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ISの方に詰まって思いついたんで書き始めました。
こっちは更新ゆっくり目になると思います。
無印編こっちは更新ゆっくり目になると思います。
零れ落ちた雫
二度目の生の最期は絶望と共に終わった。
今度こそ忠義を貫きたいと、たった一つ懐いた祈りさえ踏みにじられた。
何がいけなかったのだろうか。
聖己に科した誓なのか。理解してくれなかった主君なのか。我が身に宿るこの消えない呪いのせいなのか。
それとも己自身だったのだろうか。
聖杯なんて要らなかった。
かつて果たせなかった主への忠節と勝利を捧げる名誉を求めただけだった。
生前と同じように騎士として戦って死ぬ事も許されず、同じように主の手によって最期を迎える。
なんという皮肉だろうか。ここまで不運ではもはや哂う事しかできない。
――――もし三度の生があったなら、騎士としてではなく民として生きてみようか。
そんなことを考えながら聖杯の泥の中で思考の海に沈んでいく。
揺れる 揺れる
聖杯という名の黒く穢れた願望機は騎士の心を呪いの泥の中に沈めていく。
後悔、憎悪、悲壮・・・騎士の心に渦巻く負の想いは泥に抗わず流されるままだった。
どれだけそうしていただろうか。永遠に続くと思われた時間は唐突に終わりを告げる。
煌く黄金の輝きと叫びが闇を切り裂き、騎士の心を捕らえていた穢れた泥の檻から解き放つ。
穢れた泥は虚ろな騎士に器を与え、黄金の強い輝きがその穢れを消し去る。
英霊の力を溜めていた聖杯から放たれた魔力は世界の壁を壊し、その身体を次元の狭間を越えた新しい世界に飛ばす。
偶然起きた小さな奇跡は騎士を人とし、三度の生を与えた。
「俺は……」
優しい木漏れ日の中、忠義の騎士・ディルムッド・オディナは目覚めを迎えた。
転生させる理由を作るのが大変です。
思い付きで書いたんでゆっくり考えて書いていきます。