自分は中田堅一。少々奇特な環境に生まれ育った幼児だったが、この度めでたく幼稚園を卒園し、小学校へ入学する事と相成りました。ただ、その小学
校入学前にもゴタゴタがあったりなかったり。きっかけは些細な事ではあるが、正直人生設計に影響を与えるような選択が発生してしまったのです。
「ですから、この聖祥大学付属小学校でしたら小学生の頃から高度な教育を受けられますし、ウチのなのはもこちらの小学校に通わせるつもりですし、ここは一つ、堅一君も一緒の学校へという事にしましょうよ、ね?」
「とは言うがなぁ……。コイツに高度な教育なんざ今更必要だとは思えんし、そこは私立なんだろ?
世間ズレとかしちまいそうな気がしてなぁ。聞けばイイトコのボッチャン嬢ちゃんが通うような学校じゃねぇか」
低姿勢ながらも一歩も譲る気はなさそうな士郎さんと、父がちゃぶ台越しに言葉のドッチボールを行っている。ちゃぶ台の上には「聖祥大学付属小学校
入学のしおり」と書かれたパンフレット。表紙にはいかにもイイトコっぽいお坊ちゃまお嬢様が写っている所を見ると、父の言葉は正しいようである。
そう、中田堅一の小学校入学が、一気にイイトコの学校へ入学するのかしないのか、というゴタゴタが現在進行形で発生しているのである。流石にこれ
はどうでもいい話ではないので父も結構真剣に考えている模様。父の懸念は“お坊ちゃまでもない自分がやっていけるのか”といった事なんだろうと思う
。
しかし、そこまで気にする事ではないような気がするなぁ。まぁ普通の市立小学校に入ると思っていたから多少は驚いているが。この家の経済力的には何
ら問題ないと思うし。
「ねぇねぇけんちゃん。けんちゃんは違う学校行っちゃうの?」
「んー……、それを今父さん達が話し合ってるんだよねぇ……」
二人の話し合いを背にやはりTVゲームを一緒に遊んでいたなのはちゃんが、純粋無垢な表情で問いかけてくる。空気を読んだのか読んでないのか、背後の大人二人は静かになり、こちらの会話に耳を傾けているようだ。
自分としてはどちらでもいいのだが、士郎さんの言う「なのはちゃんと一緒の学校」というのに魅力を感じない訳ではない。主に保護者的な心情で。何となく危なっかしいからなぁこの子は。
まぁそういう事で、いっちょ助け舟でも漕ぎ出しますかねぇ。
「なのはちゃんは、自分が違う学校に行ったら嫌かな?」
「やだ! 一緒に遊べなくなっちゃうかもしれないんでしょ? こないだお母さんが他所の学校より時間長いって言ってたの」
「あー、そうなんだ。それだと確かに遊べなくなっちゃうかもしれないね、時間が合わなくて」
「でも一緒の学校だったら学校でも遊べるでしょ?」
「まぁそうだねぇ。別のクラスになっても休み時間は同じだしね」
「あーもういい、分かった分かった」
自分となのはちゃんが会話をしている所に父さんが口を挟んでくる。振り返ると若干呆れた顔で自分を見据えていた。
「お前、そういう嫌らしいやり方するなよ」
「ごめんね、こういう性分なんで」
「はぁ……。勝手に育ちやがったガキは始末に負えねぇなぁ」
眉間に指を当てながら大仰に頭を振る父。申し訳ないけど、こういう性分なんですよ。
「じゃあお前、入学試験パスできるんだな?」
「満点でも取れば満足ですかねお父様」
「言ったな?」
困り顔から一転、ニヤリと怪しげな笑みに切り替わった父に思わず心の中で舌打ち。この親父、満点取れなかったら何させるつもりだ……。
「つー訳でだ。入学願書出すから必要書類を揃えてくれや」
「はい、ここにありますからどうぞ」
満面の笑みで諸々の書類を鞄から取り出した士郎さんに、父さんは渋い顔を見せた。
「お前、承諾するまで粘るつもりだったな」
