもらったりすれば仲直りできるんじゃないだろうか?

 

.......

 

というか将来ってどういうこと!?

すっごく自然に考えてたけどそれって先輩とけっk......

あぁ、先輩の家に来てから考えることが先輩のことばっかりだ。

 

「授業も終わったことだしどうするんだ? 帰るか?」

 

「何でそんなナチュラルに帰る選択肢を強調するんですか...帰りませんよ?」

 

「いや、ここにいたって何もすることないぞ?」

 

「いいんです!! 私はここにいたいので!!」

 

「....まあそれならそれでいいけど。」

 

何か意外だ。

もっと帰るのをすすめてくるかと思ったけど、結構あっさりと私がここにいるのを許可してくれた。

 

「うーん、でも何しましょうかねー? あ、先輩今日の夕飯はどうします?」

 

「どうするって言われてもな、カップラーメンにするか家にあるもので作れそうなものを適当に作って食べるかのどっちかだな。」

 

なるほどなるほど。

カップラーメンは論外として、先輩の手料理か.....

 

「私、先輩の手料理を食べてみたいです!!」

 

「は? ...いや、適当に作るだけだぞ?」

 

「それでもいいので食べたいでーす!!」

 

「いやいや、さすがにそんな時間まで残るなんて親御さんが.....許してくれるかもな.....」

 

さすが先輩お母さんのことをよくわかっている。

 

「じゃあ作ってくれますか!!」

 

「.....いやでもな、本当に適当だぞ?」

 

「大丈夫です!!」

 

「.....はぁ、わかったよ。何があったかな......」

 

先輩はキッチンに行って家にあるものを確認してくるみたいだ。

先輩、どんな料理をつくるのかなー?

 

「ふわぁ....」

 

うーん、寝不足だから眠い。

授業も終わって気が抜けたら一気に眠気がきた。

先輩が戻ってくるまで少しだけ休もうかな?

 

そう思った私は目を閉じて、後ろにある先輩のベッドにもたれかかった。

その拍子に先輩の匂いが広がる。

 

あ、これすごく落ち...着.......く.......

 

 




世の中の女性は好きな人の匂いが大好きだって噂を聞いたのですが、それは本当なのですか?
いえ、決してそういうのを聞ける相手がいないとかじゃないんですよ?(必死)
.........ちょっと次元が一つ違うだけです。何も問題ありませんね(白目)

八幡の隣に部屋から出てきた謎の男子高校生は一体誰なのか
ちゃんと設定を作ってあるので楽しみにしててください(´∀`)

授業は基本的にカットで、テストなどいろはが甘えるイベントのところだけ授業の描写をいれていこうとお思います

次回の更新は3~5日の21時の予定です(^-^ゞ
最近ちょっと忙しいのでもしかしたら遅れるかもです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。