「桃子には泊まるかもしれないと言っておきました。いやぁこんなに早く承諾していただいて助かりました。堅一君も、ありがとう」
「いえいえ」
はっはっはっと非常に爽やかな笑顔を見せる士郎さんに、父さんは「ぐぬぬ……」と言わんばかりの表情で返している。なんとも対象的な二人の構図だが
、これにて自分の入学騒ぎは一件落着って所かな。
「はいはーい。いろいろ決まった所で、翔子さんのご飯が出来るから配膳手伝ってねー」
そう翔子さんが呼びに来るまで、二人はずっと、渋い顔と笑顔で対峙しているのでした。
◇◇◇◇◇
その後順調に入学願書提出と、入学試験を消化。無事に合格して晴れて私立聖祥大学付属小学校への入学が決定しましたとさ。ただ一つ問題があったのは、試験結果が満点では無かった事。
「まぁなんだ、ペーパーテストは満点だったみたいだが、な。自由行動すら試験科目になるっていうのはすげぇな私立の小学校ってのは」
「教室でっ、読書がっ! ダメ、とはおっ、もわなかったぁ!」
グググ……と腕に力を入れ、腕立て伏せ。胴体には程々に重いトレーニングベストを着けて、そろそろ約束の200回到達でございます。
「しかし運動テストは大変だったな。懸垂10回程度しただけで教師どもが慌てやがる」
「もうっ、ひとりっ! できたっ、子が居た!」
「おぉ、あの子な。女の子だってのに体力あったわ」
「198っ! 199っ! にっひゃくっ!!」
200回達成と同時にビターンッ! と床に転がる。春先だっていうのに昼間っから汗だくになって床に寝転がる小学生は自分くらいのものだろう。ぜーはーぜーはーと息を切らせながら父を見上げると、何かを自分へ放り投げる所だった。慌てて手を胸元へあげて投げられたものを受け取る。
「おわっとっと」
「それな、これから肌身離さず着けてろよ」
「なにこれ?」
父の投げ渡してきたものを見ると、本革のような材質だが両面がツルツルしている、腕時計のベルトだけのようなもの。丁度ベルトの中間点に小さな宝石が埋まっている。
「ブレスレット?」
「おう。お前が赤ん坊の時にずっと握りしめてたもんだ」
「へー」
何やら重要な事を聞いたような気もするが、正直どうでもいい。自分の出生に関わる一品なのだろうが、こんなもんでは手がかりにすらなりはしない。何せベルトに刻印も何も入ってはいないし。
「まぁ大事にするよ」
「そうしといたほうがいいだろうな。もしかしたら何かわかるかもしれん」
「いや、こんなもんじゃわかんないでしょ……」
言われた通り左の手首に巻きつける。うん、ピッタリフィットする。ていうかサイズが丁度良い。違和感も全く無く、非常に肌に馴染む逸品だという事は分かった。しかし、恐ろしいほどにフィットするなぁこれ。何かありそうな気がしてきたわ。
「なんか本当に、何かわかるかも」
「だろ?」
そういう我が父君は、非常に良い笑顔を向けておりました。
◇◇◇◇◇
さて、翔子さんの娘さんである綾子(あやこ)ちゃん約1歳半が初めて喋った言葉が「じーじー」だった衝撃の日を掻い潜り、やって来ました入学式。お約束の学校前の記念写真は俺の横に綾子ちゃんを抱っこした父さんが満面の笑みを浮かべている構図となりました。デレすぎだろじじい……。
入学式の席順は名前の順で、一番右上が「あ」で始まり、最後は「わ」となっている。まぁ「ンジャメナ」とか「ンゴロンゴロ」とか奇抜な名前を持つ外国人がいない限り、大体が「わ」となる。渡辺とか綿貫とかね。
なもので、「な」から始まる自分と「た」から始まるなのはちゃんは結構間が開いております。隣にいても内緒話したりとかはしないけれどね。あ、なのはちゃんももちろん合格しておりました。あんな良い子が合格しない訳が無い。
入学式と言えば学校の理事長やら校長、教育委員会の誰々がありがたい話をする訳です。そしてその後在校生代表、普通に考えれば生徒会役員の会長さんとかなんだけれど、まだ垢抜けない小学生が新入生へ祝辞を述べる。「おめでとう、ウチの学校は楽しいよ!」終わり。はいはい次いってー。
ここで今度は新入生の答辞。っていっても学校が用意した文章を読み上げるだけ。通常新入生の答辞を読み上げる子っていうのは、入試で一番を取った子の役割になる。で、その子は今壇上に上がっている女の子。
「新入生代表、アリサ・バニングス」
うん、外人さんだ。ありゃハーフとかじゃない、純欧米人。キラッキラのプラチナブロンドに透き通るような白い肌。凛とした佇まいは、どこをどう見てもお金持ちのお嬢様。しかも頭も良いと来たからには、人生大勝利ですなぁ。
読み上げる文章は教師が用意したものなのだろうが、中々どうして様になっている。先に祝辞を述べた生徒会長のほうは辿たどしさを含んでいたが、彼女はツラツラと流れるように読み上げている。これがお嬢様の実力というやつか……。
彼女の答辞が終わった後、在校生代表を交えて校歌の斉唱。それが終わったら保護者と一緒にこれから学び舎となる教室へと移動である。あーやっと終わった終わったと思いながら、軽くあくびをしつつ体育館の出口へ整列して向かう。出口で保護者と合流だ。
出口には翔子さんと娘っ子の綾子ちゃんだけが居た。
「あれ、父さんは?」
「帰ったわよ。孫の入学見に来た爺ちゃんみたいでみっともないって」
「あー……」
みっともないも何も玄孫すら生まれているじじいが何言ってるんだと思わなくもないが、いつまでも若くいたいと思う年頃なのだろう。ゲートボールとか絶対手を出さないって言ってるしな。将棋はするけど。
まぁ帰ってしまったものはしょうがない。自分は翔子さんから綾子さんを受け取り一緒に教室へと向かう。周辺の保護者が微笑ましいものを見る視線も、一緒にいるお子様達が珍しそうに見てくる視線も全て無視だ。
「あ、けんちゃん。なのはちゃんは隣のクラスだってよ」
「そうなんだ。まぁ一緒の学校だし様子は見てるから」
「よろしくね、お兄ちゃん」
お兄ちゃんって、俺はなのはちゃんのお兄ちゃんになった覚えはないぞ……。
◇◇◇◇◇
そんな入学式も終わって小学生本稼働です。隣のクラスになってしまったなのはちゃんはぶーぶー言っていたがそれはしょうがない。昼休み一緒にお弁当を食べる事と、放課後一緒に帰る事を条件になんとか治まってもらいました。しかし、自分のせいでもないのに自分が対価を払わなくてはいけない理不尽はなんなんだ……。
「――ん、今日のきんぴらごぼう。何だか母さんの作る味に似てますね」
「あ、わかったー? こないだ桃子さんに教えてもらったのを参考にしたのよ。おいしくなってるでしょ」
「ウチの味に近いので、ご飯が進みます。あ、おかわりいいですか?」
「あぁ。どんどん食べたまえ」
食卓で美味そうに飯を食っている恭也さんと翔子さんに雅俊さん。士郎さんの入院騒動時にうちの道場で稽古をつけるようになった事から、士郎さんが退院し全快した今でも月に二、三度学校帰りに稽古を受けに来ている。なんでも他流試合には色々学ぶ事が多いんだとか。
ちなみに恭也さん、というか高町士郎さんは「小太刀二刀御神流」という剣術の正統後継者であり、血脈である恭也さんとその妹の美由希さんに受け継いているらしい。なんでもかなり古くからある流派らしく、開いてはいないが自宅にはウチのように道場もある。かなりエグい業もあるそうで、門外不出の流派らしい。
で、実は過去に士郎さんはウチの親父様と手合わせをした事があるとか。結果は両者とも教えてくれなかったけど、道理で見舞いに行った時に知り合いっぽい会話をしていた訳だ。
で、その流派はなのはちゃんには受け継がないらしい。何でも「運動神経が切れているから」だとか。まぁ、分かる。何もない所で偶に転びそうになるし、足遅いしね……。
そのなのはちゃんは、現在ソファーに座り大人しくノートパソコンでインターネットをしている。一緒に自分も。
このノートパソコン、士郎さんに入学祝いで買ってもらったそうで、最近ウチに来るときは必ず持参してきているのだ。
「あ、見てみてけんちゃん。この子猫さん可愛いねー。にゃーにゃー」
漁っていた動画サイトで動物動画を発見して、ひたすらに見入っているなのはちゃん。そのまま成長してくれるとお兄さんは嬉しいですよ、ほんと。
ちなみに父さんは玄孫の綾子ちゃんと一緒にお風呂である。あの爺さんの最近一番の楽しみは玄孫との触れ合いなのである。
そうこうする内に恭也さんも食事を終え、米粒一つ残さず綺麗な「ごちそうさま」を披露し、帰宅の段となった。
「ありがとうございました。次は再来週にお邪魔させていただきます」
「あぁ。都合が悪くなったら連絡をくれればいいから」
「はい、雅俊さん。お疲れ様でした」
「けんちゃん、また明日ねー!」
見送る自分達に頭を下げ、恭也さんとなのはちゃんは帰っていった。しかし見送りに間に合わないって爺さん、風呂で遊びすぎじゃねぇのかおい……。
◇◇◇◇◇
こんな日常が続いていたある日。
なのはちゃんを教室まで迎えに行った所、どうもクラスメイトを追いかけてどこかへ行ったという。
ん、追いかけてってどういう事だ? と聞いてみるとどうやらクラスの中にいじめっ子がいたらしい。その子がいじめられっ子の大事なものを持って逃走。いじめられっ子追いかける。なのはちゃんも追っかける、という構図らしい。
これは修羅場の予感……。慌てて学校内を探し回る事にした。――――で、辿り着いた中庭では、予想通りの展開になっておりました。
「このっ! このっ!」
「なによっ! このっ!」
「ああぁぅ……、あぁっ!」
中庭で制服を土まみれにしながらどったんばったんと暴れまわる二人の少女と、それをあわあわしながら見守る少女一人。
暴れているのはなのはちゃんと、学年優等生のアリサ・バニングス。なのはちゃんがいじめっ子っていう事はないのだから、恐らくアリサちゃんがいじめっ子なのだろう。そしてあわあわしているのがそのいじめられっ子という事になる。
しかしまぁ女の子二人が土まみれで取っ組み合いの喧嘩って。なんとまぁ今時男らしいやり方なんでしょう。
制服が土まみれなのは元より、髪の毛はぐっちゃぐちゃだし顔に引っかき傷やら腕に歯型まで。どんだけ激しいやり取りしてんのこの子達……。
一瞬その激しさに思わず呆けてしまったが、これだけ激しく暴れるのは問題がある。慌てている少女もどうも止められなさそうなので、自分が止めに入るしかないか。
そう思い、足を一歩踏み出そうとした――
「やめてっ! もうやめてよっ!!」
――所で、一歩踏み止まり、今一度様子を伺う事にした。
意外な声の出所はあの慌てていたいじめられっ子。思ったよりも大きな声にそれまで大暴れしていた二人も大人しくなり、じっと彼女を見る。
ちょっと離れた位置にいるので小声で話されると聞こえないが、どうやらいじめられっ子が色々言っているみたいだ。その声にいじめっ子が反応し、またなのはちゃんが反応する。そんな繰り返しだが、どうやらもう争う気は無いみたいで、二人は静かに離れると制服の汚れを叩き始めた。
……どうやら自分の出番は無くなったのだろう。雨降って地固まるとは言うが、何とかなったらしい姿を見て踵を返し教室へと帰る。出ていくような野暮な事はしないし、変に意固地になってしまうかもしれないので、ここは三人だけにしておこう。
明日から土日の二連休、引っかき傷とか、軽いものであれば来週の月曜日までには治るだろうなぁと思いながら、久々に学校から一人で帰ろうと思うのだった。
その夜、なのはちゃんからお詫びの電話があったが大丈夫だとだけ言って終わりにした。
◇◇◇◇◇
んで、その翌週。
昼休みに紹介されました。
「わたしのクラスのアリサちゃんと、すずかちゃん。今日から一緒にご飯食べようと思うんだけど、いいよね?」
「アリサ・バニングスよ」
「あ、あの、月村すずかです……」
なんというか、昨日の今日でいきなり紹介されるとは思わなかったです。
負けん気の強そうな顔で自分を見て自己紹介をするアリサちゃんと、おどおどしながら自己紹介するすずかちゃん。
先日喧嘩したばっかなのになんで仲良くなってんの? もしかして拳で友情を育んだとかいう話か? などと疑問に思いつつぽかーんと彼女たちを見ていたら、なのはちゃんがおずおずと申し出た。
「あの、けんちゃん……。ダメ、かな?」
凄く申し訳なさそうな顔でこちらを見てくるなのはちゃんの声でハッと気付く。そういえばまだ何も言ってなかったわ。
「あ、あぁ。全く問題ないよ、一緒に食べよう。自分は隣のクラスの中田堅一です」
「よかった! じゃあ早速お弁当食べちゃおう! ね!」
にっこり笑ったなのはちゃんの言葉で、みんなお弁当を食べる準備を始める。
……なんていうか、子供って凄いなぁと思いました。自分も子供だけど。
こんな感じの出会いがあり、自分はそれまで一緒にいたのはなのはちゃんだったが、自然とアリサちゃん、すずかちゃんとも遊ぶようになった。
勘違いされないように言っておくと、他に友達が居ない訳じゃない。幼稚園から一緒だった知り合いもクラスにはいる。ただまぁ、こういう子供の遊びが
苦手なのもあって、暇な時は本を読んでるか道場で鍛錬してるかだけれども……。
このアリサちゃんとすずかちゃん、かなり利発なお子様なようで。まぁアリサちゃんに関しては予想できたと言えばできたけど、思ったよりも考えている
。自分の事やら周囲の事やら。またすずかちゃんも似たようなもので、趣味は読書と言うが子供が読むような「ふしぎ探検!」みたいなものではなく、一般文芸小説を多く嗜んでいるそうだ。なんとも世の中にはいるもんなんだなぁ年不相応なお子様が、と思ってしまう。
まぁ、お互いに利発だったからこそ、今の関係があるのかもしれない。どうにも話を聞く限りお互いクラスに馴染めていなかったようだし、ね。似たような人間が近くにいて、近づきたくて、思い余ってちょっと先走っちゃったのが先日のアリサちゃんなんだろうなぁと思う。あの時の喧嘩が嘘のように、今じゃ三人で仲良く笑い合ってるし。喧嘩から生まれる友情っていうのも、中々に男らしいテーマですなぁ……。
「――でね、こないだウチの子が三匹子犬を生んだのよ」
「ふえぇっ! そうなんだ! 今度見に行ってもいいっ!?」
「いいわよ、それぐらい。すずかも来るでしょ?」
「うん。見せてもらいに行くね」
「うん。じゃあケンも来るって事で良いわよね」
ここで言うケンって言うのは自分の事、まぁ分り易いあだ名ですわ。しかしこう、女の子三人の所に混ざってもいいものなのかと、最近若干考えてしまう部分があるが、まぁここで断るのもどうかと思うので承諾しておく。
「うん、是非見せてもらうよ」
「決まりね。じゃあ今週の土曜日に集まりましょ。駅前まで迎えに行くから」
ま、こんな感じで、自分の周辺は新たな環境に順応しつつ、年月を経ていくのでした。